後日談

 ダダダダと騒がしい足音がし、国広は、溜め息を着きながら、書類から視線を上げると、執務室の入り口に正雪がいた。
「国広殿!! 今日は、貴方にとって特別な日と聞いた!!」
「はぁ??」
「もしや……違う……??」
 また自分の勘違いかと正雪は、顔を青ざめ、アワアワするが、国広は、そういえばと思い出していた。
「政府が俺を重要文化財に指定した日だったか」
「政府から認められるとは、なんという誉れか!! 国広殿!!」
「勝手に人が決めてるだけだけどな」
 正雪は、神からすればこんなものなのかと思いつつもせっかくだからと用意した物を国広に差し出した。
「向日葵??」
 正雪は、頷く。
「この花を私は、詳しくは、知らない……だが貴方のような花だと思ったから……」
「……」
 まさか向日葵のようだと、言われるとは。それだけ自分も変われたということだろう。
 山姥切長義の写しそして山姥を切ったという伝説に囚われていたかつての自分には、想像もつかなかっただろう。
 これもまたあの破天荒主との出会いが会ったからな。
 国広は、懐かしい記憶を思い出し、微笑む。
「ありがとう」
 受け取ると、さっそく国広は、花瓶にいけた。
 少し湿気を含んだ風に揺れる向日葵。
 正雪は、向日葵を見ながら、言った。
「国広殿この花は、向日葵というのか??」
「あぁ。1660年代後半に外国から伝来したんだ」
 正雪が知らないのも無理は、ない。向日葵が伝来した頃に歴史上由井正雪は、もう死んでいたのだから。
「そうなのか……」
 正雪は、向日葵を見つめていたがその顔は、切なそうだった。
「……どちらにせよ私は、その頃には、もう……」
「だな。だが今ここに間違いなくあんたは、生きてるそれでいいだろう」
 正雪は、頷く。
「そういえば……薬研殿が向日葵の本数をみて苦笑いしていたが……もしやなにか意味があるのかな??」
 国広は、真顔になる。
「……気にしなくていい」
「なら意味があるのか……ちなみに4本は……」
「……貴方を一生愛し続ける……だ」
「……む……む……」
 少しは、分からせた方がいいと国広は、あえて教えると正雪は、鳩が豆鉄砲を食らった顔になり、次第に顔を真っ赤に。
「……むぅー!!!???」 
 雄叫びと共に頭から湯気を正雪は、出すとアワアワとしだした。
「国広殿!!!!! 私は……その……」
「あんたにその気がないことくらい知ってる」
「1本や2本だと寂しいと思い……4本にしただけなのに……」
「だろうな。まぁいいところ死では、なく幸せという意味でと思ったりもしたが」
 自分の無知にしょぼんとする正雪に国広は、いった。
「俺には、いいが他のやからには、やるな。あんたは、それでも人や神たらしなんだから」
「うむ……」
「あと厄介なやつに好かれやすいようだしな」
「それは、ないと思うが!?」
 確かに現世では、ないかと国広は、思いつつも言った。
「あくまでもよそうだ。とりあえずきおつけてくれ」
「うむ……」
 少し落ち着いた正雪を国広は、優しく頭を撫でるた。
 まさか文化財に指定された日を祝われる日が来るのは。
 これもまた悪くないなと彼は、思いながら、爽やかに笑うのであった。主つれてきた、困った目のはなせない代理を見ながら。
 

 
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