光明ノ神子2

 珊瑚は、もっぱら酒飲みである。
「友美、おすすめのクラフトジャパニーズウィスキーある??」
 遊びに来ていた珊瑚にそんなことを聞かれた友美は、驚いた。
「まぁ夜だしその話題は、いいか……」
 本日子供達は、友美の実家にお泊まり。せっかくだし、夫婦で飲むかと話していた時、珊瑚から連絡が来た。
 光と相談し、なら珊瑚も誘おうと本日友美の家で三人で飲むことになったのだ。
「よし」
 小さくガッツポーズをする珊瑚に友美は、可愛いなと思う。
「おつまみ出来たぞ」
 キッチンから光は、美味しそうなブリ大根と、アヒージョを持ってリビングに。
 炬燵の上に光は、鍋と皿を置く。
「光鍋ごと……」
「珊瑚別にいいだろ?? それに皿に盛り付けたところで、珊瑚気にしないだろ??」
 珊瑚は、じっと鍋をみていう。
「まぁ……うん」
 しかし珊瑚は、思う。せめて客が来てる時は、皿にこだわっては、と。
「光手抜きしてる……」
 友美の言葉に、珊瑚は、驚いた。
「友美どういうこと??」
「何時もなら、皿にもってるわよ」
 珊瑚は、何かいいたげに光を見る。
「友美もよく食べるし、皿にもるより、鍋から好きなだけ小皿にのせた方がいいかなと思ったんだよ」
「なるほど」
 確かに友美は、本当によく食べる。ならこの選択もアリなのだろう。
 光は、小皿も炬燵の上に並べるも、座布団の上に座る。
 そして三人は、手を合わせ、いただきますというと、さっそく酒をのみ始めた。
「う~ん美味しい~」
 日本酒を飲む友美の隣で、光は、静かに、ソルティードッグを飲んでいた。
「珊瑚は、ウィスキーでよかったんだよな??」
「うん光ありがとう」
 珊瑚は、ハイボールを飲みながら、頷く。
「これ……少し違う……」
「それは、九州の酒蔵が作ったウィスキーだ」
「へぇーまた珍しいところ」
「日本酒の酒蔵が数年前から始めたらしいぞ」
「流行りだもんねジャパニーズウィスキー」
 珊瑚は、ハイボールを飲みそしていう。
「なかなか癖がある……ありだね」
「珊瑚癖あるの好きだよね??」
 友美は、そういうと、珊瑚は、頷く。
「複雑な味わいの中にあるものを一つ一つ味わうのが好きだから」
 友美と光は、この時珊瑚を尊敬の眼差しでみる。
「二人も、いける口でしょう??」
「ウィスキーは、飲めるけど、癖あるのは私ちょっと」
「俺もだ」
「意外」
 なんでもいけると思っていた。だが案外そうでもないらしい。
「光そういえばなんで、ジャパニーズウィスキーこんなに人気なの??」
 友美は、気になり、とりあえず光に聞く。
「確かに海外でブランドとして評価されたかとは、聞くが……」
 光も詳しくしらないようだ。
 珊瑚は、グラスを炬燵の上に置き、ブリ大根を、鍋から小皿に移してそして食べていった。
「そもそもスコットランドで造ったものと色々違うから」
「というと??」
 友美は、更に問いかける。
 本当に好奇心旺盛だなと珊瑚は、友美を見ながら、話をした。
「スコットランドのウィスキーは、ピート香って呼ばれる独特のスモーキーさがあるわけ」
「確か大麦をピートで乾燥させるんだっけ??」
 ピートとは、植物が地中で炭化した物の事であり、これを、ウィスキー作りでは、使用する重要なものだ。
「そう。そしてこのピートを使うことで、スコットランドウィスキー独特のスモーキーだけど、複雑で奥深い味と香りになるわけ」
「でも日本だとピートを使うことがあってもそこまで、香りは、きつくないよな??」
 珊瑚は、頷く。
「そもそもスコットランドウィスキーは、日本人には、あまり好かれないタイプなんだよね」
「確か香りが強いのと癖があるからだっけ??」
「友美そう」
 珊瑚としては、別に気にしないが、多くの日本人は、そうらしい。
「ちなみにそこが、ジャパニーズウィスキーが人気なりゆう」
 友美は、驚くが光は、頷いていた。
「日本人の丁寧で繊細か技術がウィスキーの味にもいかされてるらしい」
「なるほど」
 友美は、繊細な味といわれ思い付いたのが。
「懐石料理か!!」
 光と珊瑚は、意味が分からず困惑。
「友美なんで??」
「光味が薄い!!」
「まぁ懐石料理は、ぱっとしない味もあると思うけど……」
