艦これ
私は初めて目を覚ましたときのことを今でもまだおぼえている。空の中心で輝く太陽はとても眩しく、私を誕生させた造船ドッグも、周囲全ての色も吹き飛ばそうとするみたいに強烈な日差しをぶつけていた。人々は忙しそうに歩き回り、金属の板や道具を運び、あるいは工具を腰から下げて広い屋内と外を往来していた。遠くでは巨大なクレーンがのっそりと動き、色とりどりのコードは地をのたうつように這っていた。
私を作ったと思われる中年のよく日に焼けた男は、むくりと上半身を起こした私の全身を満足そうに眺め、数回頷いた。そして言った。
お前は幸せだなあ。
私は初めての言葉を発した。生まれたばかりの私は問うた。
なぜ?なぜ私は幸せなの?
男の人は汚れた軍手をはめた手を腰にあて、なぜって、もちろん、海を知ってるからさ、と言った。
海を知っているからさ。生まれながらに海を知って、女神の祝福をもらっている。それはとても幸せなこった。
ーーじゃあ海を知らないのは不幸なの?
私が発した問いを男は明るく笑い飛ばした。
知らないことは不幸じゃないさ。それはそんなもん、また別の話だ。
でもなあ。男は顔を陰らせると首を横に振った。
ただ、祝福されてもいないのに、海に憑りつかれてしまう奴がたまにいるんだ。アレは、とにかく不幸なもんだろうさ……。
そのとき、私は広々と果てなく続いている海原を見た。唇の動きだけで、ああ、姉さんに会いたい、と呟いた。
いま、姉妹たちと暮らす日々の中で、時折一人になった瞬間、男の遠い声を思い出す。あれは海猫が騒ぐある朝のことだった。
男の発した言葉の意味を、私は未だに理解することができない。
私を作ったと思われる中年のよく日に焼けた男は、むくりと上半身を起こした私の全身を満足そうに眺め、数回頷いた。そして言った。
お前は幸せだなあ。
私は初めての言葉を発した。生まれたばかりの私は問うた。
なぜ?なぜ私は幸せなの?
男の人は汚れた軍手をはめた手を腰にあて、なぜって、もちろん、海を知ってるからさ、と言った。
海を知っているからさ。生まれながらに海を知って、女神の祝福をもらっている。それはとても幸せなこった。
ーーじゃあ海を知らないのは不幸なの?
私が発した問いを男は明るく笑い飛ばした。
知らないことは不幸じゃないさ。それはそんなもん、また別の話だ。
でもなあ。男は顔を陰らせると首を横に振った。
ただ、祝福されてもいないのに、海に憑りつかれてしまう奴がたまにいるんだ。アレは、とにかく不幸なもんだろうさ……。
そのとき、私は広々と果てなく続いている海原を見た。唇の動きだけで、ああ、姉さんに会いたい、と呟いた。
いま、姉妹たちと暮らす日々の中で、時折一人になった瞬間、男の遠い声を思い出す。あれは海猫が騒ぐある朝のことだった。
男の発した言葉の意味を、私は未だに理解することができない。
