fate(槍弓)
灰色の空から雪が降っている。
近くに住む小学生たちが歓声をあげながら作る雪だるまを見て
「子供のすることはいつの時代でもどの国でも変わらねえな」
と隣を歩くランサーが笑った。
ランサーは凛の与えた上質なマフラーに顎を埋め、な?とアーチャーに同意を求める。
サーヴァントなのだからどの服を着ようと一緒だと夏服を着続けるランサーを見かね、アーチャーと凛が秋口からの服を買い与えたため、ランサーはその礼だと、なにかと二人を助けようとする。
今も、ランサーの片手は食料品の詰まった買い物袋に塞がれている。
当初はアーチャーの買い物袋も持とうとしていたが、無闇に人の仕事を奪うものではないとアーチャーが言ったため、二人は一つずつ荷物を手から下げている。
ランサーはアーチャーの傍らへよく現れては、何やかやと関わりを持とうとする。もしや凛の側にもこのように頻繁に現れるのかと凛にそれとなく訊ねたが、いえ、それほど見てないわよと平然と返され、アーチャーは首をひねった。何度かランサーへ問おうとしたことがある。私の傍らへ何故それ程までに居ようとするのかと。しかし、問うことですっかり馴染んだ隣の存在を失くすことを怖れ、アーチャーは口を噤んだ。そして、ランサーが俺たち夫婦みたいだなと馬鹿を言うたび頭を叩きながら、二人で歩き、買い物をし、食を共にする。
ランサーは雪を目にしてからすっかり舞い上がり、朝から一日中テンションが高い。
そういえばお前の国は雪国だったかと問えば、雪はあまり降らなかったから珍しい、と答える。
白い大地の上で光が反射し、きらきら輝く白い肌を見遣る。目元と耳元を寒さに赤く染め、雪に喜ぶ彼の故郷では、青い髪がさぞ映えたものだろうと想像し、アーチャーはランサーへ柔らかく微笑んだ。
ランサーはその微笑みを驚いたように見つめ、そしてそのまま路傍の雪を空いた片手でおもむろに一掴みし、アーチャーへと一直線に投げつけた。
アーチャーはよけ損ねた雪が己の頭と肩からぱらぱら落ちる様を呆然と見、やがて怒りも露わに一体何をするのだと雪を掴んで投げ返す。
ランサーは笑い声をあげながら逃げ、次から次へと雪をアーチャーへ投げつける。
ムキになったアーチャーも応戦し、ふと気付けば二人とも雪まみれになり、遠くで見ていた小学生達に笑われている有様だった。
我に返ったアーチャーは、まだ遊び足りぬという風情のランサーの首根っこをかじかむ片手で掴み上げ「ふざけるのもいい加減にしろ」と帰路を急ぐ。ランサーは笑いながら言う。
まるで恋人みたいだな、オレ達。
アーチャーはそこへ込められた感情をあえて無視した。
「貴様はまるで子供のようなんだ。貴様が恋人だと?体が幾つあっても持たん」
そうだな。静かな声でランサーは言った。
そうだな。―――なあ、帰ったら作ろうな。雪だるまを、一緒に。
アーチャーは前を向き「勝手に作りたまえ、だが玄関へ置いておけよ。でないと家の中が濡れるからな」と突き放した。
お前は一緒に作ってくれるよ、きっとな。ランサーは顔を伏せながら呟いた。
近くに住む小学生たちが歓声をあげながら作る雪だるまを見て
「子供のすることはいつの時代でもどの国でも変わらねえな」
と隣を歩くランサーが笑った。
ランサーは凛の与えた上質なマフラーに顎を埋め、な?とアーチャーに同意を求める。
サーヴァントなのだからどの服を着ようと一緒だと夏服を着続けるランサーを見かね、アーチャーと凛が秋口からの服を買い与えたため、ランサーはその礼だと、なにかと二人を助けようとする。
今も、ランサーの片手は食料品の詰まった買い物袋に塞がれている。
当初はアーチャーの買い物袋も持とうとしていたが、無闇に人の仕事を奪うものではないとアーチャーが言ったため、二人は一つずつ荷物を手から下げている。
ランサーはアーチャーの傍らへよく現れては、何やかやと関わりを持とうとする。もしや凛の側にもこのように頻繁に現れるのかと凛にそれとなく訊ねたが、いえ、それほど見てないわよと平然と返され、アーチャーは首をひねった。何度かランサーへ問おうとしたことがある。私の傍らへ何故それ程までに居ようとするのかと。しかし、問うことですっかり馴染んだ隣の存在を失くすことを怖れ、アーチャーは口を噤んだ。そして、ランサーが俺たち夫婦みたいだなと馬鹿を言うたび頭を叩きながら、二人で歩き、買い物をし、食を共にする。
ランサーは雪を目にしてからすっかり舞い上がり、朝から一日中テンションが高い。
そういえばお前の国は雪国だったかと問えば、雪はあまり降らなかったから珍しい、と答える。
白い大地の上で光が反射し、きらきら輝く白い肌を見遣る。目元と耳元を寒さに赤く染め、雪に喜ぶ彼の故郷では、青い髪がさぞ映えたものだろうと想像し、アーチャーはランサーへ柔らかく微笑んだ。
ランサーはその微笑みを驚いたように見つめ、そしてそのまま路傍の雪を空いた片手でおもむろに一掴みし、アーチャーへと一直線に投げつけた。
アーチャーはよけ損ねた雪が己の頭と肩からぱらぱら落ちる様を呆然と見、やがて怒りも露わに一体何をするのだと雪を掴んで投げ返す。
ランサーは笑い声をあげながら逃げ、次から次へと雪をアーチャーへ投げつける。
ムキになったアーチャーも応戦し、ふと気付けば二人とも雪まみれになり、遠くで見ていた小学生達に笑われている有様だった。
我に返ったアーチャーは、まだ遊び足りぬという風情のランサーの首根っこをかじかむ片手で掴み上げ「ふざけるのもいい加減にしろ」と帰路を急ぐ。ランサーは笑いながら言う。
まるで恋人みたいだな、オレ達。
アーチャーはそこへ込められた感情をあえて無視した。
「貴様はまるで子供のようなんだ。貴様が恋人だと?体が幾つあっても持たん」
そうだな。静かな声でランサーは言った。
そうだな。―――なあ、帰ったら作ろうな。雪だるまを、一緒に。
アーチャーは前を向き「勝手に作りたまえ、だが玄関へ置いておけよ。でないと家の中が濡れるからな」と突き放した。
お前は一緒に作ってくれるよ、きっとな。ランサーは顔を伏せながら呟いた。
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