日常編1
政府の会議から数日後。国広は、執務室で溜め息をこぼしていた。
「清麿、正雪これは、どういうことだ」
長椅子に座り視線をそらす正雪と清麿。その原因は、政府から出ている新聞だ。
「一面にいきなり霧発生!! 謎の女剣士遡行軍を撃退に貢献!! って……あれほど目立つなといってたのに……なんでこんなことになるんだ!!!」
「その……戦えるのに……おとなしくしとくのは、私の信念に背くというか……」
「なら背けばいいだろ正雪」
グサッと国広にいわれ、正雪は、傷ついた。
「私は、烈士を志すもの!! 己の……」
「烈士というがようは、頑固者だろ。少しは、柔軟になることを覚えろ」
正雪は、更に一撃加えられ、傷心した。
「うむ……」
「あはは……」
「清麿もだろ!! まったく力を使って!! これであんたの属性が正秀に知れてみろ!!」
「まぁそこは……」
「各属性に関しては、俺たちの中でも秘匿なのが決まりなのだが……」
「まぁ大丈夫!! ほら皆国広の属性も……」
「知ってるやつの方がすくないが??」
「確かに……」
これだけご立腹の国広。だがそれには、理由がある。仲間を思うからこそだ。
「まったくもしこれで利用しようとするやからが出てきてみろ。あんたらが嫌な思いをするんだ。とくに正雪あんたは、特殊な事例だともっと自覚してくれ」
「私が??」
首をかしげる正雪に国広は、唖然としていた。
「普通転生しました!! なんとそのままの姿、記憶、能力ある!! なんてない!!」
「む??」
「あー確かに」
正雪は、きょとんとしている。国広は、これだからもう少し自覚してくれとおもった。
「清麿殿そうなのか??」
「そうといえばそうだよ」
「姫が規格外だから出来るだけで仏教的には、普通は、死んだあとあの世とこの世を行き来できる49日かんがある。その間に罪、徳を全てを考慮して、次の行き先が決まるんだ」
「ふむ……その行くところ次第で……次の転生までのきかんも決まると……」
「そういうことだ。あんたの場合、裁判やら全て受けたのち、閻魔殿と姫が打ち合わせ、黄泉にも全て通達したのち、理に触れないように転生したってわけだ……姫の思い付きで……生前の記憶、能力、容姿すべてひっくるめて、ある程度そのままでな……」
正雪は、なんとなくそれには、ふがおちた。
主とであったとき、彼女は、召喚されたと思ったが、あれは、全てを友美の力でやったと仮定すればすべてつじつまが合うからだ。
「姫……やはり凄い……」
「だからあまり目立たないでほしいんだ!! そんなこと知れれば利用しようとあんたを捕らえて、解剖してくるやからもいるかもしれんからな」
「解剖……」
正雪は、顔を青ざめた。
「そういえば国広解剖っていつから日本では、やってるんだい??」
「雄略天皇の時代からだな……稚足姫を法医学的にやったのが始まりとされてる」
「そこから色々あって禁止されてたりもしたしね……」
「だな。一番有名なのは、やはり杉田玄白だろうな」
「だね」
正雪は、ここでなぜその話に花が咲くのかと思うなか色々考えてしまった。
「私は、解剖などされたくない!! 自分の時が短かいと悟った生前ならともかく!!」
「ホムンクルスの時ならオッケーなのか」
「よくないが!! その!! 時を少しでも伸ばせるのなら!! と……」
「そうか」
国広は、短く答える。
「まぁ解剖したところで普通の人だなら意味ないと姫は、いってたが」
「なら捕らえる意味ないでは、ないのか!?」
「普通の人には、分からないからね……」
清麿も困ったように笑う。
「うむ……」
「まったく。一先ずなんとか揉み消す。まぁあの本丸ならそういうやからもいるで片付けられるだろうがな」
