光明ノ神子2

 朝ラジオ体操を終え、公園から遊李は、でてきた。
「はぁ~夏休みだからってラジオ体操いる……??」
 真面目に参加しているがその目的としては、最終日に貰える景品だ。
「まぁ景品の為頑張る……」
 と言った時、目の前に見慣れたものが突如落ちてきた。
「うわぁー」
 遊李は、慌ててキャッチした。
「メジェド!?」
「遊李おはよう!」
「おはよう」
 じゃない。なんでメジェドが落ちてくるのか。なにより。
「尾﨑その変なのなに??」
 遊李の隣には、同級生が。
「ぬいぐるみ……」
「男がぬいぐるみとかだせ!!」
 と同級生は、からかうように言うが、遊李は、溜め息をこぼすと恐ろしい程の殺気を放ち言う。
「どの面さげて言えるの?? おさるさんのぬいぐるみのけんちゃん大切にしてるのにね?? それ捨ててから言え」
 学年の中でも遊李と榎麟には、関わるなと言う恐ろしい影のルールがある。友達として付き合うのならともかく、そうでないのなら身が危険にさらされるからだ。
 同級生は、半べそになり、そのまま逃げていった。
「はぁ……朝からついてない……」
「遊李そうなの??」
「メジェドにあえてうれしいけどね!!」
「ならよかった!!」
 にしても何故小学生の男とは、アホが多いのだろうか。
「苛めっ子って基本犯罪者なのに……本当にアイツら首とばされててほしい……」
 遊李は、いけないと深呼吸。
「僕は、やろうと思ったら出来るけど、真の強者は、それをしない!!」
 友美の顔が思い浮かぶが、遊李は、母のように強くなりたいとこの時思った。
「メジェド帰ろ!!」
「うん!!」
 そのままメジェドをつれ、遊李は、来たくするの、榎麟が起きてきていた。
「榎麟ただいま」
「おかえり遊李」
 榎麟は、眠そうな顔をし言うが、メジェドに気付くといった。
「メジェド……」
「落ちてきたから」
「メジェドキャッチされた!!」
「やろうな……」
 とりあえずこれは、母案件だなと榎麟は、判断し、そのまま洗面所に。
 遊李は、靴を脱ぐと廊下を歩き、そのままリビングに。
「ママメジェド」
 とすぐに友美に報告すると、座布団の上に座り、マグカップを炬燵の上に置いた友美は、メジェドをみて、少し驚いていた。
「ラ-が心配してたわよ!?」
「メジェド書き置きしてきた!!」
 友美は、ならそれに気付いてないのかと思ったがそれよりも遊李の方が気になる。
「遊李心ざわざわしてるわよ??」
「ママなんで分かるの!?」
「ママだもん」
 友美は、そういうと微笑み、遊李の頭を撫でた。
「遊李子供ってもんは、基本誰しも虚勢をはりたいの。だからそんなアホは、ほっておきなさい」
 絶対に頭の中を覗いたなと遊李は、思ったが、友美は、全くなにもしていない。
 最近の息子の悩みが大抵アホすぎる同級生がなぜ絡んでくるのかということなので、とりあえずこう答えたのみ。
「ママ……」
「それにそのアホたぶん言ってる間に大変なことになるから」
 遊李は、この時なんでと思ったが、メジェドも頷いていたので、深く聞かない方がいいと思った。
 メジェドは、遊李の腕から出ると、床に着地。
「メジェド帰るの??」
「帰らないよマリカ!!」
 そういうとメジェドは、ゴロゴロと床を転がる。
「本当に不思議だよねぇママ」
「まぁそれがメジェドだから」
 そうメジェドは、本当になぞな神なのである。
「困りますよそれは!!」
 と声がし、友美は、咄嗟に術で剣を出し、なんと空に刃を向けた。
「マリカ!?」
「堂々と玄関からこい。トト」
 どすのきいた声に姿を表し、喉元に切先を向けられている青年は、弱々しく言う。
「ごめんなさい!!」
 凄い速さで土下座をし、遊李は、ポカーンとしていた。
「おは……」
 で和室から出てきた光は、目の前の光景に困惑。
「光~」
「メジェドおはよう……」
「おはよう!!」
 とりあえずメジェドには、挨拶したが。
「で済むか!! このアホがー!!!!」
 ボッカーン!!
