光明ノ神子にかわり代理審神者勤めます
神も、刀剣もそして人も後悔というものを抱えていることもある。
彼もまたそうだ。内番である畑仕事をしながら、不動行光は、先日のことを思い出していた。
「……手をうごかしてください」
「ごめん!!」
相手が一でなければもう少し考える時間もあるのに。彼と内番の時は、黙って早くやるのが得策だ。
畑仕事を終え、行光は、初夏の空を見上げた。
「では、私は、これで」
「わかった」
とっとと一がいなくなってしまったがこれで少しは、考え事ができる。
畑近くの小川に行光は、来ると、靴と靴下を脱ぎ、小川に足をつけ、岸に座った。
暑くなってきた季節にやはり冷たい小川の水は、気持ちい。
ふっと息はくと行光は、考える。
「姫から貰った書類には……人じゃないと書いてたが……まさか……それが関係してるのか??」
一応この組織の一員なので、全員が出陣するほどの事件にも行光は、参加していた。しかし屋敷のなかで見かけることは、あっても、あまり彼女と話したことは、ない。
律儀に挨拶を毎回しに来るので会話は、その時くらいだ。
「行光殿!!」
聞きなれた声が聞こえ、行光は、屋敷の方を見ると正雪がやって来た。
「なんだ??」
返事をすりと、ぱっと正雪は、明るい顔になると行光のところへやって来た。
「貴殿の本体は、眼鏡と聞いたのだが本当か??」
「そうそう!! 俺ってば刀剣の付喪神だが、眼鏡が本体なんだ……ってそんなことあるか!!!!! 誰がいったんだそんなこと!!!! そもそも刀剣の付喪神が眼鏡本体ってありえないだろ!!?? 付属ならともかく!!!!」
思わずぼうよろず屋の眼鏡のように、突っ込みを行光は、入れると、正雪は、わらいだす。
「ふふふ」
「まさか……」
「貴殿の突っ込みが凄いと国永殿から聞いて、ボケとやらを教えて貰ったのだ。上方の方では、コミュニケーションのいっかんだとか」
「……まぁそうだな。大阪だと昔から落語なんかもあるし」
「なるほど……確かに……」
「正雪は、確か駿府の方だったよな??」
「……そうともいえるかな。その……創られたのは、天草だが……」
「天草か……俺は、豊前国小倉よ小笠原家にいたこともあるから、以外に共通点あるかもな」
「ほう。豊前国に」
「そうそう!! ちょうど江戸時代だったよ」
「そうか」
長らく小笠原家にいたが、それでも自分の中での主は、織田信長であり、森蘭丸だったともいえる。
人の体を獲てもそれが不動行光を形作る物だったのだから。
「あんたも俺も……過去に……いや故人に囚われている……違うか??」
刀剣不動行光に関しては、正雪は、詳しいわけでは、ない。ただ織田信長がたいそう気に入り、森蘭丸にかししたとしか知らない。
何故彼は、こんなことをいうのだろうか。
「貴殿の目から見て私は、そのように写っているのか??」
「感じるといった方が近いかな」
「感じる……」
「今の幸せがなくならないか恐怖を何時ながら、でも後悔を抱えてる……みたいな」
何故だろう。この時正雪は、胸に冷たい刃を当てられたようなゾワッとした感覚に襲われた。
「……何故そのように」
「俺がそうだったからかな」
自分は、本当に恐れているのだろうか。今のこの不思議で温かな物がなくなるのでは、ないかと。
確かに今のこれは、泡沫の夢のようなものだ。この世は、諸行無常。けっして何もかもが一定にずっとその姿を保てるわけでは、ない。
「……確かに師の大義が私のいきる意味であったともいえる……」
「そっか」
「だが今は、違う」
自分の為に生きる。普通の人たちがしてきたことを今ようやく自分は、し始めた。
正雪は、目を伏せるといった。
「自分の為に……生きている……と思っては、いるが……じっそうは、どうなのだろうか……」
少し落ち込んでしまった。正雪に、本当に真面目だなと行光は、思う。
小川を見ながら彼は、いった。
「俺から見て、立ち止まりながらでも正雪さん進んでると思うよ」
「行光殿……」
彼女は、自分とは、違い間違いなく進んでいる。出ないと国広のあの可愛がりように納得が出来ない。
