光明ノ神子2

 夢を見た。
「はぁ……」
 朝起きていきなり盛大なため息を着いた。
「友美どうしたの??」
 隣で眠そうな顔をし、心配してくれている光に、友美は、何かいいたげな顔に。
「光ちょっと中のやつ血祭りにしていい??」
 光は、顔をひきつる。
「何があったんだ!?」
「ラーがなぜ私に対して腰が低いのか夢で見たのよ……」
 友美もあまりにも腰が低いので、たぶん夢珠が何かしたんだと思っていたが、真実は、少し違った。
「まさか……煌がやらかしていたと??」
「というより、バステトが夢珠にいたずらをしかけて、それにキレた煌と瑜瓊が、バステトを締め上げ、ついでに、夢珠もすこーしお仕置きしたら、それがラーが恐れることだったみたいで……」
 友美は、頭を抱える。
「なんで、こう、過激なの!?」
「それが日ノ本の神々だからなぁ……」
 そう。日本の神は、世界の神々の中でもそうとう血の気が多い。
「まぁドゥルガやカーリーに比べたら……」
「友美その二柱というか、一柱というか……は、殲滅と殺戮の化身というか……だから……」
 しかし日本の神は、違う。
「日本の神は、場合によって一柱でだからなぁ……それも側面というより……そのままでというか……」
 なので、煌と瑜瓊がエジプトにて、大暴れしたのも少しは、納得できるところもある。
「アハハ……」
 ラーからすればたまったもんじゃないだろう。
「はぁ……疲れた」
 友美は、溜め息を着くと、そのまま布団にもぐる。
「光寝るから……」
「分かったよ」
 しばらくしてすぐに友美の寝息が聞こえてきた。  
 光は、力があるというのもやはりなかなか困ったものだなとも思う。
 制御出来てるといえど望めばこうして見えてしまうのだから。
「日本の神は、基本きっちり業や罪を認め、感謝している者には、喜んでる力を惜しみなく貸すが……罪をおかし、恩を仇で返すやつには……容赦ないからなぁ……」
 友美の布団の隅で丸くなり、寝ている白野威を見て光は、白野威は、ある意味典型的だなと思っていた。
 この太陽神がこうして友美のそばにいるのも友美がきっちりしているからであり、白野威も認めているからともいえる。
「俺もとりあえずは、きっちり出来てるみたいだし……ひと安心かな……」
 なんせ水郷は、手助けは、してくれるが、何か取りに来るということは、しないからだ。
「……俺も寝よ」
 友美の盛大なため息で光は、目を覚ましてしまった。
 再び布団にもぐると、光もすぐに眠りに。
 気付けば、水の宮殿にいた。
 ここは、光の深層心理の中であり、そして、彼のいる場所でもある。
 朱色の柱がなら回廊を歩き、ある部屋の障子を光は、開けた。
「なんだ」
 和室で呑気にくつろぐ、煌に、光は、呆れ顔に。
「友美が懐かしい記憶を見たようだからな」
「でなんで、友美じゃなくて俺の方なんだ!?」
 煌は、困り顔になり、両手の人差し指を合わせ、くるくる回す。
「……単純に怖い」
 天下の造化三柱の一柱からまさかこんな発言が出るとは、光は、驚きのあまり、開いた口が塞がらない。
「怖いってな!?」
「だって友美に半殺しにされそうだもん!!」
「だもん!?」
 とうとう座布団を頭に被り、ブルブル震えていた。
 高皇産霊神がこんか反応とは。光は、思う。たぶん煌の方が怖いぞと。
「……高皇産霊神ってこんなになんというか……ダサかったか!?」
「イエーイ!!」
「じゃないだろ!?」
 なんだろうか、思金神と似た空気感をここにきて、一番感じる。
「造化三柱たる高皇産霊神がこれってな!?」
「俺だって怖いものは、ある!!」
 座布団を被りながら、いわれても説得力は、ない。
「夢珠は、優しいが、友美は、恐ろしい。あの、蔑まされた目が!!」
 光もよく知るあの目かと少しだけ顔を青ざめた。
「確かに……」
「暗殺者の目かもしれん」
 確かにとても冷たい目をしているが。
「さすがに酷くないか!?」
「光は、言わぬが吉だぞ!?」
 言えるわけがない。言えば最後そうですかの一言でポイってされてしまう。
