光明ノ神子2

 勇音は、緊張した面持ちで友美の家のリビング待っていた。
「勇音お待たせー!!」
 リビングのドアを開け、友美が入ってきた。手に箱をもって。
 友美は、炬燵の上に箱を置いた。
「ありがとうございます」
「それは、いいけど、何に使うの??」
 友美は、箱を開けると、中には、なんと鱗がびっしり。
「これが人魚の……」
「そうよ」
 勇音は、一枚鱗を手に取りと、光にかざす。
 キラキラと美しく光る鱗に思わず見惚れる。
「友美よくこんなに……」
「まぁ行商河童くんの頑張りよ!!」
 勇音は、それは、誰だと思ったら、視線の先に確かに河童がいた。
 テラスで荷造りする河童が。
「河童……友美もしかして……」
「そう!! 凄腕商人の行商河童くん!! 助けてから何故かうちに居候しててねー」
 河童が居候というのもなかなか珍しい。しかもこの家には、二匹の河童とアマビエまでいる。
 勇音は、まさかアマビエの鱗とも少し疑ってしまった。
「知り合いの人魚に頼んだし、それは、ちゃんと人魚の鱗よ。しかも生え変わりの要らないってやつ!!」
 へんな因縁を着いたものを友美も渡したくないので、そういうところは、きっちりしている。
「ありがとうございます。とても貴重なのに……」
「その貴重なのを準備するのも私の役目だからねぇ!!」
 それに友美の広い顔があってこそ出来ることとも言える。
 勇音は、箱を閉めると言った。
「これでなんとか……」
「それ注文されたやつ??」
「はい」
 だが勇音の顔は、どこか暗い。
「鱗で済むのなら安い……」
 友美は、奇妙そうに箱を眺める。
「まさか人魚のことに関してこれ頼んだやつ色々間違ってない!?」
 勇音は、頷く。
「相手は、若さを保てる薬と思ってるらしく……」
「はぁ??」
 友美は、訳が分からなかった。
「なわけないのに??」
「はい……」
「アホなの!?」
「たぶん」
 確かに人魚の体に秘められた神秘を知られるよりかは、ましかもしれない。
 もしかすると、相手は、知られないために、意図的に言ったのかもしれない。
「肉なら不老不死になるし、血や涙で出来た真珠は、力を強めたり、不老にする場合もあるけれど……」
「それになんとなく、ごうよくで、がめつそうな気もするんです。この注文者」
「ならあえて間違ったこと教えてそうね」
 友美は、そう言うと、気になることが。
「でもこんなに要る??」
「注文を受けたのは、一枚だけです。後は、うちの在庫に」
「だから安くして欲しいって言ってきたのね」
 注文を受けたさい勇音から、友美は、大量に頼むから少し安くして欲しいと言われたのである。
 友美からすれば別にそんなことしなくてもと思いつつとりあえず条件をのんだ。
「人魚からすれば、ゴミがお金になるんだから安くても簡単に譲ってくれるのよねー」
「こんなに綺麗なのになにもしないんですか??」
「そう!! なにもしない!! 加工とかすれば、売れると思うけど、基本人魚興味ないからそういうことに」
 友美は、そういうが勇音は、少し悲しげだ。
「八百比丘尼……彼女も関係してそうです」
 元から人魚の数は、多くない。そしてこの八百比丘尼のお陰で、人間は、人魚の肉を求めた。その時どれだけの人魚が狩られたか。
 それもあり、彼らは、基本外界と交流を持たないのだろう。
「確かに被害にあった人数は、少なくても、人魚の数も少ないしね」
「はい」
 だからこそなかなか手に入りにくいのだ。人魚の鱗は。
「でも勇音なら天津神として手に入れられそうだけど……」
「無理です。人魚は、神とも関係を持ちたがりませんし」
「閉鎖的すぎるともいえそうよね」
「はい」
 だからこそ顔の広い友美や行商河童の出番である。 
「行商河童くん??」
 窓ガラスに河童がへばり着いている。
 友美は、立ち上がり、窓を開けると、河童が律儀に足を拭き、家の中に。
「胡瓜??」
 河童は、頷くと友美は、キッチンに行く。
「貴方は、ここのペット??」
