プロローグ

ロッゼタSide

私はこの光景が信じられなかった。だって私が手習いに行く前はお父様もお母様も笑顔で行ってらっしゃいって声をかけてくれたから。なのにどうして、帰ってきたら、体が冷え切っているの?二人の体が血まみれなのはどうして?なんで?どうして?お帰りなさいって言ってよ。

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

どうしてこんなことになってしまったの?会いたいよ...
 
 そう思ったのを最後に私は意識を手放しました。次にはっきりと覚えている記憶は、お父様とお母様の葬儀が終わった後のことです。それ以前の記憶はあいまいで何を話したのかも覚えていません。葬儀には、夕焼けの草原の王族の方も来ていたといいますが、私は、葬儀の間もずっと泣いていたので誰が来たのかなんて、まったく覚えていません。葬儀の後、私のことをどうするのかで話し合いがあったそうです。そこで、私はルシファー家の方々に引き取ってもらえることになりました。それが、不幸の始まりだとは気づかずに、、、、

あの家に行ってからは悪夢の連続でした。私に精霊さんの加護があるからと、何かと嫌がらせをされたのです。雑用を一日中させられたこともありますし、食事をくれなかった時もありました。一番ひどかったのは、冬に夏の果物が食べたいと言い出した時です。お前には精霊の加護があるからこのぐらいできるだろうといわれました。そんなことを言われ続け、辛くなって、泣いていたとき、ある方が私に声をかけてくれました。
 
 その人の名前は、ディア・クロウリーさんでした。私のひどい扱いがかわいそうだ。こんな場所にとどまっていないで、私と一緒に行きませんか。そう声をかけてくれました。見つかったら連れ戻させるのではないかと心配していましたが、魔法で別人のように私の姿を変えて、エリーゼという新しい名前まで考えてくださったのです。お父様とお母様がつけてくださった名前を捨てるのは勇気がいることでしたが、こんな生活を抜け出せるならとクロウリーさんについていくことにしたのです。


12/13ページ
スキ