日常編2

 研修としてここに来てから数日ひたすらに掃除しかしていない。 
 夏は、綺麗にしても終わらない広い宮殿の廊下でげんなりしていた。
「女官さん達は、あっという間にするのに……」
 ただ気づいたことがある。黒いもやが時々見える。女官は、それを綺麗にしていることに。
 話を聞いても綺麗にするだけとしか言われず、たぶんここで霊力を使うのだろうとまでは、仮定できた。しかしやり方がまったく思い付かない。
「掃除と関係してるみたいだけど……」
 しばらく悩みながら、掃除をしていると人影が。
「いいかんじね」
 この声はと夏は、声をする方を見ると友美がいた。
 掃除した箇所を感心するように見ながら。
「神子様」
 友美は、微笑むという。
「夏さんお疲れ様。少し様子を見に来たわ」
「ありがとうございます」
 連れてきた手前様子は、見に来るのかと夏は、思いながら、本当にこの女性は、なにを考えているのか分からなかった。
「そこまでもうきたか……」
「そこまでとは??」
「黒いモヤ見えてるでしょう??」
「はい」
 なぜ分かるのと内心焦る。友美は、そんな夏を見て言う。
「女官達肝心なところは、教えないのかー」
 友美は、呆れた顔をし続けた。
「ここの女官天照過激派で私の事も気にくわないからまぁ、予想してたけど」
「代行者である神子様が!?」
「私天照の代行者では、ないから」
 友美は、さらりと言うと、廊下をすみをみた。
「夏さん掃除とは、なんだと思う??」
 突然の問いかけに夏は、慌てて答えた。
「綺麗にするって事です」
「そうね。なら浄化とは、なにかしら??」
 夏は、この時気づいた。なぜ掃除をしろと言われたのか。
「まさか……だなか掃除??」
「皆浄化というけれど、掃除なの。簡単に言うとね。穢れとは、細菌感染やら悪縁やら悪い物を指す言の葉でもある。ならどうすればいいあの黒いものは、綺麗に出来るかしら??」
 夏は、考えた。この人は、たぶん必要なことしか言わない。
 ならなんなのだろう。掃除とは、適材適所に洗剤やらある。なら黒いものの、洗剤とは。
「まさか霊力……??」
 友美は、微笑む。
「やってみなさいな」
 夏は、頷くと、見える黒いもやに霊力を当ててみた。
 洗剤をイメージし、掃除をさらにしているように腕を動かすと黒いもやが消えた。
「おめでとう。第一ステップ合格」
 夏は、キョトンとしたのち驚く。
「えっ!!!???」
「こんな事って思ってるでしょうけど、それが大切なのよ」
 友美は、そういうと続けた。
「大義をなすにも小さいことが大切なの。貴女がやりたいことは、まさにそれ。本丸の運営維持をしながら清めの術も使う。複数の術を執行することにもなる」
「神子様……」
「とりあえず次のステップに移りましょう」
 友美は、そう言うと夏は、嬉しそうにガッツした。
「次のステップとは……」
「霊力のコントロールよ」
「複数の術を使うためのですか??」
「そうよ。あとは、霊力の節約ね」
 神子ならともかく普通の者は、霊力が回復が遅く湯水のように使うと死んでしまう。
 友美は、いった。
「次からは、正雪所に」
 夏の瞳が煌めく。嬉しそうに。
「幸さんところに……」
「えぇ。力の節約とコントロールに関しては、あの子は、得意だから」 
 確かに学校でも彼女は、霊力に関することは、他の誰よりも秀でていた。
「神子様ありがとうございます。頑張ります!!」
「力まなくていいから。とりあえず次からは、ここでは、ないところに来てもらうわ」
「この宮殿でしないんですか??」
 友美は、困ったように笑う。
「ここでやると正雪と女官が衝突するから……あと天照が正雪を寄越せと五月蝿いしね……」
 友美は、呆れた顔をするので夏は、そんなに大変なのかと少し感じ取れた。
「幸さん……長義にもすごい守られてましたし……元来神に好かれやすいのかな……」
「まぁそれは、あるわね。正雪純粋だから」
 友美は、そう言うと夏をみる。
「次からは、ナカツクニに来てもらうから」
「えっ!?」
