後日談
男性は、よく食べる。その事は、理解しつつも何時も彼女には、困っていることがあった。
「はい!! 正雪さん!!」
「かたじけない光忠殿」
目の前に出された膳は、何時ものように大盛だ。
残さず感謝して食べるというのが理想だ。
食堂を見渡すと、皆が美味しそうに昼食を食べている。
残さず食べなければなと思いつつも箸を持てずにいると、目の前に誰か座った。
「多い分は、いれろ」
聞きなれた声に顔を上げると国広だった。
「国広殿……」
「いいから」
コクりと頷き、多き分を彼の皿に正雪は、移させてもらった。
「姫は、知ってるのか??」
「あぁ」
国広からすればそれで腹を満たせられるのかと思える量の昼食だ。
正雪は、少し気まずそうにしながら、昼食を食べる。
「……ホムンクルスとは、皆少食なのか??」
「それは、分からない。個体差は、あるだろう」
「そうか」
昼食を食べ終え国広は、執務室に戻るなか、書庫にたちよった。
ここなら情報があるかもしれない。心当たりある場所を調べ、目的の書籍を見つけ、読んでみる。
「ないか……」
しかし国広の求める情報は、なかった、
「怪我をしても……手当てをする素振りもない……なんなら、手当てをされていても……違和感を感じる……」
生前の彼女に由来するものだろうか。国広は、書物を片付けると、執務室にいき、仕事を全て終わらせると、営業終了の立て札を机の上におき、部屋をでた。
「……調べるか」
珍しくあの布を頭まで被ると、彼は、単騎で何処かに出かけていった。
剪定された世界は、おかしくなると聞いたことがある。ここもまた四季がおかしくなりはじめているようだ。
国広は、江戸の神田に来ていた。ある私塾の前で張り込むなか、浪人達が出てくるのみ。目的の人物は、しばらくまっているとでてきた。
総髪の武士。間違いない彼女だろう。
「……今より細い」
浪人達に囲まれ、話をしている男装をした少女。由井正雪の人望は、あついようだ。
その後も国広は、正雪を張り込み、分かったことがある。
彼女は、屋敷に帰ったも、食事をあまりしないということだ。したとしても少食だ。あれで平気なのかと思ったが、数日張り込み、彼女の異質性を知ることになった。
「食事をせずとも動けるのか……」
そのうえ傷を負ったところですぐに治っていた。
国広は、魔術師とは、おかしな生き物なのだなと思いながら、そこから数日由井正雪を張り込み、そして帰路についた。
「国広殿!!」
屋敷に帰ると自分を呼ぶ声が聞こえた。執務室にいくと、書類の山をもち、ワタワタしている正雪が。
「どうした」
「これは、どこにしまえば……」
「その机に置いてくれ」
正雪は、指示された机の上に書類を置くとほっと息を吐く。
「また主が暴れたのか??」
彼のいう主とは、友美のことでは、ない。正雪は、頷くと、いう。
「会議なんてくそくらえー!!! とか……なんとか……」
「何時ものだな」
「でこれは、その時にこちらに返却する書類と預かってきた」
「そうか」
慣れた手付きで、国広は、書類を片付けだし、正雪もそれを手伝う。
普段は、目にしないお世辞にも綺麗といえない布をかぶっていた。
「国広殿その羽織は……」
「あーこれか。目立たないように着ているだけだ」
「目立たないように……」
「あぁ」
書類の山を片付けたあと、国広は、布を脱いだ。
「この布は、少し特別でな」
「そうなのか」
「あぁ」
見かけによらず特殊なのかと正雪は、思いながら見ていた。
「正雪」
名を呼ばれ、国広の方を見ると彼は、じっとこちらを見ていた。
「……あんた今三食食べなければどうなる」
突然聞かれ、正雪は、困った。
「たぶんなのだが……じきに動けなくなるとは、思う……」
「ならあれだけの量で足りるのか??」
