日常編2

 国広は、居間で、ネットサーフィンをしながら、ふとおもった。
「光忠」
「どうしたんだい国広君」
 茶をいれてくれた光忠に国広は、聞いた。
「普通の審神者ってどんなのだ??」
「うーん」
 光忠は、少し特殊な刀剣であり、解刀されたのに、以前仕えていた審神者の記憶をもっている。
 思い出しながら、彼は、いった。
「普通に本丸を束ねていたかな……」
「特殊な力は、なかったのか??」
「霊力以外は、なかったよ」
 なぜこんなことを国広は、聞いてくるのか。
 光忠は、国広が見ているノートパソコンの画面を覗いた。
「これは、なんだい??」
「あー掲示板というやつだ。このスレッドは、うちの審神者が変だからどうすればいいと、物で、刀剣男士達の駆け込み寺みたいな感じになってる」
 スクロールし、見てみると、主が朝起きないとか、部屋が片付けない等々色々書かれていた。
「……皆こんなことで悩んでるのか」
「まだまだ青いな」
 国広は、鼻で笑う。
「国広君笑うのは、よくないよ??」
「すまん」
 しかし確かにまだまだこんな悩み優しい部類だ。
「資金の使い込みは、困るね……」
「これは、大変だな」
「姫は、使い込みは、しないし、むしろ節約しろだもんね」
「節約というか……大口の収入源を複数用意すると言うべきだろ」
 現にも今は、そうだ。無駄遣いは、しなくとも使うところには、使っている。
「確かにそうだね」
「だが……どの悩みも俺からすれば可愛いものなんだが……」
 国広は、溜め息をつくと茶を飲んだ。
「確かに……僕もそれは、思うかなぁ……」
 光忠も珍しく溜め息をついていた。
 その原因は、彼らの主の友美だ。見かけはら美しい美貌を持ち、凛とした夜に浮かぶ月のようだが、中味は、違う。
「最近だといきなり、マグノ丸々一本持ってきて取ってきただからね……」
「この間のマグロ尽くしは、それが原因だったのか」
「そう」
 先日の昼に光忠は、マグロの刺身や握り、炙りや釜やき、味噌汁等マグロを大量に使った料理を献立としてだした。
 はじめは、皆喜んでいたが、マグロフィーバーと三日目になるともうマグロ以外食べたいとねをあげるほどだった。
「冷凍できる分は、したけど、二日続けて持ってこられるとね……」
「確かに。だが旨かったぞ」
「いいものだったからね!!」
 食に関しては、時々大変なことになるがそれもすべて美味しいのでまだいい。
「俺なんて、この間、突然視界が真っ暗になったと思ったら、悪寒を感じて、すぐに辺りを見渡すとウジ虫のわいたやつらが歩いていた」
「国広君それ……」
「姫が誤って黄泉の扉を開けたらしく、その時に見事に巻き込まれた。すぐ助けたくれたが」
 国広は、呆れた顔をするが、光忠は、凍りついていた。
「だからあの時何時もよりはやくお風呂にはいってたのか……」
「浄化と御祓を兼ねてな」
「なるほどね!!」
 光忠と国広が話していると、五虎退がやって来た。
「国広さん光忠さん何をされてるんですか??」
「五虎退君。今国広君と普通の審神者について話してたんだ!!」
「普通の審神者??」
 五虎退は、首をかしげると、国広がノートパソコンの画面を見せた。  
 五虎退は、スレッドを一通り見ると、いう。
「これの何処が困った所なのでしょうか……眠いなら寝させたおいてもいいかと……」
「まぁそれも一理あるな」
「使い込みは、いけませんけど!!」
 五虎退もまたこの組織の古参なので、やはり国広や光忠と同じ反応をした。
「それに……この方達の主さんは、突然天井から表れませんし、虎さんを増やしたりしないでしょう??」
 国広と光忠は、顔を見合わすと言った。
「五虎退君何があったの!?」
「虎が増えたのは、初耳なんだが!?」
 五虎退は、困った顔をしはなしだした。
「実は……昔……姫が虎君が可愛いからと……撫でていた時に突然増えちゃって……」
「ちなみに何頭に??」
「光忠さん確か……五十頭に……」
 国広と光忠は、友美ならやると納得してしまった。
「あの時姫と捕まえるの大変だったんです!! 楽しかったですが……」
「そりゃそうだろう」
「姫……」
 やはりこのスレッドの書き込みの悩みなど可愛いものだ。自分達の主に比べたら。
「もしかして……姫が規格外だからか……」
「僕たちがこの悩み相談の事を可愛いものだと思うのは、かい??」
「そうだ光忠」
 たぶんこの審神者に達は、本丸でおとなしくしてくれているはずだ。普通に。それだけでも三振からすれば信じられないことだが。
「何やってるんだ??」
 次にやってきたのは、国永だった。
