光明ノ神子2

 彼岸花が爽やかな風に揺れ、空の色も秋の空に変わる頃になった。
 友美は、窓を開け、網戸にし、爽やかな風を感じながら、リビングで仕事をしていた。 
「よし」
 データを送信し、友美は、のびをすると立ちたがる。
「友美どうしたのさ」
 寝ていた白野威は、顔を上げ友美に聞く。
「珈琲いれようかなぁーって白野威いる??」
「いる!!」
 友美は、微笑むと、珈琲をいれに、キッチンに。
 しばらくしていい珈琲の香りがしてきた。
「そうだ!! アレアレ!!」
 白野威は、そういうと、立ち上がり、リビングから和室に。
 友美は、微笑むと、コップを二つ持ち、リビングに。
 炬燵のうえに、珈琲を置いた。
「友美これ食べよー」
 白野威が持ってきたのは、紙袋。
 白野威は、紙袋を床に置くと、ごそごそ、出したのは、美味しそうなマドレーヌだった。
「マドレーヌ!!」
「人気のカフェのマドレーヌさ!!」
 人気なカフェとは、何処だろうか。
「何処だろう……」
「駅の近くのさ」
「駅の近くってけっこうあるわよ??」
 友美は、更にしぼれないかと考える。
「若手のパティシエが集まってそれぞれケーキのメニュー開発してつくってるところ!!」
 友美は、ポンッと左手のうえに、右手を乗せる。
「あっ!! あの高いところ!!」
 そんなところのマドレーヌが出てくるとは、自分も食べていいのかと疑問が。
「友美なにさ」
 何かいいたげな友美をみて、白野威は、聞く。
「そのー食べていいの??」
「いいから出してきてるのさ!!」
 友美は、ホットひと安心。
「ありがとう!!」
 友美が嬉しそうなので、白野威も嬉しそうに尻尾をふる。
 仲良く座布団に座り、珈琲とマドレーヌを友美と白野威は、堪能した。
「美味しい~」
「1個300円」
「マジか」
 でもならこの味も納得がいく。むしろ不味かったら、詐偽だ。
「こだわってるから高いのかなぁー」
「店も高い立地のところだしね??」
「確かに!!」
 光もこのマドレーヌが好きそうだ。
「今度いこうかなぁ……」
「私もいく!!」
「本来の姿になってね??」
「分かってるつうのー」
 本当に分かっているのかと友美は、疑いの眼差しを向けた。
「神に、二言なし!!」
「ならいいけど」
 まさか普通の人から見えないようにして、そのままケーキだけが宙を浮くなんてこと起こらないといいが。
 友美は、そう思いつつ珈琲を飲む。
 白野威と色々その後話をするなか、ふと、友美は、気になることが。
「白野威」
「なにさ」
「私には、その守護とかついてるの??」
 なんとなく気になっていたので友美は、聞いてみた。
「私」
 友美は、きょとんとする。
「そのー眷属関連とかで……」
「だから私さ」
 友美は、目が点に。
「えっ!?」
「なにさ!! そういうことだろ!? 友美がしりたいのは、 神の使いや眷属に守られてるやからがいるから、私は、どうなの?? って知りたいんだよね!?」
 友美は、素直に頷く。
「私だと不服か!?」
「不服なわけないわ!! ちょっと驚いたの!!」
 まさか目の前の太陽神がみずから言うとは、思わなかったからだ。
「神に、愛されし人とかそういうの聞くけど……私は、それってこと……か……」
「友美が愛され?? 友美は、努力型で、認めさせた方さ」
「えっ!?」
 友美は、更に驚く。
「スタートを考えてみな?? 私を転生させるために生まれた使い捨ての駒だったのが、今や皆が知ってる神子姫さ。それだけでおおよそ分かるよね??」
「まぁうん……」
「それに愛されてるだけで遣いになれるわけないつうの!! ましてや神子なんて!!」
 確かに神子は、遣いや眷属の中でも特殊か立ち位置になる。
 神から選ばれ、信頼されるだけでなれるわけでもなく。
 遣いとして働き、徳を積んでなれるものでもない。
「神子は、神との信頼、絆、己の本質や業、力の使い方なんか色々加味してようやく神子になれるからねぇ」
 なので、神でも神子として選ばれているものは、いる。
 モアと勇音がそれだ。
