後日談
ここは、主の家にある書庫だ。
正雪は、日頃ここで本を読みふけっていた。様々な世界の本があり面白い。
「これは??」
ふと気になり取った本は、審神者についての本だった。
代理の審神者を短いとは、いえ勤めてから、彼女は、あの不思議な刀剣達と交流がある。
席に着き、読みすすめると、気になるものを見つけた。
正雪勢いよく立ち上がると、部屋を飛び出し、リビングに。
「マスター!! マスター!!」
リビングの扉を主を読みながら、開けると、ドンとなんと狼が寝ている。
踏んでは、いけないととっさに、風の魔術でふわりと浮くと狼を踏まずになかに入り、着地した。
「正雪??」
「演練があるとは、本当か!!」
友美は、彼女のもっていた本を見て、頷く。
「本当よ。といってもうちの子達は、出れないけど」
正雪は、はっとした顔をすると少し残念そうな顔に。
「そうか……」
「政府と取引は、しても、政府管轄じゃないから」
「……様々な刀剣男士を見れると思ったのだが……」
友美は、しばらく考える。
「なら行ってみる??」
「それは……」
「裏工作よ。工作!! 正雪も得意なね!!」
確かに軍師として作戦を考え、その過程で裏で暗躍することは、あるが、得意といえるのだろうか。
「得意とは……」
「得意にしときましょう。とりあえず行くわよ!!」
友美は、そういうと、正雪を連れ、先ずは、高天ヶ原に。
「刀剣男士を派遣して欲しいと」
「国広暇な刀剣でいいから!!」
友美は、国広に説明をしたのち、国広は、光忠にギモーブを食べさせられている正雪をみた。
「……ならの俺が行く。それに参加したいんだろ??」
「出来るの??」
「鍛練は必要だからな。政府から許可は、もらってる」
「さすが有能な私の初期刀!!」
国広は、誇らしげに笑うと、正雪のところへ。
「光忠借りてく」
「えっ!? 国広君!?」
「ふにひろどの!?」
あっさり担がれ正雪は、国広に連れ去られてしまった。
「光忠ドンマイ」
「姫……次は、負けないよ!!」
なんの勝負をしているのかと思いながらも、友美は、笑うと、光忠は、去っていき、友美は、屋敷の入り口に行くと、国広が支度を終え待っていた。
「姫……なぜ私は……横抱きに……」
困惑する正雪。友美もなぜ横抱きにしているのかと疑問に思った。
「国広降ろしてあげたら……」
「無用な争いかいひだ」
「はぁ……」
それは、本当なのだろうかとおもいつつ、友美は、たまたまその場にいた鯰尾と骨喰も誘い、演練に向かった。
久しぶりに演練の会場に来たが、ここは、何時も人で賑わっている。
興味津々で辺りを見ている正雪の事が少し気になるが、なんとかなるだろう。
「では、姫俺は、手続きしてくる」
「お願い国広」
友美は、国広が事務手続きしている間に会場のなかに入った。
「姫ここにいるご仁達は……」
「刀剣男士と審神者よ」
正雪は、すれ違った女性と刀剣を見ると、確かに女性は、木綿の面を着けていた。
「ふむ。やはり面は、いるのだな」
「まぁ普通の人はね」
かくゆう正雪も面を着けている。友美は、何時も通り着けていないが、この場では、その方が珍しい。
「姫こっちで待ってよう!!」
「ありがとう藤四郎」
友美が鯰尾に呼ばれ、その場を離れたときである。
正雪は、呼び止められた。
「貴方は、由井正雪!!」
正雪は、ふりかえると、そこには、紫の長髪の男だいた。
正雪に近寄るとじっと見る。
「貴殿は……」
「やはりワタシの元主では、ありまセンカ!!」
「間違いかと……」
「いえ!! 間違いありまセン!! この感覚由井正雪に間違いないデス!!」
興奮気味の男に正雪は、後ずさりした。
「これも何かのえん!! この縁に祝して服を脱ぎましょう!!」
男の発言に正雪は、ぎょっとすると、顔を真っ赤に。
「ここは、人前だ!! なぜそうなるのだ!!」
服を脱ぎだし、肌が露に。正雪は、もうダメとアワアワしながら意識を失いかけたとき、その男は、なんと跳んでいた。
「ぐは!!」
「変質者は、撃破だ」
この声はと消えゆく意識をなんとか、眉間に力をいれ、とどまらせ、確認すると国広に受け止められていた。
