光明ノ神子2
山間の中洲。高いく青い空を悠然と鷹が飛んでいる。
楸は、大きな鳥居の前でそっと息を吐いた。
「はぁ……」
この場所が嫌いなどでは、ない。先程いっ場所が嫌だった。
「楸が墓参りとは、珍しい」
武人を思わせる装いの青年がキセルを持ち、楸のとなりに表れる。
「紅蓮様……」
「まぁ俺もまさかおふくろの墓があるとされる土地に来るとはなぁ……」
紅蓮と呼ばれるがその名は、彼の真名では、ない。
天津神でもない彼は、産まれてすぐに母を焼き殺し、父に殺された。
神話では、そこで終わりだが、その後それを見ていたある神が力を貸し、彼は、生まれ変わった。
「ここで真名を呼んでもかまわないんですか??」
「別にいいが」
彼の真名は、カグツチ。古事記において、重要な神ともいえる。
「カグツチ様行かれますか?? イザナミ様の墓前に」
「そうだな……」
紅蓮は、そのまま黙ってしまった。たぶん色々複雑な心境があるのだろう。
「昔は、ここが本殿だったんだもんな……」
楸が今いる土地には、本宮大社がもとは、あった。
しかし洪水で流されたの地は、今の高台へと移設された。
「今は、木々のみだな」
紅蓮は、そういうと、煙管を吸い、煙を口から吐いた。
「八咫烏のやつがいるな……」
「え??」
楸は、まさかと思ったが、目があった。鳥居の上に止まっている鴉と。
「まさか偵察か??」
「違うだろ。それに八咫烏を動かせるのは、白野威か高御産巣日神くらいだからな」
となるとただ、自分達を見ているだけのようだ。
「まぁ私もあさからぬ縁だしな……高御産巣日神とは……」
楸は、友美の遠縁の親戚であり、少なからず、高御産日神の血をひく。
もしかするとその気配で惹かれ、見ているだけかもしれない。
「楸で一応悔いなく墓参りは、出来たか??」
楸は、切なげにわらう。
「形だけは、ですが。なんせあの墓には、妹の骨すら入ってませんから」
楸の一族の墓は、この熊野の地にあり、楸は、今回墓参りをしに来た。
来たのは、形ばかりの、妹の納骨以来だ。
「やく25年前……このような天気の日に私と妹は……森に入り、迷い……別れてしまった」
楸は、親や祖父母にも伝えたが、警察に行方不明者として、捜索願を出したというのに、何故彼らさ、はなから全て諦めていた。
「今思うに両親は、妹がもう帰ってこないと分かっていたんだと思います……」
紅蓮は、溜め息をつく。
「友美の一族ならともかく、楸の一族は、血が薄くなり、だが力は、ある。神やあやかしにとっては、いい贄だからな……」
しかも幼い女児ときた。たぶん育てられ、成熟し食われたのだろう。
紅蓮は、煙管を片付けると、いった。
「えぇ。神子となり、色々見えたからこそ分かります。その理由もそして私の先祖達も同じ目にあってきたことを」
だから楸の両親は、この地を出て、子供を別のと地で育てることにした。
しかし因縁とは、皮肉なもの。その縁を絶ちきれていないからこそ、また同じことを繰り返した。
「ですが、みつけられてよかったとも思います。なにも知らずに、何もみつけられずにいるよりは、絶対にいい」
「ならよかったが」
紅蓮は、そういうと、楸の所に。
「盆になるとピリピリするのいい加減にどうにかしろ」
楸は、自嘲する。
「といわれても何故かイライラしてしまうんです!!」
「妹の事が尾をひいてるからだろ」
ビシッと紅蓮にいわれ、楸は、視線をそらす。
「全て焼き尽くしてもいいんだが??」
カグツチの火は、浄化の炎ともされる。
楸は、確かにこの神の権能ならばこの後悔、悔しさを焼き尽くせるのだろうも思った。
「それは、遠慮します」