「モアと勇音の場合は、自分よりも高位の存在の遣いも兼任してるから神子になれるのよね」
「そうそう。まぁツクヨミとルナなら、どっちもどっちだろうけどさ。なんせ古いから」
「勇音の場合は、華澄が天之狭霧神だもんね……」
 勇音も天津神だが神格そして歳も華澄の方が上であるため、神子になっているようだ。
「それこそ、だから神子にまでなれたのさ。神子とは、人の次元だと女性神主のことを昔は、指してたが、神からすれば神の子と己れが思てるほどのやつに、その位を任せたいのさ」
 白野威もそう。だから改めて申し込んだ。高校入学前の友美に、自分の神子にならないかと。
「そうなると認められて愛されてるからこその神子か~」
 友美は、染々という。
「なにさ。友美は、私以外の守護が欲しいわけ!?」
「要らないわよ!! そもそもそういうこと頼んだら、後々面倒だし、神ってそれでも激しいのに!! 仏の方が本当に優しいわよ!!」
 ちなみに白野威は、そこまで激しくは、ない。けっこう友美の都合も考えている。
「そりゃ仏に近い神は、少いからね」
「まさか三次元とかの神?? とか言うやつ??」
 たまたま友美も聞いた話で、なんだそれは、という感じだ。
「なにそれ??」
「神がこの反応って……」
 白野威は、どうせそれを決めたのは、人だろうと思っていた。
「別天津神と天津神とナカツクニの神かそんな違いの事じゃね??」
「たぶん??」
 さすがにこれは、ここで話していても解決しなさそうだ。
「また友美も変なこと聞いてきたなぁ~」
「たまたま買い物してたら、モールのベンチで座って話してる二人組がいただけよ」
 興味本気で少し立ち聞きしていたが、話している方は、楽しそうだったが、聞いてる方は、気をきかせ、とりあえず頷いているように見えた。
「あーあの」
「そうそう」
 友美は、珈琲を飲む。
「方一ほうは、後ろに仏関連の気配がしたね」
「もしかして、両肩に乗ってる?? 具生神の事??」
「それもそうだが、アレは、鬼子母神関係もあったよ」
「鬼子母神とその子達か……」
 ならいいのでは、と思いつつ友美は、更に思う。よく話をずっと聞いてたなと。
「私なら無理だわ……」
「といいつつ聞いてるじゃん」
 友美は、そんなわけあるかとも思ったが案外自分は、話してる人の前では、とりあえず話させとけと面倒で、放置しているのかとも思った。
 適当に相槌は、うつが。
「友美基本面倒くさがりだよなぁー」
「基本そういうもんよ」
 友美は、珈琲をのみ終えると立ち上がる。
「とりあえず片付けて続きやるか~」 
 そのままキッチンにいく友美を白野威は、見送る。
「友美も変なことを聞いてくるなぁ……」
 まさか何か憑いてるかと白野威は、じっくり見たが、得に変かは、ない。
「本当にただ、気になっただけか……」
 しかしまた変なもんに興味を示すものだ。
「……チッ」
 と思ったら違うかもしれない。
 とりあえず今は、そっとしておいた方がいいかもしれない。
「知るか!!」
 とまでキッチンで言っているので。
「妬み??」
 かとも白野威は、思った。
「あかん腹立ってきた」
 友美は、そういうと、リビングに。
「白野威ー!!!」
 と白野威を抱き締める。
「もふもふー」
 このもふもふが癒しであり、今は、とてもいい。
 もふもふしてくる友美にこれで気が済むなら安いかと白野威は、思う。
「はぁ……人間とは、愚かなのである」
 という友美に、白野威は、まだ充電が必要だなと感じた。
 友美は、自分は、幸せだなと思いつつ思う。
「やっぱり面倒な話しは、すぐに切るかとんずらね」
 なにやら、気付きもあったようだ。あの話から。
「友美よかったじゃん」
「ありがとう白野威付き合ってくれて!!」
 友美と白野威は、微笑み合うと、またぎゅっとした。
 やはり自分達は、こういう関係なんだと、友美と白野威は、思いつつ楽しげに笑うのであった。

 
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