「すまない国広殿……」
「あんたは、いいことをしたんだ。ただ目立ちすぎたという話だ」
国広は、そういうと話は、終わりと去っていった。
「清麿殿……その……大丈夫だろうか……」
「大丈夫だと思うよ。それに顔は、見えてないしね!!」
「だといいのだが……」
国広の執務室をでた正雪と清麿は、話ながら、書庫に。何故ここに来たかだが、それは、地理の本を求めてだ。
「正雪」
「骨喰殿」
「どうした??」
「地理などの書籍は、あるだろうか」
「それは、こっちだな」
骨喰から正雪は、書物を受け取ると、席に着き、読み始めた。
「正雪さん本当に勉強熱心だね」
「そうだな」
地理の本を読みなぜか百面相している正雪。そんな彼女を見ながら、骨喰と清麿は、優しく笑っていた。
爽やかな風を感じながら、友美は、植物園のベンチに座っていた。
「ほほほ。お若いのに珍しいですな」
「伯父様こそ」
友美と和服姿の初老の男性は、微笑む。意味ありげに。
「先日の件誠にありがとうございます。神子姫」
友美は、芍薬を撮る蛍を見ながら、言った。
「私は、やれることをしたまで。それにあの子達が動けたのもあなたのお陰でしょう??」
老人は、笑う。
「そりゃあの状況では、貴殿方の動きを補佐するのは、得策ですからね」
「得策ね……さすがお偉いさんね……」
「貴女には、言われたくないですよ神子姫」
互いに尻尾をつかませない会話をする老人と友美。それを見ていた鶴丸は、なにか言いたげだった。
「なんで主とあの女性まどろっこしいだ!!」
「上に立つものは、そういうもんだよ」
蛍は、カメラのデータを確認しながら、言った。
「だとしてもだぜ」
隣でつまらなさそうな鶴丸をよそに、蛍は、まさ撮影を始め、それを見ていた友美は、困ったように笑った。
「鶴丸いいんですか??」
「あやつは、楽しいことが好きだからの」
「なるほど」
友美は、確かに鶴丸には、つまらないかと思いながら、笑っていると老人が話を始めた。
「姫のところの代理だが……」
「はいなにか……」
「なかなかの腕の持ち主のようだ」
「えぇ。あの子は、強いですから。審神者にくれといわれても渡しませんけど」
「ほうほう。いいませんよ。いってしまえばあの山姥切国広がでてくるでしょう?? それに源清麿も政府にいたときより強くなっている」
「やはり皆の顔は、覚えているのですね」
「私には、それくらいしか出来ませんからな」
男性は、いった。
「今回の件本当に御礼を申し上げる。貴殿達が動いていたからこそ、被害が最小限ですんだ」
もし動いたなかったらと思うと恐ろしいことになっていただろう。
実は、会議の裏で友美は、あの場にいた。遡行軍を少しでもとめ、被害を最小限に抑えるために。目立たぬよう、日向正宗そして水心子正秀と国広を連れて。
「清麿が!?」
清麿が国広と話していた日の夜。友美は、水心子正秀を家に呼んでいた。
清麿が見たもの。そしてそれを防ぐため、正秀をおいて一振で何とかしようとしていることも。
「なんで……友なら共に……」
「正秀その気持ちも分かるわ。でも親友だからこそ、危険なめにあわせたくないと思うのもまたあることなの」
少し寂しげな正秀に友美は、いった。
「たぶんこのまま正雪と清麿だけでは、大変な被害がでる。あの子達は、生き残るけど」
「なら姫私を呼んだのは……」
友美は、お茶目に笑った。
「うらで私達が清麿と正雪守っちゃおう!!」
「それは、よい!!」
「それにそれなら、被害も抑えられるし」
この話を聞いていた蛍は、そんなに簡単な事なのだろうかとおもい、正宗も笑ったいたがその顔は、困り顔だ。
「いくら精鋭揃いだとしてもいけるの??」
