光明ノ神子2

 楸は、困っていた。
「とまらない」
 ついつい手がのびてしまう。キャラメル味のポップコーンに。
「太る……」
 カロリーを見ると恐ろしい。楸は、太りたくないと思いつつ手は、ポップコーンにのび、そして口に運んでいた。
「美味しい」
 そう美味しい。なにより安い。
 無心にポップコーンを食べていると、部屋の扉がノックされた。
「どうぞ」
 カチャッとドアが開けられ、友美のが部屋に。
「楸……ポップコーン……」
「やめられなくて……」
 気持ちは、分かる。 
「楸ダイエットしてたんだよね??」
 友美の鋭い指摘に、楸は、気まずそうな顔に。
「……中年肥りするわよ」
 友美は、釘を刺すと、楸は、不服そうな顔に。
「友美まだ私は、アラサーから三十路だが!?」
「世の中では、アラサーや三十路からおじさんというのよ。おじさんって」
 友美は、まだ三十路は、若者だろうと思っている。
「マジで、Z世代私苦手」
「まぁ彼らは、こう……我慢がなかなか出来ない。自分が正しいと思ってるからね」
「タイパでしょう?? なんでもタイパ重視でいけるわけないのに」
 友美は、溜め息を着く。
「その上、学力落ちてるし、型に何でもはめようとするし……」
 友美は、やれやれという感じにいうが、楸は、ふと疑問が。
 友美は、Z世代となにか問題でもあったのだろうか。
「友美Z世代と何かあったのかい??」
 気になったら素直に聞くべし。
 友美は、遠い目をしていう。
「テナントで貸してる会社のオーナーがボヤいてた」
 まさかのまさかだった。
「友美や貸してる人と会うことあるんだ……」
「そりゃまぁね。といっても滅多いないけど」
 そもそも白野威や天照が直々に選別し選んだ土地や物件が。
 うまくまわらない方がおかしい。
「それに、見ていて思うのよ。こいつら色々あるなぁーって」
 友美は、言葉を濁したが、楸には、彼女が何をいいたいのか少し分かってしまった。
「まぁ友美末法だから……」
「見事に」
 友美は、それだけいうと、部屋を出ていった。
「結局なんだったんだろ」
 楸は、ポップコーンの袋をバッグ・クロージャーでとめると、立ち上がり、そのまま手を洗いに洗面所に。
 手をふきリビングに行くと、友美にとりあえず聞くことに。
「友美でさっきは??」
 友美は、はっとした顔に。
「忘れてた!! お父さん来るから」
 友美は、それを伝えたかったらしい。
「思金神殿が……」
 楸がそう呟いたとき、なんと。
「はい!!」
 思金神が元気よく手を上げ登場。
 楸は、思わず目を丸くした。
 あの冷静沈着な知恵の神がこうもノリがいいなんて誰が予想つくだろうか。
「イェーイ!!」
 そのうえピースまで今してる。
「お父さん楸困惑してる」
「と言われてもねぇ?? 私は、こうだから」
「いやいや色々違うでしょう!? 高天ヶ原と!!!」
 思わず楸は、ツッコム。 
「高天ヶ原では、仕事モードですから」
 キリッとした顔でいう思金神に、楸は、この知恵の神結構、愉快なのでは、と思ってしまった。
「で本日は、おやすみモードっわけね」
「友美それも違う」
「というと??」
「家族モード!!」
 友美は、顔をひきつる。
「楸がいるのに!?」
「彼も薄いといえど我が血筋の関係者だからね」
 楸は、この時目の前の神に問いたい事が出来ていた。
 それを何となく感じてか、思金神は、友美にある頼みごとをした。
「映画館のポップコーンが食べたい!?」
「友美お願い!!」
 友美は、面倒そうだ。
「まぁ知恵の神のお願いだし行くけど、対価しっかり貰うから」
「分かったよ」
 友美がそういい出かけるのを思金神は、見送り、玄関のドアが閉まると、楸の方を見る。
 こても真剣な顔つきで。
「紅蓮ノ神子私しに、何か聞きたいのでは??」
 楸は、少し驚いた。
「何故……」
「顔にかいてあったからだ。それに友美には、聞かれたくない話のようだ」
 楸は、目を伏せた。
「私を家族というのなら、思金神殿は、私の一族の事もおおよそ知っているのかなと……」
