光明ノ神子2
思金神は、知恵の神として古事記に記されている神である。
「お父さん!?」
そう知恵の神のはずなのだが。
「河童に胡瓜をペイっとされたと!?」
友美は、顔をひきつり、翠と膝を付き合わせ、座り、胡瓜をやっている思金神を見ていた。
知恵の神のはずなのに、彼の趣味は、農作だったりするのだ。
「やはり……肥料の配合か??」
と真剣に悩み出す父に友美は、思う。たぶん違うと。
「お父さん……羽月の胡瓜よりたぶん味が落ちるんだと思う」
思金神は、衝撃を受けた顔に。
「この河童月詠の農作物を食べてるのかい!?」
「えぇ……送ってくれるし……」
思金神は、ショックを受け、悔しそうな顔に。
「くっ……月詠め……」
「お父さん一応親戚に……」
思金神は、冷たい目をしている。
「妹が勝手に天照の息子とこさえただけだ!!!! 私は、関係ない!!!!」
思金神とタクハタチヂヒメは、あまり仲がよくない。
友美も詳しくは、知らないがニギギが関係しているとも言えるようだ。
「アメノオシホミミと勝手に……」
「旦那の方にも思うところアリなのね……」
友美は、こりゃニギギよりその両親かと感じた。
「くっ……知恵では、農作に勝てないと!?」
「そりゃ五穀豊穣だから……専売特許だから!!」
「だがしかし!!」
「お父さん疲れたいの?? お稲荷さんみたく、商売繁盛まで頼まれてやり、そしてくたくたになりたいわけ??」
友美の一言にズバッと切られ、思金神は、ようやく落ち着いた。
「ごめんなさい……」
「お母さんなら助けるかもだけど、私は、そうなった、見捨てるから」
「友美!?」
娘に見捨てられるのだけは、嫌だと思金神は、思い涙めに。
「やらない……趣味にとどめる……」
「お願い」
思金神は、だか悔しそうな顔に。
「くっ……河童の舌を唸らさせたい!!」
友美は、ふと、何故河童をペットにしているのかと父は、突っ込まないのかと思ってしまった。
「お父さんそれより、河童をペットにしてることは、なにも思わないの??」
のんびり胡瓜を食べている翠をみながら、友美は、思金神に聞く。
「母上の血筋をひく一族ならあり得るとは、思ってるからとくに」
「天之御中主神って河童に懐かれやすいのね……」
友美がそういった時己の中で違うという抗議が。
「なら出て説明しろ!!」
と友美が声を張り上げ、思金神は、驚く。
「友美!?」
「ごめんなさい」
さてあの方は、どう動くのかと友美が思ったとき、目の前に夢珠が。
「母上!? 出入り自由なんですか!?」
息子がこう反応するからあまり出たくなかったが背に腹は、変えられぬ。
「えぇ。それと思ちゃん!! 私は、河童に懐かれやすいわけじゃないから!!」
「思ちゃん!? 母上私は、そんな歳じゃありませんが!?」
友美は、この会話を聞いて思わず笑う。
「思ちゃん……」
「友美その事は、忘れて!!」
「無理無理」
ただ、夢珠がとても思金神を愛していることは、よく分かった。
「出てきてもいいのに~」
「友美色々あるのよ。それに天之御中主神二柱なんて!! 世界が壊れるわ!!」
「今壊れてないけれど……」
「色々考えてよ!!」
思金神は、これは、無用な面倒を避けるためかと分かった。
そもそも夢珠が出てきたとしても天之御中主神の魂は、一つしかないので、理としては、全く問題ない。
「あーこれ面倒だからだ~」
「友美!?」
そして夢珠は、友美でもあるので簡単には分かるらしい。色々と。
「母上まさか神に好かれるのと同じ原理ですか??」
「みたい」
友美は、夢珠の反応から考える。
「創造神だから?? 河童にも好かれやすいと?? とりあえず……」
「吸血鬼にも好かれやすいわよ?? といっても初対面の印象でその後関わり方で変化するけど」
夢珠と友美は、トワイライト·サリヴァンの顔を思い出していた。
「だからトワイライトに苦手って言われるのか……」
「友美の場合白野威様の権能が原因」
「永らく内包してたからね……」
思金神と夢珠の言葉に友美は、納得。
「なるほど!!」
しかしそれでも納得いかないところもある。
「私トワイライト殺しかけたことないわよ!?」
不服そうな友美に思金神は、そんな問題じゃないと思ってしまった。