「足りるかと聞かれれば、なんとも……ただあれだけしか入らないとしか……」
「なるほど。なら怪我に関しては、治りは、早いか??」
正雪は、質問の意図が分からず困惑しながらも言った。
「……人としては、普通かと……」
「そうか」
国広は、それだけ聞くと何やら考え出す。正雪は、そんな国広をみながら、とりあえずお茶をいれることにした。
「よろず屋に行くか」
「よろず屋とは??」
お茶をいれおえ、湯呑みを国広に差し出す。
「ありがとう」
「いや」
お茶をのみ国広は、話を続けた。
「よろず屋とは、審神者や刀剣男士がいく店だ。様々なものが置いてるからよろず屋と呼ばれている」
「雑貨屋ということか」
「そういうことだな」
「で何故雑貨屋に??」
「備品調達だ」
「備品や資源は、一定数あるといいから」
「そうだ」
国広は、茶をのみ終えると、湯呑みをもち、備え付けられた簡単な台所で湯呑みを洗った。
「正雪」
「なんだろうか」
湯呑みを洗い終え国広は、乾いたキッチンペーパーでふくと言った。
「面をつけ玄関でまってろ」
「む!?」
「あんたも行くんだ」
「私も!?」
「あぁ」
国広は、そう言うと執務室を出ていってしまった。
正雪は、急いで急須などを片付け、部屋に。木綿の面を引戸からあけると急いでつけ、玄関に。
「正雪どうした??」
「骨喰殿」
玄関で国広を待っていると骨喰がやって来た。
「国広殿を待っている」
「国広を……もしかしてよろず屋か??」
「あぁ」
やはりそうだったか。骨喰は、何かを考えたのち、靴を履いた。
「骨喰殿??」
「俺も行こう。電球を買わないと」
「電球」
「あぁ」
彼にも必要なものがあるのだなとおもいつつ国広を待っているとやって来た。
「骨喰も来るのか」
「あぁ」
靴をはき、国広は、そういうと、正雪をじっとみた。
「とりあえず大丈夫そうだな」
「あぁ……」
「あと俺達は、よろず屋では、あんたを主と呼ぶから頼むぞ」
「了解した」
よろず屋に行くとなると自分は主として振る舞わないといけないのかと、正雪は、気持ちを引き締めた。
彼らは、屋敷をでると庭にある鳥居を潜った。そして光に包まれ、姿を消した。
光がはれ、視界に多くの刀剣男士と審神者達が目にはいった。やはり多くの審神者は、何かしら面をつけている。
「久しぶりだな」
「国広が屋敷を離れることじたい珍しいからな」
そうなのかと骨喰と国広の会話を聞きながら、正雪は、彼らの後ろを歩く。
「ついたぞ」
よろず屋は、おもったよりも大きく正雪は、驚く。
「凄い……」
「一先ず光忠に頼まれたものとその他諸々買っていく」
「分かった」
骨喰と国広は、分かれて、売場をめぐることにし、正雪は、国広についていくことに。
様々なものに目移りしてしまうほど、ここには、多くの物があった。
「ラップとアルミホイルと……これでいいな」
国広は、ふと正雪を見ると、彼女は、物珍しそうに色々みている。
確かにここに自分もはじめてきたときは、そうだったなと思い出していた。あの時友美にだいぶつきあってもらった。
国広は、カートを押し、正雪の所に。
「何をみてるんだ」
「この箸置きが可愛いなと」
彼女のみていたものは、ウサギの箸置きだった。
「そういえばウサギが好きだったな……」
「何故それを……」
「姫が言っていたぞ。ウサギと宮本伊織と、キルケーのピグレットが好きだと」
正雪は、顔を真っ赤にすると顔を隠した。
「そっ……それは!!」
「顔隠れてるのにまだ隠すのか」
「うっ……」
「そういえば宮本伊織の話は、主の初恋だから慎重にとかもいってたな」
「姫話しすぎだー!!!!」
「……なるほど」
友美があいつは、駄目だといっていたことは、国広の胸にしまうことにした。
やはり年相応のところもあるらしい。
