日常編1
「お菓子作りを教えて欲しい??」
光忠は、少し驚いた顔をしていた。
真剣な眼差しの正雪をみるに本気そうだ。
「オッケー!! でも正雪さん何を作りたいんだい??」
正雪は、懐から紙を取りだし、見せた。
「この……ぷりん……とやらを……」
「プリンか!! 美味しいもんね!!」
「あぁ……それに菓子のなかでも比較的簡単と聞いた……」
武骨者の自分にもこれなら作れると思い、菓子作りならと正雪は、光忠に聞こうと考えた。
「でもプリンなら旦那君の方が得意だと思うけど……」
「そうなのか??」
「光君お菓子作りの腕凄いからね!!」
確かによくお菓子作りは、光は、していてどれも美味しい。しかし聞きやすさでいうと、正雪にとっては、光忠の方が聞きやすいのだ。
「うむ……しかしその……聞きにくいというか……」
光忠もここ最近正雪が初対面のものに壁を作ることに気づいた。
そう考えると光とは、まだそこまで親しくないと彼女中には、なっているのだろう。
「 なるほどね。なら僕が正雪さんに教えてあげよう!!」
「ありがとう光忠殿!!」
なぜまた正雪がプリンを作りたいと思ったのか。光忠は、気になったがあえて聞かなかった。
後で彼女なら話してくれると思ったからだ。
「じゃさっそく。正雪さん割烹着かたすきあるかな??」
着物姿で料理となるとどちらかは、必要になる。
正雪は、光忠の問いにしばらく沈黙すると、気まずそうにいった。
「エプロンしか持ってきてない……」
「まさかのエプロン」
「その……姫が持っていきなさいと……」
なにかを感じた友美のとっさのフォローだったようだ。
持たされた鞄のなかを見ると正雪が着ている洋服も入っていた。
「さすが姫だね」
正雪は、目を細める。
「本当に……姫は……きがきく……私などより……しっかりと辺りを見ているとわかる……」
「正雪さんも確り見てるよ。それにうっかりすることは、よくあることだから!! きにしないきにしない!!」
むしろここは、喜ぶべき所だ。
「そうだな。では、少し着替えてくる」
「慌てなくていいからね!!」
「承知した」
この屋敷で正雪にありあてられた部屋に彼女は、行くと、その間光忠は、材料と道具の準備をした。
しばらくすると正雪がやって来た。白いTシャツにショートパンツとレギンスというスタイルで。
普段ここでは、着物の彼女の洋服姿は、新鮮だ。
思わず見とれていると正雪は、首をかしげていた。
「光忠殿??」
「よく似合うとおもってね!!」
「ありがとう」
エプロンをつけ、正雪は、服の袖をまくる。
「エプロンウサギ柄なんだね」
「そういえば……」
ここまでウサギがいるとは、驚いたが、可愛いので正雪は、どこかうきうきしていた。
「僕もそうだけど、好きなものを使うってそれだけで気分が上がるからね」
「そうだな」
「じゃさっそくやろうか!!」
「御指なんのほどよろしくお願い申し上げる」
手を洗いさっそくプリン作りが始まった。
「まずは、卵を割る」
「分かった」
卵三つを正雪は、割る。
「次に砂糖30グラムを入れて」
「砂糖を……」
大さじ一杯が15グラムと先日光から教えてもらった。正雪は、ならと砂糖を大さじ二杯入れた。
「で泡立て器で混ぜるんだ」
「分かった」
泡立て器で卵と砂糖を混ぜ、均等になった。
「光忠殿次は」
「次は、牛乳400mlを、計量カップで測って鍋に入れてくれるかい??」
光忠が持っていたカップに400とかかれた目安が。
「光忠殿その400mlとは……この400と書かれた線までかな??」
「そうだよ」
牛乳パックを持ち、正雪は、真剣な顔をし、メモリまで牛乳を入れた。
「よし」
「いいね!! じゃ次は、コンロのうえに置いてある鍋にその牛乳をいれ、中火で湯気が出るまで、温めようか」
「うむ」
計量カップの牛乳を鍋に入れ、砂糖を今度は、20グラム入れ、正雪は、コンロと鍋の間を横から覗き込み、つまみを捻りながら、中火にした。
「光忠殿中火とは、このくらいだろうか」
「それで大丈夫だよ」
「当世は、便利がいいな……」
「江戸の頃は、おくどさんだったもんね。火の調整も、火を絶やさないことも難しかったからね」
「あぁ。火をつけるにも火打石だったからな」
「正雪さん料理は、していたのかい??」
「簡単なものなら。しかしほぼ女中がしてくれていたから」
確かに彼女の日頃のきている着物を見ているといいものとおもっていたが、まさか女中を雇えるほどの財力があったとは。
光忠は、改めて彼女の育ちのよさ、家の位の高さを感じた。
