代理審神者
とうとう明日には、政府の職員がやって来る。しかし昨晩の出来事で正雪は、見事に寝不足になっていた。
「……正雪さんくまが」
「心配ない……光忠殿……」
光忠に心配されながら、朝餉を貰いその後、国広の執務室に正雪は、行く。
部屋に入ると昨晩の青年が居た。正雪は、恐る恐る部屋に入る。
「正雪来たか」
とりあえず国広に頷くと、正雪は、青年のとなりに座った。
「友美の新しい式と聞いていたが……」
青年は、正雪をじっと見るという。
「……可愛い子を……」
「旦那色々欲が漏れてるが」
「欲……」
正雪は、思わず少し青年と距離を取る。
「男を警戒できるのなら安心だ」
「旦那そこから誉めるのか」
「当たり前だ!!」
もしかするとこの青年が正雪が思っているよりも安全なのかもしれない。
正雪は、じっと青年をみた。目元から優しい雰囲気の鼻筋が通った整った顔。そしてどことなく感じたことがある気配。
「……姫の気配がする」
正雪の発言に青年は、微笑む。
「俺は、友美の旦那だからな。これでも」
そういえば、主は、既婚者と言っていた気がする。この人がそうなら気配がするのも当たり前かもしれない。
正雪は、なら安心と思い青年に名乗る。
「私は、由井正雪だ。姫には、お世話になっている」
「俺は、光だ。よろしく」
光は、警戒を解いてしまっている正雪を見ながら、思い出していた。
今朝友美が言っていたことを。
「正雪は、本当に純粋無垢なの!! 簡単に人を信用しちゃうし!! とりあえず警戒は、するけど、この人は、大丈夫って思うとすぐに警戒を解くから!! 光だからよろしく!!」
確かにこれは、善人ずらした悪人に騙されそうでこっちが心配になるやつだ。
光は、国広を見ると、彼も頷いていた。
「今日俺が来たのは、友美から、正雪に化粧を教えて欲しいと頼まれたからだ」
昨晩の話を思い出し、正雪は、頷く。
「それと……昨日は、大包平と鶯丸がごめん」
「それは……」
「大包平と鶯丸は、俺の刀剣なんだ」
正雪驚いた顔をする。
「光殿は、なにも……」
「だとしてもだ」
光は、申し訳なさそうな顔をすると、正雪にあるものを差し出した。
「お詫びのブラウニーだ」
正雪は、受け取ると、微笑む。
「かたじけない」
「いいよ。じゃさっそく始めようか」
光は、立ち上がると大きな風呂敷をもった。
「私も手伝おう」
「女性に重いものは、持たせられない」
光は、そういうと部屋を出ていってしまった。正雪は、あわてて彼の後を追うと、着いたのは、主の部屋だった。
「ここは……」
「友美から許可は、貰ってるから」
正雪は、入ると、光に鏡台の前に座るように言われ、座った。
光が持ってきていた風呂敷を広げると、中から、化粧道具が出てきた。
美しい漆器に螺鈿細工が施された道具達に正雪は、息を飲む。
「気に入ったかな??」
「その……繊細な細工と思って……」
「確かにそうだか」
光は、鏡台の上にそれを並べる。
「一応江戸時代の化粧品を揃えたが、白粉だけは、現在のにした」
「それは……」
「あの時代の白粉は、水銀が入ってるから体に悪いんだ」
「そういえば……そうであった……」
「だから使いなれていないかもしれないが、これを使ってくれ」
慣れたものをという気遣いだろう。光のその優しさは、とても嬉しいが、生前は、男装で過ごすことが多かった。
正雪は、目を伏せると言うか、悩んだ。
「その……」
正雪の様子から光は、なにかを察するという。
「現代の物の方がいいのならそれでも大丈夫。準備はしてるから。ただそうなると昔のと少しかってが違うが……」
「その……」
「どうした??」
「あまり……化粧は……」
光は、この時ニヤリと笑うと言った。
「なら楽しくやらう!! というかやらせて!!」
正雪は、コクりと頷いたとき清光がやって来た。
「代理主俺もまぜてー!!!!」
「もちろん」
清光がきたら色味大変なことになりそうだ。
光は、まぁいいかと深く考えるのをやめ、清光とさっそく化粧を始めた。
昼前になり、友美が様子を見に、部屋にやって来た。
見事に正座させられている光と清光。そんな彼らをワタワタしながら見ている正雪と笑っているがそうとうご立腹で二人を仁王立ちで見下げている友美。
この光景だけを見たものは、何故こうなっているのか理解しがたいだろう。
「姫その……」
「モデルが可愛くて……」
「だからってめっちゃ可愛くする必要あるかー!!!!! とりあえず明日のための可愛くて、目立たない!! をコンセプトにメイクを正雪と考え、教えてあげてと頼んだのに!!!!」
