日常編1

 爽やかな風を感じる日、正秀は、やって来ていた。主の家に。
「正秀殿??」
 玄関の前でインターフォンを鳴らそうか、深呼吸していると、声をかけられた箒を持った正雪に。
「正雪殿!? 何故いる!!」
 驚く正秀に正雪は、困った顔をする。
「私もここに住んでるのだが……」
「そうだったな……」
「あぁ」
 なんだろうこの気まずい雰囲気は、正秀は、どうすべきかと考えていると、正雪が、言った。
「姫ならば中に。貴殿を待っている」
「そうか……ありがとう……」
 正秀は、インターフォンを鳴らすと、ドアが開いた。
「正秀いらっしゃい!!」
「姫今日は、よろしくお願い申し上げる」
「ふふふ。そういえば清麿は??」
 清麿も着いてくるかと思ったがいない。
「清麿は、任務だ」
「なるほどねー!!」
 主の珍しい袴姿に正秀は、みとれつつ頷く。友美は、そんな彼を家にいれると、リビングに案内した。
「少し休憩したら、行きましょうか」
「うん」
 正秀は、思わずうんといってしまったと、アワアワするが、そんな彼を見て友美は、笑っていた。
「うふふ」
「姫!!」
「ごめん。とりあえずジュースいれてくるわね」
 友美は、そういうとキッチンに。完全に友美には、可愛い子供にしか見えていないようだ。
 新々刀の祖としてこれは、いけないと正秀は、座布団の上に座りながら、思っていると、正宗がテラスから出てきた。
「姫キュウリあるかな??」
「キュウリなら冷蔵庫よー」
「ありがとう」
 キュウリとは、何に使うのかとふとテラスを見ると河童がいた。
「河童!!??」
 何故ここに妖怪がいるのかと正秀は、思う。しかし河童は、正宗から、キュウリを貰うと嬉しそうに跳ねていた。
「正秀は、河童みるの初めてかな??」
「普通みれないだろ河童!!」
「そうだね!!」
 正宗は、正秀のとなりに座ると、いった。
「触ってみるかい??」
「……触ってみるか」
「よし!!」 
 テラスから正宗は、河童をつれてくると、河童を正秀にわたした。 
 ツルツルで可愛い。まるで変えるのようだ。
 正秀が笑顔を浮かべ河童を撫でるのを友美も微笑ましそうにみていた。
「姫その……名前は??」
「翠よ」
「翠……」
 河童は、キュウリを手にもちつぶらな瞳で正秀をみるが、次の瞬間正秀に凄いビンタをくらわせた。
「ぐへ!!」
「正秀!!??」
 翠は、正宗の所へいくと、彼の膝でキュウリを食べ始めた。
「おやおや……」
 のびてる正秀を慌てて治療し、友美は、いった。
「翠だめよ!!」
 ペコリと河童は、頭を下げ謝るとテラスに。
「正雪にも懐いてるのになんで……??」
「姫彼女は、懐かれやすい体質だからね……」
「なるほど」
 慌てて起き上がる正秀と、呑気にキュウリを噛る翠。彼らの和睦は、まだまだ先かもしれない。
「姫ありがとう……痛かった……」
「でしょうね。腫れてたもの」
 少しだけ萎れる正秀を友美は、どうすれば元気付けれるか考えた。
「うーんクッキーかしら」
 あれクッキーという、単語に反応してる。友美は、キッチンからクッキーをもってきて正秀に出す。
「どうぞ」
「ありがとう」
 正秀は、クッキーを食べると嬉しそうに揺らした髪を。
「独特の表現!!」
「梅干し食べるかい??」
「遠慮しておく」
「そっか……」
「正宗さらりと梅干しすすめない!!」
 友美は、突っ込みをいれると、立ち上がった。
「姫掃除は、終わった」
「ありがとう正雪」
 リビングに入ってきた正雪に友美は、そういうと彼女の頭を撫でた。
「さてと!! 私は、したくしてくるか!!」
「姫今日は……確か刃物の手入れと……」
「そう!! 色々やることがあるかね!! 正雪にも手伝ってもいますからね!!」
「分かった。すかしばかり手助けになろう……」
 そういえば彼女も自分の刀を持っていた。正秀は、だから主は、頼むのかと思った。
「姫では、私もなにか……」
「慌てないの正秀。とりあえず数が多いから!!」
 令和の世でそんなにないだろうと正秀は、思ったが、その考えは、甘かった。
 支度を終えた主と正雪と納戸にいざいってみるとその中に驚く。
「凄い数……」
「どれも力が強いと分かる……」
「触ると危険だからね」
 正秀と正雪に友美は、いうと、さらに奥へ。そしてある部屋に着いたとき、そこには、刀剣が多く並べられていた。しかしそれよりも驚きなのが、刺さっていた傘立てに刀剣が。
「む!?」
「なっ……」
「置場所なくて……とりあえず錆びないように手入れしてるわ」
 だからといって傘立てにたてているのは、どうかと思う。
 しかしなかの空気は、とても気持ちがよく清浄な空気に満ちていた。
「ここは、居心地がいい……」
「あら正秀にもあうのね!! よかったわ!!」
 友美と正秀が話すなか、正雪は、興味ほんいで傘立てに刺されていた刀剣を引き抜き、抜いてみた。
 とても美しい刀に思わず見惚れてしまうほど。それは、手入れされていた。
「なんと……」
「凄く美しい……」
「その子は、最近来たばかりなの。この間手入れしたから……一応しといえもらえればいいってかんじね」
「了解した姫」
「しかしよくもこんなに……」
「何故かうちには、多く来るのよ。対価として貰ったりしたね……まぁその子が次に行く先があればそちらにだけど……行かないこもおおくて……何時のまにやらこんなに……」
