後日談
ようやく仕事が終わった。最後の書類を確認し、捺印をした。
天照は、机に伏せる。
「つーかーれーたー」
オモヒカネは、確認をすると言った。
「確かに。さてこの厳戒態勢も今日までにしましょう」
「本当!?」
「えぇ。ですがまたくだらない理由で仕事放棄したら同じことになりますからね??」
オモヒカネが怖い。天照は、頷くと、オモヒカネは、書類をも出でていった。
「少しの間お休みだー」
ようやくゴロゴロ出来ると思いながら、天照は、体を起こすと、国広が入ってきた。
「国広!!」
「お疲れさま」
机に置かれた薬湯をみて、天照は、顔をひきつる。
「これ飲みたくないわ!!」
「連日徹夜しといてなに言ってる」
これは、勇音特性の薬湯だと天照は、知っているので余計に飲みたくない。
たぶんまた改良が加えられ、効き目は、抜群味は、不味くなっているだろう。
国広の無言の圧に負け、天照は、凄い勢いで飲み干した。
「もう要らない!!」
「ならくだらない反乱は、やめてくれ。まっとうな理由で反乱は、いいがな」
白湯を凄い勢いで飲む天照に国広は、文を見せた。
「これは??」
「由井正雪から預かった」
天照は、明るい顔になると文を見た。
「お茶会を??」
「そうだ」
天照は、新しい紙を取り出すと、さらさらと書いた。
「これで国広よろしく!!」
「この日程でいいんだな??」
「当たり前だのクラッカー!!」
「死語だな……それ……」
国広は、文をしまうと、言う。
「ならこれで伝えるから頼んだぞ主」
「もちのろん!!」
「主の語彙のセンスが劣化してるが、まぁいいだろう」
寝ればましになるだろう。国広は、そう思い執務室をでると、部屋に戻り、翌日やってきた正雪に天照からの文を渡した。
「ありがとう国広殿」
正雪は、文を見ると、驚く。
「今日!?」
「だそうだ。とりあえず天照大神は、いいと言っていたから、あんたは、準備していたとおりにやればいい」
「うむ」
しかしはたしてうまくいくだろうか。だがここでやらねば友美からの助力が無駄になる。
正雪は、頷くと、隣にいる正宗も頷いた。
「大丈夫!! 正雪さんならやれるよ!!」
「ありがとう日向殿」
しかし本当に出来るのだろうか。神妙な顔をしている正雪に二振は、どうしたのかと思う。
「……れるのだろうか」
「なにが……??」
「着れるのだろうか!!」
正宗と国広は、さらになにがと疑問が浮かぶ。
「その……天照様の思考に合わせるため……和服では、なく……漢服の……じゅくんとやらを……姫に借りたのだが……」
「じゅくんといえば、姫が着てるあれか……」
「だね」
「その着方がいまいち分からぬ……」
正雪は、ほほを赤く染め項垂れるが、それは、非常に問題では、ないだろうか。
「国広分かるかい??」
「男の俺に分かると思うか??」
「確かに……」
国広は、ここは、素直に頼むことにした。
「呼んだ??」
天井からひょっこり表れた主に正雪は、驚くが、国広と正宗は、慣れたもの。
「姫正雪の着付けを頼めるか??」
「ガッテン承知!! 任せなさい!!」
友美に頼らずやりたかったのにと正雪は、さらにしょぼんとなっていた。
「正雪素直に頼っていいのよ??」
「姫……」
「それに天照の事だし私もお手伝いしたいもの」
正雪は、頷くと、いう。
「ではお力添えを」
「任せなさいな!!」
「姫俺達もしたくをする」
「分かったわ」
友美は、そう言うと、正雪をつれ、部屋に。
「正雪化粧は、清光に頼む??」
「……やめておく」
即答だった。どうやら以前の光と清光のメイク事件から化粧の事に関しては、苦手意識があるようだ。
「清光が苦手??」
「そうでは、ない……ないのだ……うむ……」
「もしかした、メイクに燃えてる清光が苦手??」
友美は、確認のために聞くと、正雪は、頷いた。
「凄い勢いだったものね」
「その姫自分でやってみても……」
「もちろん。私も教えられるかもだし!!」