しかしそれを捨ててしまっては、妹との大切な記憶も失くす。それだけは、楸は、したくなった。
「カグツチ様私は、貴方の神子としてやれてますか??」
真っ直ぐに楸は、炎神を見据える。
神は、微笑む。誇らしげに。
「当たり前だ。それに俺も楸は、縁がある。俺は、母を焼き殺した。そして楸は、妹を見殺した」
楸自身そのつもりがなかったとしても。彼は、落ちた妹を助けられずに、見殺しにしたともいえる。
その後両親、祖父母に、報告し、助けようとしたといえど。結果として助からなかったのだから。
「俺は、その後父に殺された。だが今こうして生きている。楸もまた後悔のなかでいき、友美達と出会い、妹を見つけ出せた。ここまでいえば分かるだろ??」
楸は、困ったように笑う。
「確かに私は、貴方の遣いとして相応しいようだ」
「まぁ……ヘタレだがな」
「誰がヘタレです!?」
楸は、なわけたるかと思いつつ紅蓮を睨むと、彼は、楽しげに笑っていた。
「楸俺も一応母の墓前にいこう」
「ならとりあえず本宮大社に挨拶をして参りますか」
「俺がいるのにか??」
紅蓮は、真面目にいうが、楸は、紅蓮の発言に呆れた。
「土地神に挨拶は、いるでしょう!? とくにイザナミ、イザナギを祀ってるのに!!」
「素盞嗚もいるがな」
紅蓮は、やれやれという感じである。
「兄より弟に挨拶ってなに!?」
「その兄が側にいるから弟に挨拶ですよ」
日頃鳥の姿で頭に乗ってくるのは、誰だと楸は、思いつつ溜め息をつくと、歩き出す。
「とりあえず新宮にも行きますか……」
「酒と鈴焼き!!」
「あのー速玉大社に挨拶は!?」
「いらんいらん」
紅蓮は、そういうと、笑うが楸としては、せめて挨拶くらいさせてくれとは、思った。
その後本宮大社に楸は、いき、挨拶をし、境内に。
参道の端をあるき、階段を登り、本殿に挨拶を済ませると、目があった。賽銭箱の上にいる八咫烏と。
「その気配……やはりあの一族の遠縁か……」
「えぇ」
話しかけられたので答えると八咫烏は、言う。
「お主は、その輪から抜けられたようだな」
「お陰さまで」
後ろの紅蓮を見て、八咫烏は、なにか察したようだ。
「紅蓮ノ神子よ神子姫によろしくと」
八咫烏は、そういうと、姿を消した。
「友美顔広すぎないか……」
「まぁ友美だしな」
楸は、それで納得するしかなかった。
その後楸は、本宮大社を後にし、力を使い、新宮に。地酒と鈴焼きを買うと、そのまま三重に。
「ここが……」
やって来たのは、花の窟。ここは、イザナミノミコトの墓の一つとされるところだ。
紅蓮は、再び姿を見せると、そのまま中に。そしてイザナミの墓とされる大岩の前に来ると呟く。
「来ました母上」
ここに来たところでイザナミに会えるわけでは、ない。
なんなら友美に頼んだ方が会える。だが何故かここへ来た方がいい気がした。
「人の真似事だが……」
紅蓮は、先程買った酒を開けると、撒いた。大岩に。
「これで少しでも母上が安らかになるのならいい……」
「カグツチ様……」
「神には、酒が一番だからな」
さて母は、この酒を黄泉で受け取ってくれるだろうか。しかしその答えをカグツチは、知る術がない。
紅蓮は、目を伏せ楸の方を見る。
「帰るぞ」
「分かりました」
楸も挨拶を済ませ、紅蓮と花の窟を後にした。
「これは……ふむ……珍しいこともあるものだ」
黄泉にて、イザナミの所には、温かな雫が落ちてきていた。
甘く芳醇か香りの酒だろう。その酒からは、どことなく懐かしい香りもする。
産まれ、自分を焼き殺したカグツチの香りが。
「ほんに私を亡くしたからと……息子を殺すとは……イザナギには、呆れる……私との約束も守らずに……」
