日常編2

 蛍は、主にとても可愛がられている。正雪から見えてもそれは、明らかに分かった。
「友美ー」
「どうしたの?? 珍しくくっついてきて」
 食器を洗っている主にくっついている蛍。何時の事なのになぜか今は、モヤモヤする。
 正雪は、片付けを手伝いながら、一人溜め息をついていた。
「珍しくっていつもだよ!!」
「そう?? でもこの感じ……何か企んでる??」
 友美は、そう言うと蛍は、言う。
「友美また付き合って!!」
「撮影に??」
「そう!! 仕事じゃなくてプライベートのね!!」
 友美は、微笑む。
「もちろん!! お弁当持っていこう!!」
「やったー!!」
 蛍は、嬉しそうに微笑むと、キッチンを出ていき部屋に戻った。
「姫は、よくその……蛍殿と行っているのかな??」
「えぇ。自然を撮影するときは、着いてきてって言われるからよくね!!」
 タイミングが合わなかったり、仕事の場合は、蛍が一振で行くことが多いが。
 友美は、食器を洗い終え乾燥機にいれた時、背中に温かみを感じ驚く。
 よく見ると背中から正雪に抱き締められていた。
 これまた珍しいこともあるものだ。
「どうしたの??」
「分からぬ……だが……その……とても……心がざわつく……」
 友美は、これは、と笑った。
「蛍にやきもちね!!」
「やきもち……」
 その言葉が心に落ちストンと府に落ちた。自分もやきもちを妬くのか。
 正雪は、その事に驚いた。
「まぁ人としては、普通よね」
「人として……」
 腹にまわされている正雪の腕に力がこもったのが分かる。
 友美は、続けた。
「そう人としてね。ホムンクルスでも感情が芽生えた子は、別だろうけどね」
「姫その……私は、今は、人ということで間違いない……だろうか??」
 友美は、優しい声色でいった。
「そうよ。嫌でも正雪は、人。その体は、もう凄い回復力もなければ、無茶をできるものでもないわ。人の体は、本当に脆いから」
 神子ならともかく。友美は、そう考えると自分は、人外と言うべきかと思った。
「そうか……」
 正雪は、広角を少しあげると友美の背中に頬をくっつけた。
「姫は、春の沈丁花の香りがする……そしてこの温もりは、日溜まりのよう……」
「ありがとう……正雪もうそろそろはなして??」
 友美は、背中越しに正雪をみると、彼女は、ガーンとショックを受けしゃぼんとしていた。
「うむ……」
「分かったから!! もう少しいいから!!」
 正雪は、微笑むと、すりすり友美の背に頬をすり付ける。
「正雪ずるい!!」
 蛍が戻ってきたが、蛍は、そう言うとなんと正雪の腰に顔を押し当てた。
「蛍!?」
「友美にくっつけないから正雪にくっついとく」
 友美は、頭を抱え、正雪は、蛍を見て可愛いと思いつつも手は、離さなかった。
「私身動きとれないんだけど!?」
「姫少しいいではないか……」
「そうだよ!! 減るもんじゃないし!!」
「今朝は、光で昼間は、正雪と蛍って……私は、抱き枕か!!」
 正雪と蛍は、顔を見合わすといった。
「姫は、落ち着くゆえ……」
「そうそう」
 そういう問題なのだろうか。
 友美は、白野威に助けてとねんしを送ると、白野威がキッチンにやって来た。
「ありゃま」
「ほら!! 蛍、正雪、一番気持ちいいもふもふが来たわよー」
 白野威は、しかたがないと友美のために手を貸すことにしたが。
 蛍と正雪は、白野威をみると、プイッとした。
「友美がいい」
「正雪で我慢しとく」
 離れなかった。
「極上のもふもふがきかないだと!!??」
 友美は、マジかと肩を落とした。
「姫は……私が嫌いか??」
「俺は??」
 可愛い顔してうるうると瞳を潤まされたらなにもいえない。
「嫌いじゃないけど!!」
「ならよかった」
「だね!!」
「よくない!!」
 友美は、こうなったらと力を使い一瞬の透きを着いて、正雪の腕から脱出した。
「姫がいない!?」
「正雪あそこ!!」
 友美は、転移を使い、リビングに。
「私は、白野威をもふるから!!」
「なんで私も巻き込まれるのさ!?」
 白野威は、友美に抱き締められた。
 逃げられた正雪は、ショボンとし、蛍は、そんな正雪をみてしかたがないとあることをすることにした。
 正雪の手を握ると言う。
「正雪特別に俺でもいいよ??」
 正雪は、頷くと、蛍をだっこした。
「なんでこうなるの!?」
「蛍殿は、こちらの方がよいかと……」
 正雪は、蛍の頬をつつく。
「ぷにぷにだな。なんとあいらしい」