早速主の手を借り、着替えをすると、正雪は、ぞっと心が重くなった。
「姫……私は、大丈夫だろうか……」
「大丈夫よ。それに天照だし!!」
友美の軽さに正雪は、驚きつつ深呼吸した。
「姫でも粗相があれば……」
「大丈夫!! 正雪何時も天照より高位の神と話してるし!!」
友美は、このとき口を滑らせたと思った。
「どういうことだろうか!?」
「気にしないで~あはは」
「気になるのだが!?」
本当に気にしないで欲しい。友美は、そう言うと正雪の髪型をアレンジする。
主に髪をして貰い、正雪は、鏡に映る己れを見ながら、微笑む。
「まるで別人だな」
「そう?? 可愛いとおもうわ」
友美のヘアアレンジは、光の受け売りだが、なからかいい感じに可愛らしくなった。
「姫この簪は……」
「この華?? 可愛いかなぁ~と!!」
「そうか」
白い正雪には、淡い色がよく似合う。桃色の華の簪を見ながら、友美は、思うという。「さて!! 正雪頑張れ!!」
「あぁ」
化粧道具も光から今回正雪は、借りた。一応手解きもうけたので形には、なるだろう。
下地を着け、ルスールパウダーを肌に着け、化粧をしていく。
隣で主に見守られながら、とりあえず出来上がった。
「凄く可愛い……元がいいから……シンプルなメイクでもいけるのね……」
「姫こそ……」
「そりゃどうも!!」
友美は、これこそ、深窓の姫だと思いつつ見とれていた。
主の視線に気恥ずかしくなり正雪は、うつむいた。
「姫いいか??」
襖の向こうから声が聞こえ友美がどうぞというと、国広が入ってきた。
「姫」
「あら国広格好いい執事になってる」
燕尾服を着ている国広は、呆れた顔をしいう。
「正宗のこだわりだ」
「まさかの」
「で正雪は……」
国広は、ちっちゃくなってる正雪をみて、息をのむ。
「……似合ってる」
「ありがとう……」
こりゃ見ていて面白い。友美は、ニヤリと笑うが、よからぬことを考えるのは、やめた。
「とりあえずごゆっくり~」
部屋を出ようとしたとき、正雪に掴まれた漢服の裾を。
「姫!! 頼むから!! そばに!!」
気恥ずかしすぎて、色々大変なことになる。なんとか残る理性ででたこたえがこれだった。
友美は、しかたがないと腰を下ろした。
「天照様との約束の時間かな!!」
燕尾服姿の正宗があらわれ、国広と正雪は、頷く。
「姫いってくる……」
「頑張ってね!! 正雪!! 国広あとは、頼んだ!!」
主からの声援をうけ、正雪達は、天照との約束の場所に向かった。
美しく広がる庭園は、見ていて心が落ち着く。しかし天照は、つまらなさそうにその庭を見ていた。
「まだかしら……」
そりゃ約束より早く来たのだからまだ相手は、来ないだろう。
天照は、しばらく庭を見ていると正雪達がやって来たが、天照は、彼らの姿を見て驚く。
「あらま!!」
「お待たせして申し訳ない……」
「いいのよ!! 凄く素敵!!」
「ありがとうございます」
天照は、正雪の姿を見て、微笑む。
「よかったな正雪」
「あぁ国広殿」
「国広と正宗は、執事かしら??」
「何故か俺達までな」
「姫に使える執事ってね!! 給仕は、僕たちに任せてよ!!」
「まぁやれるだけやる」
正雪が席に着くと、国広と正宗は、光忠が作った茶菓子をだし並べると、お茶をいれ、部屋を離れた。
天照と来んな、間近で対面することなどあるだろうか。
正雪は、深呼吸する。
「天照様その……お疲れかと思いますが、お時間をくださり御礼申し上げる」
「そういう固いのいらないわ!! フランクで!!」
「といっても……」
「まぁ正雪が慣れてきたらでいいわ。私こそ、ありがとう今日は、誘ってくれて!!」
「いえ!!」
話が続かない。そして天照の視線がいたい。そんなにおかしな格好をしているだろうか、正雪は、不安になる。
「その服……決めたの友美かしら??」
「えぇ……」
「さすがね……」
着ていて軽く着心地がいいのでいいものかと思っていたがそのようだ。