 友美は、一人で生きていけるが、自分は、そうは、いかない。
「親権も友美に渡るだろうし、面会もさせてもらえるか……」
「そこまで最低ではなかろう……」
「そもそもこんな話をしだしたのは、煌じゃないか!!」
「確かに」
 けろっとした感じで言われ、光は、唖然としてしまった。
 本当にマイペースだなと思いつつ。
「それで、エジプトで大暴れしたってアレ本当か?? 俺の記憶には、ないが、……」
 光も一応前世の記憶がある。しかしソーマのようにハッキリしてるわけでは、ない。
 目の前の神が管理している。そして共有された記憶があるという感じだ。
 光の問いに、煌は、笑顔のまま固まった。
「あるんだな」
 この反応からして分かる。とても分かりやすい。
 額から汗を流している煌は、光の視線が痛いと思っていた。
「その……」
「友美が殴るといってたぞ。おとなしく殴られろ」
「いやー!!!!」
 煌は、そう叫び立ち上がると、なんとそのまま逃走した。
 捕まえようとしたが、目の前をすごい速度で、走り去られ、光は、なにも出来なかった。
「……逃げ足は、速い」
 しかし何をしたのだろうか。
「都合よく瑜瓊がいるわけないしな……」
 ユニならすぐに会えるだろうが、自分は、そういうわけにもいかない。ということで。
「夢珠教えてくれないか??」
 そのまま夢珠がいる友美の深層心理に移動した。
 目の前で茶を優雅に飲む夢珠は、少しして口を開いた。
「まぁバステトが悪いのよ。そもそも」
「バステトが……」
 夢珠は、苦笑い。
「でも、煌が逃げるなんて……友美凄いわ……」
「こんなこと言うのもなんだが、友美は、夢珠でもあるんだぞ??」
「そうだけれど、黄泉の権能を私は、使えないもの」
 どうやら伊弉諾の権能は、友美しか使えないらしい。
「天之御中主神でも流石に無理なのか……」
「出来たとしてと侵食があるかもしれないもの」
 それもまた伊弉諾が認めた相手だから友美が黄泉の権能を行使できるということなのだろう。
「ラーが友美に腰が低いのは、これも理由??」
「オリシスと同じくらいとも言えるけれど……」
「言えるけれど??」
 夢珠は、苦笑い。
「友美の場合根源もあるから……」
「死と再生どころか、そのまま葬り去るだけにも出来ると……」
「それとやっぱり煌と瑜瓊と私よねぇ……」
 夢珠は、湯飲みを茶托に置き、立ち上がると、光の所に。
 そして彼の額に手をかざすと、光の頭に映像が。 
 映像を見て、光は、顔をひきつる。
「これ悪いの煌じゃないか!?」
「バステトなんとか……死なせなくてすんだけどね……」
「ほぼ、エジプトの神々の世界が壊れてる……」
「光がやったみたいにね!!」
 確かに光は、やった。高天ヶ原で大暴れして。
 縁とは、転生しても消えることは、ない。改めて切り、変えない限り。
「同じことをやっていたなんて……」
「まぁ煌の方が規模は、大きいけれど」
 だとしてもである。
 光は、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
「……煌一度友美に怒られた方がよくないか??」
「そこは、私の役目だから譲れないわ」
「夫婦間の事と」
「そういうこと」
 夢珠は、微笑むと、そのまま部屋を出ていき、光も戻ることに。
 目を覚まし、隣を見ると、友美が何故か苦い顔をしていた。
「友美??」
「光なんか、煌が、夢珠に凄くしばかれてたんだけど……」
 光は、驚いた顔に。
「なに!?」
「なんか、見ては、いけないものを見たような。あと、光に、これでいいわね!! と伝えておいてと言われたんだけど……なにしたの??」
 光は、いう。
「なにもしてない」
 そう光は、なにもしてない。ただ、過去の出来事について聞きたかっただけ。
 しかしここまで仕事が早いとは、恐るべし。
「う~んまぁ夢珠がしばいてたし、私は、なにもしないで置くわ」
「そうしてやってくれ……」
 光は、苦笑いを浮かべそういうと、やはり日本の神は、恐ろしいなと思うのであった。
 隣であくびをしている妻を見ながら。
64/68ページ
スキ