 勇音は、行商河童に聞くと、河童は、首をふる。そして懐から、メモを取り出した。
「あくまでも居候……」
「きゅい!!」
 河童の鳴き声をはじめて聞いた勇音は、少しビックリ。
「むぅ~じゃないんだ……」
 勇音さん。それは、ぼう元ホムンクルスの鳴き声である。
「勇音河童そんな鳴き声じゃない」
 友美は、胡瓜をもって戻ってくると、そのまま行商河童に胡瓜を渡した。
 河童は、頭を下げるとそのまま食べ始める。
「食べるのね……」
「河童は、胡瓜好きだからねー」
 友美は、そういうと、睡蓮ばちでのほほんとしている翠を見た。
「翠より、行商河童くんは、おっとりしてるのよねぇーだから可愛い!!」
 なにより、律儀である。
「友美ってなんでこう変なものを……ペットに……」
「私が聞きたいわよ。助けたら、そのまま居座られるの!! 河童なんて、恩返し!! って押し掛けてきたし、アマビエは、なんか勝手に住んでるし」
 まだ窓ガラスが叩かれ、友美は、開けに行くと、アマビエが律儀に足を拭き、中に。
「アマビエどうしたの??」
 アマビエの視線は、人魚の鱗に。
「鱗に興味あるの??」
 アマビエは、首を横にふる。そして小声で言った。
「私の鱗の方が使えると思う」
 なんの人魚に対抗心を燃やしていた。
「アマビエって平和的だと思ってたんですが……」
「人魚は、別。あいつら、基本性悪」
 アマビエは、そういうと勇音の所に。
「はい」
 鱗を勇音に渡すと、そのまま彼女の隣に座った。
「まぁ確かに……性格は、悪いわね」
「ありがとうございます」
 アマビエは、友美には、頷き、勇音には、微笑む。
「にしても友美アマビエ大きいですね……」
「そりゃ150cmあるから」
「計ったんですか!?」
 友美は、頷く。
「まぁね」
 そりゃ大きいはずだ。小さい成人女性くらいあるのだから。
「勇音いる??」
「遠慮しときます」
 遠慮され、友美は、アマビエをみる。
「アマビエ……小さくならない??」
「無理」
「よね」
 勇音は、うちには、鷲と鷹がいると思いながら、茶をのんだ。
「何故アマビエと河童と妖精なんだー!!」
「妖精??」
「書庫にいるスピネル」
「彼妖精だったんですか!?」
「性別不詳ですが!?」
 そんなこと知らないと勇音は、思う。
「友美まぁ人ならざるものとの繋がりが強いと言うことでしょう」
「まぁ知らぬまに、HKMに登録されてるしなぁ……」
「なんですかそれ」
 猫猫ネットワーク通称NNNなら、勇音も聞いた事がある。
 Nは、ネットワークだろうが、その前の頭文字は、何を示しているのか。
「ホムンクルス!!」
 勇音は、目が点に。
「何ていうもんに目をつけられてるんですか!?」
「私もマジそれ思うわ……助けるつもりないのにねぇ??」 
 友美は溜め息を着くが、これも致し方ないのとなのだろう。
「まぁこの世界にホムンクルス居ないしいいんだけどね!?」
「パラケルススですよね」
「そう」
 確かに彼が造ったもの以外に存在していないはず。
「きゅい」
 行商河童は、友美のほうを見て鳴く。
「凄い!! って!! ありがとう!!」
「友美分かるんですか!? 河童の言葉」
「まぁなんとなくね」
 河童は、頷く。
 これもまた以心伝心なのかもしれない。
「本当に不思議……」
 勇音は、河童とアマビエを見ながら、こうして、人ならざる者に好かれる友美は、凄いなとも思った。
「私は、とくに好かれないからなぁ……」 
 しかし好かれない方がいいこともある。
「勇音神だもん!!」
「それ言うのなら友美もですからね!?」
「ノーコメント」
 友美と勇音は、そういいながら、微笑み、アマビエと行商河童もどこか楽しげな雰囲気を出していた。
「友美改めてありがとうございます」
「いえいえ。力に慣れてなにより!!」
「また何かあったら頼みます」
「オッケー!!」
 友美と勇音は、微笑み合うと、お茶をのみまた楽しく話をするのであった。
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