本当に主は、不思議な人だ。
「なんや妬いちゃうわ……」
「天照様……??」
「正雪って友美の事考えてるときとても優しい顔をするから!! 国広の時もよ!! 私にもして欲しいわ!!」
「といわれても……」
「もう私の眷属になる??」
天照がとんでもないことを言い出し、正雪が困惑しはじめたとき、友美が来た。
「天照ーなにいってるのかしら??」
「友美!?」
あわあわとする天照にたいし、友美は、呆れた顔をすると、正雪のところへ。
「正雪は、私の眷属よ??」
ふと主とは、別の声が聞こえ気がした。
天照は、しょぼんとするという、
「諦めるわ……」
「そうしてね。二代目」
やはりそうだ友美じゃない。正雪は、警戒した。
「貴殿は……」
「貴女ふわふわかと思ったけど、鋭いところもあるのね!!」
彼女は、そう言うと正雪を撫でる。どうやら敵意は、ないらしい。
この人物は、何者なのかと思いつつ正雪は、今は、天照とのことを優先した。
「正雪またお茶してくれる??」
「私でよければ何時でも」
「ありがとう!!」
楽しくその後もお茶をし、正雪と天照は、楽しい時間をすごし、お茶会は、終わった。
お茶会ご国広は、仕事に戻り、正宗も短刀達と話をしに行った。
部屋に戻ってきた正雪は、友美に聞く。意を決死。
「貴殿は、何者だ」
彼女は、微笑むと、いう。
「正雪ずっと私が友美じゃないと把握してたのね」
あえて友美に戻ったときもあったのにこの子は、全てを把握している。なかなか出来ないことだ。
彼女は、目を細める。
「貴女を創った森そういけんを少しは、認めないといけないのかしら」
しかしその瞳は、決して笑ってなかった。冷たくそして冷酷瞳に身がすくんだ。
「……貴殿は……」
「創られた貴女に罪は、ない。ただ私は、ホムンクルスという存在が嫌なの」
正雪は、この時心が痛かった。友美では、ないと分かっていても彼女の顔で言われ、悲しくなったのだ。
「なら私という存在は、貴殿にとっては許せないという物なのか!!」
間違いなく自分は、生きてきた。天然自然に生まれた命では、なかったが。
正雪は、いう。
「姫の顔でそれを言うな!! 姫は、私を否定などしなかった!!」
彼女は、そんな正雪を見て、次は、優しい眼差しに。
「ごめんなさい。私は、貴女の事は、好きよ。たぶんホムンクルスを創る、錬金術師が嫌いなのね。もっと言うなら己れの欲や野望のため、神秘を創るということに奢っている者とかね」
正雪は、知らないだろう。彼女の創った人物の真意を。彼女に伝える必要は、要らないが。
「貴殿は、本当に何者なのだ……」
友美と出会ってから神というものに実際に対面し交流してきた。しかし目の前の者は、明らかにそれらの者とは、違う感じがする。
「まさか……生命の創成に関わる……者??」
なかなか鋭い。やはり無垢だが、それだけでは、目の前の娘は、違う。
彼女は、告げた。
「天之御中主神と皆は、私を呼ぶわ」
正雪は、目を見開いた。驚きのあまり。星の属性と言われる力。そして友美の言葉の答えが全て今目の前にある、
「創造……神……」
「そう。根源にして、宇宙を司るもの。全ての祖とも皆は、いうわ」
「姫は、貴殿の創ったもの??」
「違う。友美は、私で私は、友美よ」
彼女は、そう告げると正雪の前から姿を消した。そして主の器に本来の持ち主が戻ってきた。
「夢珠!! いきなり、でてきてなんなのよ!! まったく!!」
何時のも主に正雪は、ホッとすると思わず抱きついていた主に。
「姫よかった……貴殿が戻らぬかと……思った……」
「大丈夫。私は、彼女でもあるから」
心地よい沈丁花の香りに正雪は、安心した。
「姫その先程の言葉まことか??」
「えぇ。私は、光明ノ神子だけど、同時に天之御中主神でもあるの。まぁ色々あってね」
そこに関しては、友美は、聞かないでと付け足した。
「ならその……私は眷属とやらになっているのか??」
「まぁそういうことにもなるわ。それに夢珠がそう言ってたから間違いなくねぇ……」