見事に服装まで変えられている。総髪の武士から今は、赤と黒を貴重にした和風ドレスの淑女になている。
巷で言う第三再臨の服装だ。
「姫その……私も二人を止められなかった!! だから私にも責任が!!」
「凄い勢いの光と清光を、正雪がとめられた??」
視線をそらし正雪は、黙ると、やっぱりと友美は、光と清光をみてため息をこぼした。
「とりあえずこれでお面してみましょう」
友美は、布の面を取り出すと、正雪に渡した。
「これ……」
「狐面やマスカレードがいいならそっちにするわよ」
他の審神者を知らない自分がへたに動くとさらにへまをする。
正雪は、面を取ると、後頭部で紐を結び面を着けた。
「……友美ほら!!」
「姫これならいいよね!? ね!?」
確かに面をすれば多少ましになる。友美は、しかたがないと折れることにした。
「正雪がいいって言うのなら明日これでいきましょう」
「友美!!」
「よかったね!! 代理主!!」
喜ぶ光と清光。そしてそんな彼らをみて、苦笑いを浮かべる主。
正雪自身この装いもいいと思っていたのでここは、自分の意見を言うことにした。
「姫ならこの装いで」
「分かったわ」
ちゃっかりネイルアートまで確りしている清光と光には、色々言いたいことがあるが、まぁそれは、後でいいだろう。
面を取り、鏡の中の自分と爪をみて、どこか嬉しそうな正雪。彼女のこの姿をみれ、友美は、嬉しそうに笑った。
「姫??」
「とても綺麗よ」
「……ありがとう」
「せっかくなら昼餉この格好でいかない?? 代理主!!」
「えっ……」
少し恥ずかしそうに正雪は、しているが、また清光の勢いに負け、そのまま昼餉に連れていかれてしまった。
「友美……なんとなく嫌な予感がする」
「光奇遇ねー私もよ」
しばらくして国広の怒号と清光の悲鳴が聞こえた。
「正雪大丈夫かな!?」
「まぁ光忠と国永がいるからー」
あと貞ちゃんといたなと友美は思い浮かべた。
「友美今更だが」
「なに??」
「由井正雪は、本来男のはずだ……それに……」
「川に毒流して幕府転覆かつ天皇さらって政権を奪おうとしたって??」
「そう」
「あのこは、別の次元のたまたま同じ名前つけられた女の子」
友美は、そういうとさらに続けた。
「まぁ創造主が天草の乱に荷担してたりーそもそも錬金術の技術を、彼女のいた世界の魔術師の家系から盗んだり、なおかつ彼女は、師として慕ってるけど、なかなか非道な人物かつ……」
「友美色々聞いてて物騒なんだが!?」
「まだ物騒よ?? 正雪を作った理由は、ゼウスを招くための国を作るため、新人類として完璧な彼女を増殖させて、今の人類を駆逐するためだったり……」
光は、顔を青ざめていた。
「……え??」
「ゼウスなんて招いたところでろくな神じゃないのにねぇーあはは」
「……それよりそいつは、まさか正雪を使ったのか!!??」
「あの純粋さにまけて、使ってないわ。その後あのこは、武家に預けられ、武士として、由井正雪として育ち、江戸に塾を開いた」
「……そうか」
友美は、その後のことは、話すことは、なかった。たぶん彼女からしても納得のいかないことがあるのだろう。
「なにが万能の願望機よ。結局禍々しいもので、ろくな結果は、残さない」
「……まさか聖杯戦争に」
「偽りのね。たしか盈月の儀とかってやつに出たみたいよ。マスターとしてね」
光がなぜ友美があそこまで正雪を気にしてるのかなんとなくふに落ちた。
「私は、魔術師の家系が嫌いよ。やれ神秘の秘匿だの保護だのって……ホムンクルスでそれなら私あの世界だとヤバイやつよ!?」
「……まぁ神秘そのものだしな」
光は、そもそも友美がもし封印指定とやらになったら、それこそ聖堂協会と、魔術協会を破壊するなと思っていた。
「とりあえず!! かわいい正雪には、幸せになって欲しい!! それだけ!!」
光は、笑うと言った。
「分かったよ。とりあえず明日だな」
「まぁ大丈夫だろうけだ。なにせ国広がいるから」
遠くから賑やかな声が聞こえ、これは、ファッションショーが行われそうな雰囲気だ。
「正雪疲れないかしら……」
「確かに」
とりあえず後は、彼に任せよう。
二人は、そう思ったがその後そこに天照まで加わり、正雪が皆にすすめられるがまま、色々着たことにより、彼女は、疲れはててしまうのであった。
「写真まで撮ってる」
「でも可愛いわよね??」
「可愛い」
