日常編2

 まさか自分がこんなところに来るなんて。夏は、荘厳な佇まいの門の前で顔をひきつらせていた。
 まさか高天ヶ原に来てしまうなんて。
「主木管持った来たんだよね??」
「もちろん」
 確かにいわれた時間に間に合うようにしたくし、待っていたが迎えに来たのが、大和守安定だったなんて。しかも極の。
 加州も驚いた顔をあの時は、していたが、その後知古ということもあり、すぐに打ち解けていた。
「研修生さんこっち!!」
 閉じられた門のなかに入るかと思いきや安定が招きしているのは、脇道。
 加州と夏は、安定についていくと、しばらく石畳を歩き、ついたのは、大きな通りだった。
「声は、出さない方がいいから」
 安定に言われ、夏は、頷く。多くの者が行き交うなか、安定をついていく。
「大和守安定じゃないか」
「連れてきたと伝えてくれる??」
 朱色の大門についたとい、安定は、門番にそう言うと、すぐに女性がやって来た。
「安定さんこの方が??」
「そうウズメさんよろしく」
 可憐な印象をあたえる女性は、名津と加州を見た。
「安定さん後は、任せて」
「分かったよ」
 安定は、そう言うと、夏と加州をみた。
「僕は、ここまでだ。後は、アメノウズメについていくといい」
 夏は、驚いた顔をしていたが、安定は、とくに説明とせずに、去っていった。
「さぁ来て」
 夏は、頷くと、アメノウズメは、なかに。絢爛豪華な神殿を歩き、やって来たのは、奥だった。
 大きな扉の開け、中には、黒髪の女性がいた。
「連れてきたわ」
「ありがとう」
 ウズメは、頭を下げると出ていき、残された夏は、どうしたらいいのか困惑していた。そして加州も同じらしく、困った顔をしていた。
「おはようございます」
「お……おはようございます……」
 挨拶されたのでとりあえず返した。女性は、微笑むのみ。
「私が貴女の研修を担当する天照です」
 夏と加州は、固まった。キャパオーバーして。
「え??」
「あら?? 友美から聞いてないかしら……」
「とりあえず当日話すからと……」
「なるほど!! まぁここのルールは、ややこしいし、なにより女官達は、友美の事が気に入らないみたいだし……」
 友美とは、あの女性の事だろうと夏は、思い出していた。
「色々あるんですね……」
「まぁね。とりあえず貴女には、まず清掃の仕事をして貰います」
 天照は、そう告げると、夏は、唖然とし、加州は、不服そうな顔に。
「主審神者なんだけど」
「加州!!」
 夏は、加州をいさめる。
「分かってるわ。でも浄化の術を教えるにもまずは、掃除をすることから始まりよ」
「分かりました」
 夏は、やることをやろうと決めた。
「そこに女官の服を置いているわ。着替えて、担当女官の所の。その時木管を忘れないようにね」
「はい」
 夏は、棚に置かれた服を持つ。
「その一つ聞いても……」
「なにかしら??」
「幸……いえ正雪さんは、何処に??」
 天照は、少し驚いた顔をすると言った。
「この宮殿には、居ないわ」
「そうですか……」
 会えると思ったがなかなか難しいかもしれない。
「俺も掃除していいよね?? 天照様」 
「加州には、刀剣として訓練を受けてもらいます」
 天照は、そういうと部屋に入ってきたのは加州清光だった。
 極の自分を見るのは、はじめての加州だが、まさか自分が相手なのかと思ったがそのまさかだった。
「主話しは、終わり??」
「えぇ。清光後は、よろしくね」
 清光は、頷くと、夏と加州を見る。
「そこの俺いくよ」
「分かったよ」
 清光に連れられ、加州は、部屋をでた後夏は、隣の部屋を借り、女官服に着替えると、担当の女官に声をかけた。
「貴女天照様の親戚なんですって??」
「はい……」
「そうなのね!! 素敵だと思ったわ!!」
 ここでは、貴女の血筋を使いなさい。女の声が思い出された。
 ここの女官は、天照の事を心底陶酔している。それを使えという事なのだろう。
「ありがとうございます!! 私も天照様のようになりたいんです!!」
「難しいかもしれないけど頑張りましょう!!」
 夏は、頷くと女官についていき、そこから担当の女官と掃除を始めた。これが自分の求めるものに近づく事と信じながら。