恥ずかしさのあまりアワアワする正雪を国広は、見慣れたような素振りで黙ってみていた。
「姫よりましだな」
主なら恥ずかしくて、手が出てくるが、彼女は、一人取り乱しているだけ。
国広は、やはり友美になれてるとある程度のことは、どうってことないと改めて思った。
「すまない……国広殿……」
「気にするな。後は、あんたの食器だな」
「私の??」
食器なら今使っているのがあるのに、正雪は、思ったが、国広は、食器の置いてあるコーナーに歩き出した。
「今回のメインは、これだからな」
「え??」
「光忠とも話したんだが、あんた専用の食器がいると思って」
「私専用……」
「野郎と女性では、食べる量が違うからな。視覚から分かりやすくするためにな」
「なるほど……」
「好きなものを選ぶといい。予算は、ある」
いざ選べと言われても悩む。正雪は、じっくりとまずは、食器を見始めた。
「国広」
「骨喰終わったか??」
「これで全てだ」
もう一つのカートには、多くの物がのっている。国広は、骨喰が押してきたカートのなかを確認した。
「オッケーだな」
「よかった」
国広と骨喰の会話を聞きながら正雪は、じっと食器を見ていた。
江戸の世とは、ちがう可愛い雑貨が揃うなか、先ず手にしたのは、茶碗だった。
「これにしよう……」
そして茶碗の柄に揃えるように箸と箸置きも選ぶと正雪は、国広の所に。
「国広殿これに」
正雪が選んだのは、愛らしいうさぎと桜の柄の茶碗、それにあうような箸と先程のうさぎの箸置きだった。
「湯呑みもいるだろ??」
「湯呑みか……」
確かにいるかもしれない。正雪は、湯呑みも選び出し、手に取ったのは、可愛らしいうさぎの湯呑みだった。
「うさぎだな」
「変だろうか……」
骨喰の発言に不安そうな顔をし正雪は、言うので、国広は、それをフォローした。
「あんたらしいと思う」
「そうか」
面をつけているので表情は、分かりにくいが、正雪は、嬉しそうに笑っていた。
「……これは、無自覚にフラグをたてるやつだな」
「国広なにを今さら」
「確かに」
だからこそ、正雪を他の刀剣男士に任せるのは、危ないと今回国広が来たのだが。
「国広殿?? 骨喰殿??」
「なにもない。後は、衛生用品だな」
「ふむ」
食器は割れては、いけないので正雪が別のかごに入れ、もち、衛生用品のコーナーに来た。
「これだな」
国広が手に取ったのは、うさぎ柄の可愛らしい絆創膏だった。
「国広ガーゼなんかは、これでいいか??」
「あぁ」
消毒や綿棒、包帯なんかもかごに入れていくが何故か可愛らしいうさぎの柄の物があると国広は、かごに入れていく。
「国広殿そのうさぎ柄のは……」
「あんたようだ。主」
「むぅ!?」
「今のあんたは、ホムンクルスじゃない。傷をほっておいてもなかなか治らないだろ」
正雪は、目を伏せると頷く。
「なのに主は、怪我手当てを嫌がる素振りがあるからな。なら少しでも楽しくなるように、うさぎ柄というわけだ」
そこまで子供では、ないと正雪は、思ったが、国広にいわれていることは、事実なのでなにもいえなかった。
「これでいいな」
「国広レジへ行くか??」
「あぁ」
そしてレジへいくと、会計をみた正雪は、顔を青ざめる金額だったが、国広は、何食わぬ顔で代金を支払い、サッカー台で荷物をつめる。
「私もなにか……」
「主は、食器を持ってくれ」
「分かった」
軽々と国広と骨喰は、買ったものを持つと、正雪は、自分の食器だけ持たされ、ちょこちょこと彼らのあとに。
「国広たい焼き」
「いいぞ」
骨喰がたい焼きを買いにいき、正雪は、彼は、たい焼きが好きなのかと考えていた。
「主」
「かたじけない」
渡されたたい焼きを正雪は、受け取ると、国広をみた。
彼もたい焼き受け取り、食べる。
「カスタードか」
「主には、こちらがいいかと」
