光明ノ神子2

 トワイライト·サリヴァンは、困っていた。
「何故いらっしゃるの!?」
 薬問屋にきたが、まさか目の前には、なんと柊麗が。そうトワイライトの天敵である。
「何故って私も勇音さんに用事があるからよ」
 そしてトワイライトと柊麗を見ながら、勇音は、少し困り顔に。
「ダブルブッキングというやつかしら!? 店主さん!!」
 トワイライトは、怖い顔をし、勇音を睨むが、勇音は、淡々と。
「そもそもお店です。ダブルブッキングとか、ないですから」
 そう普通にオープンしてる店。予約やら取ってない限り、ダブルブッキングというものは、ない。
「なら何故小娘が……」
「小さくても柊麗ちゃんは、神子ですから」
「なんですって!?」
 トワイライトは、驚きのあまり、開いた口が塞がらない。
「勇音さんなんで、吸血鬼なのに驚いてるのかしら??」
「本当に。そもそも日本に吸血鬼がいることの方がビックリだと思うけど」
 トワイライトは、そこは、否定出来ないと思ったが、それより、小さい子がどんな手を使い神に認められたかの方が問題である。
「まさかあの鬼畜神子姫は、娘を贄にしたのかしら……」
 血も涙もない冷酷な神子姫様ならありえるだろうと、トワイライトは、思ったが、それを聞いていた柊麗は、あんぐりしていた。
「ママすごい言われようだわ……」
「お母さんを貶されるのは、やはり嫌ですよね??」
 勇音は、気遣うように言うが、柊麗は、あっけらかんに言う。
「全然!! ママだって怖いもの!!」
 勇音は、眩しい笑顔で言う柊麗に目が点に。
 母を貶され、ここまで笑顔なんえありえるのだろうか。
「ママが、よそさまが、どう言おうと私は、私って!! だから私の知ってるママを信じるわ!!」
 愛情をめいいっぱい注がれてるからこそたぶん柊麗は、こういえるのだろう。
「神子姫母親としては、まともなのかしら……」
 トワイライトは、信じられないと言う顔に。
「神子としてもまともです」
 勇音は、ギロッとトワイライトを睨む。
「確かにそうかも知れませんわ。でも、わたくしたちにとっては、手強く侮れないてとも言えますのよ」
 この神子には、分からないだろう。あの神子姫の恐ろしさが。
「にんにくを平然とわたくしに向けてくるのですよ!?」
 トワイライトは、必死だが、勇音は、真顔に。
「ならこれでいいですね」
 勇音は、なんと引き出しから、にんにくで作った特性の兵糧丸だった。
「いやーー!!!!!」
 トワイライトの悲鳴が店に響き、とうとう奥から燕青まで出てきた。
「なんだ?? 今のガラスの割れそうな声は!!」
「燕青!! トワイライトさんが、勇音さんを怒らせたみたい!!」
 怯えるトワイライトをみて、その後燕青は、兵糧丸を持った勇音をみて、苦笑いを浮かべる。
「神子と吸血鬼って本当に反り合わないよなぁ~」
「それは、なんとも言えませんわ!! しかし神子姫が恐ろしいことは、事実ですの!!
 こりゃ勇音が怒るのもなんと納得が。
「勇音、友美の事は、けっこう信頼してるし、こりゃ激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームにもなる!!」
「燕青なにふざけてるの」
 少し場を和まそうと言った言葉で、勇音は、余計に怖い顔に。
 しかし燕青は、慣れた様子でいう。
「一応お客さんだろ?? そこの吸血鬼さん」
「まぁそうだけど……」
 歯切れが悪そうに勇音は、いうと、燕青は、座敷から降り、雪駄をはくと、トワイライトの所に。
「であんたは、何が欲しいんだ??」
「……鉄剤だけれども……」
「鉄材か。流石に柘榴は、味は、血に似てるが、鉄分は、取れねぇもんな」
 勇音は、立ち上がると、薬箪笥から、鉄剤を取りだし、袋にいれる。
「燕青」
「ありがとうな」
 燕青は、受け取ると、そのままトワイライトに渡した。
「お代は、何時もどうりでよろしくて??」
「あぁ。値上げとかしてないしな!!」
 トワイライトは、財布から代金を取りだし、燕青に渡す。
「確かに」
「ありがとう」
 トワイライトは、その後少し沈黙したのち。
「ごめんなさい」
 と言った。  
 勇音は、少し驚く。
「わたくしにとってやはりこの国のしきたりというのは、まだ慣れないところも多くありますの。とくに神仏関係に関しては。わたくしは、まったく正反対とも言えますもの」
