光明ノ神子2

 光は、悩んでいた。 
「う~ん」
 珍しいこともあるなと楸は、思いながら、リビングに。
「おっ」
 ダイニングテーブルの上には、美味しそうなバナナが。
 一本くらい食べていいだろうも楸は、手をのばした時。
「楸」
 ギロりと蛇のようにこちらを見てくる光が。
「なぁ!?」
 あまりの恐ろしさに声を出す。
「そのバナナは、実験用だ!! 食べるな今は!!」
「実験!?」
 いったい何をするのだろうか。
「もしかして、バナナアートかい??」
 バナナアートとは、バナナの皮に傷をつけ、絵を描くものだ。
 楸は、バナナで実験となるとそれしかないと思い、光に聞く。
「はぁ?? あんなもんするか」
 怪訝そうな顔をしいう光に、楸は、衝撃を受けた。
 まさか光からあんなもん呼ばわりなのも予想外だったからだ。
「キモいだろ……あの黒いの……」
「まさかのそう来たか」
「俺は、好かん!!」
 光は、そういうと、言った。
「つららのおやつ探しだ」
「つららのかい??」
 よく見ると、光の目の前には、つららがちょこんと座っている。
 可愛い前足しで、美味しそうに今は、トマトを食べていた。
「トマトは、好きだよねつらら」
「色々と食べてくれるが、最近飽きてきてるみたいなんだ」
 光は、溜め息をつく。
「こっちとしては、健康のために色々食べてほしいんだが……」
「色々……眼鏡とか??」
 光は、殺気を帯びた鋭い眼光で楸を見る。
「その首吹っ飛ばすぞ」
 そして光がいうと冗談に聞こえず、有言実行されると、洒落にならない。
 楸は、顔をひきつる。
「すまない……」
「四月だからってエイプリルフールするな!!」
 光は、そういうと、立ち上がる。
「とりあえずバナナだな」
 つららがトマトを食べ終え、光に、手を拭いてもらうのをじっと待っている。 
 本当に賢いなと楸は、つららを見ていると、光がバナナを持ち、座り直した。
「つらら美味しかったか??」
「美味しかった!!」
 前足を光に、ウェットティッシュで拭いてもらい、つららにっこり。
「次は、バナナ食べてみよう」
 光は、バナナを剥くと、つららに。
 つららは、前足で器用に持つと、クンクンと匂いを嗅いだ。
 つららは、次の瞬間。 
 ポイ。
 バナナを投げた。
 光は、慌てて受け止めると、つららは、言う。
「つららそれ嫌」
 まさかのまさかだ。
「南国の果物は、駄目みたいだね」
「だな楸」
 光は、困り顔に。
「南の食べ物が嫌いなのか??」
「でもジャガイモは、食べてるよね」
「まぁペルーやチリ原産の野菜だが、日本で作られてるから、つららも食べるんだろう……」
 しかし案外それは、関係ないかもしれない。
「つららの好みが分からん」
「試していくしかなさそうだ。色々と」
「間違いなく」
 つららは、そのまま立ち上がると、ぽてぽてと去っていってしまった。
「そういえば、光」
「なんだ楸」
「ホッキョクグマって動物園だと何を食べるんだい??」
 盲点だった。確かにこれは、いい着眼点だろう。
「楸ありがとう」
 いきなり、礼を言われ、楸は、少し困惑した。
「どういたしまして」
「ということでさっそく行くぞ!!」
「何処にだ!?」
 楸は、そのまま光に、強引に連れていかれ、やって来たのは、なんと動物園。
 周りが家族ずれやカップルが多いなか、男二人というのもなかなか浮く。
 楸は、何故こうなったんだと思いつつ隣の光を見た。
「光私より少し低いんだね……」
「低いといっても2cmだろ」
「まぁそうだけど」
 とんな会話をしながら、入場ゲートを抜けたが、光は、何処に向かうのか。
「とりあえずふれあい広場だな」
「光下見するつもりだろ!?」
「……すまん。何時もの癖だ」
 ついつい何時も家族で来ると、先ずは、ふれあい広場から行く。
 だが、子供達は、まったく興味がなくそのままスルーしてしまうことに。
「あの子達の事だからまったく興味なさそうだね」
「見事にな」
 とりあえず光と楸は、目的場所に。
 やって来たのは、ホッキョクグマのエリアだ。