「あんこでいいと思うが」
国広の言葉に正雪は、頷くが、骨喰は、それを見ても特に変化無し。
「もしや骨喰殿が食べたかった??」
「それは、ある」
たい焼きを食べた骨喰は、そういうと、国広は、呆れた顔をしていた。
「主カスタードいけるか??」
正雪は、たい焼きを食べながら頷く。
「これは……うまい……」
気に入ったようだ。骨喰は、どうだという顔をしているが、国広は、たまたまだろうと思った。
たい焼きを食べ終え、彼らは、帰路に着いた。
屋敷に着くと、正雪は、買ったものの片付けを手伝っていた。
大所帯になると必要数も増える。凄い量だなと思い、全て片付け終える頃には、夕方になっていた。
「正雪さん夕食いるかな??」
倉庫で作業をしていると光忠がやって来た。正雪は、頷く。
「いただこう」
「オッケー!!」
光忠の作る食事は、とても美味しい。さて今晩は、なんだろうか。
作業を全て終え、手を洗い、食堂にいくと、今日の献立は、焼き魚だった。
「鰆か……」
皆が食卓に着き、楽しく食事をはじめるなか、正雪は、善を受け取ると、驚いた顔に。
「光忠殿これは……」
「正雪さんようだよ!! 量が多かったらまたいってね!!」
善には、今日は、買った食器がならび、料理の量も最適なものになっていた。
「ありがとう光忠殿!!」
正雪は、微笑むと、善をもち、食卓に座った。
「国広君ナイス」
彼から相談を受けたとき、光忠もその案は、いいと思ったが、どうやら最適案だったようだ。
ほっとした顔を光忠がするなか、正雪は、美味しそうに夕食を食べる。
「うまい」
「それは、よかった」
目の前に国広が座っていた。正雪は、少し驚くが、国広は、そ知らぬ顔で夕食を食べはじめた。
「うまいな……」
「であろう??」
「あぁ」
やはり食事とは、楽しいものなのだと正雪は、思いながら、箸を進めた。
国広は、そんな彼女をみて、目を細めると共に食事をするのであった。
「はい!! 正雪さん!!」
「かたじけない光忠殿」
目の前に出された膳は、何時ものように大盛だ。
残さず感謝して食べるというのが理想だ。
食堂を見渡すと、皆が美味しそうに昼食を食べている。
残さず食べなければなと思いつつも箸を持てずにいると、目の前に誰か座った。
「多い分は、いれろ」
聞きなれた声に顔を上げると国広だった。
「国広殿……」
「いいから」
コクりと頷き、多き分を彼の皿に正雪は、移させてもらった。
「姫は、知ってるのか??」
「あぁ」
国広からすればそれで腹を満たせられるのかと思える量の昼食だ。
正雪は、少し気まずそうにしながら、昼食を食べる。
「……ホムンクルスとは、皆少食なのか??」
「それは、分からない。個体差は、あるだろう」
「そうか」
昼食を食べ終え国広は、執務室に戻るなか、書庫にたちよった。
ここなら情報があるかもしれない。心当たりある場所を調べ、目的の書籍を見つけ、読んでみる。
「ないか……」
しかし国広の求める情報は、なかった、
「怪我をしても……手当てをする素振りもない……なんなら、手当てをされていても……違和感を感じる……」
生前の彼女に由来するものだろうか。国広は、書物を片付けると、執務室にいき、仕事を全て終わらせると、営業終了の立て札を机の上におき、部屋をでた。
「……調べるか」
珍しくあの布を頭まで被ると、彼は、単騎で何処かに出かけていった。
剪定された世界は、おかしくなると聞いたことがある。ここもまた四季がおかしくなりはじめているようだ。
国広は、江戸の神田に来ていた。ある私塾の前で張り込むなか、浪人達が出てくるのみ。目的の人物は、しばらくまっているとでてきた。
総髪の武士。間違いない彼女だろう。
「……今より細い」
浪人達に囲まれ、話をしている男装をした少女。由井正雪の人望は、あついようだ。