「国広殿……」
安心したのかそのまま正雪は、意識を手放してしまい、国広は、ため息をこぼした。
「国広!!」
「姫頼む」
友美は、地面におち、のびている村正をみて、ため息をこぼすと、正雪を横抱きにした。
「……まさかの遭遇だな」
「正雪さんには、刺激が強いなぁ……」
骨喰と鯰尾もあきれた顔をし呟くなか、騒動を聞き付けた村正の主がやってきた。
「ごめんなさい!! 村正が!!」
「別に問題ないが……人前で脱ぐのは、やめた方がいい……」
国広は、短くそういうと、皆のところに。
「正雪は、医務室に運ぶわ」
「姫着いていこうか??」
「藤四郎いいわ」
友美は、そういうと医務室に。そして事情を説明し、彼女をベッドに寝かせると、近くの椅子に腰かけた。
「姫……」
「薬研」
友美に付き添ったのは、薬研だった。
薬研は、騒動を見ながら、寝ている正雪も見た。
「……村正と正雪なに関係があるんだ」
「うーん私も刀剣の元主に関しては、まったくだから……とりあえず由井正雪が村正を使っていたといういつは、があるの」
「まさか……それで嬢ちゃんを……由井正雪と判断し……」
「嬉しさのあまりかしらね」
といってもこの世界の由井正雪は、男であり、生い立ちもまったく異なる。
「もしかして……縁で??」
「まぁそれは、あるかもな」
ひとまず正雪には、友美が付き添うことにし、薬研には、演練に戻ってもらった。
しばらく時間を潰していると、正雪が目を覚ます。
「姫……」
「体調大丈夫??」
「一応……」
体を起こすと、正雪は、はっとする。
「姫!! 演練は……」
「まだうちの番じゃないから大丈夫」
ほっとした顔をすると、正雪は、ベッドから降りた。
「行かねば」
「分かったわ」
その後医務室を後にし、会場に戻ると、ちょうど国広達の番だった。
審神者専用のブースから観戦することにした。
「姫と正雪さんだ!!」
「戻ってこれたようだな」
「行くぞ」
国広の掛け声で、皆は、演練場にでた。
こちらは、山姥切国広筆頭に、鯰尾、骨喰、薬研そして日向と蛍。
あちらは、加州清光筆頭に安定、兼さん、石切丸、大倶利伽羅、鶴丸国永だ。
機動力でなんとかカバー出来るが相手の方が力で有利だ。その場にいたもの達は、そう思っていた。友美以外。
「……これは、圧勝かも」
「姫??」
それは、どういうことかと思ったとき、正雪の目には、敵を瞬殺する刀剣達が。
「嘘だろ!?」
そんな声が会場から聞こえるなか、友美は、苦笑い。
「手加減してない……」
「手加減……」
「うちが演練でない理由がこれ……」
強いからこそ、出ていなかった。
正雪は、涼しい顔をしている刀剣達をみて、彼女の中で、何かが燃えた。
「姫私も……」
「国広達に相手になったもらうといいわ」
正雪は、頷くと、演練終了後さっそく国広達に申し込んでいた。
「稽古をつけてくれないだろうか!!」
「いいよね!! 国広!!」
鯰尾が国広に確認する。
「好きにしろ。俺は、書類仕事の合間なら相手をする」
正雪は、嬉しそうに微笑む。
「かたじけない皆」
「僕と蛍は、除外で」
「俺達基本ナカツクニだしねー」
日向と蛍は、そう言うと、正雪は、言った。
「そうか」
少し残念だがしかたがない。
その後屋敷に帰ると、さっそく道場に声が響いた。
「正雪さすが強い……」
友美がそう呟き、骨喰と試合をしている正雪を見ていた。
「姫は、相手しないのか??」
国広は、何気なくきくと友美は、困ったように笑う。
「私が相手すると、正雪大怪我しちゃうわ」
たぶん正雪は、知らない。主の恐ろしさというものを。
国広は、初対面で殴られたなと思い出しながら言う。
「なら俺の相手は、してくれるか??」
「まぁいいわよ。私の本気を引出したみて」
骨喰と正雪の、試合が終わり、友美と国広は、木刀を持つと、構える。
「姫と国広が!?」
「鯰尾殿??」
「これは、凄いことになるな」
正雪は、汗をぬぐいながら、友美と国広をみる。
主の服装は、剣の練習には、不向きな裾が広がる漢服だ。
どうみても国広の方が有利に見えるが、そもそも友美は、木刀を左手でしか持っていない。
