光明ノ神子にかわり代理審神者勤めます

「むぅー!!!!」
 とキッチンから正雪の悲鳴が聞こえる。
 友美は、和室からキッチンに行くと、正雪が泣いていた。
「出来ぬ……何故か出来上がるのは……糞!!」
 友美は、ボールの中にある塊を見て、苦笑い。
「正雪からそんな、言の葉が出てくるとは、思わなかったわ……」
「姫私は、作れるのか!? チョコを!!」
 友美は、間違いなく作れると確信していた。
 なんせ、チョコで枯山水を作り上げるだけの手先の器用さと腕は、あるのだから。
 この魂には。
 正雪は、手を洗うと、ふき、友美に抱きつく。
「大丈夫よ。ほら枯山水を作るほど……」
 正雪は、真顔になる。
「英霊の私と一緒にしないでくれ」
「そこは、駄目なのね」
「チョコを舶来の粘土細工だとどう、勘違い出来るのだ!?」
 正雪は、そういうと、友美から離れ、ボールを見て言う。
「糞とは、勘違い出来そうだ」
「アハハ……」
「肥にならぬか??」
「なるかもだけど、もったいないから、しないで」
 友美は、よく見る。
「分離してるのね……」
「姫原因は……」
「湯煎の時に水が入ったか、温度が高すぎたか、生クリームの配合が違ったのね……」
 友美は、とりあえずボールをレンジにいれ、加熱する。
「姫それは……」
「まぁ見てて」
 加熱し終えると、友美は、ボールをとりだし、泡立て器で混ぜ、また加熱する。
 これを繰り返していくと、チョコがだんだんもとに戻ってきた。
 友美は、同時に鍋に生クリームもいれ、沸騰させていた。
「姫それをどうするのだ??」
「大さじ1ずついれて、混ぜるのよ」
 思ったよりも少し固くなっている。やはり高温なのが原因だろう。
 友美は、少しずつ生クリームをいれ、混ぜ、バットにクッキングシートをしき、チョコを丸めて、置く。
「クッキーのようだ」
「まぁね!!」
 友美は、それをオーブンにいれた。
「焼くのか??」
「そうよ。正雪とりあえずおやつにしましょう!! 疲れたでしょう??」
 友美は、優しく正雪の頭を撫でると、正雪は、眉を下げる。
「ヒットポイントとやらがゼロに近い……」
「あら!! それは、回復しないとね!!」
 友美は、自分には、珈琲を、正雪には、紅茶をいれ、リビングのダイニングテーブルにマグカップを持っていった。
 しばらく片付けなどをしていると、チーンと音が。
「出来たのかな??」
「そうよ」 
 オーブンから出てきたのは、クッキーのようなチョコだった。
 友美は、冷まし、皿にいれると、正雪は、首をかしげる。
「むぅ??」
「ふふふ」
 片付けをし、皿を持ち、リビングに。
 ダイニングテーブルの上に皿を置くと、椅子に座る。
 いただきますと手を合わせ、正雪は、さっそく食べる。
「サクサクなのに、チョコだ……美味しい」
「焼きチョコよ」
「なるほど!!」
 これは、なかなか美味しいと食べ、紅茶をのむ。
「姫バレンタインには、これを作っても??」
「失敗した、場合はね!!」
 正雪は、肩を落とす。
「生チョコ作れる気がしないのだが……」
「大丈夫よ!! 温度を調整すれば成功するわ!!」
「うむ……」
 正雪は、生チョコなら簡単だと友美からきき、バレンタインデーに刀剣達に感謝を伝えるために作ることにした。
 しかしこれがなかなか難しく少し折れかけていた。
「ならよいのだが……」
「まぁ最悪、型にいれて、固めただけでも皆喜ぶわ!!」
「国広から一言言われそうだが」
 正雪は、溜め息をこぼした。
「大丈夫。国広は、優しいわ。変なこと言わないわよ」
 友美は、そういうと笑った。
「姫……」
 ならば安心かもしれないと、正雪が思ったとき、福島がリビングに。
「主いい香りがするね」
「これかしら??」
 友美は、皿を指差す。
「焼きチョコ」