「そもそも神と吸血鬼は、正反対とも言えるんだよ友美」
「日本なら正反対の性質でも神じゃない!! 菅原道真とか!!」
「それは、アレだけ怒りと祟りで暴れるからだよ」
「ある意味神にでもしないと落ち着かなかったと??」
「まぁそうだろうね……」
ある意味祟神として恐ろしいが、可哀想なのが菅原道真とも言える。
「まぁ日本人って昔から、力あるものは、よくても悪くても神と、ひとくくりにするものね」
夢珠は、楽しそうに笑っていたが、友美は、そんなおおざっぱでいいのかとも思ってしまった。
しかし。
「主宰神が大雑把だわ……」
天照ではなく初代が。
今も腹を出して和室でぐぅぐぅ寝ている。
「白野威ちゃん本当に寝てるわね……」
「呑気なものですね母上」
思金神は、呆れ顔だが、何処か嬉しそうだ。
「お父さん……」
友美は、その顔から何かを感じとる。
たぶん彼が一番今の白野威をみて、ホッとし、嬉しいのは、思金神のはずだ。
「母上これでいいんですよね……」
夢珠は、優しく微笑む。
「そうよ。思ちゃん」
友美も頷く。
「それに……思ちゃんは、数千年頑張ってきた……皆に後ろ指をさされ、冷遇されても……ニギギと共に、ナカツクニに降りても……」
神話では、ニギギと共に、思金神は、高天ヶ原からナカツクニへ降りた。
しかしその後の事は、書かれていることもあるが、基本は、不明となっている。
「イザナギに課せられた物に、向き合い……天照を見つけ出して、こうして今ここで寝ている」
本当に彼は、よく頑張ったと夢珠は、思う。それに父と母の我が儘も聞いてくれた。
優しく夢珠は、思金神の頭を撫でる。
「母はとても嬉しいのよ。ようやく思ちゃんが重荷を下ろして、のびのび過ごせてるのが」
「のびのび……夢珠ちょっと数千年分の勢いついてるわよ!? お父さん!!」
友美は、思わず突っ込むと、夢珠は、苦笑い。
「確かに友美に父と名乗ってからさらに加速してるわよね……娘への愛が爆発して……」
「母上そりゃこの二十数年私は、見守ること、友美と出会っても赤の他人として接する事しか出来なかったんですよ!?」
思金神は、そういうと続ける。
「そりゃ爆発もします!!」
「お父さんそんな力強く言われても困るから……」
友美は、ふと自分と父は、こういうところが似てるなとも思う。
しかしそうなると。
「夢珠とお父さんもよく似てるのか……」
「確かにそうね友美」
思金神は、何ておそれ多いと思ったが間違いなく夢珠とは、親子なので似てても当然とも言える。
「……」
少し恥ずかしそうな思金神が面白い。
友美は、こんな顔もするのかと思いつつ笑う。
「お父さん甘えたら??」
「友美甘えないよ!! 母上には!!」
「え?? 甘えてくれてもいいのよ?? 母は、何時でもウエルカム!!」
夢珠は、手を広げるが、思金神は、困り顔に。
「母上私は、もうそんな歳では、ないんですが!?」
「母からすれば何時までもかわいい我が子です!!」
夢珠は、とうとう自分から思金神に近寄り、思金神を追いかけ始めた。
「何故逃げるの!?」
「母上が追いかけてくるからです!!」
友美は、そんな思金神と夢珠をみて、楽しげに笑う。
「これがお父さんの幸せの一つか……」
たぶん白野威の死を防げなかった思金神は、この何気ない幸せを失ったのかもしれない。
その中でも彼は、ひたすらに歩いてきた。そう考えると、本当に強い神なのだと友美は、思えた。
「お父さん本当に凄いなぁ……」
だからこそ、その役目を終え、ようやく重荷をおろしたのだか、楽しく日々を過ごして欲しいと友美は、思う。
「甘えればいいのに!!」
「友美までなんて言うことを!?」
「捕まえたわ!!」
ふとした瞬間に夢珠に飛び付かれてしまった。
「母上!?」
「少しは、久しぶりに母に甘えなさい。それに私は、あまりこうして出てこないのよ?? ねぇ??」
思金神は、溜め息をつくと、いう。
「分かりました母上……」
こうして母の温もりを感じたのは、何時ぶりだろうか。やはり心地がよい。
思金神は、優しく微笑み夢珠もまた笑った。
その光景を見ていた友美もまた楽しげに笑うのであった。こういうのもいいものと。
こうして、夢珠と思金神は、親子としての時間を過ごし、友美は、それを見て楽しげに笑うのであった。