その後も国広は、正雪を張り込み、分かったことがある。
彼女は、屋敷に帰ったも、食事をあまりしないということだ。したとしても少食だ。あれで平気なのかと思ったが、数日張り込み、彼女の異質性を知ることになった。
「食事をせずとも動けるのか……」
そのうえ傷を負ったところですぐに治っていた。
国広は、魔術師とは、おかしな生き物なのだなと思いながら、そこから数日由井正雪を張り込み、そして帰路についた。
「国広殿!!」
屋敷に帰ると自分を呼ぶ声が聞こえた。執務室にいくと、書類の山をもち、ワタワタしている正雪が。
「どうした」
「これは、どこにしまえば……」
「その机に置いてくれ」
正雪は、指示された机の上に書類を置くとほっと息を吐く。
「また主が暴れたのか??」
彼のいう主とは、友美のことでは、ない。正雪は、頷くと、いう。
「会議なんてくそくらえー!!! とか……なんとか……」
「何時ものだな」
「でこれは、その時にこちらに返却する書類と預かってきた」
「そうか」
慣れた手付きで、国広は、書類を片付けだし、正雪もそれを手伝う。
普段は、目にしないお世辞にも綺麗といえない布をかぶっていた。
「国広殿その羽織は……」
「あーこれか。目立たないように着ているだけだ」
「目立たないように……」
「あぁ」
書類の山を片付けたあと、国広は、布を脱いだ。
「この布は、少し特別でな」
「そうなのか」
「あぁ」
見かけによらず特殊なのかと正雪は、思いながら見ていた。
「正雪」
名を呼ばれ、国広の方を見ると彼は、じっとこちらを見ていた。
「……あんた今三食食べなければどうなる」
突然聞かれ、正雪は、困った。
「たぶんなのだが……じきに動けなくなるとは、思う……」
「ならあれだけの量で足りるのか??」
「足りるかと聞かれれば、なんとも……ただあれだけしか入らないとしか……」
「なるほど。なら怪我に関しては、治りは、早いか??」
正雪は、質問の意図が分からず困惑しながらも言った。
「……人としては、普通かと……」
「そうか」
国広は、それだけ聞くと何やら考え出す。正雪は、そんな国広をみながら、とりあえずお茶をいれることにした。
「よろず屋に行くか」
「よろず屋とは??」
お茶をいれおえ、湯呑みを国広に差し出す。
「ありがとう」
「いや」
お茶をのみ国広は、話を続けた。
「よろず屋とは、審神者や刀剣男士がいく店だ。様々なものが置いてるからよろず屋と呼ばれている」
「雑貨屋ということか」
「そういうことだな」
「で何故雑貨屋に??」
「備品調達だ」
「備品や資源は、一定数あるといいから」
「そうだ」
国広は、茶をのみ終えると、湯呑みをもち、備え付けられた簡単な台所で湯呑みを洗った。
「正雪」
「なんだろうか」
湯呑みを洗い終え国広は、乾いたキッチンペーパーでふくと言った。
「面をつけ玄関でまってろ」
「む!?」
「あんたも行くんだ」
「私も!?」
「あぁ」
国広は、そう言うと執務室を出ていってしまった。
正雪は、急いで急須などを片付け、部屋に。木綿の面を引戸からあけると急いでつけ、玄関に。
「正雪どうした??」
「骨喰殿」
玄関で国広を待っていると骨喰がやって来た。
「国広殿を待っている」
「国広を……もしかしてよろず屋か??」
「あぁ」
やはりそうだったか。骨喰は、何かを考えたのち、靴を履いた。
「骨喰殿??」
「俺も行こう。電球を買わないと」
「電球」
「あぁ」
彼にも必要なものがあるのだなとおもいつつ国広を待っているとやって来た。
「骨喰も来るのか」
「あぁ」
靴をはき、国広は、そういうと、正雪をじっとみた。
「とりあえず大丈夫そうだな」
「あぁ……」
「あと俺達は、よろず屋では、あんたを主と呼ぶから頼むぞ」