そしてその夜正雪の写真をみて、二人は、何処か楽しそうにしていたのだあった。
「……正雪さんくまが」
「心配ない……光忠殿……」
光忠に心配されながら、朝餉を貰いその後、国広の執務室に正雪は、行く。
部屋に入ると昨晩の青年が居た。正雪は、恐る恐る部屋に入る。
「正雪来たか」
とりあえず国広に頷くと、正雪は、青年のとなりに座った。
「友美の新しい式と聞いていたが……」
青年は、正雪をじっと見るという。
「……可愛い子を……」
「旦那色々欲が漏れてるが」
「欲……」
正雪は、思わず少し青年と距離を取る。
「男を警戒できるのなら安心だ」
「旦那そこから誉めるのか」
「当たり前だ!!」
もしかするとこの青年が正雪が思っているよりも安全なのかもしれない。
正雪は、じっと青年をみた。目元から優しい雰囲気の鼻筋が通った整った顔。そしてどことなく感じたことがある気配。
「……姫の気配がする」
正雪の発言に青年は、微笑む。
「俺は、友美の旦那だからな。これでも」
そういえば、主は、既婚者と言っていた気がする。この人がそうなら気配がするのも当たり前かもしれない。
正雪は、なら安心と思い青年に名乗る。
「私は、由井正雪だ。姫には、お世話になっている」
「俺は、光だ。よろしく」
光は、警戒を解いてしまっている正雪を見ながら、思い出していた。
今朝友美が言っていたことを。
「正雪は、本当に純粋無垢なの!! 簡単に人を信用しちゃうし!! とりあえず警戒は、するけど、この人は、大丈夫って思うとすぐに警戒を解くから!! 光だからよろしく!!」
確かにこれは、善人ずらした悪人に騙されそうでこっちが心配になるやつだ。
光は、国広を見ると、彼も頷いていた。
「今日俺が来たのは、友美から、正雪に化粧を教えて欲しいと頼まれたからだ」
昨晩の話を思い出し、正雪は、頷く。
「それと……昨日は、大包平と鶯丸がごめん」
「それは……」
「大包平と鶯丸は、俺の刀剣なんだ」
正雪驚いた顔をする。
「光殿は、なにも……」
「だとしてもだ」
光は、申し訳なさそうな顔をすると、正雪にあるものを差し出した。
「お詫びのブラウニーだ」
正雪は、受け取ると、微笑む。
「かたじけない」
「いいよ。じゃさっそく始めようか」
光は、立ち上がると大きな風呂敷をもった。
「私も手伝おう」
「女性に重いものは、持たせられない」
光は、そういうと部屋を出ていってしまった。正雪は、あわてて彼の後を追うと、着いたのは、主の部屋だった。
「ここは……」
「友美から許可は、貰ってるから」
正雪は、入ると、光に鏡台の前に座るように言われ、座った。
光が持ってきていた風呂敷を広げると、中から、化粧道具が出てきた。
美しい漆器に螺鈿細工が施された道具達に正雪は、息を飲む。
「気に入ったかな??」
「その……繊細な細工と思って……」
「確かにそうだか」
光は、鏡台の上にそれを並べる。
「一応江戸時代の化粧品を揃えたが、白粉だけは、現在のにした」
「それは……」
「あの時代の白粉は、水銀が入ってるから体に悪いんだ」
「そういえば……そうであった……」
「だから使いなれていないかもしれないが、これを使ってくれ」
慣れたものをという気遣いだろう。光のその優しさは、とても嬉しいが、生前は、男装で過ごすことが多かった。
正雪は、目を伏せると言うか、悩んだ。
「その……」
正雪の様子から光は、なにかを察するという。
「現代の物の方がいいのならそれでも大丈夫。準備はしてるから。ただそうなると昔のと少しかってが違うが……」
「その……」
「どうした??」
「あまり……化粧は……」
光は、この時ニヤリと笑うと言った。
「なら楽しくやらう!! というかやらせて!!」
正雪は、コクりと頷いたとき清光がやって来た。
「代理主俺もまぜてー!!!!」
「もちろん」
清光がきたら色味大変なことになりそうだ。
光は、まぁいいかと深く考えるのをやめ、清光とさっそく化粧を始めた。
昼前になり、友美が様子を見に、部屋にやって来た。
見事に正座させられている光と清光。そんな彼らをワタワタしながら見ている正雪と笑っているがそうとうご立腹で二人を仁王立ちで見下げている友美。
この光景だけを見たものは、何故こうなっているのか理解しがたいだろう。
「姫その……」
「モデルが可愛くて……」
「だからってめっちゃ可愛くする必要あるかー!!!!! とりあえず明日のための可愛くて、目立たない!! をコンセプトにメイクを正雪と考え、教えてあげてと頼んだのに!!!!」