「その……私は、貴殿が思っているようなものでは、ない……一応武家にいたから……」
「だとしてもだよ。江戸では、武家というだけで、身分的には、上から一番目だからね」
「……といわれても、私は、人のふりをし生きてきた……創られたものだから……師が天草の乱で死んだのち……たまたま武家に引き取られただけだ」
正雪は、ハッとした。光忠がどこか切ない顔をしていたのだ。
いけない今は、違う。
「その……光忠殿……」
「正雪さんがここへ来る前、姫から資料を渡されて、目を通していたけど……やっぱり本人から聞くと……想像より……苦労したんだなと、僕は、思ったよ」
彼女が代理としてここへ来る前、組織の皆に友美は、資料を渡していた。由井正雪という名の女性の生前の全てを書いたものを。そして今現在の状態を書いたものを。
「姫がそのようなものを……」
「皆と正雪さんが少しでも仲良くなれるようにってね」
「姫私にもくれればよかったのに……私などとりあえず行ってきて!! だったぞ……」
しかしそのお陰で、正雪は、余計なことを考える暇などなくここに慣れるために頑張れたが。
「姫のすることは、僕達には、想像は、つきにくいからね!!」
「確かに」
光忠と話しているも牛乳から湯気が。
「火ととめて、卵の方に、牛乳を少しずついれて、混ぜて」
「分かった」
お玉で、牛乳を入れながら、卵と混ぜ合わせ、少しずつまた牛乳をいれ、混ぜると、バニラエッセンスを少しだけふり、まだ混ぜた。
「甘い香りが……」
「これがプリンを更に美味しくする魔法だよ」
「魔法……」
「さて本当ならカラメルを入れて、型にプリン液を流すんだけど、今回は、これに入れようか!!」
光忠が出してきたのは、ビニール袋のようなラップだった。
「この方が簡単だからね!!」
「分かった」
「とりあえず150mlずつここに入れていこうか。その時にこすことを忘れないでね」
「分かった」
茶漉しを計量カップにセットし、正雪は、液をこしながら、いれ、測り終えるとビニール袋。そして口を閉めると、同じのもをあと三回やった。
「すべていれおえた」
「次は、鍋に水をはってお皿をいれる」
いわれた通りにやり、コンロに。火をつけ、正雪は、どうするのかと首をかしげた。
「沸騰してきたら、この袋を入れて、蒸すんだ。そこからさらに沸騰してきたら、火をとめて、蓋をして、三十分まつ」
「それでプリンが出きるのか??」
「そうだよ。次は、カラメルを作ろう」
光忠の指示に従い、砂糖と水を大さじ一杯ずつマグカップにいれ、レンジで2分加熱し、カラメル色になるまで、そこから様子を見ながら、20秒ずつひにかける。
色味がつくと、そのに大さじ一杯の水をいれ、混ぜた。
「むぅ!?」
しかしぶしゃーと噴出した火山のように。正雪は、驚き、跳び跳ねる。
「ビックリするよね!! とりあえず落ち着いたから混ぜて」
「あぁ……」
恐る恐る混ぜ、カラメルが出来上がった。そして鍋が沸騰してきたので袋をいれ、その後沸騰すると鍋に蓋をし、火をとめた。
「あとは、まつのみ……」
「この間に片付けようか」
「分かった光忠殿」
使った道具を光忠と洗い、片付ける。
「光忠殿は、手際がいい」
「ありがとう!!」
洗い物をおえ、光忠と正雪は、厨房に置いてある椅子に腰かけた。
「これで皆が喜んでくれるといいのだが……」
「皆??」
恥ずかしそうに正雪は、すると言った。
「その……短刀……達がプリンを食べたいと……以前言っていたのだ」
「短刀達が……」
「あぁ。だからその……つくったら……喜んでくれるかなと……」
目を細め正雪は、いう。光忠は、笑った。
「そうだね!! なら頑張って作らないと!!」
本当にこの子は、優しくてあたたかいこだと光忠は、思いながら言った。
実は、光忠も気になり、生前の彼女を調べたことがある。
近寄りがたくも凛としていた彼女だが今の彼女と比べると違う。ここは、正雪にとって素でいれる場所なのかもしれない。
「しかし……今回は、四つか……私と光忠殿が味見をするとして……残り二つ……」
さてどするか。正雪が悩んでいると、厨房に国広と五虎退が。
「光忠さん!! 国広さんとおやつにしようかと話をしていたんですが……その……お茶請けってありますか??」
「お茶請けか……そうだ!! 国広君、五虎退君少し力を貸してくれるかな??」
「力?? 何をする気だ光忠」
「味見だよ!!」
「味見ですか??」
正雪が気づき、アワアワ慌て出すが、光忠は、お構いなしに話を進めた。
「光忠殿~!!!!」
「正雪さん国広君と五虎退君なら大丈夫!!