「そこは、蛍にも手を貸して貰うわ」
「俺!?」
「この後国広から呼び出しが来るからいって。でそこでオッケーしてきて!!」
「なんで??」
「それで蛍は、清麿や正雪と一緒に会議に行く事になるから!! そして正雪なら、間違いなく一番に飛び出す。皆のめがそっちにいってる間に私達は、裏で敵の数を削ぐ!! これならいけるわ。いくら暴れてもね??」
意味ありげな友美の笑顔に。三振は、身震いした。恐ろしい。恐ろしすぎると。
「あっ。連絡くきた」
「お願いね!!」
「わかったよ」
蛍は、面倒そうな顔をし、屋敷に、向かった。
「さてでは、正秀、正宗よろしくね!! 国広にと、後で伝えとくから!!」
親友にも思うところがあったのだろう。優しすぎる清麿の決断。友として正秀は、尊重したいと思ったが、やはり背中を預けてくれとも思えた。しかしこれで親友の為に戦える。けっして知られないとしても。
「私は、なにも。ただ正秀が、親友のためにと頑張っただけですから」
「謙遜なさるな」
「本当の事ですから」
友美は、微笑むといった。
「で新聞の件ですが……」
「こちらで対処しとくとしよう」
「ありがとうございます」
男性は、立ち上がる。
「では、また神子姫」
「えぇ。伯父様」
老人は、鶴丸を連れ、去っていった。
「友美あの人は……」
「時の政府のトップよ」
「えっ!!??」
「あの伯父様なかなか策略にたけてるのよねー今回の件もこれで安心ね!!」
友美は、立ち上がると歩き出すが、蛍は、そんなことよりもあの伯父様がとそっちに驚いていた。
やはり人は、見かけによらない。見えなさそうな人ほど凄かったりする。
「さて!! 国広にあとで話すとしよう」
「友美」
「なに??」
「とりあえずよかったね」
「そうね!!」
友美は、目を細めると、意味ありげに呟く。
「さて……あとは、正秀ね……」
友美は、そう呟き、蛍に付き合って他のエリアに行った頃、屋敷では、重い雰囲気に。
「書庫は、喧嘩するところでは、ないんだが」
困り顔の骨喰と地理の本を読むふりをして、様子を見ている正雪。そして彼らの視線の先には、むすっとした顔の正秀と困り顔の清麿が。
正雪と書庫で地理について話をしていると正秀がやってきたのだ。清麿を探して。
「どういうことだ清麿」
「水心子その……」
「友というのなら私も共に連れていけばよかっただろ!!」
「それは、君に怪我をしてほしくないから」
「それは、私もだ……」
時には、互いにぶつかり合うことも大切だ。正雪は、ここへ来てから更にそれが身に染みていた。
「私も国広殿と……」
「正雪の場合当たって砕けろ戦法だからな」
「骨喰殿まったくそのつもりは、ないのだが!?」
「そうなのか」
よく国広に嘆願しても砕けちり、しょぼんとしている正雪。あれは、作戦かと思っていたようだ。
「水心子……」
「深くは、聞かぬ。だが次もし同じことがあれば私も連れていけ!!」
清麿は、微笑む。
「分かったよ」
本当に水心子は、凄いなと清麿が思う。だからのそ彼を支えたいと思う反面。傷付いて欲しくないとも思うのだ。
「そもそも……国広殿が頑固なのだ」
「それは、正雪もだ」
「うむ!?」
国広が真後ろに立っていた。正雪は、恐る恐る彼を見ると、国広は、とくに怒ってなかった。
「ケーキ食べるか??」
「ケーキ……」
「あぁ」
正雪は、コクりと頷く。
「なら後で執務室に来てくれ」
「何故……」
「ここだと正秀と清麿の邪魔になりそうだからな」
国広の見ている先には、仲良く話す正秀と清麿が。
「そうだな」
空気を壊しては、悪いと正雪は、書をもち立ち上がると国広と書庫をでた。
「国広殿その……正秀殿と清麿殿は、もしや……恋仲だろうか……」