「国広が可愛がってるしな!!」
「む」
正雪は、なにか思い出したのか、少しい嫌そうな顔に。
「どうしたんだ??」
プルプルと全身を震わせ始めた正雪は、いった。
「国広殿が酷いのだ!!」
「はぁ??」
「少しロールケーキを食べていたら、食べすぎると太るとか、昼が食べれないとか、幼子に言うことを言ってくるのだ!! 私は、子供では、ないのに!!」
頬を膨らませ怒る正雪だが、その様子がまさに子供ぽい。
行光は、そりゃ無理だろと内心思ったが、あえていわなかった。
「私は、少食で燃費が悪いゆえ、間食をせねば腹の虫が鳴る……それだけは、避けなくては……」
頬を赤く染め恥ずかしそうに正雪は、いった。
「国広基本色々よく見てるし、世話焼きだが、堀川派だからな」
「うむ……」
正雪は、ため息をつく。
「なら独眼ぼうに助けてもらうか??」
「あれが人の言うことを聞くとは、思えぬ」
「たしかに。なんなら、ラリアットで俺達飛ばされるよなぁー」
「たしかに」
正雪と笑い話しをしていると、行光は、感じた。こいつは、間違いなく前を向いていると。
「正雪さんは、今の幸せを感じるからこそ、生前から知りたかったと思うたちか……」
「いきなりなにを??」
「こっちの話ださ!!」
行光は、立ち上がるも手拭いで足をふき、靴下と靴を履いた。
「じゃ俺いくわ!!」
「あぁ。そういえば粟田口の短刀達が貴殿を探していた」
「ありがとう!! そっか!!」
行光は、微笑むと、屋敷の方へと歩いていった。
残された正雪は、青い空を見上げたのち、屋敷の方へ。中には入ると、何時ものように、国広の執務室に。
「帰ってきたか」
「国広殿。一応任務完了かな」
先日からなにやら考えていた行光。国広は、もしかするとと、ある仮説をたて、正雪に頼んだ。
少し不動行光と話してきてくれと。
「しかし行光殿は、なにも隠してなさげであったが……」
「あいつは、もとから隠してないさ。ただ答えが出ないと思うと考えをずっと考えていたようだったからな」
「というと……」
「あんたのことだ正雪」
正雪は、茶をいれながら、驚いた顔をした。
「私のこと!?」
「自分と重なるところがあったのかもな。あいつは、織田信長、森蘭丸の短刀としての自信そして助けられなかった後悔でずっと現実を見てこなかった。今の幸せも泡沫の夢のようなものと認識し、失いたくないと思っていたようだからな」
だからこそ、不動行光は、酒に酔い、現実逃避をしていた。修行に出るまでは。
「行光殿……」
「だが今行光は、ようやく前を向いて歩いてる。だから正雪に何かアドバイスが出来たらと思っていたんだろう。あぁみえて、なにかと世話焼きだからな」
思わずこの時正雪は、笑ってしまった。そん彼女を国広は、怪訝な顔をしみた。
「なんだ」
「すまぬ。ただ……ここの付喪神達は、とても優しく世話焼きな者ばかりだと思って」
本当に皆個性は、あれど最終的には、このような印象を受ける。
正雪は、微笑み言うと、国広は、困った顔をしいった。
「それもこれも姫のお陰だ」
「姫の??」
「あのやんちゃくれ四姉弟の世話をしてみろ自然とそうもなるだろ」
「そういうものだろうか……」
確かに世話焼きには、ならないか。国広は、なら何故かと考えた。
「まさか……姫のお節介のせいか……??」
「それは、あると思う」
まだ皆よりも友美との付き合いは、浅いがそれでも正雪は、感じていた。友美のお節介を。
「先日姫と衣替えをしていたのだが……」
「もうそろそろそんな時期だな」
「さよう。そこで、姫から、その……下着の話になり……夏ようがいるだろと……あれよあれよと買いに……行くことに……」
正雪としては、とりあえずあるものを使い、足りなければ買えばいいと思っていた。
話を聞き国広は、言った。
「そりゃ江戸初期の夏と今の夏は、比べ物にならないくらい暑いからな……姫もそういうだろ……」
「そんに違うのか??」
「今の気温は、昔の夏の気温だろうが、これからあと半年さらに暑くなるぞ」
