光明ノ神子2

「暑さでストレスがー!!!」
 と夏音は、叫んでいた。
「あのさうちに来てまで叫ぶこと!?」
 友美は、溜め息をつきながら、いう。
 リビングで座布団の上にすわり、そして悶々としている夏音に。
「だって最近敵も居ないんですよ!? 伐らせてほしい……」
「その発言マジで、辻斬り」
「辻斬り夏音ちゃん!!」
「笑顔でいうな」
 友美は、溜め息をつく。
「友美どこか斬れるものありませんか!?」
 キラキラとした瞳でいってくる夏音を見て、友美は、思う。自分の前では、なにかを斬りたいという狂気を隠さないだなと。
「夏音私には、その、欲見せていいわけ??」
 友美は、聞くと夏音は、あっさり答える。
「友美ですから!! それに私は、この欲に溺れてるわけでもない!! この部分も含めて私なんです!! だから否定もしたくないし!!」
 眩しい笑顔に感服しつつ友美は、ならとある提案をした。
「なんでもいいのよね?? 斬れれば」
「はい!!」
 ということで。
「なんで熊退治なんですか!?」
 友美は、夏音に熊を退治させることにした。
 森のなかを必死りで走り、熊に追いかけられる夏音をのんびりと友美は、ふわふわ浮きながら、見ていた。
「多事斬ってもいい。殺すな。人を怖いものと認知させろ。って神からの依頼~」
 友美がやるつもりだったりが斬りたいというのだなら夏音にやらせるべし。
 友美は、そう思ったが、夏音は、熊に手加減なんて出来るかとも思っていた。
 距離をとり、襲ってくる熊に向かって剣をぬい、熊の動きを止めるために、前足を切り落とす。
 熊の悲鳴と共に、血渋きと、足がとんだ。
「友美これでいいですか??」
 友美は、地面に降りると、足の断面を見ていう。
「相変わらず綺麗に斬るなぁ……」
「そこ感心しないで!!」
 とりあえず術で熊の足を治したが。
 熊は、顔を青ざめ、逃げていった凄い勢いで。
「これ神子だからできる熊と人の境界作りですよね!?」
「普通あんなに斬られた、そのままチーンだもんねー」
 友美は、呑気にいうが、夏音からすれば、確かに斬りたいとは、いったが危険すぎると思っていた内心。
「神子やっぱり凄いわ!!」
「なに長が呑気なことを!!」
「だってあんなに綺麗に斬れるなんて技術あるからよ!? お陰で、足に障害も残らないしねぇー」
「いやいや力で治すから障害もくそもないでしょう!?」
「あるある。やっぱり綺麗だと治しやすい!!」
 なにやら恐ろしい会話をしている二人。しかし友美のいっていることは、事実だ。
 やはりミクロンか、組織を綺麗に斬れているかいないかで熊の治りも違う。
「まさか友美がやったんですか!?」
「私じゃないけど、光から聞いた話し」
 となると相手は、楸かはたまたソーマか。どちらにせよ神子とは、時には、恐ろしいことをしているものである。
「光先生がいうならまぁ……納得」
 神子の中でも医術に関しては、光の右に出るものは、いない。
 夏音は、少し納得した。
「でしょう!! よし!! 次斬りにいこう!!」
 なんだその掛け声は、と夏音は、思いつつ友美についていき、やって来たのは。
「神の屋敷の庭!?」
 立派な神の屋敷だった。
「あの木をきって座卓作ってだって!!」
「友美!? なんでそんな依頼を受けたんです!?」
 確かに斬りたいとは、いったがなんで木工作業までついてくるのか。
「斬りたいって夏音が言うからー」
 そうだった。友美は、基本腹黒いところもあった。なにより使えるものは、使えってという質なので、こうしたことを平気でしてくる。 
「分かりました!!」
「頑張れ~」
 友美は、呑気に神と談笑。その間夏音は、大きな欅の木を切り、その間力を使い切り分けられるところを見繕い、そして切り刻んだ。
「おーこれは、素晴らしい」
 出来た座卓は、なかなかいい出来。
 神は、満足そうな顔に。
「一閃ノ神子ありがとう。姫様も助かったよ」
「いえ……」
「こちらこそ!!」
 対価とまんじゅうをもらい、神の屋敷を二人は、後に。
「夏音次いくよー」
「次!?」
 次は、どこにと思った、やってきたのは、高天ヶ原の月ノ宮で。
「なんで、雑草かり!?」
「夏音ありがとうございます!!」
 庭の雑草かりをモアとやることに。
「頑張れ~」