国広は、突然止まるという。
「はぁ??」
「違うのか?? そのここは、男性が多い……だからその……」
「はぁ…‥もしそんなもん発生してみろ。へし切るが??」
「切る!?」
「江戸の世じゃないんだ。そんなもんあるかここに」
「しかし色恋は、どの時代にも……」
「あるだろうが、ここで発生すれがフラグをロードローラーで潰してやる」
国広は、言いきると歩いていってしまった。
「国広殿……人の恋路を邪魔するやつは、馬に蹴られて死んでしまえという言葉があるぞ……」
国広を追いかけ、正雪は、いう。
「ならその馬を倒すまでだな」
「倒す!?」
「あぁ」
正雪は、思わず笑ったしまった。
「ふふふ」
「あまりそのようなことをいうのならケーキは、無しだが」
「それは、困る!!」
そんな会話をしながら、歩いていく正雪と国広。それを見ていた正秀と清麿は、苦笑いしていた。
「それを言うなら国広達だろ……私は、そう思うが……」
「僕も。でもないんだよねー正雪さんと国広って」
「不思議だ……」
この組織の不思議の一つかもしれない。
「あいつら……聞いてたな……」
「国広殿??」
国広は、溜め息をつくと、ポカーンとしている正雪をみていった。
「行くぞ」
「あぁ」
国広は、歩きだし、正雪もその後に続く。
「国広殿そのケーキは、どんなものだろうか……」
「苺だ」
「苺か……楽しみだ!!」
微かに国広から甘い香りがする。正雪は、もしかしてとあることに気づいたが、あえて言わなかった。
「本当に国広殿は、器用だな」
「……姫の傑作だからな。それに五虎退によく作っていたから」
そして世話焼き。正雪は、ますます楽しみだと思いながら、少しだけ足取りが弾んでいた。国広と執務室に向かい、そしてケーキをたべた。そのケーキは、とても美味しく彼女は、嬉しそうに笑い、国広は、その顔を見て、優しく目を細めたのであった。
「清麿、正雪これは、どういうことだ」
長椅子に座り視線をそらす正雪と清麿。その原因は、政府から出ている新聞だ。
「一面にいきなり霧発生!! 謎の女剣士遡行軍を撃退に貢献!! って……あれほど目立つなといってたのに……なんでこんなことになるんだ!!!」
「その……戦えるのに……おとなしくしとくのは、私の信念に背くというか……」
「なら背けばいいだろ正雪」
グサッと国広にいわれ、正雪は、傷ついた。
「私は、烈士を志すもの!! 己の……」
「烈士というがようは、頑固者だろ。少しは、柔軟になることを覚えろ」
正雪は、更に一撃加えられ、傷心した。
「うむ……」
「あはは……」
「清麿もだろ!! まったく力を使って!! これであんたの属性が正秀に知れてみろ!!」
「まぁそこは……」
「各属性に関しては、俺たちの中でも秘匿なのが決まりなのだが……」
「まぁ大丈夫!! ほら皆国広の属性も……」
「知ってるやつの方がすくないが??」
「確かに……」
これだけご立腹の国広。だがそれには、理由がある。仲間を思うからこそだ。
「まったくもしこれで利用しようとするやからが出てきてみろ。あんたらが嫌な思いをするんだ。とくに正雪あんたは、特殊な事例だともっと自覚してくれ」
「私が??」
首をかしげる正雪に国広は、唖然としていた。
「普通転生しました!! なんとそのままの姿、記憶、能力ある!! なんてない!!」
「む??」
「あー確かに」
正雪は、きょとんとしている。国広は、これだからもう少し自覚してくれとおもった。
「清麿殿そうなのか??」
「そうといえばそうだよ」
「姫が規格外だから出来るだけで仏教的には、普通は、死んだあとあの世とこの世を行き来できる49日かんがある。その間に罪、徳を全てを考慮して、次の行き先が決まるんだ」
