日常編1

 何故主が審神者をやめたのか。先日の事件から正雪は、疑問に思っていた。
「国広殿少しいいだろうか??」
 主を皆信頼し動いていた。しかもしっかりと統制がとれて。
 指揮官としても才がなり、霊力も高い友美。ますます何故彼女が辞めたのかが分からなくなっていた。
「なんだ正雪」
 書類から顔を上げ、国広は、正雪を見据えた。
 正雪は、執務室に入ると、国広の所へ。
「聞きたいことがあるのだが」
「聞きたいこと??」
「姫の事だ」
 国広は、溜め息をこぼした。
「今度は、何をしでかしたんだ??」
「何もしでかしては、おらぬ!!」
 あらぬ疑いをかけられた友美。正雪は、これは、いけないといった。
「姫が何故審神者をやめたのか、気になったのだ!!」
「あーそれか」
 国広は、ホッとした顔をする。
「心労からの白野威様が判断した引退だ」
「姫が心労!?」
 正雪も知る限り友美は、決して弱くは、ない。むしろ強すぎる。なにかへまをして辞めたのかと思っていたが、まさかの理由に驚いた。
「いがいだろ」
「まことに……」
「姫いわく人々の憎しみや後悔を毎晩聞かされたらおかしくなるって事らしい」
「人々の願望……」
 正雪は、目を伏せる。やはり人の願いとは、強い力を持っている。しかしそれがマイナスな願いだといくら強靭でも疲労してくるのは、当たり前だ。
「俺達は、あまり関係ないが、審神者と刀剣男士は、歴史改変主義者と今戦争真っ只中だ。少ない霊力の者でも駆り出される程にな」
「そんなに……」
「歴史を守り未来を紡ぐ。そんな仕事をしているといえば聞こえがいいが、戦争にずっと身を投じているうえ、ここの軍の数も多くなれば統制は、とりにくくなってくるうえ、大なり小なり不満も出てくる。それが積み重なり怨み、嫉妬、後悔の量も大きくなる」
「確かに」
「そう言ったものは、生き霊ともいうが、力あるものを助けをもとめ出すこともあるからな。姫は、見事にそんなやからから助けてくれの言われていたようだ」
 力が強いと言うこもいいことばかりでは、ない。国広は、さらに続ける。
「そしてこの組織じたい、もとは、穢れた本丸の処理もしていたから。余計に姫へのふかも大きかったんだろう」
 浄化そしてその本丸の後処理や政府との打ち合わせ、友美は、一人で色々していたことを今の国広には、分かる。そして彼女のしていたことへの責任の大きさ、大変さも痛感していた。
「それが引退理由……か……」
「姫が先日何故あんたを行かせなかったかこれで分かるだろ??」
 あくまでも自分は、代理。しかも過去怨恨等な出ぬようにと政府との話し合いのためだけに立てられた。
 霊力もあり適正もある。なのに何故友美が審神者をさせないのか。その全ての答えが事件当日の主から向けられた視線だった。
「私は……気づけていなかった……」
「そりゃあの、状態なら無理だ」
「国広殿……」
「改めてあの時は、すまなかった」
 誰も首が飛ぶところ等みたくは、ない。それを国広は、正雪に見せてしまった。
 改めて謝ると、正雪は、目を伏せた。
「姫からも同じことを言われた」
「姫らしいな」
「確かにショックを受けた……だが今なら組織と私を守るためだと分かっている。国広殿気にしないでくれ」
 国広は、微笑む。
「分かった」
 本当に彼は、優しいなと正雪は、思いついくちにした。
「貴方は、本当に優しいな」
「貴方??」
 何時もなら貴殿というのにと国広は、驚く。
「どうされた??」
「なにもない」
「そうか」
 正雪は、ふと国広の目元を見て気づいた。
「国広殿くまが……」
「ここ数日事件の事後処理で徹夜だからな……」
「うむ!?」
「細切れでも睡眠は、とってるが……」
 疲れは、取れない。国広は、とりあえずこれが終われば寝れるだろうと思い話したが、正雪は、それを聞いて少し怒っていた。
「人には、自分を大切にしろといいながら、貴方自身は、してないではないか!!」
 怒る正雪に国広は、驚く。
「俺は付喪神だぞ?? 人とは……」
「しかし肉体を持っているでは、ないか!!」
 正雪は、国広の座っている椅子の所に来ると彼の手を握り、なんと引っ張った。
「正雪!!??」
 椅子から無理に立ち上がらされ、国広は、正雪に長椅子まで連れてこられた。
「座って」
「あぁ」
 いったい何を彼女は、するきなのだろうか。
 国広は、座って様子を伺ってると、正雪も彼のとなりに座った。
 甘い香の香りを何時もよりも間近に感じる。国広が気づいたときには、何故かこうなっていた。
「正雪分かってるのかこれ……」
 思わず見上げて言うと、正雪は、自慢げにいった。
「分かっているとも。膝枕だ」
 何故膝枕をされているのか。国広は、疲れている頭で考えるが思い当たるふしがない。
「膝枕は、疲れを取るのにいいと聞いた。なので今の国広殿にいいかと」
「誰に聞いたそれ」
「光殿だ」
 国広は、この時今すぐに光を殴ってやりたいと思った。なんていうことを吹き込んだのかと。
「ふむ……?? 私は、間違っているのかな……??」
「……正雪とりあえずどんなときに聞いた」