この組織でも嫌いな食べ物がないコンビだから!!」
「えへへ」
「なんだそのくくり……」
「いいから!!」
ちょうど時間もいい頃合いだ。
正雪は、とぼとぼと歩き、鍋のふたを開けた袋をシンクに置いた。
「プリンか??」
「そうだよ国広くん!! 正雪さん作のね!!」
そんなに言いふらさないでと正雪は、思いながら、袋を冷水で冷やした。
「これでは、時間がかかるか……」
そう言うと正雪は、なんと水を凍らせる。
「正雪さん!?」
「この方が早く冷えるかと……」
「確かにね……」
しかし誰が魔術で冷やすなんて予想できただろうか。
袋もキンキンに冷え、皿に移すと、カラメルをかけ、出来上がった。簡単プリンが。
「出来た……」
後ろから見ていてもわかるくらいに正雪が揺れている。嬉しくて。
「国広君、五虎退君いいかな??」
五虎退と国広は、顔を見合わすと言った。
「もちろん!!」
「姫から任されてる手前やる」
「国広さんそういいつつ髪が揺れてますよ??」
「そうか」
口では、そういいつつ国広も楽しみのようだ。
正雪がテーブルの上にプリンの入った皿を四つのせると、それぞれ食器棚からスプーンを取り、いただきますというと、食べた。
「これは……」
「美味しいです!!」
国広と五虎退の反応に正雪は、ホッとした。
「よかった……光忠殿のおかげだ」
「これは、美味しい!! せっかくなら今日のお昼に出す??」
「昼に!?」
「皆さん喜ぶと思いますよ!!」
「仕事の息抜きだ。俺も手伝う。光忠ほどじゃないが、料理は、出来るからな」
なにやら凄いことになってしまった。その後昼に出すためにと正雪達は、光忠が昼の支度をする横でプリンを作った。
「骨喰今日は、プリンがあるよー!!」
「そうだな」
プリンがあるだけで何時もよりも食堂が賑やかになる。
厨房から様子を見ていた正雪は、少しホッとしていた。
「よかった……」
「ですね!!」
皆が食事をおえ、正雪も昼を食べたあと、あることを彼女は、忘れていた。
「私のプリン!!」
すっかり忘れていた。慌てて厨房にいき、冷蔵庫を開けると正雪は、驚いた。
生クリームと果物が乗っていたからだ。
驚き、固まっていると国広がやって来た。
「正雪頑張っていたからな。俺達からのちょっとしたサプライズだ」
プリンの乗った皿を冷蔵庫から取り出すと、正雪は、微笑む。
「ありがとう国広殿!!」
「ちなみにそれは、プリンアラモードだ」
「プリンアラモード……」
国広は、微笑むと、正雪の頭を撫でた。
「五虎退と光忠が昼から出陣だから、帰ってきてから感想を聞かせてやってくれ」
「あぁ」
「じゃ俺は、執務室にいるから」
国広は、そう言うと厨房を出ていった。
スプーンをとり、椅子に腰かけると正雪は、さっそくプリンアラモードを食べた。
プリンの甘さとクリームの濃厚さ、そして果物の酸味がいい。
「うまい……」
はじめて作り、みなが更に手を加えてくれたプリンアラモード。優しくてあたたかい味がする。
正雪は、食べながら思った。
「……よかった……こうして食を楽しめるようになって……」
どことなく切なくしかし嬉しそうな呟き。それを聞いていた刀剣がいた。
「……あいつも……今やうやくか……」
彼は、そう言うと去っていった。一や自分のようなやつがここには、やはり来ることもあるのだなと思いながら。
光忠は、少し驚いた顔をしていた。
真剣な眼差しの正雪をみるに本気そうだ。
「オッケー!! でも正雪さん何を作りたいんだい??」
正雪は、懐から紙を取りだし、見せた。
「この……ぷりん……とやらを……」
「プリンか!! 美味しいもんね!!」
「あぁ……それに菓子のなかでも比較的簡単と聞いた……」
武骨者の自分にもこれなら作れると思い、菓子作りならと正雪は、光忠に聞こうと考えた。
「でもプリンなら旦那君の方が得意だと思うけど……」
「そうなのか??」
「光君お菓子作りの腕凄いからね!!」
確かによくお菓子作りは、光は、していてどれも美味しい。しかし聞きやすさでいうと、正雪にとっては、光忠の方が聞きやすいのだ。
「うむ……しかしその……聞きにくいというか……」