 加州は、宮殿の中を歩き、長い回廊を歩いていた。
「ねぇまだなわけ??」
「あと少し」
 回廊の雰囲気が一気に絢爛豪華なものから落ち着きある物へと変わった。
 空気も変わり、とても清々しく清らかな空気が満ちていた。
「ここは……」
「俺達の本拠地」
 清光は、短くいうと、さらに歩くそしてやって来たのは、道場だった。
「あんたには、研修中ここで腕をあげてもらうから」
 加州は、清光にきく。
「主は、ここへは……」
「しばらくは、入ってこれないかな。それにあそこは、刀剣男士は、居れないし、だからあんたは、ここってこと」
 加州は、夏は、大丈夫だろうかと少し不安になった。
「主よりも自分の心配をしたらどうだ??」
 木刀が飛んできたので、加州は、それを避けると、兼定がニヤリと笑った。
「避けれるようだな!!」
「そりゃね」
「よし!! これから修行だ!!」
 兼定は、そういうと木刀を広い加州に渡した。
「えっ!!??」
「がんばれー加州!!」
「俺ならいけるよ」
 なんと無茶ブリなしかしやるしかないと加州は、木刀を構え、兼定と手を合わせ。始めた。

「もう無理……」
「加州まだ始まったばかりだぞ??」
「かれこれ四時間やってるけど!?」
 休憩などなく、手合わせは、おこなわれ、へとへと。 
 加州は、勝てるわけがないと思いながら、兼定をみた。
「あんたも修行に行ったわけ??」
「まぁな。この組織のやつらは、極が多いから」
 皆なんやかんや修行には、行っている。本人が望めば。それがこの組織の方針だ。
 兼定は、木刀を加州に向ける。
「たて」
「まだやるの……」
「あんたの主が求めてるものは、茨の道だ。それを支えるのがおまえの役目だろ加州」
 確かにそうだ。だが加州は、主の夢を認めていない。
「あんな夢捨てれば……」
 そういいかけたとき、脳天に木刀を打ち込まれ、加州は、なんとか避けた。
「あぶな!!」
「捨てればか。それができれば楽だろうが、それをしないのがあんたの主だろ。なら支えるのが俺達だ!!」
 木刀が打ち合う音が道場に響く。その音を聞きながら、国広は、冷たい眼差しで加州を見ていた。
「国広様子を見に来たんだ」
「あぁ清光」
「俺頑張ってるでしょう??」
「甘いな」
「国広……」
 国広は、冷たく言いはなつと、道場から居なくなってしまった。
「もう少し優しくてもいいじゃん」
「清光たぶんそれは、無理。国広は、一番しってるから、ブラック本丸相手に主を守りながら、戦うってことをさ」
 清光は、この組織では、新しい目の刀剣だ。安定が言うのなら今は、これが加州の限界なのかと思った。
「主を守るか……」
「清光は、あまり知らないだろうけど、堕ちた神は、知性なんてない化物になる。ブラック本丸ってそういうのも居るから、こちらもそれなりの覚悟がいる」
「もしかして、兼定が厳しいのってそれ?」
「そうかも」
 今回国広と友美は、兼定を加州の指導係に任命した。
 理由を聞いた清光は、こう友美に言われた。
「兼定ならやってくれる。それにあの加州清光は、少し根っこが弱いというかねー」
 どう言うことかと清光は、思ったが、なんとなく。
「姫スパルタ」
「姫は、その時々に応じた方法を使うからね。さすがに僕もあんなことは、されたことない」
「俺もだよ安定」
 これは、どうなるのやら、兼定に食いつく加州を見ながら、二人は、とりあえず終わったあとのために光忠におにぎりを作ってもらおうと考えた。
「安定殿、清光殿差し入れだ」
 そしてちょうど正雪がクーラーボックスを抱えやってきた。
「おっ!! ナイスタイミング!!」
「光忠殿が水分補給を忘れずにと」
 確かに今日は、暑い。
 清光は、後で兼定に声をかけようと決めた。
「……なにかを恐れている」
 正雪は、そう呟く。
「正雪さん分かるの??」
「安定殿なんとなくだが……私は、これでも武士のはしくれ……貴殿達ほどでなくても感じるものもある……」
 安定と清光は、加州の太刀筋を見てそれを分かるのなら相当では、と思った。
「では、私は、仕事があるゆえこれで」
「ありがとうね正雪さん」
「あぁ清光殿」
 正雪は、微笑むと去っていった。
「だから兼定か」
「だね清光」
 さてこれからどうなるのか。天照の神殿にて掃除をする夏と道場でこてんぱんにされている清光。
 それぞれの道を知っているのは、この組織の主のみ。
 無事に終わればいいなと清光と安定は、思いながら、兼定に声をかけたのであった。
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