学校仮入学編

 近代的な建物。その中にはいっていく同じ姿の人たち。
 正雪は、建物の前で深呼吸をした。
「今日からここで……学ぶのだな……」 
 学舎で学ぶのは、もしかするもはじめてかもしれない。よくても久しぶりだ。
「主行かないのかい??」
 背後か、聞こえる声に正雪は、振り返る。この学舎には、必ず初期刀を連れてくることが義務だ。 
 審神者の適正を試験で認められたものは、入学時に初期刀を選ぶ。そして共に卒業まで学ぶのだ。
 道行くものが皆打刀をもっているが、近くに刀剣男士の姿は、ない。
 正雪は、重い口を開いた。
「貴殿は、その……本体に戻らなくてもいいのか??」
 正雪の問いに銀髪の彼は、いう。
「その必要は、ない。それにあちらからそのように指示があったんだろ??」
 彼こと、山姥切長義は、言うと、正雪は、頷く。
 今回の仮入学にあたり、政府から、制服で登校すること、あとあくまでも仮入学の為、学びたい科目を自由に決め、受けてよい。
 そして刀剣は、山姥切長義を同伴さすこと連絡があったのだ。しかも刀剣男士として顕現している形でと。
「あぁ」
 この布面をつけ、学校の制服である袴と着物を着た正雪は、頷く。
「しかし珍しいね。君が髪を全て結い上げてるとは……何時もは、総髪なのに」
「心機一転というやつかな」
「なるほど」
 正雪は、時計をみると慌てる。
「遅刻する!!」
「初日からそれは、さすがにまずいな」
 正雪と長義は、中には入ると、受付けに。話んするとすぐに案内してくれた。
「仮入学なんて久しぶりですよ」
「そうなのですか……」
「時々親が審神者をやっていて引き継いだ方で学校がどのようなのかみたいと来るくらいですから。そういう方は、たいていここに来なくても審神者が出来る方が多いですから」
 親に教えてもらい、なんなら、刀剣男士やこんのすけが教えるのでここに来る必要は、ない。
 正雪は、驚きつつ隣の歩く長義を見ると彼は、頷いていた。
「では、ここです。担当の教師には、伝えてますから」
「かたじけない」
 正雪は、頭を下げ、挨拶をすると、事務員は、去っていった。
 胸が早鐘を打つ。深呼吸し正雪は、扉をノックすると、扉をひき、中に。
「おはようございます」
 挨拶をし、中にはいると担任が出迎えてくれた。
「おはようございます。貴女が仮入学の幸さんですね??」
「はい」
 ここでは、生徒たちもそして教師も真名を告げない。神から己のみを守るために。
 正雪は、ふと視線をそらすと、生徒達と目があった。
「皆さん今日からしばらくの間私達と学ぶ幸さんだ」
 皆が驚いているが正雪は、あえて、いった。
「幸と申す。ふつつか者であるが、宜しくお願い申しあげる」
 すこし古風な話し方に皆は、驚くが、それよりも生徒達は、正雪の隣に立つ長義に目がいっていた。
「山姥切長義だ……」
「確か政府に認められた本丸にしか派遣されないって……」
「皆さん!! 静かに!! では、授業を始めます!!」
 教師は、そういうと、正雪を席に案内し、彼女が準備できたのを確認すると、授業を始めた。
「では、審神者の霊力に関してですが……」
 皆がタブレットで教科書をみるなか、正雪は、あわあわしながらもなんとか、ついていっていた。
 タブレットやはり慣れない。そう思っていると、手が視界に。
「主ここだ」
「長義殿……」
 今は、授業に集中しなくては。正雪は、頭を下げると、その後も授業をうけ、あっという間に午前中が終わってしまった。
 昼になり、あたりを見渡すと刀剣男士達が出てきていた。
「昼休みだからだろうな」
「なるほど……しかしなぜだ??」
「霊力の節約かな。やはり人の形で動いているとそれだけ霊力を使うからな」
 適正を見いだされただけで、彼らさ、審神者では、まだない。やはり霊力の使い方もまだ上手くないようだ。
 使いすぎれば体に支障が出る。その対策として、座学の時は、刀剣男士は、本体に戻っているようだ。
「なら長義殿は??」
「俺は、そもそもする必要がない。主も姫も霊力に関しては、保有量が桁違いだ」
「私も!!??」
「あぁ。姫との契約もあるから」
 友美がいわば巨大なタンクといえるのかもしれない。
