光明ノ神子2

 友美だって甘えたいときは、ある。
「光!!」
 夜子供たちも寝て何時ものように夫婦の時間に。
 友美は、リビングで本を読んでいる光の隣で座っていた。
「なに??」
 光は、本から顔を上げ友美をみると、彼女の瞳は、何か期待しているようであった。
 さすが十年も夫婦をやっていたらなにを求めているか光は、分かる。
 本に、栞を挟み、閉じる。そして友美に向かって、手を広げる。
「おいで」
 と声をかけると。
「言ったわね!!」
 友美は、嬉しそうに立ち上がると、なんと。少し光と距離をとり。
「え??」
「友美行きまーす!!!」
 と元気よく掛け声をしたのち、じそくをつけ、そのまま光に向かって走り、飛び込んだ。
「えっ!!??」
 まさかこう来るなんて。
 光は、勢いよく飛び込んでくる友美に慌てて受け止め、術を使い後ろに倒れこまないようにした。
「なんで……」
「おいでと言われたら、勢いよく行くわよ」
 よく考えたら、幼少期から友美は、そうだった。
 おいでと光が言うと、勢いよく走ってきては、光が背中を強打し、なんなら、そのまま友美に頭突きされ、悶絶していた。
「昔からそうだったな……」
「てへへ」
 大人になり、成長しても、子供の頃と変わらないこともある。
 光は、優しく微笑むと、友美の頭を撫でる。
「本当に俺の姫はお転婆だな」
「誰かしら?? 猪とか熊とか言ってたの??」
 痛い所をつかれ、光は、苦笑い。
「俺です……」
「そんな猪に惚れたのは、誰??」
「俺です!!」
 友美は、満足げに笑う。
「そうだ!! そしてそのお転婆も含め私だ!!」
 友美は、自慢げに笑う。
 そうそれも含めて友美で可愛いところでもある。
「友美ってギャップ凄いな……」
「そんなに??」
「そんなに」
 友美は、そんなことは、ないと思っているが、案外そうでもない。
 普段の友美は、凛としているが、こうして光といる時は、けっこう甘えている。
 そのギャップがなかなかあるのだ。
「近寄りがたい天下の神子姫がだれもこんなに甘えてるとは、思わないよ」
 光は、微笑む。
「天下のって……そんなに私近寄りがたいわけ??」
 光は、しばらく悩んで。
「見事に」
 と素直にいった。
「私けっこう親しみやすいかと……」
 光は、たぶん初見だと友美は、近寄りがたいと思うとこの時思た。
 ちび友美ならともかく、成長した彼女は、美しくそれだけで、まず近寄りがたい。なにより、その美貌を利用しようと近寄ってかるやからを威圧感で近づかせないようにし、なにより、目が笑ってない時も多い。
「……性格ドライだしなぁ……」
「ドライとは、なによ!! 優しいとは、思わないけれど、そこまででは、ないわ!!」
 そう。本当は、優しいのである。とても。
「友美は、殺気と威圧感が凄いから、場合によっては、近寄りがたいんだ」
「なるほど」
「でもある程度親しくなると実際は、違うんだと分かるが……結局そこまでなんだろうね……」
 友美の頬をつんつん光は、つつく。
「つつかなくても!!」
「可愛いからつい」
 友美は、なにそれと鬱陶しそうに光をみていた。
「でも別に私が可愛かろうが、可愛くなかろうが関係ないわよね??」
「まぁね」
 しかし光は、思う。物事は、多面的であり、友美の可愛い部分を見れるということは、それだけ彼女を知っているともいえるも。
「でもそれだけ友美を知ってるからこそ友美の素敵なところも分かるんだよ」
「素敵ねぇ……」
 どこだろう。と友美は、考える。
「大食い??」
「まぁよく食べるよね……そこも可愛いけど!!」
「なら力が強いとか??」
「まぁそこもそうかな」
 友美は、他にあるのかと思いつつ考えるのが面倒に。
「面倒~」
「自分で自分の事は、素敵とは、なかなか思てないよな……」
 なんせ。自分の駄目なところも知っているのだから。
「光から見たら、どこが素敵なの??」
 友美は、素直に聞くと、光は、微笑む。
「真っ直ぐで頑張りやさん」
「まぁ一理あるか」
「あと、諦めの悪さと意志のつよさ。そして優しさかな」