「鶴さん実はね……」
 光忠は、スレッドの話を国永にすると、彼は、呆れた顔をしていた。
「こいつらの悩みなんて悩みってほどじゃないだろ?? 本丸吹っ飛んだ訳じゃあるまいし」
 光忠、国広、五虎退は、頷く。
「確かに」
「あの事件だね……」
「国永おじいちゃんと姫が起こした本丸爆発事件ですよね……」
「そうそう!! 本丸の建物やら設備すべて吹っ飛ばしたあれに比べたらこれらなんて可愛いもんだ」
 国永の悪戯がほったんで友美が力を使った結果本丸が吹き飛び、更地になったことがあった。
 復旧するまで、彼らは、本丸の敷地で野宿をしていた。
「まぁあれは、あれで楽しかったけどな!!」
「本丸吹っ飛ばした要因がよくいうな」
 国広は、呆れた顔をした言う。
「国広まぁ過ぎ去った話だしな!!」 
 それでもである。国広は、きだるげにいった。
「……普通の審神者は、基本本丸を吹っ飛ばさないわ、虎を増やさないわ、マグロを突然一本丸々持ってこないか」
「後出陣しなよね……」
「他の本丸にスパイを送り込まないな!!」
「後……妊娠しながら、戦いませんよね……」
 国広は、真顔になる。
「……遡行軍をサンドバッグにしないし、けいびいしもサンドバッグにしない……あと何より……戦利品としてそいつらの首を持って帰ってこない……」
 普通の審神者は、たぶん友美とすべて真逆な気がする。
 四振は、顔を見合わせ頷く。
「皆ここで何をしているのかな??」
 たまたま、廊下を通った正雪は、不思議そうに声をかけると、光忠、国永、五虎退は、ハッとした。普通がいた。目の前に。
「正雪さんが普通の審神者ですよね!?」
「だと思うよ!! 五虎退君!!」
「だよな!!」
 三振は、嬉しそうに言うが、国広は、違った。
「正雪の何処が普通だ」
「国広君でも……」
「自ら出陣したがるわ、遡行軍は、試し切りにピッタリたいうやつだぞ」
 国永と光忠、五虎退は、正雪をみる。
「国広殿先程からその言いぐさ少し失礼ではないか!! 貴方達が何を話していたのか、知らぬが……」
 正雪は、怪訝そうにいうと、国広は、ノートパソコンの画面を見せいう。
「普通の審神者とは、何か話してたんだ」
 正雪は、ノートパソコンの画面を一通り見ると、かんこう一発言った。
「ふむ。私は、普通の審神者では、ないな」
 国広以外の三振が驚く。
「えっ!!??」
「そのように驚かなくても……その……国広殿や長義殿に……普通の審神者は、嬉しそうに出陣しないと言われたゆえ……」
 確かに正雪は、何処かうきうきしながら、出陣していた。
「私としては、皆の役に立てると思い……しかしそれは、嬉しそうに見えると……」
 正雪は、ただ優しいだけだ。光忠、国永、五虎退は、思う。本当に正雪は、優しいなと。
「もう普通とか気にしないでおこう!!」
「ですね光忠さん!!」
「結局俺達は、姫の刀剣男士だしな。普通だともの足らんな!!」
 正雪は、首をかしげるなか、国広も笑っていた。
 結局は、あの少し変わった主である友美を皆は、好きなのだ。
 破天荒で規格外な主だが、とても優しく暖かなだから。
「皆スイカ食べない??」
 友美がふわふわ浮きながら、部屋にはいってきたスイカ片手に。
「浮いてますね……」
「まぁこれが姫だよね」
「だな」
 なにか納得している五虎退、光忠、国永。友美は、首をかしげると、畳の上に降りた。
「正雪スイカ食べる??」
「もちろん」
「国広も??」
「貰う」
 友美は、まぁ細かいことは、いいかと思い、微笑むと言った。
「よし!! ならスイカ食べようー!!」
 スイカの乗ったお盆をちゃぶ台の上に置くと、皆スイカを取り、食べ始めた。
「甘いです!!」
「それは、よかったわ!! 五虎退!!」
「姫このスイカは??」
「光忠このスイカは、羽月……ツクヨミから貰ったの!!」
 またすごい神から貰ってるなと思いながら、皆は、話を聞いていた。
「相変わらず姫は、驚きの宝庫だな……」
「まぁねー」
 自覚しているところが唯一の救いかもしれない。
「まったく姫は……まぁそれが姫とも言うべきか」
「だな国広殿」 
 なにやら納得している皆に友美はどうしたのかと思いつつも、スイカを食べた。
 細かいことは、気にしてもしかたがない。普通の審神者とちがうが、友美は、間違いなくいい主では、ある。
 皆は、そう思いながら、スイカを食べる主を見て微笑むのであった。何処か嬉しそうな顔をして。
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