「なら国広殿達も……」
「国広達は、ややこしいのよねぇーそうともいえるし、違うともいえる。まぁ蛍は、そうね!! 眷属って感じかも!!」
色々ややこしということだけは、分かった。
正雪は、とんでもない者と出会ってしまったと思ったがふと懐かしい記憶が。
「まるで……セイバーにあった時のようだな……」
「セイバー……剣士ってことか……」
友美は、微笑む。
「天照は、ヤマトナケルの血縁だしね!! その縁もあるかも??」
「姫知っているのか!?」
「まぁーね。ライダーの事も知ってるわよ??」
ライダーときき正雪は、視線をそらした。
「結局彼女は、狂ってるからどのクラスでも同じ末路だとおもうわよ。まぁ正雪の理想に感銘したのは、事実だろうけど。まぁ大人の姿でげんかいしていたら、少しばかりましだったかもねー」
友美は、ニヤリと笑った。
「まぁ私のライダーは、とても可憐だけど」
友美の発言に正雪は、驚く。
「姫まさか……聖杯……戦争に……」
「まぁ色々あってね!! 機会があれば会えると思うわ。世界を旅してるあの子に」
本当に主は、不思議な存在だなと正雪は、思いながら微笑む。
「もし会えたらその時は、私もキャスターと名乗るべきだろうか……」
「うーん正雪は、英霊じゃないしねー普通でいいわよ!! 普通で!!」
どことなく正雪は、むくれてるが、友美は、そこは、無視した。
「姫見事に正雪が拗ねてるが??」
国広が入ってきたので友美は、彼にいった。
「少し色々あってね!! 国広!!」
「姫にとっては、私は、なんなのだ!!」
「可愛い私の眷属よ!!」
友美は、オチャメに笑うと、部屋をでていったが、正雪は、その後をおった。
「それでは、名乗れないでは、ないか……」
「なら代理でいいと思うけど??」
「むむ……」
友美は、楽しげに笑うと、さらに提案したが、正雪は、気にくわなさそうな顔になる。その様子を見ていた国広は、思った、本当に仲のいい主と式神だと。
天照は、机に伏せる。
「つーかーれーたー」
オモヒカネは、確認をすると言った。
「確かに。さてこの厳戒態勢も今日までにしましょう」
「本当!?」
「えぇ。ですがまたくだらない理由で仕事放棄したら同じことになりますからね??」
オモヒカネが怖い。天照は、頷くと、オモヒカネは、書類をも出でていった。
「少しの間お休みだー」
ようやくゴロゴロ出来ると思いながら、天照は、体を起こすと、国広が入ってきた。
「国広!!」
「お疲れさま」
机に置かれた薬湯をみて、天照は、顔をひきつる。
「これ飲みたくないわ!!」
「連日徹夜しといてなに言ってる」
これは、勇音特性の薬湯だと天照は、知っているので余計に飲みたくない。
たぶんまた改良が加えられ、効き目は、抜群味は、不味くなっているだろう。
国広の無言の圧に負け、天照は、凄い勢いで飲み干した。
「もう要らない!!」
「ならくだらない反乱は、やめてくれ。まっとうな理由で反乱は、いいがな」
白湯を凄い勢いで飲む天照に国広は、文を見せた。
「これは??」
「由井正雪から預かった」
天照は、明るい顔になると文を見た。
「お茶会を??」
「そうだ」
天照は、新しい紙を取り出すと、さらさらと書いた。
「これで国広よろしく!!」
「この日程でいいんだな??」
「当たり前だのクラッカー!!」
「死語だな……それ……」
国広は、文をしまうと、言う。
「ならこれで伝えるから頼んだぞ主」
「もちのろん!!」
「主の語彙のセンスが劣化してるが、まぁいいだろう」
寝ればましになるだろう。国広は、そう思い執務室をでると、部屋に戻り、翌日やってきた正雪に天照からの文を渡した。
「ありがとう国広殿」
正雪は、文を見ると、驚く。
「今日!?」
「だそうだ。とりあえず天照大神は、いいと言っていたから、あんたは、準備していたとおりにやればいい」
「うむ」