「お父さん!?」
そう知恵の神のはずなのだが。
「河童に胡瓜をペイっとされたと!?」
友美は、顔をひきつり、翠と膝を付き合わせ、座り、胡瓜をやっている思金神を見ていた。
知恵の神のはずなのに、彼の趣味は、農作だったりするのだ。
「やはり……肥料の配合か??」
と真剣に悩み出す父に友美は、思う。たぶん違うと。
「お父さん……羽月の胡瓜よりたぶん味が落ちるんだと思う」
思金神は、衝撃を受けた顔に。
「この河童月詠の農作物を食べてるのかい!?」
「えぇ……送ってくれるし……」
思金神は、ショックを受け、悔しそうな顔に。
「くっ……月詠め……」
「お父さん一応親戚に……」
思金神は、冷たい目をしている。
「妹が勝手に天照の息子とこさえただけだ!!!! 私は、関係ない!!!!」
思金神とタクハタチヂヒメは、あまり仲がよくない。
友美も詳しくは、知らないがニギギが関係しているとも言えるようだ。
「アメノオシホミミと勝手に……」
「旦那の方にも思うところアリなのね……」
友美は、こりゃニギギよりその両親かと感じた。
「くっ……知恵では、農作に勝てないと!?」
「そりゃ五穀豊穣だから……専売特許だから!!」
「だがしかし!!」
「お父さん疲れたいの?? お稲荷さんみたく、商売繁盛まで頼まれてやり、そしてくたくたになりたいわけ??」
友美の一言にズバッと切られ、思金神は、ようやく落ち着いた。
「ごめんなさい……」
「お母さんなら助けるかもだけど、私は、そうなった、見捨てるから」
「友美!?」
娘に見捨てられるのだけは、嫌だと思金神は、思い涙めに。
「やらない……趣味にとどめる……」
「お願い」
思金神は、だか悔しそうな顔に。
「くっ……河童の舌を唸らさせたい!!」
友美は、ふと、何故河童をペットにしているのかと父は、突っ込まないのかと思ってしまった。
「お父さんそれより、河童をペットにしてることは、なにも思わないの??」
のんびり胡瓜を食べている翠をみながら、友美は、思金神に聞く。
「母上の血筋をひく一族ならあり得るとは、思ってるからとくに」
「天之御中主神って河童に懐かれやすいのね……」
友美がそういった時己の中で違うという抗議が。
「なら出て説明しろ!!」
と友美が声を張り上げ、思金神は、驚く。
「友美!?」
「ごめんなさい」
さてあの方は、どう動くのかと友美が思ったとき、目の前に夢珠が。
「母上!? 出入り自由なんですか!?」
息子がこう反応するからあまり出たくなかったが背に腹は、変えられぬ。
「えぇ。それと思ちゃん!! 私は、河童に懐かれやすいわけじゃないから!!」
「思ちゃん!? 母上私は、そんな歳じゃありませんが!?」
友美は、この会話を聞いて思わず笑う。
「思ちゃん……」
「友美その事は、忘れて!!」
「無理無理」
ただ、夢珠がとても思金神を愛していることは、よく分かった。
「出てきてもいいのに~」
「友美色々あるのよ。それに天之御中主神二柱なんて!! 世界が壊れるわ!!」
「今壊れてないけれど……」
「色々考えてよ!!」
思金神は、これは、無用な面倒を避けるためかと分かった。
そもそも夢珠が出てきたとしても天之御中主神の魂は、一つしかないので、理としては、全く問題ない。
「あーこれ面倒だからだ~」
「友美!?」
そして夢珠は、友美でもあるので簡単には分かるらしい。色々と。
「母上まさか神に好かれるのと同じ原理ですか??」
「みたい」
友美は、夢珠の反応から考える。
「創造神だから?? 河童にも好かれやすいと?? とりあえず……」
「吸血鬼にも好かれやすいわよ?? といっても初対面の印象でその後関わり方で変化するけど」
夢珠と友美は、トワイライト·サリヴァンの顔を思い出していた。
「だからトワイライトに苦手って言われるのか……」
「友美の場合白野威様の権能が原因」
「永らく内包してたからね……」
思金神と夢珠の言葉に友美は、納得。
「なるほど!!」
しかしそれでも納得いかないところもある。
「私トワイライト殺しかけたことないわよ!?」
不服そうな友美に思金神は、そんな問題じゃないと思ってしまった。
「そもそも神と吸血鬼は、正反対とも言えるんだよ友美」
