光明ノ神子2

 光は、困っていた。
「兄上ここ分かる??」
「あのなぁ……」
 目の前には、妹が。
「なに??」
 制服姿の妹に、光は、言う。呆れた顔をして。
「なんで、うちで、テスト勉強してるんだ!!」
 そう突然学校帰りに刻清が、やって来て、テスト勉強を始めたのだ。
「だって本当に分からないところなんだもの」
 そして今やっているのは、英語だ。
「日本語は、出来るのに、英語が無理って……祖国の言語だと英語の方が覚えやすいだろ!?」
 光は、感覚的にそう感じていたので、刻清に聞くが、刻清は、その言葉を聞いて、納得がいかなった。
「兄上それは、違うから!!」
「えっ!?」
 光は、驚く。
「そもそも兄上と私だと魂から違うのよ!?」
 光は、刻清の言葉が意味不明で、眉を潜めた。
「はぁ??」
「だから兄上は、この世界の魂でしょう!?」
「まぁそうだが……」
「私は、違う!! だから英語は、とても覚えにくいの!! 日本語は、漢字があちらの言葉に似てるし、作られた生い立ちなんか分かれば、平形も片仮名もなんとかなるけど……」
 光は、普通それでなんとかならないと思っていた。
 やはり刻清は、頭がいい。改めて一族の血筋を感じさせられた。
「うちの実家頭いいんだな……」
「アレだけ毎年官吏排出してるからね。それに外国に、遊学する者も出してるしそれだけ元から頭がいいみたい……」
 と刻清も話すなか、ハッとする。
「話をそらさないで兄上!!」
「そらしてないんだな……」
 本当にこの、妹は、口が減らないなと光は、思いながら、誰に似たのかと考えていた。
 あの人間らしからぬ母では、ない。ならば、父だろうか。
 しかし父は、ここまで口五月蝿くもない。
「もう!! 祖母上ならここで、ビシッと言われるわよ!! そこは、話をそらすネタを与えた方が悪い!! って……」
 光は、ポカーンとする。
「兄上なんで間抜けな顔を……」
「祖母なんて居たのか!?」
 刻清は、兄の言葉に、間抜けな顔に。そしてみるみるうちに顔を青ざめ、ひきつらせた。
「兄上知らない……??」
「そもそも異能を一番に考えるあの一族で異能をほぼ、持たない俺が相手されると思うか??」
「因みに、祖母上は、母上の方よ??」
「なら尚更だろ。俺は、あの一族では、無能って切り捨てられてたんだからな」
 一応当主の一人息子として最低限の生活は、保証されていたが、それでも一族の者からは、冷たい視線を感じることも多々あった。
「兄上……」
「まぁ俺には、関係ない話だが」
 そう光には、関係ない。何故なら、もう婿養子に入っているからだ。
「兄上嫁いでるものね……」
「そういうことだ」
 それでも自分や蛍雪の事は、気にかけてくれているいい兄とも光は、いえる。
「父上の事はその……」
「感謝は、してるが、なんとも思ってない。会いたいとも思わない」
「父上は、寂しそうよ??」
「そんなもん知らん」
 因み光は、あまり父親が好きでは、ない。
「それに寂しそうにするくらいなら、何故、俺が子供の頃、もっと手を差しのべなかった?? 婿だから肩身が狭いというのは、言い訳だろ??」
 刻清は、この時光の目がまったく笑っていないこと、なんならとても冷たい事に気付いてしまった。
「兄上……」
「刻清俺にとっては、母さんの方が俺を見てくれていたと思う」
 まさかの事実に刻清は、驚いた。
「えっ!?」
「あんな母だが、間違いなくな」
 多忙だが帰ってきた時は、不器用なりに、話をする時間は、とってくれ、何があったか無邪気な息子に、耳を傾けては、くれていた。
「母上が……」
「刻清この世は、因果応報だ。親父は、自ら望みそうなった。己の業や罪を認め、悪縁を切り、変われたのに」
 光は、静かにそういうお、微笑んだ。
「とりあえずこの話は、終わり!! それよりもテスト大丈夫なのか??」
「そうだったわ!!」
 刻清は、アセアセと、また勉強をし始め、光に質問し、光がヒントをだし、解いていく。
 その光景を見ていた友美は、溜め息こぼした。
「水郷、光と彼の父親ってなか悪くも良くもない感じよね??」
 肩にいる水郷に友美は、話しかけると、彼女は、頷く。
「一応はね!! まぁあの一族でなんとか、無能で父親が生きていくのに、奮闘してたし、光を普通の人にって奮闘してたけど、光からすればそれは、あまり見えてなかったし」
 あくまでも小さい息子を自立させるために、適切な距離を保ち、接していたようだが、それが裏目に出たようだ。
「うちの父よりましよ。まし」
「本人居るまで言わないで!?」 
 友美は、思金神をじっと見る。