 本当に捨て置けばいいものを友美は、拾ってくる。
「本当にほっておけばいいのに、友美は、助けにいくから」
 友美は、少し気まずそうに視線をそらした。
「アハハ……でもまだ、NNNには、登録されてないから!!」
「ネコネコネットワークだっけ」
「そう!! アレには、登録されてない!!」
「ホムンクルスの方に登録されてるから、そんな自慢げに言われてもなぁー」
 友美は、冷や汗を流した。
「あはは……」
 乾いた笑みしか出てこない。
「ホムンクルスの方がある意味レアか」
「光なんでそこで勝手に片付けてるのよ!! 猫の方がましよ!!」
「といってもうち猫飼わないだろ??」
 友美は、頷く。
「確かに……」
「子供たちも誰かしら、ワンコ、ニャンコ、飼いたい!! と言うかと期待してたが、まったく誰も言わないしねぇ……」
 光は、窓越しにテラスで寝ているアマビエと河童たちを見て、苦笑い。
「まぁうちのペットアマビエ、河童だしねぇ……」
「しかも勝手にいついてる」
 そりゃ子供たちもワンコやニャンコを飼いたいとは、言わないかもしれない。
「あとワンコなら白野威いるしね??」
 和室でいびきをかいて光の布団の上で寝ている白野威。
 確かに狼だが、生まれた時から一緒なら犬を飼いたいとは、ならないかもしれない。
「そう考えると、楽かも??」
「かもね」
 普通の家庭では、子供が犬や猫を飼いたいと言い出し、親が苦労するという話は、よく聞く。
「まぁゾンビ捕まえるとか、ホムンクルス作るとか言わないかけど~」
 いや違った。うちの方が大変だった。
 光は、溜め息をつくと、友美に抱き締めた。
「光??」
「頭痛くなってきた……この間なんて、バンパイアにニンニク投げるから、連れてきてとか言われたし……」
 友美は、まだ可愛い方だなとおもったが。
「しかもそのあとニンニクすりおろしたやつをバンパイアの口に突っ込みたい!! とか……すりおろしたニンニクを爆弾にするとか……」
 全然可愛くなかった。
「ちょっと!?」
「なんとか、諦めさせたけど、絶対に機会狙ってるぞ!! アレは!!」
 友美は、さすが我が子と思いつつ呆れ顔に。
「そのうち吸血鬼絶対に捕まえてくる……」
「まぁうん……最悪吸血鬼を首ちょんぱだな」
「そこは、助けて上げてよ!?」
 頼むからそんなことだけは、しないでくれと友美は、強く思った。
「本当に……」
「ほら友美優しい」
「光これは、親としての責任よ!! 責任!!」
 友美は、光から離れた。
「とりあえずトワイライトに伝えとくか……」
 トワイライトとは、よく食料を買いに来るバンパイアだ。
 光は、タイミングあえば一番被害に遭いそうだなと顔をひきつる。
「まぁ子供たちも遊んでくれるバンパイアは、狙わないだろうけど。一応ね」
 友美は、そういうと、すぐにサリバンに気を付けろと手紙を式を使い送る。
 しかしそのとなりでも光は、少し寂しそう。
 自分が悪いのだな甘えにきた友美がすぐに甘えん坊モードから何時もの友美に戻ってしまった。
「友美……」
「光なに??」
 光がしょぼんとしているので、友美は、首をかしげる。
「甘えん坊モード終わり??」
 寂しげに言われ、友美は、即答。
「終わり」
 光は、ガーンとショックを受けると、今度は。
「もっと甘えてよー!!!!」
 と友美に甘えることに。
 抱きついてきた光を優しく友美は、微笑み、彼の背中を撫でた。
「私より甘えん坊なのにねぇーよくいいますなぁ」
「それは、友美が滅多に甘えん坊モードにならないならだろ!? もう強すぎるんだよ!!」
「そりゃまぁね」
 それでも光がいるから甘えられるんだがと友美は、思いつつ言った。
「なら堪能して」
「そうする!!」
 本当に困った人と友美は、思いつつもどこか幸せそうに笑った。
 こうして過ごせる時間は、やさりとても大切な時間。
 そう思いながら、友美は、優しく光を撫でるのであった。
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