終わりの始まり

裁判が終わり、牢屋へ戻される。お父様はどうなったのか誰も教えてくれない。孤独だ…寂しい…どうしてこんなになるまで進んでしまったのか。

思い返せば、物心ついた時から、お父様は私に『お前にはシャーティー家を潰す駒となってもらう』って言われてたっけ。そんなことする必要があるのかと思っていたけれど、そんな考えはすぐに無くなった。だってあの子…ロゼッタはみんな注目の的だった。精霊の加護を生まれつき持っている子供ってことだ周りからちやほやされていた。私のお誕生日の宴でさえ、あの子が来たら、皆あの子に夢中。あの子は純粋におめでとうって言ってきたけど、私は皆から注目されない仕打ちが耐えられなかった。だから『あんたなんかにそんな言葉を言われたくない』って追い出したっけ。それでお祝いムードは一気に冷めた。貴族の中で噂が回るのは早い。私は精霊の加護をもらっている子を傷つけたという悪女のレッテルが張られた。あの子はそんなことない私がアリアドネさんに嫌な思いをさせたって言ってたらしいけど、そんなことどうでもよかった。

その時から、アイツが憎い存在になった。完全に憎き相手となったのは、レオナ様と婚約した時だ。私はレオナ様に会ったとき、一目ぼれした。お父様も権力を手に入れるチャンスだとは私とレオナ様を婚約させる気が十分にあった。だから私は歓迎の宴の時、必死にアピールしようとした。だけど、私のことは眼中になかった。視線の先にはロゼッタがいた。

憎い憎い憎い!!!どうしてあの子ばかりいい気分になってるの!!あの子ばかりがいい思いをするなんて許せない

この瞬間私は悪に染まった。

レオナ様とロゼッタの婚約が決まって数日後、ロゼッタの両親が亡くなったと聞かされた。その時お父様に、俺が殺したんだとも聞かされた。しかも、あの子を引き取ったとも。それからはあの子やあの子の召使をいじめまくった。暴言をまき散らし、殴ったり蹴ったりした。後ろめたさなんてなかった。だってお父様の方が悪いことをしていたから。

そんな日々を送っていたとき、急にロゼッタがいなくなった。どこを探してもいない。お父様はこれをチャンスだといった。お前がロゼッタに成りすましてレオナ様と結婚すれば、私たちの家の権力は絶対のものとなる。それからはなりすますための魔法を練習した。完全になりすましができる状態となり、私はナイトレイブンカレッジの編入をした。あそこは男子校なのだが、お父様が圧力をかけ通わせてもらえるようになった。学園の一日が終わり、他の男の誘いなんか目もくれず、レオナ様にまず会いに行った。
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