プロローグ

ついに、夕焼けの草原の王族の方々が熱砂の国にやってくる日が来ました。
熱砂の国の人々は、王族の方々を厚く歓迎します。町はいつもより活気に満ちているように思われました。そんな中、第2王子であるレオナは、社交辞令で笑みを浮かべたりすることにうんざりしていました。早くこんなこと終わらせて帰りたいと思うほどに。

夕焼けの草原の国王「熱い歓迎ありがとうございます。わが国では、見かけないものばかりでとても興味をそそられました。是非、様々な文化について教えてもらいたいものですな。」

熱砂の国の王「遠路はるばるよく来てくださいました。興味をお持ちになったものなんでもお答えしますぞ。じゃが、今夜は歓迎の証として豪華な宴をご用意しておりますのでぜひともお楽しみください。」

夕焼けの草原の国王「ありがとうございます。それはとても楽しみですね。家族総出で主席させていただきます。」

 こんな会話を聞いていたら詰まんなくなるのは当然でしょうか。私にはよくわかりませんが、当時のレオナにとっては、許嫁が決まるというのもありつまらなく思えたのかもしれませんね。
 
 そんなこんなしているうちに宴の時間になります。レオナは、出席したくなかったのですが、国王やファレナにあれやこれやと言いくるめられて、出席するのでした。
 
 宴が進むにつれてお酒の量も増えていきます。国王二人ともいいころ合いにお酒に酔ってきたとき、夕焼けの草原の国王から話を切り出します。

夕焼けの草原の国王「王よ。第2王子であるレオナの許嫁を決めたいのだが、誰か良いところのお嬢さんはいらっしゃらないか。」

熱砂の国の王「そうだなあ。ルシファー家の娘なんかちょうどいいのではないか。確かレオナ様は10歳だったであろう。同い年だから話が合うかもしれん。それと、シャーティー家の娘さんもいいのではないか。」

夕焼けの草原の国王「シャーティー家というと、10数年前にうちの国からそちらの国に移ったという家柄で正しいだろうか。」

熱砂の国の王「その通りだとも。5歳ながらにして、両親に似て優秀な子でなあ。それに生まれながらにして精霊様のご加護を受けておる。わしもこの目でその力を見たから間違いない。あの子を嫁にもらえる家はさぞかしうらやましいわい。息子のもとに嫁がせようと思ったが、だめだと断られてしまったよ。ハハハ。」

夕焼けの草原の国王「生まれながらにして精霊様のご加護を。なんと素晴らしいお嬢さんだ。許嫁の候補というのは置いといて、是非一度自分の目でその子を見てみたいものだ。」

熱砂の国の王「今日はもう遅いから明日会えるように手配しておこうではないか。わしも久しぶりに会うから楽しみじゃわい。」

こうして、ルシファー家・シャーティー家、両貴族間の知らないうちに、様々な話が進められていたのでした。
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