光明ノ神子2

 空間ノ神子は、その権能から空間ノ神子と呼ばれている。
 しかし神子の中でも謎に包まれている存在でもある。
「蓮??」
 おかしい。何時もな、日向ぼっこしているはずの白銀の猫がいない。
 ユニは、腕を組み、首をかしげる。
「どこに……」
 今、沙羅も誠も居ない家のなか。末の娘もまたアリアと出かけている。
「今家には、ソーマと私だけだし……まさか、馬小屋の方??」
 ユニは、家から出ると、そのまま馬小屋の方に。
 ここは、本来神馬がいるが、今は、別の神が使っている。
「氷雪様」
 馬小屋には、何故か牛が。
「なんだユニ」
 氷雪は、ここに昼間は、いることが多い。夜は、高天ヶ原の屋敷に帰っているが。
「今は、牛の姿なんですね」
「参拝客が来ていたからな」
 氷雪は、そういうと、ドロンと割烹着姿の本来の姿に。
「絶賛お掃除の途中だったんですね……」
「まぁな」
 氷雪は、そういえと、箒を持つ。
「ありがとうございます」
「神子を手伝うのも神の役目だ」
 しかし何故ユニは、自分の訪ねてきたのだろうか。
「蓮を知りませんか??」
 氷雪は、訪ねてきた理由が分かり、スッキリするがまたもや難題をふっかけてきたと思ってしまった。
「アイツなら今頃本殿で昼寝してるだろ??」
「ありがとうございます。一度見てきてみます」 
「あぁ」
 ユニは、氷雪と分かれると、そのまま本殿の方に。
「蓮!!」
 呼びかけてみてもユニの声が響くのみ。
 静かな本殿にユニは、首をかしげる。
「まさか中に??」
 ユニは、靴を脱ぐと、そのまま本殿に。
 階段を上り、扉を開けるが、蓮は、居なさそうだ。
「ユニどうした??」
「八咫烏様」
 ユニは、祭事などをする場所から木々が植えられ、その真ん中にたつ尊厳な社の屋根に居る八咫烏に気付く。
 寒猫神社の祭神は、八咫烏と初代天照と造化三柱だったりする。
「蓮を見てませんか??」
 八咫烏は、祭事をする室内の方に入ってくると言う。
「あの猫なら瑜瓊様と一緒だったぞ」
 ユニは、流石に驚きを隠せなかった。予想外の出来事に。
「神産巣日神と!?」
「あぁ。私よりも神格の高いお方。流石に声は、かけられなかった」
 しかし何故瑜瓊が出てきてるのか。
 ユニは、目を伏せ、自分の胸元に手を当てる。
「魂に変化は、ない……」
「そりゃ出てくることくらいあるだろう?? 天之御中主神様も普通に出てくるんだから」
「八咫烏様それは、友美だからでは??」
「神子姫だからというよりも、造化三柱だからと言うべきだと思うぞ??」
 ユニが思っているよりも造化三柱は、特別のようだ。
「そうですか」
 ならますます何故瑜瓊が出てきたのか気になる。
 まさか自分は、要らぬことをし、あの女神を怒らせたのだろうか。
「また切り捨てるとか、しないといいけれど……」
 不安そうなユニに、八咫烏は、いった。
「あのお方は、切り捨てたことを失策としている。同じ鉄は、踏まぬ」
「ですよね」
「あぁ。だから安心しろ」
 八咫烏は、そのままユニの肩に乗った。
「一先ず、案内する」
「ありがとうございます」
 八咫烏の案内で本殿から出ると、やって来たのは、山の裏手にある祠だった。
 ここは、洞窟のようになっており、かつて鬼が封印されていたところ。
 ユニは、中にはに居ると、いた。
「あら」
 瑜瓊と祠をのそばで座る蓮が。
「私は、ここまでだ」
「ありがとうございます」
 八咫烏は、そのまま飛び立つ。
「まさか貴女も来るなんて」
「瑜瓊その……」
「蓮が来たいと言ったので」
 瑜瓊の視線の先には、蓮が寂しそうに佇んでいる。
「…… 私が気付けていれば……」
 ボソッと蓮は、そういうので、瑜瓊は、呆れ顔に。
「私の分霊が何を言ってるのですか」
 瑜瓊は、蓮を抱き上げる。
「私が切り捨てた。貴女が悔やむ必要は、ない。そして今は、全て終わっている。ここは、長らく封印を成功させた場所としてこうして、祠を立ててるだけ」
 瑜瓊は、そういうと、ユニを見た。
「蓮に用では??」
「急ぎでは、ないので、その……」
