光明ノ神子2

 友美は、すこし困っていた。
「う~ん」
 目の前には、栗が。
「友美その栗……」
「お父さんいる??」
 本日思金神が家に来ていた。友美は、彼なら栗を消費できるかと思い、聞いた。
「栗……」
「白野威が取ってきたのよ!! こんなに!!」
 じっと思金神は、栗を見ているが、なぜそこまで栗に熱い視線を向けるのだろうか。
「お父さん??」
「友美この栗は、寒猫神社のかい??」
「たぶん」
 思金神は、じっと栗を見て言う。
「売れる」
「えっ!? 売る!?」
 友美は、驚く。
「栗なんて高天ヶ原にもあるでしょう!?」
 友美は、思わず聞くと、思金神は、言った。
「そりゃあるけれど、冬の神である氷雪の作る農作物は、珍品!! それに美味しいからと人気なんだ」
 友美は、しばらくポカーンとしてしまった。
「え??」
「その反応意外だよ」
「だって氷雪の作った野菜やらがでしょう??」
「そう」
「よくもらうけれど……」
 そう。友美は、よくもらう。
「友美は、そうだね……でも高天ヶ原の神々は、そうじゃないから」
 友美は、意外な事実にこの時驚いていた。
「ならソーマが投げまくってる竹の子なんて、凄い価値じゃない!!」
「たぶん拾って売るだけでそうとう儲かる」
「ある意味勿体ないことしてる!?」
「間違いなく」
 友美は、信じられないという顔に。
「なら寒猫神社にだれか買い付けにいけば……」
「そんなこと出来る神なんていない。みんな腑抜け保身に走るから」
 その理由は、友美よく分かる。なんせあそこには、恐ろしい神がいる。
「……神産巣日神か」
「そう」
 思金神ですら、すこし恐ろしいと思う神
 、神産巣日神。造化三柱の中でも露骨にその恐ろしさが分かる神ともいえる。
「父上、母上は、あまり恐ろしい一面を表に出してないから……」
 確かに友美にもこれには、心あたりがあった。
「夢珠は、確かに……とりあえず慈しみは、あるけれど、その慈しみが狂気に変わるというか……」
「母上はぁあるね……死にたいと望めば、ならって首を絞める所までして、本当にそうかって試すから」
 まさにそうなのである。
「天之御中主神……やっぱり怖いというか……なにを考えてるかよみにくいというか……」
「それだけきれるんだよ」
 だからこそ何事もにっこり微笑みを浮かべ見ているが、そのうらで色々手をうっているともいえる。
「まだ高御産巣日神の方が分かりやすい??」
 思金神は、溜め息を着く。
「友美そうでもない。父上は、そうとうやりにくい相手だ」
「そうなの!?」
「それこそ、相手にでにきるのは、母上くらいだ」
 だからこそ、惚れたのかもしれない父は、母に。
「夢珠凄い……」
 因みにその高御産巣日神を、動かせるのは、友美もなので、自覚なしに彼女も凄いことをやってのけている。
「でも氷雪の野菜欲しいなら取引すればいいのに……」
「神産巣日神を相手にする勇気なんて高天ヶ原の神々には、ないから無理無理」
 思金神は、やれやれという感じだ。
「友美これから寒猫神社に連れていってくれるかい??」
「それは、いいけど」
 友美は、何故またと思いつつも、すぐに、ユニに連絡をいれると、許可がでた。
 
 思金神を連れ、友美は、早速寒猫神社に。彼が神域に入ったとたんざわつきが。
「えっ!? まだ鳥居入ったところなんですが!?」
 階段の脇の藪から慌ただしい足跡も聞こえ、友美は、思う。もしかして父凄いのかと。
「友美先に行くよ」
「うん!!」
 とりあえず先行く思金神の後を追いかけ、階段を登り本殿に。
「とりあえずあの方は、社務所か」
 思金神は、そういうと、社務所に。
「すみません」
 と社務所に声をかけたとき、ユニと目があった。
「貴方は……??」
 どことなく光にも似ているがこの感覚は、友美の方がよく似ている。
「ユニ!!」
 思金神の後ろに友美の姿が見え、ユニは、安堵した。
「ユニこの方私の父」
「友美の父です」
 まてまてなんていう自己紹介なんだと、思わずユニも思ってしまった。