「日本なら正反対の性質でも神じゃない!! 菅原道真とか!!」
「それは、アレだけ怒りと祟りで暴れるからだよ」
「ある意味神にでもしないと落ち着かなかったと??」
「まぁそうだろうね……」
ある意味祟神として恐ろしいが、可哀想なのが菅原道真とも言える。
「まぁ日本人って昔から、力あるものは、よくても悪くても神と、ひとくくりにするものね」
夢珠は、楽しそうに笑っていたが、友美は、そんなおおざっぱでいいのかとも思ってしまった。
しかし。
「主宰神が大雑把だわ……」
天照ではなく初代が。
今も腹を出して和室でぐぅぐぅ寝ている。
「白野威ちゃん本当に寝てるわね……」
「呑気なものですね母上」
思金神は、呆れ顔だが、何処か嬉しそうだ。
「お父さん……」
友美は、その顔から何かを感じとる。
たぶん彼が一番今の白野威をみて、ホッとし、嬉しいのは、思金神のはずだ。
「母上これでいいんですよね……」
夢珠は、優しく微笑む。
「そうよ。思ちゃん」
友美も頷く。
「それに……思ちゃんは、数千年頑張ってきた……皆に後ろ指をさされ、冷遇されても……ニギギと共に、ナカツクニに降りても……」
神話では、ニギギと共に、思金神は、高天ヶ原からナカツクニへ降りた。
しかしその後の事は、書かれていることもあるが、基本は、不明となっている。
「イザナギに課せられた物に、向き合い……天照を見つけ出して、こうして今ここで寝ている」
本当に彼は、よく頑張ったと夢珠は、思う。それに父と母の我が儘も聞いてくれた。
優しく夢珠は、思金神の頭を撫でる。
「母はとても嬉しいのよ。ようやく思ちゃんが重荷を下ろして、のびのび過ごせてるのが」
「のびのび……夢珠ちょっと数千年分の勢いついてるわよ!? お父さん!!」
友美は、思わず突っ込むと、夢珠は、苦笑い。
「確かに友美に父と名乗ってからさらに加速してるわよね……娘への愛が爆発して……」
「母上そりゃこの二十数年私は、見守ること、友美と出会っても赤の他人として接する事しか出来なかったんですよ!?」
思金神は、そういうと続ける。
「そりゃ爆発もします!!」
「お父さんそんな力強く言われても困るから……」
友美は、ふと自分と父は、こういうところが似てるなとも思う。
しかしそうなると。
「夢珠とお父さんもよく似てるのか……」
「確かにそうね友美」
思金神は、何ておそれ多いと思ったが間違いなく夢珠とは、親子なので似てても当然とも言える。
「……」
少し恥ずかしそうな思金神が面白い。
友美は、こんな顔もするのかと思いつつ笑う。
「お父さん甘えたら??」
「友美甘えないよ!! 母上には!!」
「え?? 甘えてくれてもいいのよ?? 母は、何時でもウエルカム!!」
夢珠は、手を広げるが、思金神は、困り顔に。
「母上私は、もうそんな歳では、ないんですが!?」
「母からすれば何時までもかわいい我が子です!!」
夢珠は、とうとう自分から思金神に近寄り、思金神を追いかけ始めた。
「何故逃げるの!?」
「母上が追いかけてくるからです!!」
友美は、そんな思金神と夢珠をみて、楽しげに笑う。
「これがお父さんの幸せの一つか……」
たぶん白野威の死を防げなかった思金神は、この何気ない幸せを失ったのかもしれない。
その中でも彼は、ひたすらに歩いてきた。そう考えると、本当に強い神なのだと友美は、思えた。
「お父さん本当に凄いなぁ……」
だからこそ、その役目を終え、ようやく重荷をおろしたのだか、楽しく日々を過ごして欲しいと友美は、思う。
「甘えればいいのに!!」
「友美までなんて言うことを!?」
「捕まえたわ!!」
ふとした瞬間に夢珠に飛び付かれてしまった。
「母上!?」
「少しは、久しぶりに母に甘えなさい。それに私は、あまりこうして出てこないのよ?? ねぇ??」
思金神は、溜め息をつくと、いう。
「分かりました母上……」
こうして母の温もりを感じたのは、何時ぶりだろうか。やはり心地がよい。
思金神は、優しく微笑み夢珠もまた笑った。
その光景を見ていた友美もまた楽しげに笑うのであった。こういうのもいいものと。
こうして、夢珠と思金神は、親子としての時間を過ごし、友美は、それを見て楽しげに笑うのであった。