「チョコを焼いたのか……一ついいかな??」
「もちろん」
 福島は、一つとり、食べる。
「なかなかおいしいな……」
「正雪八割、私二割の共同作!!」
 正雪は、気まずそうな顔に。それをみた福島は、言う。
「だから美味しいわけか」
 正雪は、驚いた顔に。
「正雪さん、千里の道も一歩からだ」
「福島殿……」
 福島は、優しく正雪の、頭を撫でると、微笑み、友美と話すと、リビングを出ていった。
「福島殿は、やはり兄なのだな……」
「まぁそうかもね!! あと長男が天然炸裂だなら、次男が確りしてるのかもね!!」
 確かに実休は、ミステリアスにみえて、けっこう天然だ。これもまた長船派のギャップなのだろうと、正雪は、思っている。
「姫」
「正宗どうしたの??」
 福島と入れ違いに、日向がやって来た。
「チョコのいい香りがしてるから気になって!!」
 日向は、ダイニングテーブルの上の皿に乗る焼きチョコを見て頷く。
「これか!!」
「食べる??」
「もちろん!!」
 日向は、一つ食べるの笑う。
「とっても美味しいね!!」
「正雪作!!」
 正雪は、驚く。 
「だならこんなに美味しいのか!! さすが、正雪さんだね!!」
 日向は、柔らかく微笑む。
「ありがとう……」
 福島につぎ、日向にまで、ほめられると、少しこそばゆい。
「僕こういうのでもいいな!!」
「焼きチョコ美味しいものね!!」 
「そうなんだよね!! 姫!!」
 日向は、そういうともう一つ食べ、炬燵には入るとテレビを観始めた。
「姫その……」
「さすが、正雪!! 福島と正宗が美味しいっていうほどのチョコを作れるなんて!!」
 友美は、立ち上がると、正雪を抱き締めた。
「姫しかし……」
「素直に喜ぶ!!」
 確かに友美が仕上げをしたといっても、もとは、正雪が作っていたものだ。
 素直にここは、喜ぶことにしよう。
 何もしてないのならともかく、正雪は、しっかり携わっていたのだから。
「うむ!! そうだな!!」
 正雪は、嬉しそうに笑うと、蛍がリビングに。
「友美これ正雪と、食べて!!」
 蛍の手には、紙袋が。
「ありがとう蛍」
 友美は、受け取り、中をみると、美味しそうなクロワッサンが。
「あらクロワッサン!!」
「仕事で教えてもらって買ってきたんだ。俺のは、食べたからよかったら!!」
「ありがとう!!」
 蛍は、微笑むと、リビングを出ていった。
「クロワッサン……」
 瞳を煌めかせる正雪に友美は、微笑む。
「少し焼いてから食べよっか!!」
「うむ!!」
 友美は、立ち上がると、キッチンに、クロワッサンをトースターで少し焼くと、皿にのせ、リビングに。
 ダイニングテーブルの上にのせ、席に座るとさっそく食べた。
「バターの香りとこの甘味がたまらぬ……食間もよく、とてもうまい!!」
「本当に好きね!! パン!!」
「とても美味しいから」
 正雪は、そういうと、サクッと音を立てながら、食べる。
「正宗も食べる??」
「僕は、さっき蛍からもらったからいいよ。でもこのクロワッサンすごく美味しいよね!!」
「そうよね!!」
 友美も食べると、そういい、笑う。
「クロワッサンってたまらない!!」
「姫も好きだよね!! クロワッサン!!」
「そりゃね!!」
 友美と日向が話すなか、正雪のヒットポイントは、皆のお陰で、復活していた。
 自分は、やはり幸せ者だな。
 正雪は、そう思いながら、クロワッサンをたべ、幸せそうに笑うと、闘志を燃やした。
「次は、成功させる!!」
「そうね!!」
 さてさて次は、どうなるのやら、それは、ある意味正雪しだいといえる。
 友美と正雪は、微笑み合うと、クロワッサンを食べるのであった。美味しそうな香りに包まれながら。

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