しかしはたしてうまくいくだろうか。だがここでやらねば友美からの助力が無駄になる。
正雪は、頷くと、隣にいる正宗も頷いた。
「大丈夫!! 正雪さんならやれるよ!!」
「ありがとう日向殿」
しかし本当に出来るのだろうか。神妙な顔をしている正雪に二振は、どうしたのかと思う。
「……れるのだろうか」
「なにが……??」
「着れるのだろうか!!」
正宗と国広は、さらになにがと疑問が浮かぶ。
「その……天照様の思考に合わせるため……和服では、なく……漢服の……じゅくんとやらを……姫に借りたのだが……」
「じゅくんといえば、姫が着てるあれか……」
「だね」
「その着方がいまいち分からぬ……」
正雪は、ほほを赤く染め項垂れるが、それは、非常に問題では、ないだろうか。
「国広分かるかい??」
「男の俺に分かると思うか??」
「確かに……」
国広は、ここは、素直に頼むことにした。
「呼んだ??」
天井からひょっこり表れた主に正雪は、驚くが、国広と正宗は、慣れたもの。
「姫正雪の着付けを頼めるか??」
「ガッテン承知!! 任せなさい!!」
友美に頼らずやりたかったのにと正雪は、さらにしょぼんとなっていた。
「正雪素直に頼っていいのよ??」
「姫……」
「それに天照の事だし私もお手伝いしたいもの」
正雪は、頷くと、いう。
「ではお力添えを」
「任せなさいな!!」
「姫俺達もしたくをする」
「分かったわ」
友美は、そう言うと、正雪をつれ、部屋に。
「正雪化粧は、清光に頼む??」
「……やめておく」
即答だった。どうやら以前の光と清光のメイク事件から化粧の事に関しては、苦手意識があるようだ。
「清光が苦手??」
「そうでは、ない……ないのだ……うむ……」
「もしかした、メイクに燃えてる清光が苦手??」
友美は、確認のために聞くと、正雪は、頷いた。
「凄い勢いだったものね」
「その姫自分でやってみても……」
「もちろん。私も教えられるかもだし!!」
早速主の手を借り、着替えをすると、正雪は、ぞっと心が重くなった。
「姫……私は、大丈夫だろうか……」
「大丈夫よ。それに天照だし!!」
友美の軽さに正雪は、驚きつつ深呼吸した。
「姫でも粗相があれば……」
「大丈夫!! 正雪何時も天照より高位の神と話してるし!!」
友美は、このとき口を滑らせたと思った。
「どういうことだろうか!?」
「気にしないで~あはは」
「気になるのだが!?」
本当に気にしないで欲しい。友美は、そう言うと正雪の髪型をアレンジする。
主に髪をして貰い、正雪は、鏡に映る己れを見ながら、微笑む。
「まるで別人だな」
「そう?? 可愛いとおもうわ」
友美のヘアアレンジは、光の受け売りだが、なからかいい感じに可愛らしくなった。
「姫この簪は……」
「この華?? 可愛いかなぁ~と!!」
「そうか」
白い正雪には、淡い色がよく似合う。桃色の華の簪を見ながら、友美は、思うという。「さて!! 正雪頑張れ!!」
「あぁ」
化粧道具も光から今回正雪は、借りた。一応手解きもうけたので形には、なるだろう。
下地を着け、ルスールパウダーを肌に着け、化粧をしていく。
隣で主に見守られながら、とりあえず出来上がった。
「凄く可愛い……元がいいから……シンプルなメイクでもいけるのね……」
「姫こそ……」
「そりゃどうも!!」
友美は、これこそ、深窓の姫だと思いつつ見とれていた。
主の視線に気恥ずかしくなり正雪は、うつむいた。
「姫いいか??」
襖の向こうから声が聞こえ友美がどうぞというと、国広が入ってきた。
「姫」
「あら国広格好いい執事になってる」
燕尾服を着ている国広は、呆れた顔をしいう。
「正宗のこだわりだ」
「まさかの」
「で正雪は……」
国広は、ちっちゃくなってる正雪をみて、息をのむ。
「……似合ってる」
「ありがとう……」
こりゃ見ていて面白い。友美は、ニヤリと笑うが、よからぬことを考えるのは、やめた。
「とりあえずごゆっくり~」
部屋を出ようとしたとき、正雪に掴まれた漢服の裾を。
