日常編2

 シトシトと雨が降るなか、正雪は、げんなりとした顔をしていた。
「今日も雨……」
 高天ヶ原でも雨が降る。梅雨になり、アジサイやクチナシは、美しいが、やはり雨は、続くと少し気分が重くなる。
 正雪は、光忠の所にいくと、彼は、ランドリーいた。
「光忠殿」
「正雪さんどうしたんだい??」
「私にも手伝えることは、あるだろうか」
 洗濯なら少しは、力にならるかもしれない。そう思い光忠に声をかけた。
「ありがとう。その気持ちだけで十分だよ」
「しかし……最近雨続きで……洗濯物がたまっているのでは、ないのか??」
 光忠は、自信げにいった。
「大丈夫!! これがあるからね!!」
 洗濯機の隣には、乾燥機が。
「この箱は??」
「乾燥機だよ!!」
「乾燥機??」
 光忠は、分かりやすいように、実際に使ってみることにした。
 洗濯機をいれ、乾燥機を動かす。しばらくして、乾燥機が止まると、光忠は、ドアを開け、乾燥したタオルを正雪に渡した。
「乾いている……」
「そう!! これがあるから、梅雨の時期でも洗濯は、問題ないんだ!!」
「こんな便利なものが……凄い……」
 興味津々に正雪は、乾燥機を見る。
「光忠殿私もやってみてもいいか??」
「もちろん!!」
 光忠に使い方を教えてもらい、正雪は、乾燥機に洗濯物をいれ、そしてスイッチを押した。
「これでまたしばらく待てば……」
「乾いてるんだ」
「本当に凄いな……」
 ふわふわなタオルは、柔軟剤のいい香りがする。
 正雪は、クンクンと香りを嗅ぎ、癒された。
「ここは、僕一人で大丈夫よ」
「わかった。光忠殿」
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
 正雪は、そういうとランドリーをでた。しばらく廊下を歩くと部屋から声が。
 覗くと粟田口の短刀が何かをしていた。
「後藤殿、信濃殿」
「正雪さん!!」
 後藤と信濃は、畳の上に、書物を広げていた。
 正雪は、部屋にはいると腰を下ろした。
「何をしているのかな??」
「夏にいく旅行先の話し!!」
「何処にいくか後藤と話してたんだ!!」
 信濃は、そう言うと微笑む。
「毎年出かけているのかな??」
「そう!! 休み合わせて、俺と後藤、博多、薬研でね!!」
 楽しそうな信濃と後藤を見て正雪は、微笑んだ。
「それは、とても素敵だ」
「正雪さんも来るか??」
「後藤そうなると国広来るよ??」
「それは駄目だな」
「それは、何故??」
 正雪は、素朴な疑問で聞くと、後藤は、困った顔をしいった。
「俺達けっこうはっちゃけるからさ!!」
「そうそう!! 洞窟探検とかするから!! もし正雪さんに怪我させたらもう大変なことになるから!!」
「大変なこと??」
「国広が間違いなく怒る!!」
 後藤は、そういうと、信濃は、首を縦にふった。
「そうそう!!」
 そんなにも国広は、怒ると怖いのかと正雪は、思いながら、彼は、優しいからそこまで怒らないだろうと思った。
「正雪さん絶対に国広の怖さ知らないだろ??」
「そんなに怖いのか??」
「そりゃもう!! 本当に怖いよ!!」
 その時後藤と信濃は、顔を青ざめ、見ていた。正雪の背後を。
「ほう。そんなに怖いのか。なら激おこまんばちゃんを見せてやろうか??」
 殺気と冷たい眼差しに、後藤と信濃は、すぐに三つ指着いて謝った。
「ごめんなさい!!」
 正雪は、首をかしげ、ふりかえると国広がいた。赤いジャージを着て、布も身につけた。
「国広殿今日は、非番か??」
「あぁ」
 正雪と話し出すと、国広は、何時もの柔らかい雰囲気に。
 信濃と信濃は、思う。やさり正雪には、甘いと。
「信濃俺達正雪さんを味方に付けた方が色々上手くいくんじゃ……」
「後藤味方にする前に、正雪さんの後ろには、ダブルまんばだから!!」
 確かに正雪の背後には、長義と国広どちらもいる。
 この組織でも厄介なコンビを彼女は、知らぬまに味方にしているのだ。
「国広殿が赤というのも珍しいな」
「基本この服装は、非番か内番の時にしか着ないからな」
「そうか。しかし赤もよく似合う」
「ありがとう」
 どことなく国広のアホ毛が揺れている。機嫌がいいのだろう。
 後藤と信濃は、今のうちにと逃げようとしたとき、国広に首根っこを掴まれた。
「おい。正雪になにをしようとしたんだ」
 恐ろしい国広に、二振りは、顔を青ざめる。
「なにもしてないぞ!!」
「ただ旅行の計画の話をしてただけー!!!!」
 国広は、手を離した。
「そうか」
「国広、正雪さんの事になると五月蝿すぎだ!!」
「もう少し緩くてもいいじゃん!!」
 国広は、真顔で言う。
「姫ならともかく正雪は、純粋すぎる。それに騙されそうだしな。色々と」
 後藤と信濃は、そこには、同意した、確かに。
「国広殿!! 私は、これでも……」
「俺達からすればまだまだヒヨコだ。そう片意地張らず甘やかされてろ」
 プンプン怒ると正雪に国広は、そう言うと彼女の頭を撫でていた。
「むぅー!!」