「まぁうちの父より色々暴走は、してないか!!」
「イエーイ」
 とりあえずノリは、いい。ノリは。
「思金神様星形のサングラスつけます?? あとマラボーつけます??」
「マラカスと笛も持たせる??」
「水郷、友美それほぼ、サンバだ!! サンバ!!」
 しかしそれを準備しだす思金神も思金神である。
「冷静沈着の知恵の神って実は、ノリが凄くいい楽しい神なのよね……」
 友美は、アフロがないといってる思金神をみて、呟いた。
「ちょっとそこ!!」
 ドアが開き、友美達は、ヤバいという顔に。
「光その……」
「思金神殿なんで、マラボーとマラカスを……」
 思金神は、何故自分からと思いつついった。
「楽しいかなぁ~と。ほら、サンバ!! みたいだろ??」
「サンバねぇ……」
 次に光は、友美と水郷を見る。
「えーとー……」
「光やっぱり実家に帰った方が!!」
 光は、水郷に言う。
「帰らない!!」
 ドンッと閉められたドアに友美は、唖然。
「友美サングラスいる??」
「お父さんありがとう……」
 思金神なかなか図太いかもしれない。しかし今は、救いだ。
「兄上……」
「なんとなく父さんから見てきてくれと言われたんだろ??」
 刻清は、視線をそらした。
 光は、横目で妹を見ると、そのまま和室に。しばらくして戻ってくると、刻清に文を渡した。
「兄上……」
「あの一族は、養子に出したものは、二度と、門を跨がせないのがしきたりだ」
 刻清も知らなかったのか驚いた顔に。
「異能の血を残し、力を強めるため、霊が見える程度なら、頭のいい子供は、養子にだす。それがあの家のしきたりだ」
 だが、光は、一人息子だった為、だされることは、なかった。自ら飛び出すまでは。
「落ちこぼれは……」
「同じく養子にだされるだろうな。で、その養子は、一族と関係ないものとみなされる。迫害されないために」
「異能が外では、迫害の対象だから……」
「そうだ。だから刻清俺は、帰らない。代わりにこれを渡してくれ」
 帰りたいとも思わないし、そもそも帰れないともいえる。
 刻清は、兄の優しい微笑みを見ながら、思った。これもまた兄が今出来る父への誠意なのだろうと。
「分かったわ兄上」
 刻清は、文を受け取ると、鞄にしまった。
「でもそんなしきたり母上なら壊しそう」
「理にかなってないものなら、そうしたかもな」
「理にかなってるの??」
「かなってると俺は、思う」
 たぶん兄だからこんなことをいえるのだろうと刻清は、思った。
 光は、強い。本当に強い。精神もそして術の精度も力もなにもかも。
 一族で当主になれるほどに。
「兄上が戻ってきたら、変わるかもしれないのに……」
「神の力をあの一族に与えるわけには、いかない」
 光は、冷たい目をしていう。
「神の力って??」
「秘密」
 たぶん友美ならば、光のいっていた理由が分かるのだろう。
「それより、テスト勉強いいのか??」
 刻清は、だらだらと汗をかく。
「やります……」
「よろしい」
 この兄なかなか抜け目がない。 
 刻清は、一生懸命勉強するなか、光は、優しく微笑んでいた。
「友美アフロあった!!」
 ドアの隙間から様子を見ていた友美は、ほっとした顔になるが、それよりも、こちらをどうすべきか。
「お父さんなんで、鞄の中にそれだけあるの……」
「神だから!!」
「神の力何て言うことに使ってるのよ!!」
 思金神は、突っ込んでくれて、嬉しそうだ。
「迅雷に見えて来た……」
 水郷は、身震いしているが、友美は、既視感の謎が解けスッキリした顔に。
「おじいちゃんなにしてんの……」
「榎麟!! おじいちゃんとサンバ踊らない??」
「なんでやー!!!!」
 帰ってきた孫にまで突っ込まれ、思金神は、幸せそうだ。
「兄上いいの??」
「入れていいのならいれるが、勉強どころじゃないぞ?? たぶんけっこうずかずかいわれると思うが」
「ならいいです……」
 友美は、なかを見ながら、苦笑い。 
 間違いなく思金神のサングラスの置くが光るだろう。なにより、なかなか手厳しい。
「お母さんおじいちゃん借りるで!?」
「分かったわ榎麟」 
 榎麟に連れられ思金神は、書庫に。
 友美は、微笑むと、リビングをみて、ほっとした顔をするのであった。
 普通じゃないかもしれないが、間違いなく光と、刻清は、仲のいい兄妹なのだ。そう思えたから。
「水郷あれも家族の形かしら」
「かもしれないわ」
 友美と水郷は、微笑みあうと、光と、刻清を見守るのであった。
 

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