「刀剣達の屋敷でもいいのだけれど色々機密もあるから。とりあえず過去に干渉しないようにだけ心に止めておいて」
「分かりました」
「加州に関しては、彼の覚悟次第よ」
 夏は、目を伏せた。加州は、出会ったときから普通の審神者になって欲しいと思っている。
 そんな彼が覚悟を決めるとなるとなかなか大変かもしれない。
「私にできることは、ありますか??」
「よく話すことね。私も国広とそうして絆を築いてきたから」
「神子様の初期刀は、山姥切国広なんですか!?」
「えぇ。あの変なね」
 主から変といわれる山姥切国広ってどうなのかと思ったが、確かに変わっていたのである意味主も認めると考えたらいいのかとも思える。
「あと共に戦場に立てば……といいたいけど、国広からそれをやるのは、姫と正雪と旦那だけと言われるから……辞めておくのが無難ね」
 夏は、さらに唖然としていた。
「もしかして演練場で暴れたおした伝説の審神者って……」
「私ね」
 目の前にあの伝説の審神者がいる。夏は、人は、見かけによらないとこの時本気で思った。
「あと次から本霊が参加するけど宜しくね」
「本霊!?」
 本来刀剣男士の本霊は、政府が管理している。しかし管理できていない刀剣も何振りかいるのも事実だ。
 科学力で復元できた者以外で。
「ちなみに……」
「蛍丸」
 蛍丸は、ようやく復元できたと皆が喜んだとたん、ある日突然制御が効かなくなったと聞いたことがある。
「蛍丸は、制御できないと聞きましたけど……」
「みたいね……蛍が顕現した時色々いじって刀剣蛍丸の制御けんを掌握したみたいだから……」
 友美も聞いたときは、驚いた。
「……なにやったんですか政府!!」
「私にアホな依頼をしすぎて、蛍が怒ったと言うべきかしら……最近はますます蛍丸が顕現しにくくなってる理由は、それよ」
 確かに友人達も蛍丸がこないと嘆いていたな、裏でまさかこんなことが起こっていたなんて。
「ちなみに蛍丸の機嫌は……」
「まったくよくなってないわね。なんなら、引き上げるとか言ってるし……」
「それは、さすがにダメです!!」
「よね。私もそう言って引き留めてるけど……蛍怒ると大変なのよね……」
 友美は、困ったようにいうが、夏からすればなぜそんなことをした政府と政府への怒りがこみ上げてきた。
「とりあえずそう言うことだから宜しくね」 
「そのまたこちらに来たらいいですか??」
「迎えをやるわ」
 友美は、日取りと時間を書いた紙を渡すとそのまま去っていった。
 夏は、次に進めたと喜びを噛み締め、掃除を終えると、天照の所に。
 全て話すと、彼女は、寂しそうな顔に。
「友美からさっき聞いたわ。お疲れ様」
「こちらこそありがとうございました」
 夏は、頭を下げると、天照は、椅子から立ち上がり、そしめ夏を抱き締めた。
「天照様!?」
「貴女は、私にとってとーい孫なんだからいつでも来てね!!」
「ありがとうございます」
「本当にいつでも来てね!? なんなら住む??」
「住むのは、ちょっと……」
「正雪もそういうのよね……」
 そりゃ言うのが普通だろうと夏は、思いながらも苦笑いを浮かべていた。
 天照は、離れ席に戻る。
「木管に関しても貴女が保管しておいてね!!」
「分かりました」
「本当におめでとう!!」
「ありがとうございます!!」
 天照と少し話し、執務室をでると加州が。どことなく今日も元気がない。
「加州……」
「主帰る??」
「だね。次から私は、ナカツクニだって!!
加州も頑張れ!!」
「ありがとう」
 また迷いがあるのだろう。しかし自分にできるのは、話をするくらいだ。
「加州帰ったら何あったか教えて!!」
 加州は、一瞬驚くがすぐにいった。
「いいよ」
 この主を守るための覚悟。それは、なんなのだろうか。
 加州は、そう思いながら、夏と話をし帰った。夏は、というとそんな加州をみて、頑張れと応援するのであった。
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