「了解した」
よろず屋に行くとなると自分は主として振る舞わないといけないのかと、正雪は、気持ちを引き締めた。
彼らは、屋敷をでると庭にある鳥居を潜った。そして光に包まれ、姿を消した。
光がはれ、視界に多くの刀剣男士と審神者達が目にはいった。やはり多くの審神者は、何かしら面をつけている。
「久しぶりだな」
「国広が屋敷を離れることじたい珍しいからな」
そうなのかと骨喰と国広の会話を聞きながら、正雪は、彼らの後ろを歩く。
「ついたぞ」
よろず屋は、おもったよりも大きく正雪は、驚く。
「凄い……」
「一先ず光忠に頼まれたものとその他諸々買っていく」
「分かった」
骨喰と国広は、分かれて、売場をめぐることにし、正雪は、国広についていくことに。
様々なものに目移りしてしまうほど、ここには、多くの物があった。
「ラップとアルミホイルと……これでいいな」
国広は、ふと正雪を見ると、彼女は、物珍しそうに色々みている。
確かにここに自分もはじめてきたときは、そうだったなと思い出していた。あの時友美にだいぶつきあってもらった。
国広は、カートを押し、正雪の所に。
「何をみてるんだ」
「この箸置きが可愛いなと」
彼女のみていたものは、ウサギの箸置きだった。
「そういえばウサギが好きだったな……」
「何故それを……」
「姫が言っていたぞ。ウサギと宮本伊織と、キルケーのピグレットが好きだと」
正雪は、顔を真っ赤にすると顔を隠した。
「そっ……それは!!」
「顔隠れてるのにまだ隠すのか」
「うっ……」
「そういえば宮本伊織の話は、主の初恋だから慎重にとかもいってたな」
「姫話しすぎだー!!!!」
「……なるほど」
友美があいつは、駄目だといっていたことは、国広の胸にしまうことにした。
やはり年相応のところもあるらしい。
恥ずかしさのあまりアワアワする正雪を国広は、見慣れたような素振りで黙ってみていた。
「姫よりましだな」
主なら恥ずかしくて、手が出てくるが、彼女は、一人取り乱しているだけ。
国広は、やはり友美になれてるとある程度のことは、どうってことないと改めて思った。
「すまない……国広殿……」
「気にするな。後は、あんたの食器だな」
「私の??」
食器なら今使っているのがあるのに、正雪は、思ったが、国広は、食器の置いてあるコーナーに歩き出した。
「今回のメインは、これだからな」
「え??」
「光忠とも話したんだが、あんた専用の食器がいると思って」
「私専用……」
「野郎と女性では、食べる量が違うからな。視覚から分かりやすくするためにな」
「なるほど……」
「好きなものを選ぶといい。予算は、ある」
いざ選べと言われても悩む。正雪は、じっくりとまずは、食器を見始めた。
「国広」
「骨喰終わったか??」
「これで全てだ」
もう一つのカートには、多くの物がのっている。国広は、骨喰が押してきたカートのなかを確認した。
「オッケーだな」
「よかった」
国広と骨喰の会話を聞きながら正雪は、じっと食器を見ていた。
江戸の世とは、ちがう可愛い雑貨が揃うなか、先ず手にしたのは、茶碗だった。
「これにしよう……」
そして茶碗の柄に揃えるように箸と箸置きも選ぶと正雪は、国広の所に。
「国広殿これに」
正雪が選んだのは、愛らしいうさぎと桜の柄の茶碗、それにあうような箸と先程のうさぎの箸置きだった。
「湯呑みもいるだろ??」
「湯呑みか……」
確かにいるかもしれない。正雪は、湯呑みも選び出し、手に取ったのは、可愛らしいうさぎの湯呑みだった。
「うさぎだな」
「変だろうか……」
骨喰の発言に不安そうな顔をし正雪は、言うので、国広は、それをフォローした。
「あんたらしいと思う」
「そうか」
面をつけているので表情は、分かりにくいが、正雪は、嬉しそうに笑っていた。