 珊瑚は、そういうと思う。それ、酒と比べるもの間違ってないかと。
「友美せめて、酒で例えて!? 懐石料理は、理解が追い付かない!!」
 光が突っ込みをいれてくれたのでそこは、感謝である。
「繊細といえばね??」
「まぁ確かに」
 珊瑚は、少し納得してしまった。
「でも繊細な味わいねぇー」
 友美は、そういえばとあることを思い出した。
「樽で味わいが変わるんだよね!!」
「そう」
 珊瑚は、ハイボールを飲み干す。
「光他のウィスキーあるなら飲みたい」
「……分かったよ」
 光は、そういうと、キッチンにいき、ウィスキーの瓶をもって戻ってきた。
「お手頃なやつ……」
「そりゃそうだ」
 珊瑚は、ここだと高いのが飲めると期待していたが、そうもいかないなと光が持ってきたウィスキーをコップにつき、炭酸水で割った。
「光策士……」
「よく飲むのは、誰だ??」 
 友美は、確かに飲むがウィスキーやブランデーといった高いものは、そこまで飲まない。なので家計も逼迫は、しないが珊瑚は、別。
「ケチ」
 珊瑚は、そういうと、ハイボールを飲む。
「ウィスキーって樽や水、熟成のしかたや年数、材料でも違い出てくるから面白い」
 友美は、そういうと、珊瑚も頷いていた。
「だね。で、ジャパニーズウィスキーは、ミズナラの樽が使われることも多いから、穏やかな香りとバニラやハチミツみたいな甘い香りに、複雑な味わいがするから人気ってわけ」
「まぁ世界的な賞も取ってるからなぁあと」
 光は、ソルティードッグを飲みながら、いった。
「まぁそれは、分かったけど、最近高すぎよ!! ウィスキー!!」
 友美は、そういうと、光の方をみるが光は、微笑むのみ。
「諦めます」
「そうして」
 友美と光夫婦の会話からして、これは、高いウィスキーが絶対にあると珊瑚は、確信した。
「光」
「珊瑚ダメだ」
「チッ」
 露骨に舌打ちしやがったと光は、少しいらっとした。
「珊瑚酔っぱらうと露骨に感情でるよね」
「酔う時くらいいいでしょう」
「まぁそうだけど」
 素面の時が全く、感情がよめないので、ギャップがあるのだ。
 些細なことだが。
「ウィスキーの値上がりは、若者にも人気だから。ハイボールブーム」
「大量にいっきに、量産も出来ないからな。ウィスキー」
「確かに」
 珊瑚は、ハイボールを飲みながら、頷くが、友美は、気付いた。
「珊瑚さっきからハイボールばっかり!! 体の事考えたら、おつまみも食べて!!」
「飲みたい」
 さすがに以前は、ここまででは、なかったので、友美は、違和感を感じる。
「もしかして、勇音と飲む頻度減ってる??」
「まぁね。ようやくくっついたんだし、今は、そっち優先と思って」
 珊瑚と勇音は、仲の良い友人で、以前は、よく飲んでいた。
 だがようやく恋を結ばせたのだ。珊瑚は、気をつかい誘ってないらしい。
「珊瑚」
「なに光」
「勇音なら誘ってもいいと思うぞ。それにたぶん待ってる」
 珊瑚の手が止まり、突然スマホを取り出すのどこかにメールした。そしてしばらくして。
「よっ!! 光先生!!」
「なんでこうなるんだ!?」
 光の家に燕青と勇音が。 
 玄関で、光は、頭を抱えるなか、リビングで、友美は、大笑い。
「友美が笑い転げてますね……」
「珊瑚!!」
 光は、珊瑚を忌々しそうに睨むが、珊瑚は、どこ吹く風。
「勇音、燕青ブリ大根ある」
「じゃ光先生お邪魔します!!」
「光先生酒持ってきたぜ!!」
「はぁ……助かる」
 勇音と燕青は中に上がると、手を洗いリビングに。
「増えた……」
 リビングに戻ってきた光は、そう呟くと、そのままキッチンに。
「光私も手伝う!!」
「友美ありがとう」
 光は、キッチンにきた友美を見て、溜め息をついた。
「光お疲れ様」
「いいよ。にしても……」
 どことなく珊瑚の表情が柔らかくなったような。
 光と友美は、キッチンから、珊瑚達の様子を見て、微笑む。
「じゃ飲むか」
「だね!!」
 軽いおつまみを作ると、友美と光は、リビングにいき、また珊瑚、勇音、燕青達と酒をのみかわし始める。
 こういう時もまた楽しいもの。この日は、夜遅くまで楽しい宴は、続いたのであった。
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