第1章

ひより「と、届きませんね。」

ひよりは、今喉が渇き売店でお茶を買おうとしている…が、ひよりは足がまだ完治していない為立つことが出来ない。

ひより(片足だけで立てば届くのでは?)

ひよりは、車椅子から片足で立とうとするとズルッと車椅子から滑り倒れそうになった瞬間

轟「っぶねぇー。」

後ろから轟が受け止めてくれていた。

轟「何やってんだ!お前、まだ骨折してるんだぞ?なんでそんな危ねぇ事した?」

轟は、怒り気味になっていた。

ひより「すみません。喉が渇いて、その、お茶を買おうとしたのですが届かなくて・・・・。」

轟「それなら、メールで言ってくれれば買って来たぞ?」

ひより「いえ。桜が昼寝をするといって帰ってしまい、暇だったのでその・・・・・。」

轟「そのなんだ?」

ひより「つい、売店にという訳で。あの、会計して来るので降ろして下さい。」

ひよりの体制は轟に横抱きにされている状態なのだ。

轟「やだ。」

ひより「やだ。じゃありません。降ろして下さい?」

と、ニッコリと笑い轟はひよりの笑顔に負け素直に、車椅子に乗せた。

会計を済まし、病室に戻るや否やすぐに ひよりは、轟に抱きしめられた。

ひより「焦凍君?あの、病室に着いて早々抱きつくのはちょっと。」

轟「ちょっとなんだ?」

ひより「ーーーーっ。それより、焦凍君怒ってますよね?」

轟「あぁ。」

ひより「あの、何であの時焦凍君は売店に居たんですか?」

轟「あれは、さっき、ひよりの病室に行ったら居なくて、探してたら見つけた。」

ひより「そういう事ですか。あっ、明日体育祭当日ですね!頑張って下さいね?」

轟「あぁ。・・・・・む。話少し逸らしただろ?」

ひより「何の事でしょう?」

轟「はぁ・・・・。さっきの、怒ってるからだ。」

ひより「うっ・・・。まだ、お説教続くんですか?」

轟「当たり前だ。お前が、コケそうになったの見た瞬間、心臓が止まるかと思ったぞ。本当に心配した。あとで、桜狐にも言うからな。」

轟は、ひよりの肩にグリグリと頭を埋めた。

ひより「くすぐったいですよ。心配掛けてすみません。」

轟「もう、あんな無茶すんなよ?」

ひより「肝に命じておきます。焦凍君は、心配性ですねぇ。」

轟「お前だからだ。」

ひより「私だからとは?」

轟「お前、鈍すぎだ。」

気づけば、ひよりは轟によって押し倒されて居た。

ひより「ちょっと待ってください。この状況は、えっと何ですか?」

ひよりは、頭がぐるぐるとし思考が停止していた。

轟「何って、押し倒してる。」

ひより「そんな、ストレートに言わなくても。」

ひよりは、真っ赤に頰を染め顔を逸らした。

轟「何で、顔逸らすんだ?それに、話は終わってねぇ。」

ひより「話?私が、鈍いという事ですか?あの、何が鈍いんですか?」

轟「恋愛だ。」

その言葉により、ひよりの顔全体が赤く染まった。

ひより「天然な焦凍君に言われたくありません!」

轟「俺って、天然か?」

ひより「天然ですよ。本当に。」

轟「そうか?」

ひより「そうですよ。それより、離れて下さい。起きれません!」

轟「やだ。」

ひより「どうしてですか?」

轟「好きだからだ。」

ひよりの頭には、その2文字の言葉が浮かぶ。

ひより「焦凍君、その好きとはlikeの方ですか?それとも異性の方の…?」

轟「異性としての方だ。」

ひより「私なんかより、よっぽどお似合いな方がいる筈です。その方に言ってあげてください。」

と、作り物の笑顔を貼り付ける。

轟「嫌だ。それに、ひより 今無理して笑ってるだろ?俺の前では、無理して笑うなって言ったはずだ」

ひより「でも・・・・・。」

轟「お前の気持ちはどうなんだ?」

ひより「分かりません。恋愛など無縁の人生だと思っていたので。

いえ、私に好きな人など必要ないと思って生きて来た・・・・から。」

轟「俺じゃダメか?」

子犬の様な、顔で見つめられ、ひよりはもうどうしたらいいのか分からなくなった。

ひより「ダメ・・・・とか、では無いんです。ただ、私なんかよりずっと『いねぇよ。そんな人。』

轟「いねぇよ。お前以外に好きだと思う奴は」
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