「……これは、無自覚にフラグをたてるやつだな」
「国広なにを今さら」
「確かに」
だからこそ、正雪を他の刀剣男士に任せるのは、危ないと今回国広が来たのだが。
「国広殿?? 骨喰殿??」
「なにもない。後は、衛生用品だな」
「ふむ」
食器は割れては、いけないので正雪が別のかごに入れ、もち、衛生用品のコーナーに来た。
「これだな」
国広が手に取ったのは、うさぎ柄の可愛らしい絆創膏だった。
「国広ガーゼなんかは、これでいいか??」
「あぁ」
消毒や綿棒、包帯なんかもかごに入れていくが何故か可愛らしいうさぎの柄の物があると国広は、かごに入れていく。
「国広殿そのうさぎ柄のは……」
「あんたようだ。主」
「むぅ!?」
「今のあんたは、ホムンクルスじゃない。傷をほっておいてもなかなか治らないだろ」
正雪は、目を伏せると頷く。
「なのに主は、怪我手当てを嫌がる素振りがあるからな。なら少しでも楽しくなるように、うさぎ柄というわけだ」
そこまで子供では、ないと正雪は、思ったが、国広にいわれていることは、事実なのでなにもいえなかった。
「これでいいな」
「国広レジへ行くか??」
「あぁ」
そしてレジへいくと、会計をみた正雪は、顔を青ざめる金額だったが、国広は、何食わぬ顔で代金を支払い、サッカー台で荷物をつめる。
「私もなにか……」
「主は、食器を持ってくれ」
「分かった」
軽々と国広と骨喰は、買ったものを持つと、正雪は、自分の食器だけ持たされ、ちょこちょこと彼らのあとに。
「国広たい焼き」
「いいぞ」
骨喰がたい焼きを買いにいき、正雪は、彼は、たい焼きが好きなのかと考えていた。
「主」
「かたじけない」
渡されたたい焼きを正雪は、受け取ると、国広をみた。
彼もたい焼き受け取り、食べる。
「カスタードか」
「主には、こちらがいいかと」
「あんこでいいと思うが」
国広の言葉に正雪は、頷くが、骨喰は、それを見ても特に変化無し。
「もしや骨喰殿が食べたかった??」
「それは、ある」
たい焼きを食べた骨喰は、そういうと、国広は、呆れた顔をしていた。
「主カスタードいけるか??」
正雪は、たい焼きを食べながら頷く。
「これは……うまい……」
気に入ったようだ。骨喰は、どうだという顔をしているが、国広は、たまたまだろうと思った。
たい焼きを食べ終え、彼らは、帰路に着いた。
屋敷に着くと、正雪は、買ったものの片付けを手伝っていた。
大所帯になると必要数も増える。凄い量だなと思い、全て片付け終える頃には、夕方になっていた。
「正雪さん夕食いるかな??」
倉庫で作業をしていると光忠がやって来た。正雪は、頷く。
「いただこう」
「オッケー!!」
光忠の作る食事は、とても美味しい。さて今晩は、なんだろうか。
作業を全て終え、手を洗い、食堂にいくと、今日の献立は、焼き魚だった。
「鰆か……」
皆が食卓に着き、楽しく食事をはじめるなか、正雪は、善を受け取ると、驚いた顔に。
「光忠殿これは……」
「正雪さんようだよ!! 量が多かったらまたいってね!!」
善には、今日は、買った食器がならび、料理の量も最適なものになっていた。
「ありがとう光忠殿!!」
正雪は、微笑むと、善をもち、食卓に座った。
「国広君ナイス」
彼から相談を受けたとき、光忠もその案は、いいと思ったが、どうやら最適案だったようだ。
ほっとした顔を光忠がするなか、正雪は、美味しそうに夕食を食べる。
「うまい」
「それは、よかった」
目の前に国広が座っていた。正雪は、少し驚くが、国広は、そ知らぬ顔で夕食を食べはじめた。
「うまいな……」
「であろう??」
「あぁ」
やはり食事とは、楽しいものなのだと正雪は、思いながら、箸を進めた。
国広は、そんな彼女をみて、目を細めると共に食事をするのであった。