骨喰のいうとおりそうなのだろうかと思ったとき、目の前で激しい打ち合いが始まった。
国広の太刀筋をよみ軽々と木刀で受け止める友美。
国広は、既に余裕などないのに、友美は、とても余裕だ。
「国広ファイト~」
主の声に国広は、絶対に右手を使わせると、更に打ち込むが、さらりさらりとかわされ、国広が一瞬隙を見せたとき、そこをつかれ、木刀を手から打ち上げられてしまった。
「なかなか!!」
「よくいう」
互いに礼をするの、友美は、木刀を片付け、何処かに。
国広は、木刀を拾うと片付けたのち、鯰尾達のところへ。
「国広負けたな」
「圧倒されてたね」
「そうだな。藤四郎、骨喰」
三振がそんな話をするなか、正雪は、驚きのあまり声がでなかった。
あの国広ですら勝てない友美。彼女の底知れぬ実力に恐怖もあるが不思議とひかれる。
「……国広殿」
「どうした??」
「姫は……中に鬼を秘めていたりするだろうか……」
ある人物を思い出しながら、きくと、国広は、しばらく考えていった。
「しないと思う。もし鬼なんて秘めてたら神子に選ばれてないだろうな」
なぜ正雪は、ほっとしたのか国広には、分からない。だが彼女にとっては、大切なことなのだろう。
「そうか」
「お腹空いたしおやつにしよう~!!」
「だな兄弟」
骨喰と鯰尾は、そういうと、道場を後にした。
「俺達も戻るか」
「あぁ」
国広と正雪も片付けを終えると、道場を後にし、国広の執務室に戻ってきた。
「姫!?」
「書類仕事終わらせといたわ」
部屋に戻ると書類を片付けている友美が。どうやら仕事が終わったらしい。
書類のやまのない部屋は、広く正雪も思わずキョロキョロしてしまうほど。
「姫その……」
「正雪どうしたの??」
頭を撫でられ、正雪は、少し驚く。友美もついつい、癖でやってしまいやめた。
離れる手をみて思う。この手は、もしかするも、多くのものを守ってきたのかもしれないと。
「……なにもない。ただ姫は……その力を嫌でもつけざるえなかったと思っただけだ……」
友美は、目を見開くとすぐに微笑む。
主は、よく微笑むがその笑みは、偽りの笑みだったりする。
今回は、そのように感じた。まるで本心を隠すような笑みだと。
「正雪」
「姫」
「その話は、これでおしまい!! さておやつおやつ!!」
友美は、そういうと部屋をでていってしまった。
「あんた度胸あるな」
「む??」
「今の……姫の見事に地雷踏んでたぞ……」
地雷といえば、爆弾だが、当世では、別の意味で使われる。
正雪は、友美の逆鱗に触れてしまったとわかり、顔を青ざめた。
「謝って来なければ!! その私は、悪い意味は、なく!!」
「知ってる。姫も分かってるからとりあえず離れたんだろう」
そう言ったときには、既に正雪は、いなかった。国広は、ため息をつくと、席をつき、書類の確認をはじめた。
屋敷のなかをしばらく歩くと、友美は、いた。静かに縁側に腰かけ、庭を見えている。
正雪は、友美のところへいくと、声をかけた。
「姫先程は……すまぬ……」
友美は、目を伏せる。
「いいのよ。本当の事だもの」
友美は、立ち上がる。
「私にとってこの力は、大切な者を守り、そして傷つけた力なの」
「姫……」
「まぁこの話は、これで終わり!!」
友美は、そういうとまた正雪の頭を撫でた。
「ついつい撫でちゃう……」
「その……姫……差出がた強いかもしれないが……私は、……」
「私より歳上だものね……」
友美は、名残惜しそうに手を離すが、すぐにまた撫ではじめた。
「姫……その……」
「可愛すぎて撫でちゃう……」
本当は、撫でられるのが心地よいといいたかったのだが。
正雪は、また言えるかと思っていたが、どうやら別の形で友美に伝わっていた。
気持ちよさそうに撫でられている正雪を見ていると、その可愛さにさらに撫でてしまう。
「可愛い」
「姫も可愛いと私は、思うが」
「さらりと言っちゃえるから困るのよね」
友美は、これは、ある意味強敵と感じた。
「姫今日は、その……ありがとう」
友美は、微笑むと言う。
「どういたしまして」
友美は、目を細める。彼女が少しでも楽しめたのなら今日は、よかったと思いながら。