光忠もここ最近正雪が初対面のものに壁を作ることに気づいた。
そう考えると光とは、まだそこまで親しくないと彼女中には、なっているのだろう。
「 なるほどね。なら僕が正雪さんに教えてあげよう!!」
「ありがとう光忠殿!!」
なぜまた正雪がプリンを作りたいと思ったのか。光忠は、気になったがあえて聞かなかった。
後で彼女なら話してくれると思ったからだ。
「じゃさっそく。正雪さん割烹着かたすきあるかな??」
着物姿で料理となるとどちらかは、必要になる。
正雪は、光忠の問いにしばらく沈黙すると、気まずそうにいった。
「エプロンしか持ってきてない……」
「まさかのエプロン」
「その……姫が持っていきなさいと……」
なにかを感じた友美のとっさのフォローだったようだ。
持たされた鞄のなかを見ると正雪が着ている洋服も入っていた。
「さすが姫だね」
正雪は、目を細める。
「本当に……姫は……きがきく……私などより……しっかりと辺りを見ているとわかる……」
「正雪さんも確り見てるよ。それにうっかりすることは、よくあることだから!! きにしないきにしない!!」
むしろここは、喜ぶべき所だ。
「そうだな。では、少し着替えてくる」
「慌てなくていいからね!!」
「承知した」
この屋敷で正雪にありあてられた部屋に彼女は、行くと、その間光忠は、材料と道具の準備をした。
しばらくすると正雪がやって来た。白いTシャツにショートパンツとレギンスというスタイルで。
普段ここでは、着物の彼女の洋服姿は、新鮮だ。
思わず見とれていると正雪は、首をかしげていた。
「光忠殿??」
「よく似合うとおもってね!!」
「ありがとう」
エプロンをつけ、正雪は、服の袖をまくる。
「エプロンウサギ柄なんだね」
「そういえば……」
ここまでウサギがいるとは、驚いたが、可愛いので正雪は、どこかうきうきしていた。
「僕もそうだけど、好きなものを使うってそれだけで気分が上がるからね」
「そうだな」
「じゃさっそくやろうか!!」
「御指なんのほどよろしくお願い申し上げる」
手を洗いさっそくプリン作りが始まった。
「まずは、卵を割る」
「分かった」
卵三つを正雪は、割る。
「次に砂糖30グラムを入れて」
「砂糖を……」
大さじ一杯が15グラムと先日光から教えてもらった。正雪は、ならと砂糖を大さじ二杯入れた。
「で泡立て器で混ぜるんだ」
「分かった」
泡立て器で卵と砂糖を混ぜ、均等になった。
「光忠殿次は」
「次は、牛乳400mlを、計量カップで測って鍋に入れてくれるかい??」
光忠が持っていたカップに400とかかれた目安が。
「光忠殿その400mlとは……この400と書かれた線までかな??」
「そうだよ」
牛乳パックを持ち、正雪は、真剣な顔をし、メモリまで牛乳を入れた。
「よし」
「いいね!! じゃ次は、コンロのうえに置いてある鍋にその牛乳をいれ、中火で湯気が出るまで、温めようか」
「うむ」
計量カップの牛乳を鍋に入れ、砂糖を今度は、20グラム入れ、正雪は、コンロと鍋の間を横から覗き込み、つまみを捻りながら、中火にした。
「光忠殿中火とは、このくらいだろうか」
「それで大丈夫だよ」
「当世は、便利がいいな……」
「江戸の頃は、おくどさんだったもんね。火の調整も、火を絶やさないことも難しかったからね」
「あぁ。火をつけるにも火打石だったからな」
「正雪さん料理は、していたのかい??」
「簡単なものなら。しかしほぼ女中がしてくれていたから」
確かに彼女の日頃のきている着物を見ているといいものとおもっていたが、まさか女中を雇えるほどの財力があったとは。
光忠は、改めて彼女の育ちのよさ、家の位の高さを感じた。
「その……私は、貴殿が思っているようなものでは、ない……一応武家にいたから……」
「だとしてもだよ。江戸では、武家というだけで、身分的には、上から一番目だからね」
「……といわれても、私は、人のふりをし生きてきた……創られたものだから……師が天草の乱で死んだのち……たまたま武家に引き取られただけだ」
正雪は、ハッとした。光忠がどこか切ない顔をしていたのだ。
いけない今は、違う。