正雪は、固まった。今でも暑いのに、さらに暑くなるのかと。
「これは……姫のお節介では、なく……」
「必要物資支給だな」
「うむ……」
「まぁあんたが言い出すのを待ってもよかったが、ある意味姫のお節介が先手を打ったというべきか」
「結果的には……」
正雪は、ほかに何か友美のお節介があるかと考えたが、思い付かなかった。
「姫のお節介か。ある意味一を引き取り、卑屈な俺に構いまくり、なおかつ助けなくてもいい、ブラック本丸を助けるとかだな……」
「なら私の事もだろうな」
国広は、目を細めた。
「あんたのは、どうかな」
「しかし場合によっては、お節介ともいえる」
国広と正雪は、笑いながら、話していると、友美がやって来た。
「国広!! 行光知らない??」
「知らんぞ」
「正雪知ってる??」
「粟田口の短刀といると思う」
友美は、微笑む。
「ありがとう!! これよかったら食べてね!!」
友美は、そう言うと、柏餅を置いて、去っていった。
「柏餅だな……」
「国広殿ちょうど茶もいれたし少し休憩しては??」
「そうする」
席から立ち上がり、国広は、長椅子に腰かけた。
「まさか柏餅を配りに来たのか……」
「国広殿美味しいぞ!! 柏餅!!」
目の前では、正雪が美味しそうに柏餅を食べている。
国広は、友美ならありえるなと思いながら、柏餅を食べた。
「結局本人が冷酷で化物といってるが……優しい主なんだよな姫は」
「国広殿間違いない!! むしろ優しすぎると私は、思う……」
「そうかもな」
はたしてそうかは、国広と正雪には、分からない。見てそう思うのだ。
「……生前にもう少し食べられたらな……そもそもなぜ……吸収出来ぬように……つくったのだ。まったく……」
正雪は、少し不満げに呟くと言った。
「正雪でも文句言うんだな」
「国広殿私は、聖人では、ない。文句くらいいう……」
「ならこれから楽しめばいいだろ」
「そうだな」
行光が心配するよりかは、正雪は、前を向き進んでいる。
国広は、柏餅を嬉しそうに食べる代理を見ながら、微笑むのであった。少しばかりホッとした顔もして。
彼もまたそうだ。内番である畑仕事をしながら、不動行光は、先日のことを思い出していた。
「……手をうごかしてください」
「ごめん!!」
相手が一でなければもう少し考える時間もあるのに。彼と内番の時は、黙って早くやるのが得策だ。
畑仕事を終え、行光は、初夏の空を見上げた。
「では、私は、これで」
「わかった」
とっとと一がいなくなってしまったがこれで少しは、考え事ができる。
畑近くの小川に行光は、来ると、靴と靴下を脱ぎ、小川に足をつけ、岸に座った。
暑くなってきた季節にやはり冷たい小川の水は、気持ちい。
ふっと息はくと行光は、考える。
「姫から貰った書類には……人じゃないと書いてたが……まさか……それが関係してるのか??」
一応この組織の一員なので、全員が出陣するほどの事件にも行光は、参加していた。しかし屋敷のなかで見かけることは、あっても、あまり彼女と話したことは、ない。
律儀に挨拶を毎回しに来るので会話は、その時くらいだ。
「行光殿!!」
聞きなれた声が聞こえ、行光は、屋敷の方を見ると正雪がやって来た。
「なんだ??」
返事をすりと、ぱっと正雪は、明るい顔になると行光のところへやって来た。
「貴殿の本体は、眼鏡と聞いたのだが本当か??」
「そうそう!! 俺ってば刀剣の付喪神だが、眼鏡が本体なんだ……ってそんなことあるか!!!!! 誰がいったんだそんなこと!!!! そもそも刀剣の付喪神が眼鏡本体ってありえないだろ!!?? 付属ならともかく!!!!」
思わずぼうよろず屋の眼鏡のように、突っ込みを行光は、入れると、正雪は、わらいだす。
「ふふふ」
「まさか……」
「貴殿の突っ込みが凄いと国永殿から聞いて、ボケとやらを教えて貰ったのだ。上方の方では、コミュニケーションのいっかんだとか」
「……まぁそうだな。大阪だと昔から落語なんかもあるし」
「なるほど……確かに……」
「正雪は、確か駿府の方だったよな??」