 トワイライトの生まれは、ヨーロッパだ。しかし時代が、時代だった為、魔女狩りや、吸血鬼狩りなどがキリシタンにより、行われていた。
「流れに流れ、ジャポンに、やって来たけれど、やはりここは、不思議な国ですわ」
「それが日ノ本です。悪しきものだからと崇め、恐れ、そして文化の一部にする。だからこそ、日ノ本は、何千年と続いている」
 勇音は、そういうと続ける。
「貴女が吸血をせず、柘榴を主食としてるのも知ったからでしょう?? 鬼子母神のことを」
 トワイライトが鬼子母神を知ったのは、ひょんな事からだった。
 その昔、子を食らう鬼が釈迦牟尼仏に、子を隠され、取り乱し、子を探しまわった。
 その後釈迦牟尼仏は、鬼に説いた。子を食われた親の気持ちを。そしてその鬼は、改心した。 
 女性と子を守ると釈迦牟尼仏に誓い。その時に釈迦牟尼仏は、その鬼にこれからは、柘榴を食べるようにと言ったそうだ。
 トワイライトは、それを知り、これならば飢えをしのげるのでは、と思い、試してみた。
「そうですけれど……まぁ運良くわたくしは、柘榴で事足りると分かり、今は、そうしているだけの事ですわ」
「だからこそ友美は、貴女に頼まれたら、柘榴を渡す。貴女が変わろうとその業を認め、動いているから」
 確かに友美は、恐ろしい。だが勇音は、知って欲しいとも思った。
 恐ろしいだけが友美じゃないと。
「私こそすみません」
 勇音も謝罪をすると、トワイライトは、少し驚いた顔に。
「わたくしも少し取り乱してしまいましたもの。おあいこですわ」
 トワイライトは、少しだけ微笑む。
「また鉄剤を貰いにきますわ。それまでには、少しばかり、神子姫に関しても、認知を改めるよう努力いたします」
「期待しませんけど」
「好きになさいな。ではありがとう」
 トワイライトは、そういうと店を後にした。
ドアベルがカランと音をたて、ドアが閉まった。
「燕青ありがとう」
「それは、いいけど珍しな」
 勇音があそこまで露骨に怒りを見せることも珍しい。 
 勇音は、シヨシヨな顔に。
「子供の前で親がバカにされているのを見るとどうも昔から……抑えられなくて……」
「勇音さん私のために??」
 柊麗は、座敷にすわる。
「そのつもりだったけど……私自身の気持ちの問題になってたかも……」
 勇音は、柊麗の頭を撫でながら、いう。
「でもまぁ分かるけど」
 燕青も、座敷に腰かける。
「だって友美の事あそこまで言われたらなぁ~」
「燕青も??」
「そう。燕青も激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームになるかも!!」
 燕青は、微笑み、柊麗にそういう。面白おかしく。
「ふふふ」
 楽しげに笑う柊麗をみて、少しだけ勇音は、胸を撫で下ろした。
「しかしそんなに酷かったの?? その魔女狩りって……」
「勇音ありゃそうとう酷いぜ??」
「確か、魔女狩りのお陰で、ヨーロッパの医療は、衰退したってパパが言ってたわ」
「えっ!?」
「そりゃキリシタンの布教の邪魔になる薬学や医療の知識がある、主に女性を魔女として、殺しまくったんだからなぁ。そりゃ、衰退するって……」
 勇音は、顔を青ざめる。
「私真っ先にターゲット!!」
「確かに……」
 燕青は、当時のヨーロッパ恐ろしいと内心肝を冷やす。
「神殺しも大罪よね??」
「異国の神の場合どうなるんだろうなぁ~」
「分からない。私あまり知らないから」
 しかしその状況からトワイライトは、必死に逃げ、今こうして生きている。
 平穏に静かに。時より、神子の気配から恐怖を感じ、過敏になっているが。
「トワイライトさんってけっこう運いいのかしら……??」
「いいから、今も生きてるのよ」
 勇音は、そう言うと続けていう。
「柊麗ちゃんお菓子食べる??」
 柊麗は、頷く。
「いただきます!!」
 勇音は、微笑むと、家の方に。
 柊麗も靴を脱ぐと、揃え、そのまま勇音の後についていく。
「吸血鬼も大変だなぁ……」
 燕青は、ボソッとそう呟くと家の方へと歩いていったのであった。
 楽しげな柊麗の声に耳を傾け、そして、
少しでもあの吸血鬼が平穏に静かに暮らせますようにとも思いながら。
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