「ふむ……その行くところ次第で……次の転生までのきかんも決まると……」
「そういうことだ。あんたの場合、裁判やら全て受けたのち、閻魔殿と姫が打ち合わせ、黄泉にも全て通達したのち、理に触れないように転生したってわけだ……姫の思い付きで……生前の記憶、能力、容姿すべてひっくるめて、ある程度そのままでな……」
正雪は、なんとなくそれには、ふがおちた。
主とであったとき、彼女は、召喚されたと思ったが、あれは、全てを友美の力でやったと仮定すればすべてつじつまが合うからだ。
「姫……やはり凄い……」
「だからあまり目立たないでほしいんだ!! そんなこと知れれば利用しようとあんたを捕らえて、解剖してくるやからもいるかもしれんからな」
「解剖……」
正雪は、顔を青ざめた。
「そういえば国広解剖っていつから日本では、やってるんだい??」
「雄略天皇の時代からだな……稚足姫を法医学的にやったのが始まりとされてる」
「そこから色々あって禁止されてたりもしたしね……」
「だな。一番有名なのは、やはり杉田玄白だろうな」
「だね」
正雪は、ここでなぜその話に花が咲くのかと思うなか色々考えてしまった。
「私は、解剖などされたくない!! 自分の時が短かいと悟った生前ならともかく!!」
「ホムンクルスの時ならオッケーなのか」
「よくないが!! その!! 時を少しでも伸ばせるのなら!! と……」
「そうか」
国広は、短く答える。
「まぁ解剖したところで普通の人だなら意味ないと姫は、いってたが」
「なら捕らえる意味ないでは、ないのか!?」
「普通の人には、分からないからね……」
清麿も困ったように笑う。
「うむ……」
「まったく。一先ずなんとか揉み消す。まぁあの本丸ならそういうやからもいるで片付けられるだろうがな」
「すまない国広殿……」
「あんたは、いいことをしたんだ。ただ目立ちすぎたという話だ」
国広は、そういうと話は、終わりと去っていった。
「清麿殿……その……大丈夫だろうか……」
「大丈夫だと思うよ。それに顔は、見えてないしね!!」
「だといいのだが……」
国広の執務室をでた正雪と清麿は、話ながら、書庫に。何故ここに来たかだが、それは、地理の本を求めてだ。
「正雪」
「骨喰殿」
「どうした??」
「地理などの書籍は、あるだろうか」
「それは、こっちだな」
骨喰から正雪は、書物を受け取ると、席に着き、読み始めた。
「正雪さん本当に勉強熱心だね」
「そうだな」
地理の本を読みなぜか百面相している正雪。そんな彼女を見ながら、骨喰と清麿は、優しく笑っていた。
爽やかな風を感じながら、友美は、植物園のベンチに座っていた。
「ほほほ。お若いのに珍しいですな」
「伯父様こそ」
友美と和服姿の初老の男性は、微笑む。意味ありげに。
「先日の件誠にありがとうございます。神子姫」
友美は、芍薬を撮る蛍を見ながら、言った。
「私は、やれることをしたまで。それにあの子達が動けたのもあなたのお陰でしょう??」
老人は、笑う。
「そりゃあの状況では、貴殿方の動きを補佐するのは、得策ですからね」
「得策ね……さすがお偉いさんね……」
「貴女には、言われたくないですよ神子姫」
互いに尻尾をつかませない会話をする老人と友美。それを見ていた鶴丸は、なにか言いたげだった。
「なんで主とあの女性まどろっこしいだ!!」
「上に立つものは、そういうもんだよ」
蛍は、カメラのデータを確認しながら、言った。
「だとしてもだぜ」
隣でつまらなさそうな鶴丸をよそに、蛍は、まさ撮影を始め、それを見ていた友美は、困ったように笑った。
「鶴丸いいんですか??」
「あやつは、楽しいことが好きだからの」
「なるほど」