「姫!! 頼むから!! そばに!!」
気恥ずかしすぎて、色々大変なことになる。なんとか残る理性ででたこたえがこれだった。
友美は、しかたがないと腰を下ろした。
「天照様との約束の時間かな!!」
燕尾服姿の正宗があらわれ、国広と正雪は、頷く。
「姫いってくる……」
「頑張ってね!! 正雪!! 国広あとは、頼んだ!!」
主からの声援をうけ、正雪達は、天照との約束の場所に向かった。
美しく広がる庭園は、見ていて心が落ち着く。しかし天照は、つまらなさそうにその庭を見ていた。
「まだかしら……」
そりゃ約束より早く来たのだからまだ相手は、来ないだろう。
天照は、しばらく庭を見ていると正雪達がやって来たが、天照は、彼らの姿を見て驚く。
「あらま!!」
「お待たせして申し訳ない……」
「いいのよ!! 凄く素敵!!」
「ありがとうございます」
天照は、正雪の姿を見て、微笑む。
「よかったな正雪」
「あぁ国広殿」
「国広と正宗は、執事かしら??」
「何故か俺達までな」
「姫に使える執事ってね!! 給仕は、僕たちに任せてよ!!」
「まぁやれるだけやる」
正雪が席に着くと、国広と正宗は、光忠が作った茶菓子をだし並べると、お茶をいれ、部屋を離れた。
天照と来んな、間近で対面することなどあるだろうか。
正雪は、深呼吸する。
「天照様その……お疲れかと思いますが、お時間をくださり御礼申し上げる」
「そういう固いのいらないわ!! フランクで!!」
「といっても……」
「まぁ正雪が慣れてきたらでいいわ。私こそ、ありがとう今日は、誘ってくれて!!」
「いえ!!」
話が続かない。そして天照の視線がいたい。そんなにおかしな格好をしているだろうか、正雪は、不安になる。
「その服……決めたの友美かしら??」
「えぇ……」
「さすがね……」
着ていて軽く着心地がいいのでいいものかと思っていたがそのようだ。
本当に主は、不思議な人だ。
「なんや妬いちゃうわ……」
「天照様……??」
「正雪って友美の事考えてるときとても優しい顔をするから!! 国広の時もよ!! 私にもして欲しいわ!!」
「といわれても……」
「もう私の眷属になる??」
天照がとんでもないことを言い出し、正雪が困惑しはじめたとき、友美が来た。
「天照ーなにいってるのかしら??」
「友美!?」
あわあわとする天照にたいし、友美は、呆れた顔をすると、正雪のところへ。
「正雪は、私の眷属よ??」
ふと主とは、別の声が聞こえ気がした。
天照は、しょぼんとするという、
「諦めるわ……」
「そうしてね。二代目」
やはりそうだ友美じゃない。正雪は、警戒した。
「貴殿は……」
「貴女ふわふわかと思ったけど、鋭いところもあるのね!!」
彼女は、そう言うと正雪を撫でる。どうやら敵意は、ないらしい。
この人物は、何者なのかと思いつつ正雪は、今は、天照とのことを優先した。
「正雪またお茶してくれる??」
「私でよければ何時でも」
「ありがとう!!」
楽しくその後もお茶をし、正雪と天照は、楽しい時間をすごし、お茶会は、終わった。
お茶会ご国広は、仕事に戻り、正宗も短刀達と話をしに行った。
部屋に戻ってきた正雪は、友美に聞く。意を決死。
「貴殿は、何者だ」
彼女は、微笑むと、いう。
「正雪ずっと私が友美じゃないと把握してたのね」
あえて友美に戻ったときもあったのにこの子は、全てを把握している。なかなか出来ないことだ。
彼女は、目を細める。
「貴女を創った森そういけんを少しは、認めないといけないのかしら」
しかしその瞳は、決して笑ってなかった。冷たくそして冷酷瞳に身がすくんだ。
「……貴殿は……」
「創られた貴女に罪は、ない。ただ私は、ホムンクルスという存在が嫌なの」
正雪は、この時心が痛かった。友美では、ないと分かっていても彼女の顔で言われ、悲しくなったのだ。
「なら私という存在は、貴殿にとっては許せないという物なのか!!」