「その……光忠殿……」
「正雪さんがここへ来る前、姫から資料を渡されて、目を通していたけど……やっぱり本人から聞くと……想像より……苦労したんだなと、僕は、思ったよ」
彼女が代理としてここへ来る前、組織の皆に友美は、資料を渡していた。由井正雪という名の女性の生前の全てを書いたものを。そして今現在の状態を書いたものを。
「姫がそのようなものを……」
「皆と正雪さんが少しでも仲良くなれるようにってね」
「姫私にもくれればよかったのに……私などとりあえず行ってきて!! だったぞ……」
しかしそのお陰で、正雪は、余計なことを考える暇などなくここに慣れるために頑張れたが。
「姫のすることは、僕達には、想像は、つきにくいからね!!」
「確かに」
光忠と話しているも牛乳から湯気が。
「火ととめて、卵の方に、牛乳を少しずついれて、混ぜて」
「分かった」
お玉で、牛乳を入れながら、卵と混ぜ合わせ、少しずつまた牛乳をいれ、混ぜると、バニラエッセンスを少しだけふり、まだ混ぜた。
「甘い香りが……」
「これがプリンを更に美味しくする魔法だよ」
「魔法……」
「さて本当ならカラメルを入れて、型にプリン液を流すんだけど、今回は、これに入れようか!!」
光忠が出してきたのは、ビニール袋のようなラップだった。
「この方が簡単だからね!!」
「分かった」
「とりあえず150mlずつここに入れていこうか。その時にこすことを忘れないでね」
「分かった」
茶漉しを計量カップにセットし、正雪は、液をこしながら、いれ、測り終えるとビニール袋。そして口を閉めると、同じのもをあと三回やった。
「すべていれおえた」
「次は、鍋に水をはってお皿をいれる」
いわれた通りにやり、コンロに。火をつけ、正雪は、どうするのかと首をかしげた。
「沸騰してきたら、この袋を入れて、蒸すんだ。そこからさらに沸騰してきたら、火をとめて、蓋をして、三十分まつ」
「それでプリンが出きるのか??」
「そうだよ。次は、カラメルを作ろう」
光忠の指示に従い、砂糖と水を大さじ一杯ずつマグカップにいれ、レンジで2分加熱し、カラメル色になるまで、そこから様子を見ながら、20秒ずつひにかける。
色味がつくと、そのに大さじ一杯の水をいれ、混ぜた。
「むぅ!?」
しかしぶしゃーと噴出した火山のように。正雪は、驚き、跳び跳ねる。
「ビックリするよね!! とりあえず落ち着いたから混ぜて」
「あぁ……」
恐る恐る混ぜ、カラメルが出来上がった。そして鍋が沸騰してきたので袋をいれ、その後沸騰すると鍋に蓋をし、火をとめた。
「あとは、まつのみ……」
「この間に片付けようか」
「分かった光忠殿」
使った道具を光忠と洗い、片付ける。
「光忠殿は、手際がいい」
「ありがとう!!」
洗い物をおえ、光忠と正雪は、厨房に置いてある椅子に腰かけた。
「これで皆が喜んでくれるといいのだが……」
「皆??」
恥ずかしそうに正雪は、すると言った。
「その……短刀……達がプリンを食べたいと……以前言っていたのだ」
「短刀達が……」
「あぁ。だからその……つくったら……喜んでくれるかなと……」
目を細め正雪は、いう。光忠は、笑った。
「そうだね!! なら頑張って作らないと!!」
本当にこの子は、優しくてあたたかいこだと光忠は、思いながら言った。
実は、光忠も気になり、生前の彼女を調べたことがある。
近寄りがたくも凛としていた彼女だが今の彼女と比べると違う。ここは、正雪にとって素でいれる場所なのかもしれない。
「しかし……今回は、四つか……私と光忠殿が味見をするとして……残り二つ……」
さてどするか。正雪が悩んでいると、厨房に国広と五虎退が。
「光忠さん!! 国広さんとおやつにしようかと話をしていたんですが……その……お茶請けってありますか??」
「お茶請けか……そうだ!! 国広君、五虎退君少し力を貸してくれるかな??」
「力?? 何をする気だ光忠」
「味見だよ!!」
「味見ですか??」
正雪が気づき、アワアワ慌て出すが、光忠は、お構いなしに話を進めた。
「光忠殿~!!!!」
「正雪さん国広君と五虎退君なら大丈夫!!
