光明ノ神子2
七月に入り、唸る暑さに懲り懲り。
「あちー」
扇風機の前でアイス片手に座っている燕青。
これこそ、日本の昔ながらの夏かとも思い、アイスを食べていると、背中に何か飛び付いた。
「暑い……」
声の主に可愛いことするなと思いつつそれをいうと、殴られそうなので、あえて燕青は、こういった。
「暑いなら俺にくっつくなぁー」
「神の恨みは、末代まで……」
勇音は、そういうが、燕青は、更に突っ込む。
「恨み!?」
「私を置いて死んだくせに……」
恨ましそうに言われ、燕青は、ため息をつく。
「本当に神ってる心底深いぜ……」
「何が??」
「想いがさ」
だからこそ、怒らせれば末代まで祟られることも言えるが。
しかも生かさず、殺さずに。
「でくっつきに来たってことは、服装か??」
勇音は、察しがいいなと思いつつ頷く。
「洋服のコーディネートを見て欲しい」
「珍しい」
「髭剃れ」
じょりじょりしてると勇音は、思いながら、燕青のほほをつつく。
「地味に痛いんですが!?」
「天罰」
「天罰ってなぁ……」
まぁ相手は、れっきとした女神なので、そうなのかもしれないとも燕青は、思ったが、それにしては、優しい天罰だなとも思う。
「それに髭は、毎日剃ってるんだけど!!」
「当たり前」
確かに当たり前なのかもしれないが、それでも凄いくらいは、いってほしい。
「でコーディネートどんなにしたんだ??」
燕青は、話をすると、勇音は、立ち上がり、燕青の前にたつ。
「変??」
さすがにこれだけ暑いと、熱中症にもなる。勇音も洋服になるようだ。
じっくりと燕青は、見てそしていった。
「俺の彼女美人だな……やっぱり……」
飾り気のない率直な言葉。
勇音は、恥ずかしくなり、頬を赤く染めた。
「いいじゃん。ワンピース似合ってると思うぜ」
「ありがとう」
「でも俺は、パンツ姿もみたいかも」
「下着!?」
「違う!! ズボン!!」
勇音は、ホッとした顔をしいう。
「ズボンでいいのに、何でパンツって言うの??」
「横文字に憧れる日本人のさが」
「ありそう」
とりあえず今度は、久しぶりにジーンズでもはこうかと勇音は、思いながら、じっと燕青の持つアイスを見ていた。
「……」
「食べたいなら食べればいいじゃん!! 冷凍庫にあるから!!」
燕青は、さて、残りを食べようと思ったとに、既にアイスは、なく。
「えっ!!??」
凄い速さで、勇音が座り、なんと燕青のアイスを食べてしまった。
むなしく残された棒を見ながら、燕青は、思う。冷凍庫の食べろよと。
「勇音さん。なんで食べかけを食べるの!?」
「なんか美味しそうに見えた」
「なにそれ……」
「美味しかった。やっぱり好きな人が食べてる物って美味しく見えるみたい」
友美が光が美味しそうに食べてると食べたくなると言っていたがこれがまさにそうなのかもしれない。
「……そうか」
素直にこう言われては、怒るものも怒れなくなる。
本当に惚れた相手には、自分の気持ちも思うようにいかないようだ。
「燕青アイス食べるよね??」
「うん」
勇音は、立ち上がると、冷蔵庫の冷凍室を開け、アイスを取り、閉めた。
「七夕は、夜いる??」
燕青にアイスを手渡し、勇音は、聞く。
「七夕なんか興味あったんだなぁ……」
アイスを受け取りながら、燕青は言うと、勇音は、不服そうだ。
「一応ある」
しかも何故か何時もよりも距離が近い。
隣に燕青は、腰を下ろした勇音を見て、少し驚くと共に思った。
もしかしてここで人生終わりとかならないよなと。
「まぁいるけど……飲み会とか入ってないし……」
なにより、なにか予定を神子の男子組で入れてみろ、友美とユニという恐ろしい二人を敵にまわすことになる。
(友美とユニは、怒らせるとやべーからなぁ……)
隣の勇音もそうとうヤバイが。
「ならよかった」
勇音は、アイスを袋から出し、食べるとホッとしていた。
「なんか考えてんの??」