間違いなく自分は、生きてきた。天然自然に生まれた命では、なかったが。
正雪は、いう。
「姫の顔でそれを言うな!! 姫は、私を否定などしなかった!!」
彼女は、そんな正雪を見て、次は、優しい眼差しに。
「ごめんなさい。私は、貴女の事は、好きよ。たぶんホムンクルスを創る、錬金術師が嫌いなのね。もっと言うなら己れの欲や野望のため、神秘を創るということに奢っている者とかね」
正雪は、知らないだろう。彼女の創った人物の真意を。彼女に伝える必要は、要らないが。
「貴殿は、本当に何者なのだ……」
友美と出会ってから神というものに実際に対面し交流してきた。しかし目の前の者は、明らかにそれらの者とは、違う感じがする。
「まさか……生命の創成に関わる……者??」
なかなか鋭い。やはり無垢だが、それだけでは、目の前の娘は、違う。
彼女は、告げた。
「天之御中主神と皆は、私を呼ぶわ」
正雪は、目を見開いた。驚きのあまり。星の属性と言われる力。そして友美の言葉の答えが全て今目の前にある、
「創造……神……」
「そう。根源にして、宇宙を司るもの。全ての祖とも皆は、いうわ」
「姫は、貴殿の創ったもの??」
「違う。友美は、私で私は、友美よ」
彼女は、そう告げると正雪の前から姿を消した。そして主の器に本来の持ち主が戻ってきた。
「夢珠!! いきなり、でてきてなんなのよ!! まったく!!」
何時のも主に正雪は、ホッとすると思わず抱きついていた主に。
「姫よかった……貴殿が戻らぬかと……思った……」
「大丈夫。私は、彼女でもあるから」
心地よい沈丁花の香りに正雪は、安心した。
「姫その先程の言葉まことか??」
「えぇ。私は、光明ノ神子だけど、同時に天之御中主神でもあるの。まぁ色々あってね」
そこに関しては、友美は、聞かないでと付け足した。
「ならその……私は眷属とやらになっているのか??」
「まぁそういうことにもなるわ。それに夢珠がそう言ってたから間違いなくねぇ……」
「なら国広殿達も……」
「国広達は、ややこしいのよねぇーそうともいえるし、違うともいえる。まぁ蛍は、そうね!! 眷属って感じかも!!」
色々ややこしということだけは、分かった。
正雪は、とんでもない者と出会ってしまったと思ったがふと懐かしい記憶が。
「まるで……セイバーにあった時のようだな……」
「セイバー……剣士ってことか……」
友美は、微笑む。
「天照は、ヤマトナケルの血縁だしね!! その縁もあるかも??」
「姫知っているのか!?」
「まぁーね。ライダーの事も知ってるわよ??」
ライダーときき正雪は、視線をそらした。
「結局彼女は、狂ってるからどのクラスでも同じ末路だとおもうわよ。まぁ正雪の理想に感銘したのは、事実だろうけど。まぁ大人の姿でげんかいしていたら、少しばかりましだったかもねー」
友美は、ニヤリと笑った。
「まぁ私のライダーは、とても可憐だけど」
友美の発言に正雪は、驚く。
「姫まさか……聖杯……戦争に……」
「まぁ色々あってね!! 機会があれば会えると思うわ。世界を旅してるあの子に」
本当に主は、不思議な存在だなと正雪は、思いながら微笑む。
「もし会えたらその時は、私もキャスターと名乗るべきだろうか……」
「うーん正雪は、英霊じゃないしねー普通でいいわよ!! 普通で!!」
どことなく正雪は、むくれてるが、友美は、そこは、無視した。
「姫見事に正雪が拗ねてるが??」
国広が入ってきたので友美は、彼にいった。
「少し色々あってね!! 国広!!」
「姫にとっては、私は、なんなのだ!!」
「可愛い私の眷属よ!!」
友美は、オチャメに笑うと、部屋をでていったが、正雪は、その後をおった。
「それでは、名乗れないでは、ないか……」
「なら代理でいいと思うけど??」
「むむ……」
友美は、楽しげに笑うと、さらに提案したが、正雪は、気にくわなさそうな顔になる。その様子を見ていた国広は、思った、本当に仲のいい主と式神だと。