 正雪は、想像し、ポカーンとしていると誰か来た。
「あの!!」
 加州清光を連れた女性は、緊張した面持ちで正雪に話しかけてきた。
「どうされた??」
「貴女その……幸さんですよね??」
「あぁ。貴殿は??」
「私は、夏といいます!! その……」
 長義の視線がいたい。しかしここで話しかけなくてはと夏は、意をけっした。
「お昼食べませんか?? 一緒に!!」
 正雪は、長義を見ると、彼は、頷く。
「私でよければ是非」
「ありがとう!! なら中庭にいこう!!」
「わかった」
 弁当をもち、正雪と夏は、中庭に。人が多く、刀剣達の楽しい声も響いていた。
 木陰のベンチに腰かけると、夏は、清光にいった。
「清光もお昼食べてきたら??」
「主一人で大丈夫??」
「大丈夫!!」
 確かに刀剣男士も昼を食べる必要がある。正雪は、長義を見ると、彼は、首を横にふった。
「俺は、隣で食べる。国広から持たされたものがあるからな」
「国広殿が??」
「あぁ。主から目を離すなと口うるさくいわれたうえでな」
 長義は、溜め息をつく。あのしつこさ。本当に姫に似ていると思いながら。
「国広殿なりに長義殿のことも心配なのだろう」
「だろうな」
 長義は、正雪の隣に座ると、持っていた風呂敷を広げる。中には、弁当が。ふたを開けると美味しそうな卵焼きとミートボールと白ご飯が。
「光忠が作ったんだろうな……」
 彼は、そう思ったが、手紙を開いて驚いた。
 そこには、俺が作ったと国広の筆跡で書かれ、大変だと思うが長義ならやれる。と励ましまで綴られていた。
「本当にあいつは……」
「国広殿は、優しいから……貴殿のことも気にかけているのだろう……」
「みたいだな」
 優しく微笑む長義をみて、正雪も微笑むが視線を感じ振り向くと夏と清光が不思議そうに見えいた。
「山姥切長義ってそんなに優しいの!?」
「噂と違う……」
「噂とは??」
「聞く話によりと、山姥切国広と山姥切長義は、犬猿の仲ときくよ!!」
「偽物君って呼ぶってね」
 夏と清光の発言に長義は、むせかけ、正雪は、驚いた顔をしたが、すぐに国広の言葉を思い出す。
「うちの山姥切長義は、他と違う!! 正雪いいか!! 他の山姥切長義が長義と一緒だと思うな!!」
 とここへ来る前に何度もいわれた。
「そうなのか……うちの長義殿は、こうなのだ……個体さというやつだろう……」
 長義は、全力で頷いた。
「やっぱりそうだよね!! でもすごく綺麗……まさか山姥切の本歌をこんなにも早くみれるとは、思わなかった!!」
「そうか」
 正雪は、昼を食べながら、呟くと、夏は、更に色々話してくれた。時々長義を見ながら、話をし、辺りを見ていると視線を感じた。
 皆そんなにも珍しいのだろうか。山姥切長義が。
「じろじろ見なくてもいいと思うのに……」
「主……」
 敵意がなくとも見られるのは、あまりいい気分では、ない。
 昼を食べ終えると、正雪は、立ち上がった。
「幸さん??」
「すまない。用事を思い出した。では、私は、これで!! またのちほど!!」
「うん!!」
 弁当を片付け、正雪は、そういうと長義の手を掴み、走る。
「主!?」
「いいから!!」
 建物の中にはい、図書室に正雪は、向かう。すると予想通り人は、少ない。
「主君分かってるのか!! 俺は……」
「無礼を承知でした。すまない」
 正雪は、謝ると小声でいった。
「ここならばすこしは、人目がましだろう」
 正雪なりの気遣いに長義は、溜め息をついた。
「まったく……」
「私からすれば貴殿は、そこまで珍しいとは、思わぬ。皆綺麗で見ていたのだろうか……」
「さぁな。だが俺が珍しいのは、当たり前だろう。政府から認められた本丸にしか派遣されないからな」
「そうなのか……」 
 長義は、ここならあるだろうとある資料を探し、見つけると棚からとり、正雪に見せた。
「これを見て」
 差し出された資料には、聚楽低と記されていた。
 資料に目を遠し、正雪は、驚く。
「歴史改変のをされ放置された世界……」
「俺は、そこの監視官をしていた。で政府は、一時的にその世界を解放し、遡行軍を殲滅する作戦を結構した」
「でそこで実力を認められた……本丸に貴殿が派遣されたと……」
「あぁ。だから珍しいと感じるやつは、一定数いるだろう」