とりあえず聞いてみると、何時もなら秘密という勇音だが、本日は、珍しく素直に。
「天ノ川見たいと思っただけ」
「天ノ川か……ここら辺は、夜と明るいから……少し田舎に行かないとだな……」
どこなら見れるかなと燕青は、考える。
そんな彼のとなりでも勇音は、恥ずかしそうに目を伏せていた。
「言ってみないと伝わらない……か……」
確かにそうかもしれない。ついつい当たり前と思いながらも忘れてしまうこと。
いやあえて怖さから話さないこととも言えるかもしれない。
「なら夜走る??」
燕青がそう勇音に問いかけた時彼女は、何故か切ない顔をしていた。
燕青は、優しい声色でいう。
「俺今隣にいるだろ??」
「分かってる」
分かっているがそれでとあの時の喪失感は、今でも鮮明に覚えている。
だから恐ろしくなる。求めたら、また居なくなってしまうかもしれないと。
「居なくならいさ」
「……そういって居なくなったじゃん」
「すみません」
説得力にかけるな自分と燕青が自嘲するなか、勇音は、じっと燕青を見ていた。
「でもまた会いに来てくれた……」
「勇音……」
「凄く……待たされたけど……」
「神にとっては、数年って感覚じゃねぇ??」
なんとなく燕青は、聞いてみたが、そうでは、ないようだ。
「普通ならそうかもね。でも悲しみにくれ、喪失感と共に待ったこの数百年は、長い……」
もし違っていたら、前世の燕青と長くてもたった五十年程生きて、その後その想い出と共に、高天ヶ原で勇音は、生きていたに違いない。
「もし俺が死んでなかったら、勇音は、変わってただろうな……」
「たぶんこの店もしてない。それに皆を見送ってない……」
最後月花ノ神子よりも少しだけ早く神子となり、その後月花ノ神子以外の神子たちを見送った霧ノ神子。
勇音は、その頃は、まだ高天ヶ原に住んでいた。だが、燕青と出会い、興味がわき、ナカツクニに住むように。
「燕青のお陰で、私は、ナカツクニに住むようになって、気づけば瑠花達を見送り、この店を作った。だから出会えてよかったとも思う」
ポンポンと頭を撫でられる感覚に、勇音は、心地よさを感じていた。
「でも悲しみっていうのは、それとは、また別でずっといるもんなぁ……」
「そう」
「本当に待たせてすまん」
本当に待たせたのは、事実。なにやら、科学的なデータでは、人の転生は、死後約三年でされるらしい。
だが燕青は、その100倍程、時間がかかっていた。
「……まさか、鎌倉末期というか……室町というかで死んで、転生したのが平成だもんなぁ~あはは……」
と笑うしかない。
「のんびりしすぎ」
しかしもし彼が多くの人を殺し、罪を償うのにそれだけかけたのならかかるのも無理は、ない。
しかしそれを知るとなると、黄泉へいき、地獄で色々調べなければならなくなる。
「でもこうして会いに来たからいいじゃん!! ね??」
燕青は、お茶目にいうが、それでもだと勇音は、思った。
「まぁ許すけど……」
巡り会えたのだからそれだけでもよしとしなくては、ともいえる。
「とりあえず七夕は、ツーリングでいい??」
勇音は、頷く。
「うん」
「なら決まりっと!!」
さてさて、どんな計画を立てるべきか燕青は、悩み出すが、勇音としては、一緒に見れたら、なんでもいいという感じだ。
「おにぎり持っていって食べるとかでもいい」
「ロマンチックじゃねぇな!?」
普通ここは、少しおしゃれなカフェとかと言わないかと燕青は、思ったが、基本薬草にしか興味がない勇音にとっては、どうでもいいのだなとも思えた。
「いい意味でもこだわりないもんなぁー」
「一応あるけど」
「ならそうしとく」
ここは、とりあえず穏便にことを運ぶにもこの方がいいだろう。
「ふふふ楽しみ」
「そりゃなにより」
ようやく笑った勇音を見てひと安心。
燕青は、アイスをようやく食べると、優しく微笑むのであった。
