光明ノ神子2

「友美もう終わらせたの??」
「白野威そりゃねー!!」
 友美がリビングで、のんびりするなか、和室からは、唸り声が。
 白野威は、やれやれという顔でその背中を見ていた。
「なんで、臨時で病院に呼ばれた時だけ、個人事業主なんだー!!!!!」
 光は、そう叫ぶと、また格闘し始める。
 この時期、副業をやっている人から個人事業主や、事業主など、多くの人を悩ます確定申告と。
「友美なんで人間ってこんなめんどくさいことしてるのさ」
 白野威は、毎年この光景をみて、疑問に思っていた。
「神のように把握する献納がないからよ。あと、オラ!! 税金返しやがれ!! ってね」
 年末調整といい、確定申告といい、先ずは、納めすぎた税金を返してもらうためにやることといえる。
 もちろん足りない分を納める事もあるが。
「まぁそれは、大切だね」
「でしょう?? みすみす食われるか!! ってね!!」
「で、光は、病院のピンチヒッターの時の書類申告で唸ってるわけね」
「光病院のピンチヒッターは、業務委託になってるみたいだからね」
 光は、時々、隆二に頼まれ、大学病院にピンチヒッターとして、行くことがある。
 光は、この時は、業務委託として、働くため、確定申告が毎年必要となっている。
「とりあえずこれでいいか……」
 きっちりしている光が書類に、苦しんでいるのも珍しい。だがそれだけ確定申告がややこしいともいえる。
「税理士の知り合いは、いないんだよなぁ……弁護士は、いるが!!」
 和室からそんな声が聞こえ、友美と、白野威は、苦笑い。
「まったく弁護士に見えないけどねアイツ」
「どちらかというと、運送業とか職人よね……」
「つなぎだし」
 燕青から五月蝿いといわれそうだが、実際にそう見えてしまっている。
 お堅いイメージの弁護士と大陽のように柔らかく、明るい燕青は、真逆なイメージだ。
「そういえばバレンタインデー成功したみたいよ!!」
「おっ勇音やるじゃん」
「でも、熱々でキャーだったらしい」
 何が熱々なのかは、すぐに分かる。
 白野威は、鼻で笑ってしまっていた。
「そこしとねといえばいいだろ!?」
「白野威それをいわないのが乙女心だ!!」
 和室から突っ込みがはいり、白野威は、不満そうにほほを膨らませた。
「突っ込みいれる余裕は、あるのかよ!!」
「まぁまぁ」
 やれやれという感じで、友美は、白野威をなだめるが、白野威は、まだ不満そうだ。
「光に遊んで欲しいの??」
「約束破ったら承知せん!!」
 白野威が拗ねてる理由は、この約束にありそうだ。
 ふてくされる白野威を友美は、撫でていると、光が和室から出てきた。
「友美は、終わってるのか?? 確定申告」
「とっとと終わらせてるわ。それに日頃からまとめてるし、税務署にももう行ったから」
「早い……」
 光は、友美よりは、楽なので、これは、頑張るしかないと思っていた。
「白野威の為にホットケーキ焼かないとだしな……」
「ホットケーキ……」
 光の作るふわふわのホットケーキは、確かにおいしい。
 そりゃ白野威が作れとふてくされるのも分かる気がする。
「待ちくたびれるわよね」
「はぁ……」
「光頑張れ」
 友美は、立ち上がる。
「友美??」
「ちょっと光の好きなもの買ってくるわね!!」
「それ、乗りたいだけだろ??」
「まぁね」
「きおつけて」
「ありがとう!!」
 友美は、そういうと、出かけるしたくをし、外に。
 駐車場にいくと、そこには、新しい青色車が。
「よし!! よろしくね!!」
 友美は、さっそく乗り込むと、シートベルトをして、エンジンを着けた。
「でも白野威がこれにしろ!! っていってくるのはね……」
 少し前の事、友美は、光に車を欲しいと話していた。
 だが、まだ今の車が使えるから、今回は、やめようと結論が出たとき、白野威がチラシを咥えて、やって来たのだ。
「これにしな!!」
 とだけいい、去っていった。
 それがまさかこのスポーツカーだったとは。
 いざ見に行くと、色々とあれよあれよと話がうまく行き、買うことになってしまったのである。
「あれは、神様の導きね……」
 友美は、思い出し微笑むと、アクセルを踏み、車を走らせる。
 ちなみに現金一括で買い、同じ金額が、丸々後日振り込まれていたのも驚きの出来事だ。
 たいてい、こういう時は、白野威が関わっている。
「よし!! ついた!!」
 近くのスーパーにつき、駐車場にとめると、鍵を閉め、友美は、スーパーにそしてお菓子を買うと、すぐに帰宅した。
「光はい!! エネルギー!!」
 和室へそのまま行くと、光に買ってきたチョコを渡す。
「ありがとう友美」
「どういたしまして!!」
「楽しかった??」
「うん!!」
 友美は、鞄を片付け、上着を脱ぐと、そのままキッチンに。
 手洗いうがいをし、そのままこたつに。
 白野威は、あいかわらずふてくされている。
「後少しだから待とうね!!」
「ふん!!」
 こりゃ出来上がるまで不機嫌かもしれない。
 しばらく待っていると、和室から声が。
「出来た!!」
 光は、保存し、片付け、提出すると、パソコンの電源を落とし、リビングに。
「お疲れ様」
「さて!! ホットケーキ作るぞ!!」
 という言葉で、白野威が飛び起きる。
「ホットケーキー!!!!」
 尻尾をちぎれんばかりに、振りまくり、友美と光は、その光景にこいつは、本当に大陽神かと疑ってしまった。
「友美もいる??」
「食べる」
「オッケー」
 光は、そういうと、キッチンに。
 白野威は、待ちきれず光についていく。
「こら!! シンクに前足かけるな!!」
「いいじゃないのさ!!」
 こりゃ光が苦労しそうだ。
 友美は、楽しげに微笑むと、しばらくして、ホットケーキが出来たのか、光がなぜか、ばんざいでホットケーキをリビングに持ってきた。
「友美このジャンピング白野威どうにかならないか!?」
 ピョンピョンとんで、ホットケーキを狙う白野威に友美は、苦笑い。
「凄いうさぎ……」
「友美本当に、犬じゃないよな!?」
「光そこは、狼」
 ピョンピョンとぶので、光は、少しいらっとしていた。
「おとなしくしないとあげないぞ!!」
 白野威は、いけないとおとなしく座った。
「動画サイトとかで観るワンコなんだけど……」
「美味しい物のまえでは、そうさ」
「なんだそれ」
 光は、ホットケーキの乗った皿を炬燵の上に置いた。
「はい」
「ありがとう!! いただきます!!」
 白野威は、そういうと、器用にフォークとナイフを使い食べる。
 その顔は、とても幸せそうだ。
「最高~」
「はい友美も」
「ありがとう光」
 さっそく友美も食べると、美味しい。
「生クリーム最高」
「だろ??」
 やはり光は、お菓子を作る天才かもしれない。
 友美は、微笑む。
「さすが光ね」
「ありがとう」
 隣で光もホットケーキを食べながら、いう。
 白野威も満足したのか、そのまま寝始める。
「あらま」
「本当に自由だな」
「だね」
 それがある意味平和の証拠なのでいいことだ。
 友美と光は、微笑むと、ホットケーキを食べた。
 頭の使うことをした後は、甘いものが美味しい。
 そう思いながら、ホットケーキを食べるのであった。
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