 それだけきっちりとしているからここなのかもしれないが、それでも多いのは、確かだ。
「正雪とりあえずここの子達は、普段の手入れでお願い!! 錆びてたら言ってね!!」
「分かった」
 ここは、正雪に任せていいだろう。作業が終わったら来ると友美は、伝え、正秀を連れ、更に奥へ。
「姫もしかしてここは、術で拡張しているのか??」
「えぇそうよ」
 友美は、そう答えるとある部屋に。
「ここは……」
「私が言ってた工房よ」
 正秀は、瞳を煌めかせると部屋を見渡した。
「すごい……」
「好きに見ているといいわ」
 友美は、微笑むとさっそく光忠から預かった包丁の手入れをし始めた。
 砥石で刃物を研ぐ音が部屋に響くなか、正秀は、ふと置かれていたものに目が。
「これは……」
 この玉鋼自分の知っている者よりも上質だ。なにより他にも置いてあるものが全ていいものが揃っている。
「姫ここにあるものは……」
「一閃……刀を司る神が置いていくのよ。たぶん相当いいものなのでしょうね」
「姫には、分からないのか……」
「私は、一閃に技術は、教えて貰ったけど、材料のよしあいしは、あまりね……一閃においらの置いていくのをつかって!! といわれてしまってるから」
 この反応からし正秀のお気にめすものがあったのだろう。
「姫ここで姫は、刀をうつのか??」
「何時ででは、ないわ。必要に応じてね」
「そうか」
 今日は、その予定は、ないので友美は、いうと、正秀は、少し残念そうだ。
「一閃なら色々もっと教えて貰えると思うわ」
「本当か??」
「えぇ。あれでも鍛冶に関しても精通してる神だから。後で連絡しとくわね!!」
「ありがとう姫!!」
「いえいえ。正秀その……もしよかったら正雪を手伝ってくれない??」
「もちろんだ姫」
「ありがとう!! 私も後で行くから!!」
「分かった」
 正秀は、そういうと一通りもう一度工房をみて刀剣の保管部屋に。
「うわぁぁ!?」
 部屋の外に正雪の悲鳴が聞こえ、慌てて正秀は、中に。 
「正雪殿!!」
「正秀殿これ……」
 何事かと思ったら、彼女の手には、短刀が。そしてよく見るとなにか掘られている。
「吉光……」
「これ粟田口吉光の短刀では……」
「本物だろうな」
 しかしどこかで見覚えのある刀だ。正秀は、しばらく考えると思い出す。
「薬研藤四郎!!」
「……今行方不明とされているのでは……」
「されているがこれは……薬研藤四郎だろ……」
 この納戸恐ろしい。まさかとんでもないものが出てくるなんて。
「この納戸は、宝のほうこか!?」
「だと思う。私が見た限りでも江戸より前の刀がほとんどだから……場合によっては、神の世のものも……あった……」
 正雪が真顔で呟くと正秀もまた真顔に。
「考えるのは、やめよう」
「だな正秀殿」
 その後正秀と正雪は、出てくる刀剣に驚きながら、手入れをしなんとか終わった。むしろ貴重なものが多すぎて疲れた。
「すごい……」
「うむ……」
 部屋の隅で休憩していると友美がやって来た。
「終わったの!?」
「あぁ……」
「はやい!! さすが正雪と正秀!!」
 主が喜んでるのならいいかと正秀と正雪は、微笑む。
「なら特別なもの見せてあげるわ!!」
「特別??」
 なんだろうと主の後ろをついていくと神棚に祀られた綺麗な大太刀が。
 きらびやかだが、美しく鈍い光を放つ刃。
 正雪と正秀は、それがなんなのかすぐに分かった。
「姫これ来派の……」
「そうよ正秀」
 蛍が自分の本体は、神棚にあるといっていたが、ここまで立派とは。  
 正雪は、思わず見とれてしまった。
「因みに分解は、やめてね?? こればかりは、うちでもかくが違うから!!」
「しないよ!! そんなこと!!」
 正秀は、そういうと友美は、微笑む。
「やはり来派の刀は、きらびやかだ……」
「そうよね!! 正雪!!」
 といいつつ友美は、思う。他の刀派にかんしてまったく分からないが。
「とりあえず作業終わったし!! 休憩にしましょう!!」
 友美は、そういうと部屋を出ていき、正雪とそれに続いた。
 残った正秀は、やはりここは、居心地がいいと感じていると正宗がはいってきた。
「ここ居心地いいよね!!」
「正宗殿もそうおもうか」
「うん。ちゃんとされてると分かるからかな」
「かもしれない」
 正宗は、それだけいうと出ていき、電気を消し、正秀もでた。そしてリビングにいくと美味しそうなケーキが。
「ケーキ!!」
「やっぱり好きなよね」
「うん……」
 友美は、素は、可愛い男の子だなと思いながら、微笑む。
「姫珈琲を……」
「正雪無理しなくていいから!! とりあえずアイスティーにしなさい!!」
「うむ……」
「なら僕も……ごほん!! 私も……」
「正秀ー僕でいいわよ??」
「うむ!?」
 アイスティーを準備し友美は、正秀と正雪の座る所にケーキと共に置く。
「ありがとう姫」
「いえいえ」
 いただきますと手を合わせ、嬉しそうに食べるか正秀と正雪をみて、友美は、笑った。
「少しは、仲良くなれたかなぁ……正秀と……」
 友美は、そう呟くとアイスコーヒーとケーキを持って正雪のとなりに。そして美味しいケーキに舌鼓をうったのであった。 
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