「俺ってアイドルだからねーじゃなくて!!なんでつつくの!!」
「駄目だろうか……」
 しょぼんとされるといいにくい。蛍は、溜め息を着く。
「いいよ」
「かたじけない」
 あの蛍すらとろけさせている。友美は、もしかすると色々最終兵器かもしれないと正雪のことをみていた。
「光には、あまり通じないけどねー」
「……通じたら問題よ。それこそ、離婚よ離婚!!」
 白野威と友美の会話を聞き、正雪は、首をかしげた。
「離婚とは……」
「離縁ってこと」
「離縁……」
 正雪は、顔を青ざめると、蛍をむぎゅっと抱き締める。
「……」
「正雪。友美離縁する気まったくないから……」
「そうか」
 正雪は、ほっとしていた。
「離縁って。友美が離縁しても普通にいきていけるけど、光は、野に離した瞬間悪質ストーカーになるからアカン」
「白野威確かに」
 友美と白野威がそういったとき和室の襖が凄い勢いで開いた。
「なるかー!!!!! なっても家に居座るわ!!」
 光の登場に友美は、あきれ顔に。
「それも迷惑よ。それより仕事は!?」
「やってきたよ!! でも思わず突っ込まなければと帰ってきた。とりあえず休憩時間だから、しばらくしたら戻る」
「そう」
 友美は、手短に答えると、白野威から離れ、光の所に。
「友美??」
「私は、抱きつかれるより抱きつく方が好きかも」
 光に抱きつくと友美は、そういう。
 光は、首をかしげながらも優しく微笑むと友美を抱き締めた。
「そっか」
 本当に仲のいい二人に蛍と正雪は、ぷくーと頬を膨らませていた。
「普段ならば、なにも思わぬのに……今日は、腹が立つ……」
「正雪わかる」
 ゴゴゴと黒いオーラを感じた光は、顔を青ざめる。
「友美、蛍と正雪どうしたんだ??」
 小声で友美に聞くと友美も困った顔に。
「今日は、正雪がくっつき虫なのよ……どうしたのかしら……」
「……もしかしてお母さんの愛情不足とか??」
 光は、なんとなく言ってみたが、友美は、まさかと思った。しかし正雪と目が合うと彼女の黒いオーラは、収まる。
 光から友美は、離れると腕を広げえみた。するとちょこちょこと正雪は、やって来ると蛍を抱っこしたまま友美の腕の中に。
「光これは……」
「小さくなったときに知ってしまったのかもな。お母さんの温もりに」
「なるほど。姫にこうしていると落ち着くのは、母の温もりか……」
「巻き込まれてる俺は、どうなるの!?」
 蛍のいいたいことも分かるがそれよりも友美は、困った顔をしていた。
「うちのお母さんは、光では!?」
「……俺お父さんだから」
「やってることオカンなのに!!」
「やってることはな」
 友美は、とりあえず優しく撫でたあと正雪から離れた。
「姫ありがとう」
 ひとまず満足したのか、正雪は、そういうと、蛍を抱っこしたままリビングを出ていった。
「蛍は、おろさないのね……」
「蛍は、可愛いから」
 友美と光は、微笑むが、すぐに切ない顔に。
「……光消し飛ばしてきていい??」
「友美そんな価値は、ない」
 いったいなんのことを言っているのか、それが分かるのは、二人だけだろう。
「……お母さんの愛か……私もあまり知らないけれど……」
「友美……」
「光オカンになって!?」
 光は、真顔になる。
「俺の姫……俺に何をもとめてるんだ!?」
「だって光がオカンに適任なんだもの!!」
「だからそういうのではなくて!!」
「それか、光忠に頼む!?」
「色々大変なことになるからやめてそれは……」
 友美が凄い方向に暴走しそうで怖い。
 光は、万が一組織の刀剣達がこれをしれば、誰がオカンに適任か選手権をひいて大変なことになりそうだ。
「うーんお母さんって改めて考えると難しいわね……一応私もお母さんだけど」
「一応って……」
 四人子供産んでおいて一応は、ないだろうと光は、思った。
「うーんお母さん難しい」
 悩む友美に光は、苦笑いを浮かべつつもやはり母として彼女は、素敵なのかもと思っていた。
「友美は、そのまま素敵なお母さんでいてくれ」
「私が素敵ですと!?」
 信じられんという顔をする友美に光は、言う。
「子供達見えたらそう思うんだ!!」
「あれは、光のたわものよ!!」 
 これは、もしかすると不毛の争いかもしれない。
 光は、悩む友美をみながら、優しく微笑む。そういうところからすでに素敵なお母さんだよと思いながら。

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