正雪は、日頃ここで本を読みふけっていた。様々な世界の本があり面白い。
「これは??」
ふと気になり取った本は、審神者についての本だった。
代理の審神者を短いとは、いえ勤めてから、彼女は、あの不思議な刀剣達と交流がある。
席に着き、読みすすめると、気になるものを見つけた。
正雪勢いよく立ち上がると、部屋を飛び出し、リビングに。
「マスター!! マスター!!」
リビングの扉を主を読みながら、開けると、ドンとなんと狼が寝ている。
踏んでは、いけないととっさに、風の魔術でふわりと浮くと狼を踏まずになかに入り、着地した。
「正雪??」
「演練があるとは、本当か!!」
友美は、彼女のもっていた本を見て、頷く。
「本当よ。といってもうちの子達は、出れないけど」
正雪は、はっとした顔をすると少し残念そうな顔に。
「そうか……」
「政府と取引は、しても、政府管轄じゃないから」
「……様々な刀剣男士を見れると思ったのだが……」
友美は、しばらく考える。
「なら行ってみる??」
「それは……」
「裏工作よ。工作!! 正雪も得意なね!!」
確かに軍師として作戦を考え、その過程で裏で暗躍することは、あるが、得意といえるのだろうか。
「得意とは……」
「得意にしときましょう。とりあえず行くわよ!!」
友美は、そういうと、正雪を連れ、先ずは、高天ヶ原に。
「刀剣男士を派遣して欲しいと」
「国広暇な刀剣でいいから!!」
友美は、国広に説明をしたのち、国広は、光忠にギモーブを食べさせられている正雪をみた。
「……ならの俺が行く。それに参加したいんだろ??」
「出来るの??」
「鍛練は必要だからな。政府から許可は、もらってる」
「さすが有能な私の初期刀!!」
国広は、誇らしげに笑うと、正雪のところへ。
「光忠借りてく」
「えっ!? 国広君!?」
「ふにひろどの!?」
あっさり担がれ正雪は、国広に連れ去られてしまった。
「光忠ドンマイ」
「姫……次は、負けないよ!!」
なんの勝負をしているのかと思いながらも、友美は、笑うと、光忠は、去っていき、友美は、屋敷の入り口に行くと、国広が支度を終え待っていた。
「姫……なぜ私は……横抱きに……」
困惑する正雪。友美もなぜ横抱きにしているのかと疑問に思った。
「国広降ろしてあげたら……」
「無用な争いかいひだ」
「はぁ……」
それは、本当なのだろうかとおもいつつ、友美は、たまたまその場にいた鯰尾と骨喰も誘い、演練に向かった。
久しぶりに演練の会場に来たが、ここは、何時も人で賑わっている。
興味津々で辺りを見ている正雪の事が少し気になるが、なんとかなるだろう。
「では、姫俺は、手続きしてくる」
「お願い国広」
友美は、国広が事務手続きしている間に会場のなかに入った。
「姫ここにいるご仁達は……」
「刀剣男士と審神者よ」
正雪は、すれ違った女性と刀剣を見ると、確かに女性は、木綿の面を着けていた。
「ふむ。やはり面は、いるのだな」
「まぁ普通の人はね」
かくゆう正雪も面を着けている。友美は、何時も通り着けていないが、この場では、その方が珍しい。
「姫こっちで待ってよう!!」
「ありがとう藤四郎」
友美が鯰尾に呼ばれ、その場を離れたときである。
正雪は、呼び止められた。
「貴方は、由井正雪!!」
正雪は、ふりかえると、そこには、紫の長髪の男だいた。
正雪に近寄るとじっと見る。
「貴殿は……」
「やはりワタシの元主では、ありまセンカ!!」
「間違いかと……」
「いえ!! 間違いありまセン!! この感覚由井正雪に間違いないデス!!」
興奮気味の男に正雪は、後ずさりした。
「これも何かのえん!! この縁に祝して服を脱ぎましょう!!」
男の発言に正雪は、ぎょっとすると、顔を真っ赤に。
「ここは、人前だ!! なぜそうなるのだ!!」
服を脱ぎだし、肌が露に。正雪は、もうダメとアワアワしながら意識を失いかけたとき、その男は、なんと跳んでいた。
「ぐは!!」
「変質者は、撃破だ」
この声はと消えゆく意識をなんとか、眉間に力をいれ、とどまらせ、確認すると国広に受け止められていた。
「国広殿……」