 今は、やめておこうかとユニは、思った。蓮も憂いに満ちているので。
「にゃ!?」
 蓮は、いきなり、鳴くと、鼻をひくひく。
「鰹節!!」
「美味しい鰹節を貰ったから、蓮要るかなって……」
「要りまーす!!」
 蓮は、そのままユニの所に。
「では、私は、ここで」
 瑜瓊は、そういうと、消えようとするので、ユニは、慌てて彼女に声をかけた。
「一緒に食べませんか?? 鰹節……」
「鰹節ですよ??」
 本当に冷たい声色に、ユニは、少し恐怖を感じる。しかしそれでは、よくない。
 彼女は、自分でもあるのだから。
「はい。鰹節です」
 瑜瓊は、溜め息を着く。
「いいでしょう」
 自分が煌のようになれるわけがない。だが、ずっと距離を置くのも違う気がする。
 瑜瓊は、そういうと、ユニは、微笑む。
「よかった!! では、さっそく!!」
 一行は、そのまま家に帰る。
 台所には、鰹節を使ったおにぎりが。
「鰹節!!」
 蓮には、そのまま削った鰹節が用意されていた。
「蓮どうぞ」
「ユニありがとう!!」
 蓮は、さっそく鰹節を食べはじめる。
「神産巣日神の分霊という自覚は、あるのですか……??」
 呆れ顔の瑜瓊に、ユニは、いった。
「猫ですよね」
「本当に」
「私達は、おにぎりで」
 しかし神産巣日神におにぎりというのもいいのだろうかと、ユニは、少し不安になる。
 相手は、造化三柱の一柱なのだから。
「問題ありません」
「その……造化三柱の方に……」
「それは、勝手に天津神や国津神、人々が言ってるだけ」
「そうですか」
 瑜瓊は、椅子に座る。
「えぇ」
 もしかするとこれは、面白いことを聞けるかもしれない。
「あの、造化三柱の残り、二柱の事を教えてもらっても??」
「面白くないですが??」
「いいんです!! 私が聞きたいから!!」
 瑜瓊は、記憶をさがせばいいだろと、感じたが、それでは、意味がないのかとふと思う。
『自分と話すのは、面白いぞ?? 瑜瓊』
 あの馬鹿の声が聞こえ、少し不快だが、確かに一理あるかもしれない。
 せっかくだ。憂さ晴らしもしてやろう。
「煌の事なら話しましょう。けっこう馬鹿です。面白いかと」
 あの高御産巣日神を馬鹿と言えるのは、たぶん神産巣日神くらいだろう。
「馬鹿……」
「本当に馬鹿です。仕事もせずに、ほうけて、まったく」
 この感じ相当苦労させられたと見える。
「ありがとうございます」
 ユニも椅子に座る。
「あの男本当に愛に重きを置きすぎなんです」
 瑜瓊は、溜め息をつく。
「光先生をみていて、そう思います」
「まだ水郷ノ神子の方がよっぽどましです。彼は、職務放棄しませんから。煌は、します!!」
 ユニは、顔をひきつる。
「そんなに……」
「はい」
 瑜瓊は、いただきますというと、おにぎりを食べる。
「出汁がいい感じですね。気に入りました」
「それは、よかった」
 ペロッとおにぎりを食べ終え、瑜瓊は、いう。
「吹雪ノ神子を選んだあたり、私自身ですが、褒めるてつかわしますユニ」
「ありがとうございます」
「煌よりよほどいいかと」
 それは、流石に失礼では、とユニは、思いつつ苦笑い。
「瑜瓊そのさすがに酷くないですか??」
「酷くありませんよ。事実です」
 あのような高御産巣日神は、たぶん他の世界には、居ないと瑜瓊は、思う。
「こちら、何個食べていいのですか??」
 目の前の皿を見て、訊ねる瑜瓊。
 ユニは、微笑む。
「いくつでも。私は、ひとつ食べましたから」
「そこ、はっきりいいなさい。公平さは、大切ですよ」
「と言われても……」
「分かりました。とりあえず半分は、食べます」
 瑜瓊は、そういうと、もう一つおにぎりを食べた。
「凄くきっちりされている……」
 ユニは、こりゃ煌と対立するなと自分の前世を見て思う。
 その後も瑜瓊は、色々話すが、おにぎりは、次々に減っていく。
 お気にめしてなにより、そう思いながら、ユニは、話を聞くのであった瑜瓊の話を。
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