「不満そうに鳴いても同じだ」
 なんだろうこの感じ。まるで兄妹を見ているような。
「まぁ年齢的にも正雪さん末っ子だもんなぁ」
「そうそう」
「国広殿あまり私を甘く見てもらっては、困る!!」
「姫よりましだ」
 後藤と信濃は、苦笑いを浮かべた。
「姫と比べたら駄目だろ!? 国広!!」
「姫は、別格だからね……」
 国広から見れば可愛いウサギが一生懸命にやりたいことをしているように見えるのだろう。
「姫よりましとは……私など姫のような……ものでは、ない……」
 正雪は、目を伏せ言うと、国広は、言った。
「もしかして姫のような神格の高いという意味で捉えてるか??」
「違う……のか??」
「違う」
 国広は、言う。
「正雪は、そのままでいてくれ。姫のように猪突猛進、破天荒主は、もうごめんだ。一人だけで十分」
 正雪は、きょとんとしたのち、頷いた。困った顔をして。 
「そういう意味であったか……それは……うむ……そうする……」
 正雪も友美の突拍子もない行動に関しては、国広の苦労が分かるので頷いた。
「国広それ酷い~!!!!」
 そんな声がし天井からだらんと黒髪がたれ、信濃と後藤は、悲鳴を上げた。
「ギャー!!!!」
「むぅ!!??」
 そして正雪も。国広だけは、驚きもせずに言う。
「姫髪だけ垂らすな」
 友美は、天井から姿を見せると華麗に着地した。
「ごめん!! つい……」
「まったく」
「あれ?? 信濃と後藤なんか腰抜けてるし、正雪国広の布つかんでる」
 顔を青ざめ信濃と後藤は、抱き合ってるし、正雪は、布をしっかり掴んでいた。
「ごめんなさい本当に!! お詫びにホットケーキ焼くわね!!」
 正雪、後藤、信濃は、瞳を煌めかせた。
「姫それでてをうってやる!!」
「楽しみ!!」
「そうだな」
 本当に純粋な子達は、可愛いなと思っていると友美は、みた。
 国広のアホ毛がショボンとしていることに。
「国広の分もあるけど」
 そのとたんアホ毛がフリフリと揺れはじめた。
 犬の尻尾かと友美は、思いつつ微笑む。
「とりあえず台所にゴー!!」
 友美は、そういうと台所に。光忠に事情を説明すると。
「姫その……僕もいいかな??」
 珍しいこともあるものだ。友美は、頷くと、さっそく台所で作りはじめた。
 慣れた手付きで作り出すと、しばらくして、台所から甘いいい香りが。
「皆!! 出来たわよ!!」
 大量のホットケーキが出来上がり、それぞれの食べる量に応じて、友美は、さらにのせ、食堂に持っていった。
「メイプルシロップとバターとフルーツソース、ホイップクリーム!! 好きにつけてね!!」
 皆は、はーいというと、好きな物をかけ、食べはじめた。
「姫美味しいよー」
「めっちゃうまい!!」
 信濃と後藤がそういうなか、正雪は、きょとんとしていた。国広の皿を見て。
「国広殿……凄い量……」
「これくらい普通だろ」
「正雪さん国広君にとっては、だからね!!」
 山のようなホットケーキが国広の口に吸い込まれていくなか、正雪は、慣れないナイフとフォークを使い、ホットケーキを食べた。
 あまいメイプルシロップといいアクセントのバターが美味しい。
 目を細目、食べていると、光忠と友美は、笑っていた。
「気に入ったのね」
「とても美味だ」
「姫とても美味しいよ」
「ありがとう光忠」
 甘いものは、やはり幸せにする。友美は、そう思いながら、皆を見ていると、背後から気配が。
「ひぃ!!!」
 信濃と後藤がまた驚く。友美は、ふりかえると微笑んだ。
「俺のある??」
「もちろんあるわ光」
 夫婦揃って普通の登場をしかたをしてくれと信濃と後藤は、思うなか、国広は、気にせずに食べ、光忠も慣れている様子だ。
「この組織ってもしかして変??」
「後藤それ今更」
「やっぱり信濃」
 そうだよな。と後藤は、改めて思う。
「光とりあえず好きなだけとって」
 光の目の前にドンと置かれた皿には、大量のホットケーキが。
「えっ??」
「皆の作ったら凄いことに……だから好きに食べてね!!」
「俺だけ雑!?」
「何時ものことでしょう??」
「何時ものことじゃない!!」 
 といいつつも皿に分けて、メイプルシロップかけて、光は、ホットケーキを食べていた。
「美味しい」
「よかった!!」
 夫婦の様子を見ながら、皆思う。光の対応力の凄さに。
「さすが旦那君……」
「俺達なんてまだまだだな」
 光忠と国広が感動するほど。
 後藤と信濃も凄いと光を見るなか、正雪だけは、違った。
「ますます光殿が分からぬ……」
 不思議な増え、首をかしげていた。
「姫ありがとう!!」
 皆は、友美に礼を言うと友美は、嬉しそうに笑った。
 露は、確かに鬱陶しいところもある。だがこうして楽しく過ごせるのなかそれもまた粋というもの。
 正雪は、ホットケーキを食べながら、幸せだなと思い、微笑むの。
 それを見た刀剣達と友美と光も優しく微笑むのであった。
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