安心したのかそのまま正雪は、意識を手放してしまい、国広は、ため息をこぼした。
「国広!!」
「姫頼む」
友美は、地面におち、のびている村正をみて、ため息をこぼすと、正雪を横抱きにした。
「……まさかの遭遇だな」
「正雪さんには、刺激が強いなぁ……」
骨喰と鯰尾もあきれた顔をし呟くなか、騒動を聞き付けた村正の主がやってきた。
「ごめんなさい!! 村正が!!」
「別に問題ないが……人前で脱ぐのは、やめた方がいい……」
国広は、短くそういうと、皆のところに。
「正雪は、医務室に運ぶわ」
「姫着いていこうか??」
「藤四郎いいわ」
友美は、そういうと医務室に。そして事情を説明し、彼女をベッドに寝かせると、近くの椅子に腰かけた。
「姫……」
「薬研」
友美に付き添ったのは、薬研だった。
薬研は、騒動を見ながら、寝ている正雪も見た。
「……村正と正雪なに関係があるんだ」
「うーん私も刀剣の元主に関しては、まったくだから……とりあえず由井正雪が村正を使っていたといういつは、があるの」
「まさか……それで嬢ちゃんを……由井正雪と判断し……」
「嬉しさのあまりかしらね」
といってもこの世界の由井正雪は、男であり、生い立ちもまったく異なる。
「もしかして……縁で??」
「まぁそれは、あるかもな」
ひとまず正雪には、友美が付き添うことにし、薬研には、演練に戻ってもらった。
しばらく時間を潰していると、正雪が目を覚ます。
「姫……」
「体調大丈夫??」
「一応……」
体を起こすと、正雪は、はっとする。
「姫!! 演練は……」
「まだうちの番じゃないから大丈夫」
ほっとした顔をすると、正雪は、ベッドから降りた。
「行かねば」
「分かったわ」
その後医務室を後にし、会場に戻ると、ちょうど国広達の番だった。
審神者専用のブースから観戦することにした。
「姫と正雪さんだ!!」
「戻ってこれたようだな」
「行くぞ」
国広の掛け声で、皆は、演練場にでた。
こちらは、山姥切国広筆頭に、鯰尾、骨喰、薬研そして日向と蛍。
あちらは、加州清光筆頭に安定、兼さん、石切丸、大倶利伽羅、鶴丸国永だ。
機動力でなんとかカバー出来るが相手の方が力で有利だ。その場にいたもの達は、そう思っていた。友美以外。
「……これは、圧勝かも」
「姫??」
それは、どういうことかと思ったとき、正雪の目には、敵を瞬殺する刀剣達が。
「嘘だろ!?」
そんな声が会場から聞こえるなか、友美は、苦笑い。
「手加減してない……」
「手加減……」
「うちが演練でない理由がこれ……」
強いからこそ、出ていなかった。
正雪は、涼しい顔をしている刀剣達をみて、彼女の中で、何かが燃えた。
「姫私も……」
「国広達に相手になったもらうといいわ」
正雪は、頷くと、演練終了後さっそく国広達に申し込んでいた。
「稽古をつけてくれないだろうか!!」
「いいよね!! 国広!!」
鯰尾が国広に確認する。
「好きにしろ。俺は、書類仕事の合間なら相手をする」
正雪は、嬉しそうに微笑む。
「かたじけない皆」
「僕と蛍は、除外で」
「俺達基本ナカツクニだしねー」
日向と蛍は、そう言うと、正雪は、言った。
「そうか」
少し残念だがしかたがない。
その後屋敷に帰ると、さっそく道場に声が響いた。
「正雪さすが強い……」
友美がそう呟き、骨喰と試合をしている正雪を見ていた。
「姫は、相手しないのか??」
国広は、何気なくきくと友美は、困ったように笑う。
「私が相手すると、正雪大怪我しちゃうわ」
たぶん正雪は、知らない。主の恐ろしさというものを。
国広は、初対面で殴られたなと思い出しながら言う。
「なら俺の相手は、してくれるか??」
「まぁいいわよ。私の本気を引出したみて」
骨喰と正雪の、試合が終わり、友美と国広は、木刀を持つと、構える。
「姫と国広が!?」
「鯰尾殿??」
「これは、凄いことになるな」
正雪は、汗をぬぐいながら、友美と国広をみる。
主の服装は、剣の練習には、不向きな裾が広がる漢服だ。
どうみても国広の方が有利に見えるが、そもそも友美は、木刀を左手でしか持っていない。
