日常編2

 時の政府は、ある人物からの連絡に困り果てていた。
「死を形作る霊力って……」
 そんなもんあるわけがないと言いたかった。しかしある。現実に。
「先日襲撃された本丸の審神者だな」
 あの本丸は、特殊でその霊力が暴走せぬように、封印術がかけられていた。しかしいまその本丸は、なくなり、術もむこうになっていた。
「どうする……」
「違法ドラッグといいなんでこうも問題が!!」
 もしかするとこの人物は、全てを知っている。なんとなくそう感じるのだ。
「まさか……光明ノ神子が動くなんて……」
 大変なことになる。間違いなく、職員は、胃が痛いと思いながら、事態の解決に動いた。

 光と友美は、あれから違法ドラッグそして死の霊力に関して、調べ上げていた。
「姫頼まれていた資料は、これだ」
「ありがとう国広」
 国広は、友美に資料を渡すと友美は、確認し、微笑む。
「まさか……違法ドラッグがこの死の霊力を使ってつくられていたなんたね……」
 信じがたいことだが、目の前にいる友美は、イザナミの力を保有している。
 国広は、友美がそういうのならそんなことも出来るのだろうと思った。
「主これが例の薬だ」
「ありがとう」
 そして大包平は、袋を光に、差し出すとなかには、薬のカプセルが。
「いたって普通ね」
「だが成分は……遡行軍の遺体だが」
 友美は、うげという、かおをし、国広も不味そうと思った。
「絶対に怪しいじゃん!!」
「だが姫その怪しい物に手を出すほど世の中の審神者の多くが霊力にかんして問題を抱えているんだぞ」
「だいたいきゆよ」
「まぁそうともいえるな姫」
 こればかりは、大包平も同意らしい。
 光は、やはり偵察やらは、大包平に頼んでよかったとこのとき思った。
「霊力の枯渇を恐れて、手を出しているやつらもいるだろうな」
「光どうする?? これだけ証拠揃ってたら乗り込めるけど」
 イザナミにこの事を話すと、彼女は、こういった。
「未来か。ここ最近先の方で寿命にかんしておかしな事が起こり、閻魔が困っておった。本来予定にないものが来るとな。それが原因と思ってよかろう」
 友美は、その後閻魔大王に確認をとると、時の政府の時代の黄泉は、おかしな事になっていた。
 霊力があったと思われる者達が短期間にまとめて黄泉に来ているという。
「乗り込んでもいいが……友美……ここまで来ると裁きを与えるのは……」
「神の仕事……」
 さすがにまだ、均衡は、保たれているとは、言えこのままだと大変なことになる。
 普通ならば友美と光の役目では、ない。
「やったとしても調べたことを担当に伝えるまでよね」
「普通ならな」
 光と友美の会話からして、これら、大変なことになりそうだ。
「大包平」
「分かった。俺から皆に伝えてくる」
「正雪には、言うな」
「分かった」 
 言わなければあの娘は、おこるだろうが、今回ばかりは、そうも言ってられない。
「姫誰を連れていく」
 友美は、話の早い国広にさすがと思いつつ言った。
「国広と蛍よ」
「支度してくる」
「えぇ」
 国広も部屋をでていい、友美と光は、頷く。
「光最悪あの神器を使って」
「だが……」
「あの矢は、悪しきものを射つ。だからお願い」 
 万が一の事もある。それをどうにか出来るのは、光くらいだ。
 光は、ため息をこぼすと言った。
「分かった」
「ありがとう」
 これでひと安心。友美は、白野威を見ると、彼女は、言った。
「私は、正雪のそばにいるさ。万が一行くとか言い出したら大変だし」
「白野威……」
「それに死の気配に関して、もし黄泉由来なら私は、なにも出来ないしね」
 悔しいが。
「頑張ってくるわ」
「頼むよ」
 国広の支度が終わり、蛍もやって来ると友美は、光そして国広、蛍と共に屋敷をたった。