見事に服装まで変えられている。総髪の武士から今は、赤と黒を貴重にした和風ドレスの淑女になている。
巷で言う第三再臨の服装だ。
「姫その……私も二人を止められなかった!! だから私にも責任が!!」
「凄い勢いの光と清光を、正雪がとめられた??」
視線をそらし正雪は、黙ると、やっぱりと友美は、光と清光をみてため息をこぼした。
「とりあえずこれでお面してみましょう」
友美は、布の面を取り出すと、正雪に渡した。
「これ……」
「狐面やマスカレードがいいならそっちにするわよ」
他の審神者を知らない自分がへたに動くとさらにへまをする。
正雪は、面を取ると、後頭部で紐を結び面を着けた。
「……友美ほら!!」
「姫これならいいよね!? ね!?」
確かに面をすれば多少ましになる。友美は、しかたがないと折れることにした。
「正雪がいいって言うのなら明日これでいきましょう」
「友美!!」
「よかったね!! 代理主!!」
喜ぶ光と清光。そしてそんな彼らをみて、苦笑いを浮かべる主。
正雪自身この装いもいいと思っていたのでここは、自分の意見を言うことにした。
「姫ならこの装いで」
「分かったわ」
ちゃっかりネイルアートまで確りしている清光と光には、色々言いたいことがあるが、まぁそれは、後でいいだろう。
面を取り、鏡の中の自分と爪をみて、どこか嬉しそうな正雪。彼女のこの姿をみれ、友美は、嬉しそうに笑った。
「姫??」
「とても綺麗よ」
「……ありがとう」
「せっかくなら昼餉この格好でいかない?? 代理主!!」
「えっ……」
少し恥ずかしそうに正雪は、しているが、また清光の勢いに負け、そのまま昼餉に連れていかれてしまった。
「友美……なんとなく嫌な予感がする」
「光奇遇ねー私もよ」
しばらくして国広の怒号と清光の悲鳴が聞こえた。
「正雪大丈夫かな!?」
「まぁ光忠と国永がいるからー」
あと貞ちゃんといたなと友美は思い浮かべた。
「友美今更だが」
「なに??」
「由井正雪は、本来男のはずだ……それに……」
「川に毒流して幕府転覆かつ天皇さらって政権を奪おうとしたって??」
「そう」
「あのこは、別の次元のたまたま同じ名前つけられた女の子」
友美は、そういうとさらに続けた。
「まぁ創造主が天草の乱に荷担してたりーそもそも錬金術の技術を、彼女のいた世界の魔術師の家系から盗んだり、なおかつ彼女は、師として慕ってるけど、なかなか非道な人物かつ……」
「友美色々聞いてて物騒なんだが!?」
「まだ物騒よ?? 正雪を作った理由は、ゼウスを招くための国を作るため、新人類として完璧な彼女を増殖させて、今の人類を駆逐するためだったり……」
光は、顔を青ざめていた。
「……え??」
「ゼウスなんて招いたところでろくな神じゃないのにねぇーあはは」
「……それよりそいつは、まさか正雪を使ったのか!!??」
「あの純粋さにまけて、使ってないわ。その後あのこは、武家に預けられ、武士として、由井正雪として育ち、江戸に塾を開いた」
「……そうか」
友美は、その後のことは、話すことは、なかった。たぶん彼女からしても納得のいかないことがあるのだろう。
「なにが万能の願望機よ。結局禍々しいもので、ろくな結果は、残さない」
「……まさか聖杯戦争に」
「偽りのね。たしか盈月の儀とかってやつに出たみたいよ。マスターとしてね」
光がなぜ友美があそこまで正雪を気にしてるのかなんとなくふに落ちた。
「私は、魔術師の家系が嫌いよ。やれ神秘の秘匿だの保護だのって……ホムンクルスでそれなら私あの世界だとヤバイやつよ!?」
「……まぁ神秘そのものだしな」
光は、そもそも友美がもし封印指定とやらになったら、それこそ聖堂協会と、魔術協会を破壊するなと思っていた。
「とりあえず!! かわいい正雪には、幸せになって欲しい!! それだけ!!」
光は、笑うと言った。
「分かったよ。とりあえず明日だな」
「まぁ大丈夫だろうけだ。なにせ国広がいるから」
遠くから賑やかな声が聞こえ、これは、ファッションショーが行われそうな雰囲気だ。
「正雪疲れないかしら……」
「確かに」
とりあえず後は、彼に任せよう。
二人は、そう思ったがその後そこに天照まで加わり、正雪が皆にすすめられるがまま、色々着たことにより、彼女は、疲れはててしまうのであった。
「写真まで撮ってる」
「でも可愛いわよね??」
「可愛い」
そしてその夜正雪の写真をみて、二人は、何処か楽しそうにしていたのだあった。