 正雪にとっては、はじめから彼は、組織にいたので珍しいとは、感じなかった。しかし一般的には、違うと分かった。
「姫は、凄いな……」
「本当に。まぁ俺も悪かったが……」
 長義は、自嘲しながら、話をした。
「俺は、当初国広を偽物と呼んでいた。それが俺が写しでありながら、山姥切を名乗っているあいつへの羨ましさ、妬み……そして自分の全てを取られると……思っていたことを姫に見破られていた」
 正雪は、黙って聞く。
「お陰で俺も名前で皆から呼ばれなかった」
「姫は、厳しいところもあるからな」
「あぁ。己のそれを認めない限り、前に進めない。だからこそ、国広と同じ境遇にさせられた。そして言われた。貴方が山姥切長義ななのは、分からない。だから安心して。そして私は、国広を妬まず己の力で道を進む長義を見たいと」
 そして長義は、そこから国広と写しを呼び、国広は、長義と本科を呼ぶようになった。
「主。他の山姥切長義と俺は、間違いなく違う。だから気にしなくていい。他のやつらの言っていることなんて」
「分かった……だがやはり視線は……」
「主が気にする事じゃない。君は、やりたいことをすればいい」
 柔さく微笑む長義。正雪は、頷く。
「ありがとう長義殿」
 昼休憩が終わるチャイムがなり、正雪と長義は、慌てて教室に戻った。
 刀剣達も本体に戻るなか、長義は、相変わらずそのままだ。
 昼からは、教室で座学をうけ、その後実技のなっていた。 
 座学が終わり、実技を受けに教室を移動する。
「幸さん!! 次は、手入れの実技だね!!」
「そうだな」
 話しかけてきた夏に正雪は、頷く。刀剣は、人と怪我の治し方も違う。
 正雪は、どのように手当てするのだろうかと思っていると、教室についた。
 中には入ると、この学校所属の刀剣が教師と待っていた。
「では、皆さんこれから実技訓練として演練をおこないます!! その後手入れの実技となります」
 皆がざわつくなか、正雪は、長義を見た。
「貴殿を傷つかせるわけには……」
「主。その気持ちは、いいが今は、置いておけ」
「だが……」
「なにおじけずいてるんだよ!! 演練だぜ??」
「そうそう!! まさかその山姥切長義弱いのか??」
 正雪は、この時恐ろしいほどに冷たい瞳をし、ヤジをとばしてきたやつを睨んだ。
「幸さん!!」
「夏殿止めてくれるな」
「でもあいつら何時もの事だし……なにより審神者としての素質も……刀剣の練度も高いし……」
 何時もターゲットをきめ、いらぬことをいってくるやつらだ。しかし実力もある。
 夏は、不安そうに言ったが、その時彼女は、みた。勝ち誇った顔をしている正雪を。
「だとしても実践は、知らぬ……であろう??」
「まぁそうだけど……」
「主手加減は、しなくていいな??」
「無論。やるから、には、正々堂々と。だろ?? 長義殿」
 なんだろうこの新入生ただ者じゃない気がする。なんというか知っている。戦場を。
「大丈夫??」
「私がでなければいいことだろ??」
「出る!?」
「長義殿に任せるのは、心苦しい。ならば私もといいたいが……さすがにここでは、まずかろう……試し切りの死体にするわけにもいかぬしな……」
「死体!!??」
 このご時世に刀剣の試し切りに死体を使うこと等ない。
 夏は、開いた口が塞がらず、出てきていた清光も唖然としていた。
「あんたの主何時もあんな感じ??」
 とりあえず長義に確認をすると、彼は、真顔でいう。
「あぁ」
「えっ!? 審神者になってないのに!?」
「……本丸育ちならあり得るだろ??」
「ありえないから!!」
「そうか。まぁ俺の主は、あんなんだ。気にするな」
「いやーー!!!?? 突っ込みどころ満載だからね!!??」
 夏も頷くが、正雪と長義は、どこ吹く風だ。
「腹に何かあるものには、よく嫌われるがまさかここでもか……」 
「黙らせればいいだけだろ??」
「確かに」 
 今回の実技は、大変なことになりそうだ。正雪と長義は、笑うがその笑みが既に怖い。
 こうして大変なことになる実技が幕を空けてしまったのであった。
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