光明ノ神子2

 100均に用があり、友美は、ふと手芸コーナーを見た。
「けっこう色々ある……」
 今は、100均でも多くのハンドメイドに使える道具や材料があるのかと驚かされる。
「毛糸もある!!」
 毛糸の棚は、カラッカラ。ほぼ在庫がない。
 しかし不思議と残っている毛糸だまもある。おもむろに手を取り、友美は、素材を見た。
「アクリル100%か……」
 やはりアクリル100%の系とは、人気があるようで、ないのが現実らしい。
「アクリルといえば、たわしだものね……」
 色々と重宝するアクリルの毛糸たわし。
 けっこう汚れも取れ、つよく経済的だ。
「アクリルって強いんだけど、汗吸わないし、化学繊維だし……100%は、私もたわしにしか使わないかなぁ……」
 友美は、そういうと、毛糸だまを棚に戻した。
「……やってみるか」
 友美は、そう呟くと、とりあえず必要なものを買い、100均を後にした。
 帰宅するの、和室へ行き、押し入れをごそごそ探る。
「友美何してるのさ」
「ちょっと探し物!!」
 白野威は、不思議そうに友美を見ていると、友美は、何やらかごを見つけ、出してきた。
「あった!!」
「なにそれ??」
 白野威は、和室へ入ってくるとちょこんと座る。
「みてみて!!」
 友美は、かごを開けると、中には、かぎ針や、毛糸マーカーが入っていた。
「編み物用だね」
「編み物しようと思って!!」
 友美の発言に白野威は、驚く。これこそ、青天の霹靂というやつだ。
「なんちゅう事!? までもさした!?」
「さしてないわよ。ただ、久しぶりに挑戦しようとしたの!!」
 友美は、不機嫌な顔をし、いうと、出した荷物を片付け、そしてかごを持つ。
「でもさ毛糸あるの??」
「それは、これなら買ってくるわ」
「今の時期ある??」
「といいますと??」
 白野威は、呆れ顔に。
「バレンタインで皆毛糸買うから、あちこち無くなるのさ」
「はぁ?? 何故にバレンタイン?? チョコあげないの??」
「チョコとマフラーあげるやつもいるのさ!!」
「マフラーか……」
 光が喜びそうだなと友美は、思った。
「光ずっと着けてそう……マフラーあげたら!!」
「それこそ、ネックウォーマーやスヌードじゃね?? あげるとしたら」
「確かに!!」
 友美は、この時せっかくならとひらめいた。
「よし!! とりあえず毛糸買いにいくぞー!!!」
 友美は、そういうとしたくをし、手芸屋に。
 毛糸コーナーに来ると、モヘヤのぬくそうな毛糸を手に取り、かごにいれ、他にもモコモコな毛糸もいれ、会計をした。
 帰宅し、友美は、さっそく編み始めたが、なかなか難しい。
「友美無表情……」
 隣でみていた白野威がそう呟くほど、友美は、無表情で編んでいた。
 時より動画で手順解説は、みていたが。 
「こりゃ無理だね」
 白野威は、そういうと、螢を迎えに行き、帰ってきても友美は、編んでいた。
 友美が一度集中すると、周りが見えないのは、螢も知っている。
「お母さんあれは、気づかない!!」
「だね螢。おやつ食べる??