愛しい彼女を見ながら、よかったと安心したように。
「あちー」
扇風機の前でアイス片手に座っている燕青。
これこそ、日本の昔ながらの夏かとも思い、アイスを食べていると、背中に何か飛び付いた。
「暑い……」
声の主に可愛いことするなと思いつつそれをいうと、殴られそうなので、あえて燕青は、こういった。
「暑いなら俺にくっつくなぁー」
「神の恨みは、末代まで……」
勇音は、そういうが、燕青は、更に突っ込む。
「恨み!?」
「私を置いて死んだくせに……」
恨ましそうに言われ、燕青は、ため息をつく。
「本当に神ってる心底深いぜ……」
「何が??」
「想いがさ」
だからこそ、怒らせれば末代まで祟られることも言えるが。
しかも生かさず、殺さずに。
「でくっつきに来たってことは、服装か??」
勇音は、察しがいいなと思いつつ頷く。
「洋服のコーディネートを見て欲しい」
「珍しい」
「髭剃れ」
じょりじょりしてると勇音は、思いながら、燕青のほほをつつく。
「地味に痛いんですが!?」
「天罰」
「天罰ってなぁ……」
まぁ相手は、れっきとした女神なので、そうなのかもしれないとも燕青は、思ったが、それにしては、優しい天罰だなとも思う。
「それに髭は、毎日剃ってるんだけど!!」
「当たり前」
確かに当たり前なのかもしれないが、それでも凄いくらいは、いってほしい。
「でコーディネートどんなにしたんだ??」
燕青は、話をすると、勇音は、立ち上がり、燕青の前にたつ。
「変??」
さすがにこれだけ暑いと、熱中症にもなる。勇音も洋服になるようだ。
じっくりと燕青は、見てそしていった。
「俺の彼女美人だな……やっぱり……」
飾り気のない率直な言葉。
勇音は、恥ずかしくなり、頬を赤く染めた。
「いいじゃん。ワンピース似合ってると思うぜ」
「ありがとう」
「でも俺は、パンツ姿もみたいかも」
「下着!?」
「違う!! ズボン!!」
勇音は、ホッとした顔をしいう。
「ズボンでいいのに、何でパンツって言うの??」
「横文字に憧れる日本人のさが」
「ありそう」
とりあえず今度は、久しぶりにジーンズでもはこうかと勇音は、思いながら、じっと燕青の持つアイスを見ていた。
「……」
「食べたいなら食べればいいじゃん!! 冷凍庫にあるから!!」
燕青は、さて、残りを食べようと思ったとに、既にアイスは、なく。
「えっ!!??」
凄い速さで、勇音が座り、なんと燕青のアイスを食べてしまった。
むなしく残された棒を見ながら、燕青は、思う。冷凍庫の食べろよと。
「勇音さん。なんで食べかけを食べるの!?」
「なんか美味しそうに見えた」
「なにそれ……」
「美味しかった。やっぱり好きな人が食べてる物って美味しく見えるみたい」
友美が光が美味しそうに食べてると食べたくなると言っていたがこれがまさにそうなのかもしれない。
「……そうか」
素直にこう言われては、怒るものも怒れなくなる。
本当に惚れた相手には、自分の気持ちも思うようにいかないようだ。
「燕青アイス食べるよね??」
「うん」
勇音は、立ち上がると、冷蔵庫の冷凍室を開け、アイスを取り、閉めた。
「七夕は、夜いる??」
燕青にアイスを手渡し、勇音は、聞く。
「七夕なんか興味あったんだなぁ……」
アイスを受け取りながら、燕青は言うと、勇音は、不服そうだ。
「一応ある」
しかも何故か何時もよりも距離が近い。
隣に燕青は、腰を下ろした勇音を見て、少し驚くと共に思った。
もしかしてここで人生終わりとかならないよなと。
「まぁいるけど……飲み会とか入ってないし……」
なにより、なにか予定を神子の男子組で入れてみろ、友美とユニという恐ろしい二人を敵にまわすことになる。
(友美とユニは、怒らせるとやべーからなぁ……)
隣の勇音もそうとうヤバイが。
「ならよかった」
勇音は、アイスを袋から出し、食べるとホッとしていた。
「なんか考えてんの??」