「人が多いね」
「そりゃ人気だからな」
 そうここのホッキョクグマは、人気だ。
 人の隙間からさっそく光と楸は、ホッキョクグマを見る。
 楸は、すごいなと思う見ていたが、光は、違った。
「光??」
 なにより、知らぬまに居なくなっていた。
 楸は、とりあえず辺りを見渡すと、光は、人の隙間をぬい、なんと正面に。
「鯖や……リンゴに……白菜!?」
 光は、環境エンリッチメントのいっかんで、置かれていたバケツの中身を柵越しに、確認し、メモする。
 まさか白菜をホッキョクグマが食べるとは、驚きだ。
「狼は、食べるが……」
 家で転がっている白銀の狼を思い出し、光は、呟くが、白野威は、狼では、ない。
「果物は、まぁありか……」
 バナナは、無理でもパイナップルならいけるだろうかとも光は、考える。
「やっと追い付いた」
「楸」
 光は、メモ帳を鞄にしまう。
「なにか分かったのかい??」
「一応な」
 ということで、あとは、じっくりホッキョクグマを見ることに。
 体は、大きくとも愛らしいホッキョクグマに、皆は、くぎづけ。
 光は、つららは、やっぱりホッキョクグマににてるなと思いつつ見ていると、足元につららが。
「ぱぱ!! つららの仲間??」
 光は、アワアワと辺りを見渡し、普通の人に見えてないことを確認して、ほっとした。
 そしてつららをだっこするという。
「違うよ。つららによく似たお友達かな」
「お母さんに似てる!!」
「大きいからね」
 つららは、楽しそうだが、光は、ふと思う。
 つららの親が死んでなければあの冬の世界で、つららは、今も楽しくすんで居たのだろうと。
「つららお母さんに会いたいか??」
 つららは、光の顔を見上げていった。
「お母さん次に行けないならいい!! つらら今がいい!!」
「そっか」
 つららの頭を優しく光は、撫で、ひとしきりホッキョクグマをみたのち、人だかりから離れた。
「光おや、つららが……」
 トートバッグの中にちょこんと入っているつららをみて、楸は、少し驚いた。
「普通の人には、見えてないから安心しろ」
「ならいいけど。本当にいいこだね」
 楸は、微笑み、つららの頭を撫でた。
「せっかくだしすべてみるかい??」
「そうだな」
 ということで、楸と光は、動物園を一通り見て、動物園を後に。
 その足でスーパーに向かうとさっそく光は、つららの反応も見ながら、野菜と果物を買った。
 家に着き、さっそく果物と野菜をつららようにカットすると、光は、ちょこんとリビングにある座布団の上に座る、つららに渡してみる。
「つららどうかな??」
 先ずは、パイナップル。
 つららは、クンクンと匂いを嗅ぎ、食べた。
「おいちい!!」
「南国の食べ物でもいけるみたいだね……」
「なら単純にバナナが嫌いなんだろうな」
「だね」
 パイナップルをペロッと食べ終え、つららさらに何かほしそうな顔に。
「なら白菜を」
 光は、白菜をつららに渡すと、つららは、たべそしておめめをきらきら。
「シャキシャキ」
 つららは、あっというまに食べてしまった。
「白菜やるね」
「さすが白菜だ」
 白菜もペロッと食べてしまい、つららは、満足げな顔に。
 光に、前足を拭いてもらうと、そのまま和室に居る白野威の所に行ってしまった。
「つららの好みってなかなか深そうだね」
「まだまだ好きなものもありそうだな」
「ふだん白米だし、パンもかも好きかも??」
「パンは、よく食べてるぞ」
 楸は、知らなかったので、少しいがいだった。
「なら本当に色々たべるのかい??」
「だと思う」
 しかしまだまだ、分からないことも多い。
「とりあえずつららが欲しがりものもあげてみるか」
「近道かもね好みを探す」
「だな」
 まだまだつららの好きなもの探しは、続きそうだ。
 光と楸は、微笑むと、和室に居るつららをみる。
 白野威の周りをうろちょろするつらら。可愛いなと思いつつ優しい笑みを浮かべるのであった。
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