あの時天之御中主神が手を差し伸べなければカグツチは、間違いなくこの黄泉にて、永遠に燃える烈火になっていたかもしれない。
それだけは、避けられてよかったと母としてイザナミは、思う。
「……無事に産まれ、ほんによかった」
もうそろそろ鳥の姿では、なくカグツチとして、会って欲しいものだが。
「また友美に機会をもうけてもらうか……さすがのあやつも友美からは、逃れられぬしな」
イザナミは、そういうと、優しい顔をし、微笑んだ。
「にしてもお酒買いすぎでは!?」
「地酒だからな!!」
花の窟を後にした楸と紅蓮は、そんな話をしながら、海に来ていた。
「俺は、流されずに済んでよかったかもな」
海を見ていう紅蓮に、楸は、思い出していた。
「蛭子の事ですか……」
「そうだ。まぁあの両親にとっては、完璧な神こと己の子なのであろうな」
その完璧とは、なんかのかと思うこともあるが。
「まぁ殺されるよりましか……」
紅蓮の背中を見ながら、楸は、彼が歩んできた道を思い、心が苦しくなった。
辛い道を歩み、両親を恨んでもおかしくないのに、彼は、それをしていない。
「カグツチ様にとってイザナギとは」
「そうだな。糞な父。呪うだけアホというもの。俺は、そんな暇などない。楽しく生きたいからな」
そう楽しく生きる。結局そこにたどり着くのだろう。
楸は、まぶしい紅蓮の笑みを見て、微笑むと思うのであった。自分もまた悔いのないように日々を生きなくては。
「ですね」
紅蓮は、楸の微笑みを見て、安心すると、海を見る。
「さて帰るか」
「ですね」
こうして彼は、帰路についたのであった。この旅は、またこの神と神子のなかを深めた。これもまた縁と言うもの。
本当に縁とは、不思議でそれでいて、良いものでもある。彼らは、そう思いながら、日常に戻ったのであった。
楸は、大きな鳥居の前でそっと息を吐いた。
「はぁ……」
この場所が嫌いなどでは、ない。先程いっ場所が嫌だった。
「楸が墓参りとは、珍しい」
武人を思わせる装いの青年がキセルを持ち、楸のとなりに表れる。
「紅蓮様……」
「まぁ俺もまさかおふくろの墓があるとされる土地に来るとはなぁ……」
紅蓮と呼ばれるがその名は、彼の真名では、ない。
天津神でもない彼は、産まれてすぐに母を焼き殺し、父に殺された。
神話では、そこで終わりだが、その後それを見ていたある神が力を貸し、彼は、生まれ変わった。
「ここで真名を呼んでもかまわないんですか??」
「別にいいが」
彼の真名は、カグツチ。古事記において、重要な神ともいえる。
「カグツチ様行かれますか?? イザナミ様の墓前に」
「そうだな……」
紅蓮は、そのまま黙ってしまった。たぶん色々複雑な心境があるのだろう。
「昔は、ここが本殿だったんだもんな……」
楸が今いる土地には、本宮大社がもとは、あった。
しかし洪水で流されたの地は、今の高台へと移設された。
「今は、木々のみだな」
紅蓮は、そういうと、煙管を吸い、煙を口から吐いた。
「八咫烏のやつがいるな……」
「え??」
楸は、まさかと思ったが、目があった。鳥居の上に止まっている鴉と。
「まさか偵察か??」
「違うだろ。それに八咫烏を動かせるのは、白野威か高御産巣日神くらいだからな」
となるとただ、自分達を見ているだけのようだ。
「まぁ私もあさからぬ縁だしな……高御産巣日神とは……」
楸は、友美の遠縁の親戚であり、少なからず、高御産日神の血をひく。
もしかするとその気配で惹かれ、見ているだけかもしれない。
「楸で一応悔いなく墓参りは、出来たか??」
楸は、切なげにわらう。