「……そうともいえるかな。その……創られたのは、天草だが……」
「天草か……俺は、豊前国小倉よ小笠原家にいたこともあるから、以外に共通点あるかもな」
「ほう。豊前国に」
「そうそう!! ちょうど江戸時代だったよ」
「そうか」
長らく小笠原家にいたが、それでも自分の中での主は、織田信長であり、森蘭丸だったともいえる。
人の体を獲てもそれが不動行光を形作る物だったのだから。
「あんたも俺も……過去に……いや故人に囚われている……違うか??」
刀剣不動行光に関しては、正雪は、詳しいわけでは、ない。ただ織田信長がたいそう気に入り、森蘭丸にかししたとしか知らない。
何故彼は、こんなことをいうのだろうか。
「貴殿の目から見て私は、そのように写っているのか??」
「感じるといった方が近いかな」
「感じる……」
「今の幸せがなくならないか恐怖を何時ながら、でも後悔を抱えてる……みたいな」
何故だろう。この時正雪は、胸に冷たい刃を当てられたようなゾワッとした感覚に襲われた。
「……何故そのように」
「俺がそうだったからかな」
自分は、本当に恐れているのだろうか。今のこの不思議で温かな物がなくなるのでは、ないかと。
確かに今のこれは、泡沫の夢のようなものだ。この世は、諸行無常。けっして何もかもが一定にずっとその姿を保てるわけでは、ない。
「……確かに師の大義が私のいきる意味であったともいえる……」
「そっか」
「だが今は、違う」
自分の為に生きる。普通の人たちがしてきたことを今ようやく自分は、し始めた。
正雪は、目を伏せるといった。
「自分の為に……生きている……と思っては、いるが……じっそうは、どうなのだろうか……」
少し落ち込んでしまった。正雪に、本当に真面目だなと行光は、思う。
小川を見ながら彼は、いった。
「俺から見て、立ち止まりながらでも正雪さん進んでると思うよ」
「行光殿……」
彼女は、自分とは、違い間違いなく進んでいる。出ないと国広のあの可愛がりように納得が出来ない。
「国広が可愛がってるしな!!」
「む」
正雪は、なにか思い出したのか、少しい嫌そうな顔に。
「どうしたんだ??」
プルプルと全身を震わせ始めた正雪は、いった。
「国広殿が酷いのだ!!」
「はぁ??」
「少しロールケーキを食べていたら、食べすぎると太るとか、昼が食べれないとか、幼子に言うことを言ってくるのだ!! 私は、子供では、ないのに!!」
頬を膨らませ怒る正雪だが、その様子がまさに子供ぽい。
行光は、そりゃ無理だろと内心思ったが、あえていわなかった。
「私は、少食で燃費が悪いゆえ、間食をせねば腹の虫が鳴る……それだけは、避けなくては……」
頬を赤く染め恥ずかしそうに正雪は、いった。
「国広基本色々よく見てるし、世話焼きだが、堀川派だからな」
「うむ……」
正雪は、ため息をつく。
「なら独眼ぼうに助けてもらうか??」
「あれが人の言うことを聞くとは、思えぬ」
「たしかに。なんなら、ラリアットで俺達飛ばされるよなぁー」
「たしかに」
正雪と笑い話しをしていると、行光は、感じた。こいつは、間違いなく前を向いていると。
「正雪さんは、今の幸せを感じるからこそ、生前から知りたかったと思うたちか……」
「いきなりなにを??」
「こっちの話ださ!!」
行光は、立ち上がるも手拭いで足をふき、靴下と靴を履いた。
「じゃ俺いくわ!!」
「あぁ。そういえば粟田口の短刀達が貴殿を探していた」
「ありがとう!! そっか!!」
行光は、微笑むと、屋敷の方へと歩いていった。
残された正雪は、青い空を見上げたのち、屋敷の方へ。中には入ると、何時ものように、国広の執務室に。
「帰ってきたか」
「国広殿。一応任務完了かな」
先日からなにやら考えていた行光。国広は、もしかするとと、ある仮説をたて、正雪に頼んだ。
少し不動行光と話してきてくれと。
「しかし行光殿は、なにも隠してなさげであったが……」
「あいつは、もとから隠してないさ。ただ答えが出ないと思うと考えをずっと考えていたようだったからな」
「というと……」