「先日光殿が姫に膝枕をしていたとき……姫が気持ち良さそうに寝ていたゆえ……聞いたのだが……」
 国広は、溜め息をこぼす。確かに光と友美ならいいだろう。だが自分と彼女では、今の状態色々問題だ。
「姫と旦那は、夫婦だぞ??」
「そうだな」
「俺とあんたは、違うだろ……」
「確かにそうだが……今の国広殿には、ちょうどよいのでは?? このままだと勤めを続けるだろ??」 
 確かにあのまま椅子居座っていたら、仕事をしていたがそれでもである。
 国広は、盛大な溜め息を付く。眉間に皺寄せ。
「あんた自分が女性と分かってるのか??」
「それは、分かっている」
「恋仲でもない男にこんなことをして……分かってるんだろうかな?? 何をされても文句言えないって」
「貴方は、何もしないだろ??」
 信用されるのは、嬉しいがそれでも色々言いたいことがある。
 やはり正雪は、親愛を返せば相手も必ず親愛を返してくると思っている節がありそうだ。
「国広殿は、優しくそのようなことは、しないと私は、知っている」
 国広は、話してもらちがあかないと今回は、諦めた。疲れた頭では、色々余計なことをいいそうでもある。
「それに文献によるのこのように触れあうことでストレスが減るとか……これで減るのなら安いもの」
「正雪にとって安くても俺には、安くないがな。むしろリスクが大きすぎる」
「そうなのか?? 私がいいと言っているのに」
「それでもだ」
 本当にしんそここの者は、無害とにんていしたら危機感をなくすのだから。
 国広は、思っていたよりも疲れていたのか、正雪と話していると寝てしまっていた。
 規則正しい寝息が聞こえ、正雪は、ホッとした顔に。
「本当に、優しくて、世話焼きで、綺麗は神なだ……」
 だからこそゆっくり休んで欲しいと正雪は、思った。日頃から彼に貰っている物を少しでも返せたらという想いで。
 普段友美がよく国広の頭を撫でているので正雪も真似してみる。
 神の頭に触れるなど罰当たりかもしれない。
 思ったよりも細く金糸のような綺麗な髪。正雪は、また漏れた。
「本当に綺麗だ……やはり堀川国広の傑作は、素晴らしい……」
 国広にようがあり、やってきた友美は、珍しい光景に驚きつつも笑った。
「あらま」
「国広が珍しいな」
「宗近」
 友美と宗近は、少し離れた所に移動する。
「宗近は、報告??」
「あぁ。だが姫に報告してもいいだろ??」
「まぁね。私一応主だし」
「何が一応だ。管理が天照となって言おうとも俺達の主は、姫のみ。俺がここに入るのも姫だからだ」
 突如本丸に現れた、不思議な三日月宗近。はぐれ刀剣かと調べた時期もあったそれも違った。
 彼の正体それは、三日月宗近の本霊である。
 うちは、なんでこうもこんなのがあと三振いるのかと友美は、思いなら言った。
「だからってお仲間連れてこないでくれる?? 色々隠すの大変なのよ!?」
「あいつもかってに来たからな。俺のように」
「三日月宗近、髭切、薬研藤四郎……そして蛍丸……本霊が四柱もいる本丸って普通ないわよ」
「蛍丸と薬研藤四郎に関しては、もとから姫が持っていたのだろ??」
「まぁそうだけど……」
「まぁいいでは、ないか。神の愛娘の本丸ならば普通の事だろう」
 宗近は、呑気に笑うが、それをたまたま聞いていた正秀は、固まっていた。
「さすが姫と云うべきかな??」
「本霊が……四振……」
「聞く話によると雨の叢雲の剣もあるらしいから……凄いよね!! 水心子!!」
 正秀が、とんでもない人物を自分達は、調べていたのかと固まる。
 友美と宗近は、二振に気づいていたがあえて、話を続けた。
「でどうだったの??」
「やはりあの男夢で見たようだ」
「夢で??」
「姫のようにはっきりと異界をのぞいたわけでは、ないようだがな。たまたま見たものが霊力枯渇問題解決に使えると思ったらしい」
「なるほどね……宗近ありがとう」 
「いや。俺は、やることをしたまで」
 宗近が、さり、友美は、庭を眺めながら、溜め息をこぼした。
「本当に余計なことを考えたわね……森総意軒……」
 彼は、ゼウスをいい神と思ったのだろうが、その事実は、違う。
 それにキリスト教の宣教にかんして、イエズス会が詐偽まがいの事をし広めていたとも知らなかったのだろうか。
「……私には、分からないことね。あの畜生の考えてることは」
 友美は、そう呟くと国広の執務室に戻った。
「あら……」
 何時のまにやら正雪まで眠っている。しかも気持ち良さそうに。
 友美は、微笑むと、執務室に置いてあった膝掛けを二枚取りだし、一枚は、国広にかけ、もう一枚は、正雪の肩にかけた。
「ここ風通しいいから……」
 本当に仲のいいこと。それでいてまったくお互い恋愛のれの字もない。
「普通だとこれ恋愛フラグなのだけど、この子達は、無自覚にそれへし折るんでしょうね……それともへし切るかしら……」
 友美は、笑うと、執務室を出た。
「とりあえず国広には、後で伝えようかしら……それと皆にお休みをあげないとね……」
 友美は、そう呟くと微笑みそして部屋をあとにしたのであった。
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