「形だけは、ですが。なんせあの墓には、妹の骨すら入ってませんから」
楸の一族の墓は、この熊野の地にあり、楸は、今回墓参りをしに来た。
来たのは、形ばかりの、妹の納骨以来だ。
「やく25年前……このような天気の日に私と妹は……森に入り、迷い……別れてしまった」
楸は、親や祖父母にも伝えたが、警察に行方不明者として、捜索願を出したというのに、何故彼らさ、はなから全て諦めていた。
「今思うに両親は、妹がもう帰ってこないと分かっていたんだと思います……」
紅蓮は、溜め息をつく。
「友美の一族ならともかく、楸の一族は、血が薄くなり、だが力は、ある。神やあやかしにとっては、いい贄だからな……」
しかも幼い女児ときた。たぶん育てられ、成熟し食われたのだろう。
紅蓮は、煙管を片付けると、いった。
「えぇ。神子となり、色々見えたからこそ分かります。その理由もそして私の先祖達も同じ目にあってきたことを」
だから楸の両親は、この地を出て、子供を別のと地で育てることにした。
しかし因縁とは、皮肉なもの。その縁を絶ちきれていないからこそ、また同じことを繰り返した。
「ですが、みつけられてよかったとも思います。なにも知らずに、何もみつけられずにいるよりは、絶対にいい」
「ならよかったが」
紅蓮は、そういうと、楸の所に。
「盆になるとピリピリするのいい加減にどうにかしろ」
楸は、自嘲する。
「といわれても何故かイライラしてしまうんです!!」
「妹の事が尾をひいてるからだろ」
ビシッと紅蓮にいわれ、楸は、視線をそらす。
「全て焼き尽くしてもいいんだが??」
カグツチの火は、浄化の炎ともされる。
楸は、確かにこの神の権能ならばこの後悔、悔しさを焼き尽くせるのだろうも思った。
「それは、遠慮します」
しかしそれを捨ててしまっては、妹との大切な記憶も失くす。それだけは、楸は、したくなった。
「カグツチ様私は、貴方の神子としてやれてますか??」
真っ直ぐに楸は、炎神を見据える。
神は、微笑む。誇らしげに。
「当たり前だ。それに俺も楸は、縁がある。俺は、母を焼き殺した。そして楸は、妹を見殺した」
楸自身そのつもりがなかったとしても。彼は、落ちた妹を助けられずに、見殺しにしたともいえる。
その後両親、祖父母に、報告し、助けようとしたといえど。結果として助からなかったのだから。
「俺は、その後父に殺された。だが今こうして生きている。楸もまた後悔のなかでいき、友美達と出会い、妹を見つけ出せた。ここまでいえば分かるだろ??」
楸は、困ったように笑う。
「確かに私は、貴方の遣いとして相応しいようだ」
「まぁ……ヘタレだがな」
「誰がヘタレです!?」
楸は、なわけたるかと思いつつ紅蓮を睨むと、彼は、楽しげに笑っていた。
「楸俺も一応母の墓前にいこう」
「ならとりあえず本宮大社に挨拶をして参りますか」
「俺がいるのにか??」
紅蓮は、真面目にいうが、楸は、紅蓮の発言に呆れた。
「土地神に挨拶は、いるでしょう!? とくにイザナミ、イザナギを祀ってるのに!!」
「素盞嗚もいるがな」
紅蓮は、やれやれという感じである。
「兄より弟に挨拶ってなに!?」
「その兄が側にいるから弟に挨拶ですよ」
日頃鳥の姿で頭に乗ってくるのは、誰だと楸は、思いつつ溜め息をつくと、歩き出す。
「とりあえず新宮にも行きますか……」
「酒と鈴焼き!!」
「あのー速玉大社に挨拶は!?」
「いらんいらん」
紅蓮は、そういうと、笑うが楸としては、せめて挨拶くらいさせてくれとは、思った。
その後本宮大社に楸は、いき、挨拶をし、境内に。
参道の端をあるき、階段を登り、本殿に挨拶を済ませると、目があった。賽銭箱の上にいる八咫烏と。