「むにゃー!!!」
 遊李は、苦笑いし、光は、唖然。
 なんて青年の頭には、大きなたんこぶが三つほどでき、青年は、涙目になっていたからだ。
「光おはよう!!」
「友美おはよう……」
 そして友美は、何事もなかったかのように剣を片付け、光に抱きつく。
「友美さんアレは……」
「トト」
「トト……トト!?」
 たぶん間違いなく、エジプトの知恵の神だ。
「メジェドを……引き取りにきました……」
 トトは、そういうとそのままこけっと床と一帯に。
「メジェド帰らない~」
 とメジェドは、今度は、トトの上で跳び跳ねている。
「エジプト神は、コロコロした姿で異界には、行くんじゃ……」
「トトは、別よ光」 
 鴇の帽子をかぶった青年であるトト。ふと光は、時も司ってるのだから友美の攻撃もとめられたのでは、と思った。
「そうか……」
「パパ完全にのびてるよ」
 遊李は、トトをつつきながらいう。
「時も司ってるだろ……」
「マリカに時の呪縛は効かないんです!!! 基本相殺してくるから!!」
 トトが起きた。そして光に凄い勢いで話した。
「……そっか」
「はい!!」
 確かに友美に時と制限は、効かなさそうである。そもそも根源の力を有してるので。
「とりあえずメジェド帰りますよ!!」
「やだー!!!」
 メジェドは、なんと、トトをに蹴りをいれ、逃走。
「メジェド!!??」
 トトは、アワアワと立ち上がり、メジェドを追いかけるが、メジェドは、逃げるのが速い。
「マリカまた来るね!!」
 そしてメジェドは、そのまま堂々と玄関から出ていき。
「マリカありがとうございます。では、お邪魔しました!!」
 とトトまでもが帰っていった。
「朝から騒動しいわね……」
 友美は、溜め息をつくと、光にくっつく。
「友美って最強なんだな……」
「パパ今更??」
「遊李改めて思ったんだよ」
 自分にくっつき嬉しそうな友美を光は、優しい眼差しでみて言う。
「パパ僕いるんだけど??」
 光は、ゴホント咳払い。
「遊李とりあえずママは、最強って事だ!!」
「そのママと、結婚したパパも地味に凄いよ」 
 ふと榎麟も将来的に結婚するとしたら、なかなか相手が見つからなさそうに遊李は、思ったが、実は、姉弟の中で一番はじめに見つけてくるのが榎麟だったりする。
「ふふふ」
「友美??」
 微笑む友美に光は、どうしたのかと思う。
「光結核に関して確り最新の知識もつけておいてね!!」
「何故に結核……」
 たぶん友美が言うからには、意味があるのだろう。
「なんせうちの子達は、普通じゃないから!! 私と光の子供よ?? だからお願いね!!」
「分かったが……」
「ママあまりにもピンポイント」
「まぁ理由は、少し先に分かるわ」
 友美は、そういうと微笑む。我が娘ながら、なかなかの相手を榎麟は、見つけてくるからだ。
 しかも彼の武士として死ぬという生きざまを捨てさせ、人として愛する人の為に生きると選択させたのだから。
「本当に……隊長さんも大変よね……」
「隊長??」
 光は、結核と隊長というワードに気付いた。そして驚いた顔をする。
「友美それって……」
「光シー」
「すまん……」
「ロマンチックな物語がなくなっちゃうかもしれないからね」
 遊李は、まだピンっときてないようだが。
「まぁ僕には、まだまだ早い話だよ」
 そもそも同級生が日頃からつまらなく見えるのにと、遊李は、自嘲していた。
「遊李でも沙羅ちゃんは、普通に見えてるのよね??」
「そりゃね」
 友美の問いに遊李は、そう答えたが、気付いた。
「僕……調子のってたり、おかしいやつ凄く嫌いなんだ……」
 だからこそガキ大将や一軍女子をみているとアホだなと思い、呆れてみてしまっていた。
「そりゃ遊李日頃から神が居るくらいなんだから、そう思うのも普通だ」
 光は、そういい続ける。
「だが遊李の中にも間違いなくソイツらと同じものがある」
 ここまでいえば息子から分かるだろう。
「パパだね!! ありがとう!! 気付かせてくれて!! 僕これでアイツらとの縁切れる!!」
 その業を認め、悪縁を切り、変われば更に幸せになる。
 遊李は、すっきりしたかおし、そのままリビングを出ていった。
「なかなか遊李悩んでるな……」
「まぁ達観してるし、真面目だからね!!」
「そうだな。父として確りみとかないと……」
「ねぇ!!」
 両親として出来ることをする。それがひいては、息子の成長に繋がる。
 友美と光は、微笑むと、その後朝の用事をやり始めるのであった。 
33/50ページ
スキ