友美は、確かに鶴丸には、つまらないかと思いながら、笑っていると老人が話を始めた。
「姫のところの代理だが……」
「はいなにか……」
「なかなかの腕の持ち主のようだ」
「えぇ。あの子は、強いですから。審神者にくれといわれても渡しませんけど」
「ほうほう。いいませんよ。いってしまえばあの山姥切国広がでてくるでしょう?? それに源清麿も政府にいたときより強くなっている」
「やはり皆の顔は、覚えているのですね」
「私には、それくらいしか出来ませんからな」
男性は、いった。
「今回の件本当に御礼を申し上げる。貴殿達が動いていたからこそ、被害が最小限ですんだ」
もし動いたなかったらと思うと恐ろしいことになっていただろう。
実は、会議の裏で友美は、あの場にいた。遡行軍を少しでもとめ、被害を最小限に抑えるために。目立たぬよう、日向正宗そして水心子正秀と国広を連れて。
「清麿が!?」
清麿が国広と話していた日の夜。友美は、水心子正秀を家に呼んでいた。
清麿が見たもの。そしてそれを防ぐため、正秀をおいて一振で何とかしようとしていることも。
「なんで……友なら共に……」
「正秀その気持ちも分かるわ。でも親友だからこそ、危険なめにあわせたくないと思うのもまたあることなの」
少し寂しげな正秀に友美は、いった。
「たぶんこのまま正雪と清麿だけでは、大変な被害がでる。あの子達は、生き残るけど」
「なら姫私を呼んだのは……」
友美は、お茶目に笑った。
「うらで私達が清麿と正雪守っちゃおう!!」
「それは、よい!!」
「それにそれなら、被害も抑えられるし」
この話を聞いていた蛍は、そんなに簡単な事なのだろうかとおもい、正宗も笑ったいたがその顔は、困り顔だ。
「いくら精鋭揃いだとしてもいけるの??」
「そこは、蛍にも手を貸して貰うわ」
「俺!?」
「この後国広から呼び出しが来るからいって。でそこでオッケーしてきて!!」
「なんで??」
「それで蛍は、清麿や正雪と一緒に会議に行く事になるから!! そして正雪なら、間違いなく一番に飛び出す。皆のめがそっちにいってる間に私達は、裏で敵の数を削ぐ!! これならいけるわ。いくら暴れてもね??」
意味ありげな友美の笑顔に。三振は、身震いした。恐ろしい。恐ろしすぎると。
「あっ。連絡くきた」
「お願いね!!」
「わかったよ」
蛍は、面倒そうな顔をし、屋敷に、向かった。
「さてでは、正秀、正宗よろしくね!! 国広にと、後で伝えとくから!!」
親友にも思うところがあったのだろう。優しすぎる清麿の決断。友として正秀は、尊重したいと思ったが、やはり背中を預けてくれとも思えた。しかしこれで親友の為に戦える。けっして知られないとしても。
「私は、なにも。ただ正秀が、親友のためにと頑張っただけですから」
「謙遜なさるな」
「本当の事ですから」
友美は、微笑むといった。
「で新聞の件ですが……」
「こちらで対処しとくとしよう」
「ありがとうございます」
男性は、立ち上がる。
「では、また神子姫」
「えぇ。伯父様」
老人は、鶴丸を連れ、去っていった。
「友美あの人は……」
「時の政府のトップよ」
「えっ!!??」
「あの伯父様なかなか策略にたけてるのよねー今回の件もこれで安心ね!!」
友美は、立ち上がると歩き出すが、蛍は、そんなことよりもあの伯父様がとそっちに驚いていた。
やはり人は、見かけによらない。見えなさそうな人ほど凄かったりする。
「さて!! 国広にあとで話すとしよう」
「友美」
「なに??」
「とりあえずよかったね」
「そうね!!」
友美は、目を細めると、意味ありげに呟く。
「さて……あとは、正秀ね……」