「あんたのことだ正雪」
正雪は、茶をいれながら、驚いた顔をした。
「私のこと!?」
「自分と重なるところがあったのかもな。あいつは、織田信長、森蘭丸の短刀としての自信そして助けられなかった後悔でずっと現実を見てこなかった。今の幸せも泡沫の夢のようなものと認識し、失いたくないと思っていたようだからな」
だからこそ、不動行光は、酒に酔い、現実逃避をしていた。修行に出るまでは。
「行光殿……」
「だが今行光は、ようやく前を向いて歩いてる。だから正雪に何かアドバイスが出来たらと思っていたんだろう。あぁみえて、なにかと世話焼きだからな」
思わずこの時正雪は、笑ってしまった。そん彼女を国広は、怪訝な顔をしみた。
「なんだ」
「すまぬ。ただ……ここの付喪神達は、とても優しく世話焼きな者ばかりだと思って」
本当に皆個性は、あれど最終的には、このような印象を受ける。
正雪は、微笑み言うと、国広は、困った顔をしいった。
「それもこれも姫のお陰だ」
「姫の??」
「あのやんちゃくれ四姉弟の世話をしてみろ自然とそうもなるだろ」
「そういうものだろうか……」
確かに世話焼きには、ならないか。国広は、なら何故かと考えた。
「まさか……姫のお節介のせいか……??」
「それは、あると思う」
まだ皆よりも友美との付き合いは、浅いがそれでも正雪は、感じていた。友美のお節介を。
「先日姫と衣替えをしていたのだが……」
「もうそろそろそんな時期だな」
「さよう。そこで、姫から、その……下着の話になり……夏ようがいるだろと……あれよあれよと買いに……行くことに……」
正雪としては、とりあえずあるものを使い、足りなければ買えばいいと思っていた。
話を聞き国広は、言った。
「そりゃ江戸初期の夏と今の夏は、比べ物にならないくらい暑いからな……姫もそういうだろ……」
「そんに違うのか??」
「今の気温は、昔の夏の気温だろうが、これからあと半年さらに暑くなるぞ」
正雪は、固まった。今でも暑いのに、さらに暑くなるのかと。
「これは……姫のお節介では、なく……」
「必要物資支給だな」
「うむ……」
「まぁあんたが言い出すのを待ってもよかったが、ある意味姫のお節介が先手を打ったというべきか」
「結果的には……」
正雪は、ほかに何か友美のお節介があるかと考えたが、思い付かなかった。
「姫のお節介か。ある意味一を引き取り、卑屈な俺に構いまくり、なおかつ助けなくてもいい、ブラック本丸を助けるとかだな……」
「なら私の事もだろうな」
国広は、目を細めた。
「あんたのは、どうかな」
「しかし場合によっては、お節介ともいえる」
国広と正雪は、笑いながら、話していると、友美がやって来た。
「国広!! 行光知らない??」
「知らんぞ」
「正雪知ってる??」
「粟田口の短刀といると思う」
友美は、微笑む。
「ありがとう!! これよかったら食べてね!!」
友美は、そう言うと、柏餅を置いて、去っていった。
「柏餅だな……」
「国広殿ちょうど茶もいれたし少し休憩しては??」
「そうする」
席から立ち上がり、国広は、長椅子に腰かけた。
「まさか柏餅を配りに来たのか……」
「国広殿美味しいぞ!! 柏餅!!」
目の前では、正雪が美味しそうに柏餅を食べている。
国広は、友美ならありえるなと思いながら、柏餅を食べた。
「結局本人が冷酷で化物といってるが……優しい主なんだよな姫は」
「国広殿間違いない!! むしろ優しすぎると私は、思う……」
「そうかもな」
はたしてそうかは、国広と正雪には、分からない。見てそう思うのだ。
「……生前にもう少し食べられたらな……そもそもなぜ……吸収出来ぬように……つくったのだ。まったく……」
正雪は、少し不満げに呟くと言った。
「正雪でも文句言うんだな」
「国広殿私は、聖人では、ない。文句くらいいう……」
「ならこれから楽しめばいいだろ」
「そうだな」
行光が心配するよりかは、正雪は、前を向き進んでいる。
国広は、柏餅を嬉しそうに食べる代理を見ながら、微笑むのであった。少しばかりホッとした顔もして。