プロローグ

宴が終わった直後、両貴族は、王様に呼び出されます。ヘドラはこの時、婚約の話をするものだとばかり思っていたので、緊張していました。しかし、国王の口から出てきた言葉はとんでもないものだったのです。

熱砂の国の王「あちらの王様に、ロゼッタの精霊様からのご加護の話をしたところ、是非とも会いたいと仰せられた。じゃから急な話かもしれんが、明日会えるようにしたいのだ。其方やロッゼタには申し訳ないが、ほかならぬ王の頼みじゃ。引き受けてくれるであろう。それに、10年前とはいえ、国王に仕えていた其方だ。積もる話もあるだろうに。」

ロゼッタの父「そこまで王がおっしゃられるのであれば、わたくしが断る理由があるはずーー・・・」

ヘドラ「話の合間に入ることをお許しください、王よ。他にはどのようなお話をされたのでありましょうか。」

熱砂の国の王「他の話のう。ああ、そういえば、第2皇子であるレオナ様の婚約者となる人を探しておったようじゃわい。其方たち二人の娘も推薦しておいたぞ。」

ロゼッタの父「ロゼッタの婚約先を決めるのはいささか早いような気も致しますが。」

熱砂の国の王「何を言っておる。早いうちに決めておかないと、婚期を逃すことになってしまうぞ。それに今からそんなことを言うようでは、ロッゼタに嫌われる未来が見えてくるわい。ハハハ。」

ロゼッタの父「そんなことありませんよ。それより明日の件、しかと了承いたしました。明日、謁見の準備をさせていただきます。」

熱砂の国の王「頼んだぞ。」

あらあら。夕焼けの草原の国王様がレオナの許嫁を見つけに来たことを話してしまいました。いいのでしょうかねえ。誰かが聞いているかもしれないというのに。その話はいったん置いといて、ロゼッタの父は、明日王族の方と謁見できるようすぐに準備に取り掛かりました。一方、ヘドラはといいますと、呼び出された理由は婚約の話だとばかり思っていたので内心がっかりしていました。ですが、話に割り言って尋ねるととやはり婚約の話はあったらしい。あいつの娘、ロッゼタはただ単に精霊か何か知らんが加護を受けているだけで、他は何もかも私の娘には劣っている。(ヘドラがそう思っているだけであって、実際、ロッゼタはアリアドネよりもいい子です)よし、自分の娘、アリアドネを婚約者にしてやると心の中でひそかに考え、張り切ります。

ロゼッタの父Side
「急な話だが、明日、夕焼けの草原の王がロゼッタに会いたいとおしゃられたようで謁見することになった。」

ロゼッタの母「本当に急な話ですわね。ですが久しぶりに王にお会いできるのですからうれしいですわ。ところで何故ロゼッタに会いたいとおしゃられたのです?」

「わが国王がロゼッタが精霊様からご加護を受けていると話したらしくてなあ。それに、第2王子様の婚約者候補としてもロゼッタのことを推薦したらしい。」

ロゼッタの母「あら。そうだったのですね。それはますますお会いするのが楽しみですわ。」

「君はロゼッタの嫁ぎ先が決まるかもって時になぜそんなにものんきでいられるんだ。」

ロゼッタの母「嫁ぎ先が決まるのは良いことではありませんか。それに今からそんなことを言っているようでは、嫌われますよ。ロゼッタに。」

「君も王と同じことをお言うのかい。勘弁してくれよ。」


そんな話をしているうちに夜は明け、ついに夕焼けの草原の国王と謁見する時間に迫ってきました。
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