 本丸出撃から多くの仲間が死んだ。残ったのは、自分と長義のみ。
 砕け散った刃と遡行軍の遺体を使いなにかを作る主をみながら、山姥切国広は、なんとも言えない顔をしていた。
「主……」
「どうせ私は、罪人。なら試したいことを試すわ」
 女は、のろりと立ち上がる。
「霊力なんて無造作に湧くのになんで皆枯渇を恐れるのか。そしてその恐れおののき、薬をてにした瞬間の喜びとそこからの絶望。それでしか味わえない甘味……をね……」
 主の本性を知ってから、山姥切国広は、自分が見てきたものは、全て偽りだったと知った。
 しかしあの夜は、違う。本丸出撃の時。彼女は、間違いなく、寂しい目をしていた。 それは、偽りでは、ない。
 しかしその寂しさは、既に飢えへとかわり、誰もが満たして上げられないものへとなっていたのだ。
「これ以上は、やめろ。あんな死ぬぞ」
「いいわよ。どうせ私は、全てを殺すとしか能がないから」
 ひょんな事からこの力と遡行軍の遺体そして付喪神の遺体を使い薬を作れた。
 霊力を一気に向上させ、寿命を削ることでさらに強くする薬を。
 さて次の頼んできたアホに渡さなければと女は、思ったとき、臨時のアジトの入り口から大きな音がした。
 アジトの入り口に行くと、長義が殺られていた。
「みーつけた」
 蛍は、長義を部屋の隅に移動させ、そして生死を確認し、ホッとした。まだ助かると。
「蛍丸……」
「残念ながら、俺の仕事は、ここまで、あんたの相手は、上だよ」
 蛍がそういったとき、山姥切国広は、本体を構える前に壁に叩きつけられた。
「ぐは!!」
 ホコリのお陰で見にくいが目に写る者にかれは、固まった。
「まったく」 
 首筋に当てられた刃。間違いない自分自身だ。
「あんたは……」
「俺達もこれが仕事でな。あんたの主には、しかるべき裁きを受けてもらう」
 やはり全て露見してた。これで主が余計に罪を犯さなくてすむ。そう思うと山姥切国広は、ホッとしていた。
「頼む……止めてくれ……」
「あぁ」 
 国広は、短く答えると山姥切達の動きを封じた。
「国広霊力で動き止めたの!?」
「蛍それくらいやらないとな」
「本当に国広は、優しいねー」
 蛍なら容赦なく切るだろう。しかしそれをしたくないのが国広だ。
 さてもうそろそろ姫は、着いただろうか、かれがそう思う頃、女は、逃げていた。
「ひぃー!!!!」
 女の逃げる先には、なんと友美が。
 女は、顔を青ざめていた。
「死ぬの怖いの?? 多くの人を殺しておいて」 
 これは、同じ力の気配。いや違う。自分よりも上位の力の気配だ。
 友美の体から黒い霧が立ち込めるなか、女は、手から黒い塵を出し、応戦するも、塵は、すぐに消された。
「やめて……」
「へぇー力の差で怖がってるのね」
 友美は、そういえと女の子髪に黒い霧を放つ。すると髪は、あっという間に朽ちた。
「ひぃ……」
「でも凄いわ。霊力、刀剣と遡行軍の遺体を使った薬。解析してみたけど、死の力で寿命を削り、それを燃料とし、遺体に含まれる力で霊力が向上したと錯覚させ、化物に人を変えるなんてねー」
 だからこそ、人よりも霊力が強くなったと周りも思えたのだ。
「ふふふ……あなたには、分からないでしょうね。大切な人をこの力で殺して、恐れられてきた私のことを!!」
 友美は、冷たい眼差しで女を見る。
「……えぇ。分からないわ。悲劇のヒロインとしているあんたの事なんかね」
 友美は、そういえと女の側にいき、胸ぐらを掴んだ。
「おまえのお陰でどれだけの人が幸せを奪われたか分かるか??」
 友美は、そういうと告げる。
「あとは、任せるわ。イザナミお願い」
 友美は、そう言ったとき、女が黒い霧に包まれ、地面に沈んだ。
「死にたくない!! やめて!!! わたしは!!」
 最後に何をいったか分からない。だが女は、ドボンというねっとりとした音と共に地面に消えた。
「光証拠集められた??」
「あぁ。友美その……」
「あれでいいわ。あとは、黄泉の秩序のもと裁かれる。でもあの人地獄は、確定でしょうね」
 友美は、切なく微笑むと光の方を見た。
「光あとは、浄化ね」
「そうだな」
 友美と光は、術を発動させると穢れが全て浄化された。
 するの光の玉が表れ、いった。
「主を止めてくれてありがとう」
 光の玉は、そういうと消えた。
「友美……」
「愛に気づけないのって本当に……残念ね……」
 自分は、気づけたからこそいまがある。改めてそう思った。
 その後政府に連絡をし、刀剣の引き取りと証拠の引き渡しなどを終え、友美達は、屋敷に帰還したが、帰ったのち何故か正雪に怒られた。
「姫!! なぜあのような危ないことを!!」
 友美は、ポカーンとしていた。
「というと??」
「隠しても無駄だ!! 全て見えたから!!」
 友美は、顔を青ざめる。
「えっ!!??」
 白野威を見ると頷いていた。
「私もプンプン怒られたよ」
「私には、危ないことをするな!! というのに……貴女自身は、危ないことをする!!」
 正雪は、そういうと友美を抱き締めた。
「友美に何かあれば私は、どうすればいい……」
 友美は、優しく微笑むといった。
「私強いから死なないわ。それに死ねないもの。光や子供達そして、正雪や刀剣達……大切な人を置いてね!!」
 正雪は、安心したのかホッとした顔をした。
「……よかった」
「心配させてごめんね!! ありがとう!!」
 友美がそういうと正雪は、友美からはなれ、そして国広と蛍の所に。
「おかえりなさい」
「ただいま」
 国広達と話す正雪をみて、友美は、微笑む。
「光私そんなに危ない??」
「そりゃ友美の力の事を知らないとそう思うよ」
「そっか」
 光と微笑み合うと友美は、屋敷の中に入った。自分は、改めて恐ろしい力をつかい、そして何よりこうして心配してくれる、信じてくれる者達がいるから道を踏み外さないのだと。
「光万が一と時は、殺してね私を……」
「……その万が一を俺は、起こさせない」
「ありがとう」
 友美は、切なく微笑む。光は、その顔を見て優しく笑ったが絶対にそんなことにさせないと改めて決意したのであった。
 こうして事件は、解決し、薬は、使用不可にされのち全て回収され終結したのであった。

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