とりあえず聞いてみると、何時もなら秘密という勇音だが、本日は、珍しく素直に。
「天ノ川見たいと思っただけ」
「天ノ川か……ここら辺は、夜と明るいから……少し田舎に行かないとだな……」
どこなら見れるかなと燕青は、考える。
そんな彼のとなりでも勇音は、恥ずかしそうに目を伏せていた。
「言ってみないと伝わらない……か……」
確かにそうかもしれない。ついつい当たり前と思いながらも忘れてしまうこと。
いやあえて怖さから話さないこととも言えるかもしれない。
「なら夜走る??」
燕青がそう勇音に問いかけた時彼女は、何故か切ない顔をしていた。
燕青は、優しい声色でいう。
「俺今隣にいるだろ??」
「分かってる」
分かっているがそれでとあの時の喪失感は、今でも鮮明に覚えている。
だから恐ろしくなる。求めたら、また居なくなってしまうかもしれないと。
「居なくならいさ」
「……そういって居なくなったじゃん」
「すみません」
説得力にかけるな自分と燕青が自嘲するなか、勇音は、じっと燕青を見ていた。
「でもまた会いに来てくれた……」
「勇音……」
「凄く……待たされたけど……」
「神にとっては、数年って感覚じゃねぇ??」
なんとなく燕青は、聞いてみたが、そうでは、ないようだ。
「普通ならそうかもね。でも悲しみにくれ、喪失感と共に待ったこの数百年は、長い……」
もし違っていたら、前世の燕青と長くてもたった五十年程生きて、その後その想い出と共に、高天ヶ原で勇音は、生きていたに違いない。
「もし俺が死んでなかったら、勇音は、変わってただろうな……」
「たぶんこの店もしてない。それに皆を見送ってない……」
最後月花ノ神子よりも少しだけ早く神子となり、その後月花ノ神子以外の神子たちを見送った霧ノ神子。
勇音は、その頃は、まだ高天ヶ原に住んでいた。だが、燕青と出会い、興味がわき、ナカツクニに住むように。
「燕青のお陰で、私は、ナカツクニに住むようになって、気づけば瑠花達を見送り、この店を作った。だから出会えてよかったとも思う」
ポンポンと頭を撫でられる感覚に、勇音は、心地よさを感じていた。
「でも悲しみっていうのは、それとは、また別でずっといるもんなぁ……」
「そう」
「本当に待たせてすまん」
本当に待たせたのは、事実。なにやら、科学的なデータでは、人の転生は、死後約三年でされるらしい。
だが燕青は、その100倍程、時間がかかっていた。
「……まさか、鎌倉末期というか……室町というかで死んで、転生したのが平成だもんなぁ~あはは……」
と笑うしかない。
「のんびりしすぎ」
しかしもし彼が多くの人を殺し、罪を償うのにそれだけかけたのならかかるのも無理は、ない。
しかしそれを知るとなると、黄泉へいき、地獄で色々調べなければならなくなる。
「でもこうして会いに来たからいいじゃん!! ね??」
燕青は、お茶目にいうが、それでもだと勇音は、思った。
「まぁ許すけど……」
巡り会えたのだからそれだけでもよしとしなくては、ともいえる。
「とりあえず七夕は、ツーリングでいい??」
勇音は、頷く。
「うん」
「なら決まりっと!!」
さてさて、どんな計画を立てるべきか燕青は、悩み出すが、勇音としては、一緒に見れたら、なんでもいいという感じだ。
「おにぎり持っていって食べるとかでもいい」
「ロマンチックじゃねぇな!?」
普通ここは、少しおしゃれなカフェとかと言わないかと燕青は、思ったが、基本薬草にしか興味がない勇音にとっては、どうでもいいのだなとも思えた。
「いい意味でもこだわりないもんなぁー」
「一応あるけど」
「ならそうしとく」
ここは、とりあえず穏便にことを運ぶにもこの方がいいだろう。
「ふふふ楽しみ」
「そりゃなにより」
ようやく笑った勇音を見てひと安心。
燕青は、アイスをようやく食べると、優しく微笑むのであった。
愛しい彼女を見ながら、よかったと安心したように。