 と友美は、いうなか、羽月と話をしていた。
「友美今日は、私をこき使いすぎ!!」
「友美は、神の部類と話すの上手ですから~」
 モアは、夏音にそういうと続ける。
「神子っていっても人だろ?? と甘く見る神もいますから、友美は、あぁやって監視がてら、夏音の護衛をしてるんですよ??」
「護衛……」
「あやかしと違い、神は、なかなか手強いですからね!!」
 確かに友美と話している間神は、余計なことをしてこなかった。
 それは、友美と話しているからと思ったが違うらしい。
「今は、羽月様の相手ですねぇー話したいと羽月様言ってましたから!!」
「これもまた神子の役目か……」
「厳密には、友美にしか出来ない役目ですけどね!!」
「確かに……」
 夏音は、草を刈りながら、そういうと、友人を見て少しだけ笑った。
 その後モアと話しながら、雑草を刈り終え、刈った雑草は、兎のエサにすると、ということで、干し草にする段取りをした。
「羽月様終わりました~」
「モア、夏音ありがとう!!」
 草刈りを終えたモアと夏音を羽月は、執務室で出迎える。
「友美は??」
「友美なら急用で帰ったわ。あの子なにかと忙しいから」
 羽月は、そういうと、立ち上がる。
「これ夏音にって」
 夏音の所まで来ると文を渡した。
「手紙……」
「友美からよ」
「ありがとうございます」
 夏音は、手紙を受けとり、さっそく読む。
「お疲れ様~今日のお駄賃です……」
 と何故か小切手が一枚同封されていた。
 夏音は、小切手を見て、顔をひきつる。
「あら」
「凄い金額ですねぇ……」
「アレだけの仕事で5万円!?」
 アレだけとは、どういう意味だろう。
「モアこれは、働かせまくったのにってこと??」
「違うかもですよ羽月様」
「夏音どうなの??」
 羽月が興味津々に夏音に問う。
「あきらかに貰いすぎなんです!!」
「因になにをしたのかしら??」
「熊の教育と、座卓作りとここでの作業です」
 羽月は、固まる。
「熊……」
「はい!! 熊の足を斬り落として、またくっつけて、人間への恐怖心を植え付けることを。神からの依頼でしました!!」
 羽月は、凍りつく。
「なんで友美って何時もぶっ飛んだことをするの!?」
「羽月様私が何か斬りたいとは、いったからで……」
「だからって熊!?」
 羽月は、信じられないという顔に。
「羽月様夏音ですから」
「モアそうだけれど……ならその値段は、妥当か安いわよ!!」
「私としては、まぁストレス発散にきれてよかったとも……」
 夏音は、なら貰いすぎかと思ったが、貰えるものは、貰っとけと思うことに。
「羽月様夏音は、たぶんこれでいいんだと思います」
 モアは、そういうと、羽月は、少しばかり納得したようだ。
「夏音がいいのならいいけれど」
 羽月には、夏音という人物が時々分からなくなっていた。
 真面目で優しいいいこだと思う反面時より見せる飢えた瞳は、あるで獣のようだからだ。
「刀の神の一族が神子として選んだのだから……問題ないのよね……」
「はい」
 夏音は、微笑む。
「刀の神の一族が選ぶ神子は、皆が皆綺麗なわけでは、ありませんから。たいてい神子に選定されるものは、圧倒的光でありながら、狂気も持ち合わせている。私は、その類いですので」
「夏音それは、違うと思うわ」
 羽月は、言っていいかと思案したが、あえてここは、いうことにした。
「確かにそう。でもそれは、たぶん刀の技を試したい、高めたい。そこから来てるのだと思うわ。とくに夏音の前世は……」
 夏音の前世は刀に愛された刀鍛冶だった。武士なのに、刀をうち、その、刀のよさで名を馳せた刀鍛冶。
「月詠様からそう言って貰えるのならそうなのかもしれませんねー!!」
 夏音は、あえてそう言うだけにした。真実は、まだ分からないのだから。
「今日は、色々ありましたけど、楽しかったです!!」
「ストレス発散になりました??」
「モアなりました!!」
 夏音は、そういうと微笑み思う。流石にこういう日をよく過ごすのは、嫌だが、時よりは、楽しいかもと。
 こうして夏音のストレス発散の旅は、無事に終わり、夏音は、スッキリした顔をするのであった。
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