「食べる!! 白野威!!」
 あのずぼらな白野威がここまで子守りがうまいとは、誰が想像できようか。 
 その後も白野威は、帰ってきた小学生組も含め、めんどうをみ、楽しく遊んでいた。
 やはり友美のためなら一肌脱ぐのが白野威らしい。
「友美??」
 友美は、はっとし、顔を上げると、光が。辺りを見渡し、ハッとすると、時計をみて、顔を青ざめる。
「幼稚園のお迎え!!!」
 アワアワとする友美だが、本を読んでいる螢をみて、驚く。
「私がお迎え行ってきたのさ」
「白野威!! ありがとう!!」
 本来の人の姿の白野威に友美は、お礼をいうと、白野威は、言った。
「まぁいいよ」
 白野威は、そういうと狼の姿にまたなり、その後リビングを出ていった。
「光おかえりなさい……」
「すごい集中してたね……」
「つい……」
 とりあえず友美は、螢そして小学生組にも、おかえりなさいと言いに行き、その日あった事を一通り、聞いた。
 子供達も気遣ってくれたのだと改めて思いながら、話を終えると、礼を言い、リビングに戻ってきた。
「友美が編み物って青天の霹靂だな……」
 光に言われ、友美は、ばつの悪そうな顔になる。
「なにそれ!!」
「珍しいと思ったんだ」
「私だって編み物することもあります!!」
 怒ってる友美も可愛いなと光は、思うなか、友美は、また黙々と編み出す。
 友美が一度集中すると、声をかけても、返事がないことを光は、知っているので、黙って夕飯を作り出した。
「ママご飯出来たって!!」
「遊李ありがとう」
 友美は、息子にそう言うと、ご飯を食べ、その後片付けをし、空いた時間で編み物を続けた。
 これがあんがいはかどり、ついつい編んでしまう。
「友美にしては、珍しいね」
「なんか編めちゃうのよね」
 そして楽しいと思っていることに驚く。
「毛糸のいろ落ち着いた色だね」
 白野威は、改めて、思った。友美なら鮮やかな色を選ぶだろうと思っていたので。
「私用じゃないしね」
「なぬ!?」
「さすがに男性に派手な水色とかはねー??」
「確かに……だから落ち着いてる黄色と水色か……」
「そう!! それにこの編みかた可愛いし!! たぶんいける!!」
 誰にあげるのか白野威は、すぐに分かり、笑った。
「愛の力は、すごいねぇー」
「まぁこんな私を必要としてくれるし、結婚してくれるしね??」
「またそんな言い方をする。本当は、大好きなくせに」
「隠してないわよ!?」
「分かってるつうの!!」
 友美は、分かりやすいが、それでも隠すのも上手い。
 それを見破れるのは、光と白野威くらいだろう。
「でもピンクの方がよかったかな??」
「まぁいいんじゃない?? 無難な色だし」
「そっか」
 友美は、微笑むと、編む。そしてしばらく編むと、出来たのか、毛糸を切り、後処理をすると広げた。
「おっー!!!」
「友美スヌード??」
「そう!! ぬくいしマフラーよりつけれるかと!!」
 これも贈る相手の事を考えての結果といえる。
 友美は、ニコニコしながら、色々想像していた。
「よし!! これなら大丈夫!!」
 友美は、そういうと、買ってきたラッピングの袋にスヌードをいれた。
「白野威には、こっちね!!」
「えっ!?」
 友美は、なんと白野威にもマフラーを作っていた。
 巻いてあげると白野威は、嬉そうに笑う。
「ぬくぬく」
「よかった!!」
 友美は、満足げに笑い、袋を和室へ持っていき、螢のお迎えに。
 帰宅後は、子供達と話をしたり、家事をしたりし、光が帰宅する時間に。
「ただいま」
 光は、そういい、リビングに入ってくると、子供達が出迎える。
「おかえり!!」
 光は、リビングを見渡す。
「友美は??」
「お母さんなら和室や」
 榎麟は、そういうと、光は、いう。
「ありがとう」
 光は、和室へいくと、友美がなにかごそごそしていた、
「友美??」
「光おかえりなさい!!」
 友美は、微笑むと、光にラッピングした袋を渡した。
「これは??」
「いいから開けて!!」
 光は。頷き、開けると、中のスヌードをみて、驚く。
「これこの間友美が編んでたやつ??」
「そう!! 光にあげようと思ってね!!」
 光は、嬉しそうに笑うと、着替えて、さっそくスヌードをつけた。
「ぬくぬく」
「よかった!!」
 友美は、光に抱きつく。
「光これでもっとぬくぬく??」
「うん」
 光は、優しく笑うと、友美に口づけした。
「ただいまの分まだだったから」
「ありがとう」
 相変わらずイチャイチャする両親に子供達は、なまあたたかい目でみていた。
「お父さんすぐにイチャイチャやなぁ……」
「だよねー」
 榎麟と遊李は、そういうと、光は、渋々友美から離れた。
「後でね??」
「そうだな」
 友美と、光は、微笑むと、リビングに行った。さてさて夕飯は、何にしようか。
 友美と、光は、そう考えながら、子供達の話を聞いていたのであった。
 
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