骨喰のいうとおりそうなのだろうかと思ったとき、目の前で激しい打ち合いが始まった。
国広の太刀筋をよみ軽々と木刀で受け止める友美。
国広は、既に余裕などないのに、友美は、とても余裕だ。
「国広ファイト~」
主の声に国広は、絶対に右手を使わせると、更に打ち込むが、さらりさらりとかわされ、国広が一瞬隙を見せたとき、そこをつかれ、木刀を手から打ち上げられてしまった。
「なかなか!!」
「よくいう」
互いに礼をするの、友美は、木刀を片付け、何処かに。
国広は、木刀を拾うと片付けたのち、鯰尾達のところへ。
「国広負けたな」
「圧倒されてたね」
「そうだな。藤四郎、骨喰」
三振がそんな話をするなか、正雪は、驚きのあまり声がでなかった。
あの国広ですら勝てない友美。彼女の底知れぬ実力に恐怖もあるが不思議とひかれる。
「……国広殿」
「どうした??」
「姫は……中に鬼を秘めていたりするだろうか……」
ある人物を思い出しながら、きくと、国広は、しばらく考えていった。
「しないと思う。もし鬼なんて秘めてたら神子に選ばれてないだろうな」
なぜ正雪は、ほっとしたのか国広には、分からない。だが彼女にとっては、大切なことなのだろう。
「そうか」
「お腹空いたしおやつにしよう~!!」
「だな兄弟」
骨喰と鯰尾は、そういうと、道場を後にした。
「俺達も戻るか」
「あぁ」
国広と正雪も片付けを終えると、道場を後にし、国広の執務室に戻ってきた。
「姫!?」
「書類仕事終わらせといたわ」
部屋に戻ると書類を片付けている友美が。どうやら仕事が終わったらしい。
書類のやまのない部屋は、広く正雪も思わずキョロキョロしてしまうほど。
「姫その……」
「正雪どうしたの??」
頭を撫でられ、正雪は、少し驚く。友美もついつい、癖でやってしまいやめた。
離れる手をみて思う。この手は、もしかするも、多くのものを守ってきたのかもしれないと。
「……なにもない。ただ姫は……その力を嫌でもつけざるえなかったと思っただけだ……」
友美は、目を見開くとすぐに微笑む。
主は、よく微笑むがその笑みは、偽りの笑みだったりする。
今回は、そのように感じた。まるで本心を隠すような笑みだと。
「正雪」
「姫」
「その話は、これでおしまい!! さておやつおやつ!!」
友美は、そういうと部屋をでていってしまった。
「あんた度胸あるな」
「む??」
「今の……姫の見事に地雷踏んでたぞ……」
地雷といえば、爆弾だが、当世では、別の意味で使われる。
正雪は、友美の逆鱗に触れてしまったとわかり、顔を青ざめた。
「謝って来なければ!! その私は、悪い意味は、なく!!」
「知ってる。姫も分かってるからとりあえず離れたんだろう」
そう言ったときには、既に正雪は、いなかった。国広は、ため息をつくと、席をつき、書類の確認をはじめた。
屋敷のなかをしばらく歩くと、友美は、いた。静かに縁側に腰かけ、庭を見えている。
正雪は、友美のところへいくと、声をかけた。
「姫先程は……すまぬ……」
友美は、目を伏せる。
「いいのよ。本当の事だもの」
友美は、立ち上がる。
「私にとってこの力は、大切な者を守り、そして傷つけた力なの」
「姫……」
「まぁこの話は、これで終わり!!」
友美は、そういうとまた正雪の頭を撫でた。
「ついつい撫でちゃう……」
「その……姫……差出がた強いかもしれないが……私は、……」
「私より歳上だものね……」
友美は、名残惜しそうに手を離すが、すぐにまた撫ではじめた。
「姫……その……」
「可愛すぎて撫でちゃう……」
本当は、撫でられるのが心地よいといいたかったのだが。
正雪は、また言えるかと思っていたが、どうやら別の形で友美に伝わっていた。
気持ちよさそうに撫でられている正雪を見ていると、その可愛さにさらに撫でてしまう。
「可愛い」
「姫も可愛いと私は、思うが」
「さらりと言っちゃえるから困るのよね」
友美は、これは、ある意味強敵と感じた。
「姫今日は、その……ありがとう」
友美は、微笑むと言う。
「どういたしまして」
友美は、目を細める。彼女が少しでも楽しめたのなら今日は、よかったと思いながら。