 唖然としているユニに、思金神は、続けていった。
「私は、思金神」
 ユニは、すうはくのちに。
「えっ!? 高天ヶ原の宰相!?」
 と驚く。
「お父さん有名」
「そりゃね」
 ユニは友美が頭がキレる理由は、これかと思いつつ深呼吸した。
「で本日は、どのようなご用件で……」
「いきなりでごめん。少し秋の味覚を分けて欲しいと思ってね」
「秋の味覚ですか……」
「氷雪の野菜が高天ヶ原だと珍品として人気らしくて!! お父さん欲しいんだって!!」
 友美は、付け加えて説明すると、ユニは、しばらく思案してい、った。
「なら畑で収穫してきてくれませんか??」
「もちろん」
 思金神は、頷きこれで契約成立。その後ユニに畑の場所とやり方を教わり、そのまま思金神は、畑に。
「ユニ無理いってごめん!!」
 友美は、社務所で思金神を待ちながら、ユニに謝った。
「いえ。むしろありがとうございます」
「といいますと??」
「氷雪様が畑の土について悩んでいたので、知恵の神である思金神様なら何か気付かれるかと」
「だから父に畑の収穫を頼んだのか!!」
 それこそ、五穀豊穣の神に聞けばいいのでは、と友美は、思ったが、ユニのことだ。
 様々な方向から意見を求めているのかもしれない。
「しかし思金神様が友美のお父様だなんて」
「まぁ色々あってようやくなのってくれたって感じよ」
 確かに友美のところも複雑といえば複雑かもしれない。
 しかしようやく名乗ってくれたのかとユニは、嬉しそうに笑った。
「友美よかったですね!!」
「まぁね」
 そんな話をユニと友美がする頃、思金神は、サツマイモを掘っていた。
「これは……そういうことか……」
 土にふれ、ニヤリと笑うと、立ち上がり、思金神は、サツマイモを持ち、社務所に戻った。
「思金神様」
「ありがとう空間ノ神子」
 社務所に戻ってきた思金神は、そういうと、ある紙をユニに渡す。
「土に関して私が感じたことをまとめておいた。これで対価になるかな??」
 ユニは、あれだけでここまでのことがこの神は、分かるのかと驚きつつ頷く。
「はい。ありがとうございます」
 しかし思金神は、思ったよりもサツマイモを収穫したようだ。
「神社の分もと取ってきたが……迷惑だったかな??」
「いえ、ありがとうございます」
 神社の分と籠にいれたサツマイモを思金神は、社務所のはしに置く。
「お父さん意外に少ない……」
「私は、自分が楽しみたいから、頼みに来たんだよ」
「そうだったんだ」
 てっきり売るためかと思ったが。違ったようだ。
「さてかえろうか」
「だね!! ユニありがとう」
 友美と思金神は、そういい、神社を後に。一人社務所に残ったユニは、サツマイモを見て笑った。
「高天ヶ原の神々の中でも思金神様は、少し変わっておられるみたい……」
 いい意味でよき神なのだろうと思う。
「お父さんそのサツマイモどうするの??」
 帰り道気になり、友美は、聞くと、思金神は、悩ましそうな顔に。
「サツマイモご飯もいいし……焼きいもも、捨てがたい……」
「蒸かすのも美味しいよね!!」
「スイートポテトも!!」
 これは、全て作るしかないかと思金神は、思った。
「スイーツなら光が作るかも」
「確かに、スイーツなら、彼の方が私より美味しいものを作るね」
「頼んどく??」
「お願い」
 ということで、スイートポテトは、なんとか食べられる算段がついた。
「なら焼きいもかな……」
「いいね!!」
「サツマイモご飯もするとしよう」
「絶対においしいやつ!!」
 これは、なかなか楽しい食卓になりそうだ。
 思金神と友美は、そんな話をしながら、帰路に着き、その後栗も友美は、思金神にあげると、そのまま彼は、高天ヶ原に帰っていった。
「さてさてどんな美味しいものが食べれるか!!」
 友美は、そう思いながら、微笑むのであった。秋は、楽しいとも思いながら、
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