友美は、そう呟き、蛍に付き合って他のエリアに行った頃、屋敷では、重い雰囲気に。
「書庫は、喧嘩するところでは、ないんだが」
困り顔の骨喰と地理の本を読むふりをして、様子を見ている正雪。そして彼らの視線の先には、むすっとした顔の正秀と困り顔の清麿が。
正雪と書庫で地理について話をしていると正秀がやってきたのだ。清麿を探して。
「どういうことだ清麿」
「水心子その……」
「友というのなら私も共に連れていけばよかっただろ!!」
「それは、君に怪我をしてほしくないから」
「それは、私もだ……」
時には、互いにぶつかり合うことも大切だ。正雪は、ここへ来てから更にそれが身に染みていた。
「私も国広殿と……」
「正雪の場合当たって砕けろ戦法だからな」
「骨喰殿まったくそのつもりは、ないのだが!?」
「そうなのか」
よく国広に嘆願しても砕けちり、しょぼんとしている正雪。あれは、作戦かと思っていたようだ。
「水心子……」
「深くは、聞かぬ。だが次もし同じことがあれば私も連れていけ!!」
清麿は、微笑む。
「分かったよ」
本当に水心子は、凄いなと清麿が思う。だからのそ彼を支えたいと思う反面。傷付いて欲しくないとも思うのだ。
「そもそも……国広殿が頑固なのだ」
「それは、正雪もだ」
「うむ!?」
国広が真後ろに立っていた。正雪は、恐る恐る彼を見ると、国広は、とくに怒ってなかった。
「ケーキ食べるか??」
「ケーキ……」
「あぁ」
正雪は、コクりと頷く。
「なら後で執務室に来てくれ」
「何故……」
「ここだと正秀と清麿の邪魔になりそうだからな」
国広の見ている先には、仲良く話す正秀と清麿が。
「そうだな」
空気を壊しては、悪いと正雪は、書をもち立ち上がると国広と書庫をでた。
「国広殿その……正秀殿と清麿殿は、もしや……恋仲だろうか……」
国広は、突然止まるという。
「はぁ??」
「違うのか?? そのここは、男性が多い……だからその……」
「はぁ…‥もしそんなもん発生してみろ。へし切るが??」
「切る!?」
「江戸の世じゃないんだ。そんなもんあるかここに」
「しかし色恋は、どの時代にも……」
「あるだろうが、ここで発生すれがフラグをロードローラーで潰してやる」
国広は、言いきると歩いていってしまった。
「国広殿……人の恋路を邪魔するやつは、馬に蹴られて死んでしまえという言葉があるぞ……」
国広を追いかけ、正雪は、いう。
「ならその馬を倒すまでだな」
「倒す!?」
「あぁ」
正雪は、思わず笑ったしまった。
「ふふふ」
「あまりそのようなことをいうのならケーキは、無しだが」
「それは、困る!!」
そんな会話をしながら、歩いていく正雪と国広。それを見ていた正秀と清麿は、苦笑いしていた。
「それを言うなら国広達だろ……私は、そう思うが……」
「僕も。でもないんだよねー正雪さんと国広って」
「不思議だ……」
この組織の不思議の一つかもしれない。
「あいつら……聞いてたな……」
「国広殿??」
国広は、溜め息をつくと、ポカーンとしている正雪をみていった。
「行くぞ」
「あぁ」
国広は、歩きだし、正雪もその後に続く。
「国広殿そのケーキは、どんなものだろうか……」
「苺だ」
「苺か……楽しみだ!!」
微かに国広から甘い香りがする。正雪は、もしかしてとあることに気づいたが、あえて言わなかった。
「本当に国広殿は、器用だな」
「……姫の傑作だからな。それに五虎退によく作っていたから」
そして世話焼き。正雪は、ますます楽しみだと思いながら、少しだけ足取りが弾んでいた。国広と執務室に向かい、そしてケーキをたべた。そのケーキは、とても美味しく彼女は、嬉しそうに笑い、国広は、その顔を見て、優しく目を細めたのであった。