この組織でも嫌いな食べ物がないコンビだから!!」
「えへへ」
「なんだそのくくり……」
「いいから!!」
ちょうど時間もいい頃合いだ。
正雪は、とぼとぼと歩き、鍋のふたを開けた袋をシンクに置いた。
「プリンか??」
「そうだよ国広くん!! 正雪さん作のね!!」
そんなに言いふらさないでと正雪は、思いながら、袋を冷水で冷やした。
「これでは、時間がかかるか……」
そう言うと正雪は、なんと水を凍らせる。
「正雪さん!?」
「この方が早く冷えるかと……」
「確かにね……」
しかし誰が魔術で冷やすなんて予想できただろうか。
袋もキンキンに冷え、皿に移すと、カラメルをかけ、出来上がった。簡単プリンが。
「出来た……」
後ろから見ていてもわかるくらいに正雪が揺れている。嬉しくて。
「国広君、五虎退君いいかな??」
五虎退と国広は、顔を見合わすと言った。
「もちろん!!」
「姫から任されてる手前やる」
「国広さんそういいつつ髪が揺れてますよ??」
「そうか」
口では、そういいつつ国広も楽しみのようだ。
正雪がテーブルの上にプリンの入った皿を四つのせると、それぞれ食器棚からスプーンを取り、いただきますというと、食べた。
「これは……」
「美味しいです!!」
国広と五虎退の反応に正雪は、ホッとした。
「よかった……光忠殿のおかげだ」
「これは、美味しい!! せっかくなら今日のお昼に出す??」
「昼に!?」
「皆さん喜ぶと思いますよ!!」
「仕事の息抜きだ。俺も手伝う。光忠ほどじゃないが、料理は、出来るからな」
なにやら凄いことになってしまった。その後昼に出すためにと正雪達は、光忠が昼の支度をする横でプリンを作った。
「骨喰今日は、プリンがあるよー!!」
「そうだな」
プリンがあるだけで何時もよりも食堂が賑やかになる。
厨房から様子を見ていた正雪は、少しホッとしていた。
「よかった……」
「ですね!!」
皆が食事をおえ、正雪も昼を食べたあと、あることを彼女は、忘れていた。
「私のプリン!!」
すっかり忘れていた。慌てて厨房にいき、冷蔵庫を開けると正雪は、驚いた。
生クリームと果物が乗っていたからだ。
驚き、固まっていると国広がやって来た。
「正雪頑張っていたからな。俺達からのちょっとしたサプライズだ」
プリンの乗った皿を冷蔵庫から取り出すと、正雪は、微笑む。
「ありがとう国広殿!!」
「ちなみにそれは、プリンアラモードだ」
「プリンアラモード……」
国広は、微笑むと、正雪の頭を撫でた。
「五虎退と光忠が昼から出陣だから、帰ってきてから感想を聞かせてやってくれ」
「あぁ」
「じゃ俺は、執務室にいるから」
国広は、そう言うと厨房を出ていった。
スプーンをとり、椅子に腰かけると正雪は、さっそくプリンアラモードを食べた。
プリンの甘さとクリームの濃厚さ、そして果物の酸味がいい。
「うまい……」
はじめて作り、みなが更に手を加えてくれたプリンアラモード。優しくてあたたかい味がする。
正雪は、食べながら思った。
「……よかった……こうして食を楽しめるようになって……」
どことなく切なくしかし嬉しそうな呟き。それを聞いていた刀剣がいた。
「……あいつも……今やうやくか……」
彼は、そう言うと去っていった。一や自分のようなやつがここには、やはり来ることもあるのだなと思いながら。