 思金神は、頷く。
「知っている。何をしてきたのかも。そしてその因縁が何を招いたのかも」
 楸の一族は、元は、友美の一族と同じだった。しかし遥か昔に分かれ、今では、誰もがその事実を知らない。
 楸も調べたからこそ、分かったことで、その文献も一族の者は、誰も気にもしなくなってしまっている。
「……力を残すために……力の強いあやかしや神を利用し、力を奪ってきた……」
「でもそうしたくなる道理も分かるがね」
 思金神は、そういうと続ける。
「創造神の力は、万能とも言える。それも人の身で使えたとなるの、それだけで、人の世では、有利に立てる」
 昔は、力が物を言う時代であった。とくに紀州は。
「紀州は、武家が昔から統治できなかった土地だった。その厳しい土地で生き残るとなると、通力は、いい武器だ」
「瑠花殿もまたそのように??」
「瑠花は、長生きだったからね。あまりそういうことは、考えてなかったようだ」
「なんなら身一つで各地を基本転々としていたので、権力とは、無縁だったともいえる。
「それに伊織と静かな場所だ住んでいたからね……」
「うちと違いすぎませんか!?」
「そりゃ半神だったから、寿命長がかったからね瑠花は」
 思金神は、そういうと微笑む。
「本当にあの事実を知ったときは、身の毛もよだちました」
「そしてそれ相応の対価も一族は、後世に払わせる形にしていたと」
 そして楸の代は、妹がそれに選ばれた。
「私ならば……」
「それは、無理だろうね」
 思金神は、目を鋭くしいう。
「友美も気付いてるが、紅蓮ノ神子がカグツチに選ばれる理由があるから」
 楸は、驚く。
「理由とは!? 聞いてないが!?」
「基本話さないだろう。あの火の神は」
 思金神は、そういうと溜め息を着く。
「母上が助けたといえど、あの神は、基本己は、要らぬ神と思っているからね」
 そして楸もまたそのように思っていた時期があった。
「私が対価として選ばれなかった理由……」
「私も取る側なら愛され皆が地獄を見る方を選ぶ。楸は、違うだろ??」
 確かにそうかもしれない。
「……」
「そしてカグツチは、自分と似た境遇の君を見て、たぶんほっておけなかったんだろう。だからこそ、表舞台にまた出ることを選んだ。紅蓮と名乗る形でね」
 古事記でもカグツチは、伊弉諾に殺されていこうは、出てきていない。
 神話の通りならば、そのまま黄泉に下ったことになるが、その詳細は、誰にも分からない。
 ごく一部のもの以外。
「しかしこればかりは、彼にしか分からない」
 楸は、面伏せた。しかし思金神の言うことにも一理あるだろう。
「そうだといいです」
「彼に聞いてみるのもいいかもしれない」
 答えてくれるかは、分からないが。
 思金神と楸は、こうして話していると、友美が帰ってきた。
「お父さん大量に食べて」
 ドンッと炬燵の上には、大きな袋に入ったポップコーンが。
「袋にじか!?」 
「そりゃ大量に頼んだかこうなるわよ。あと領収書」
 友美は、思金神に領収書を渡した。
「高い……」
「そりゃそうでしょう」
「友美これは、皆で食べる分でいいのかい??」
「えぇだから値段も三等分。私は、払ってるから、楸とお父さんよろしく」
 友美は、そういうと、三等分にポップコーンを分けた。
 楸と思金神は、金額に顔を青ざめる。
「まさかこんなに高いとは……」
「映画館のは、そうです」
「いい勉強になった」
 とりあえず友美に代金を支払い、思金神と楸もポップコーンを食べた。
「これは、食べごたえある」
「やっぱり美味しい」
 モグモグ食べる楸と思金神をみて、友美は、少し安心した顔に。
(話したいこと、話せたみたい)
 なんとなくだが、思金神が、友美に、ポップコーンを頼んで理由を友美は、予想がついていた。
「友美これで何か映画を観ればなかなかよくないかい??」
「お父さんなら、恋愛映画でも見る??」
「それは、嫌」
 楸は、思金神と友美の話を聞きながら、この親子は、本当に少し微笑ましいなと感じながら、ポップコーンをたべるのであった。
73/73ページ
スキ