「その気配……やはりあの一族の遠縁か……」
「えぇ」
話しかけられたので答えると八咫烏は、言う。
「お主は、その輪から抜けられたようだな」
「お陰さまで」
後ろの紅蓮を見て、八咫烏は、なにか察したようだ。
「紅蓮ノ神子よ神子姫によろしくと」
八咫烏は、そういうと、姿を消した。
「友美顔広すぎないか……」
「まぁ友美だしな」
楸は、それで納得するしかなかった。
その後楸は、本宮大社を後にし、力を使い、新宮に。地酒と鈴焼きを買うと、そのまま三重に。
「ここが……」
やって来たのは、花の窟。ここは、イザナミノミコトの墓の一つとされるところだ。
紅蓮は、再び姿を見せると、そのまま中に。そしてイザナミの墓とされる大岩の前に来ると呟く。
「来ました母上」
ここに来たところでイザナミに会えるわけでは、ない。
なんなら友美に頼んだ方が会える。だが何故かここへ来た方がいい気がした。
「人の真似事だが……」
紅蓮は、先程買った酒を開けると、撒いた。大岩に。
「これで少しでも母上が安らかになるのならいい……」
「カグツチ様……」
「神には、酒が一番だからな」
さて母は、この酒を黄泉で受け取ってくれるだろうか。しかしその答えをカグツチは、知る術がない。
紅蓮は、目を伏せ楸の方を見る。
「帰るぞ」
「分かりました」
楸も挨拶を済ませ、紅蓮と花の窟を後にした。
「これは……ふむ……珍しいこともあるものだ」
黄泉にて、イザナミの所には、温かな雫が落ちてきていた。
甘く芳醇か香りの酒だろう。その酒からは、どことなく懐かしい香りもする。
産まれ、自分を焼き殺したカグツチの香りが。
「ほんに私を亡くしたからと……息子を殺すとは……イザナギには、呆れる……私との約束も守らずに……」
あの時天之御中主神が手を差し伸べなければカグツチは、間違いなくこの黄泉にて、永遠に燃える烈火になっていたかもしれない。
それだけは、避けられてよかったと母としてイザナミは、思う。
「……無事に産まれ、ほんによかった」
もうそろそろ鳥の姿では、なくカグツチとして、会って欲しいものだが。
「また友美に機会をもうけてもらうか……さすがのあやつも友美からは、逃れられぬしな」
イザナミは、そういうと、優しい顔をし、微笑んだ。
「にしてもお酒買いすぎでは!?」
「地酒だからな!!」
花の窟を後にした楸と紅蓮は、そんな話をしながら、海に来ていた。
「俺は、流されずに済んでよかったかもな」
海を見ていう紅蓮に、楸は、思い出していた。
「蛭子の事ですか……」
「そうだ。まぁあの両親にとっては、完璧な神こと己の子なのであろうな」
その完璧とは、なんかのかと思うこともあるが。
「まぁ殺されるよりましか……」
紅蓮の背中を見ながら、楸は、彼が歩んできた道を思い、心が苦しくなった。
辛い道を歩み、両親を恨んでもおかしくないのに、彼は、それをしていない。
「カグツチ様にとってイザナギとは」
「そうだな。糞な父。呪うだけアホというもの。俺は、そんな暇などない。楽しく生きたいからな」
そう楽しく生きる。結局そこにたどり着くのだろう。
楸は、まぶしい紅蓮の笑みを見て、微笑むと思うのであった。自分もまた悔いのないように日々を生きなくては。
「ですね」
紅蓮は、楸の微笑みを見て、安心すると、海を見る。
「さて帰るか」
「ですね」
こうして彼は、帰路についたのであった。この旅は、またこの神と神子のなかを深めた。これもまた縁と言うもの。
本当に縁とは、不思議でそれでいて、良いものでもある。彼らは、そう思いながら、日常に戻ったのであった。
