後日談

「これは??」
 書庫でふと気になりとった書物は、刀剣男士に関しての物だった。
 正雪は、席に着くと、書物を読みはじめた。
「なに読んでるの??」
 顔を上げると蛍がいた。
「蛍殿この初の姿とは??」
 蛍は、正雪が見ているページを読む。
「また刀剣男士の本読んでたんだ」
「私は、まだまだ知らないことが多いから」
「なるほどね」
 蛍は、正雪のとなりにすわる。
「で初の姿だよね」
「あぁ」
「初の姿は、修行に出る前の刀剣男士の姿の事だよ」
「刀剣男士も修行に行くのか??」
「そう。自分のルーツや記憶過去なんかと向き合ってそれで新たな覚悟やちからを手に入れ、刀剣男士は、姿が変わったり、神格が上がるんだ」
 となるとあの屋敷にいる刀剣男士達も修行に行っているのかと気になってくる。
 正雪は、蛍なら知ってるかもと聞いた。
「ちなみになのだが、国広殿達は、行っているのか??」
「行ってるね。まだ行っていない刀剣もいるけど」
「なるほど……」
 やはり人と同じで刀剣も成長する。その事に正雪は、感動していた。
「私も頑張らなければ」
「十分頑張ってると思うけど……」
「まだまだ私は、半人前。まだこの力の全貌も分かっていない……」
 蛍は、椅子にたつとポンポンと正雪の頭を撫でた。
「正雪は、俺と同じだったよね」
「その国広殿とも……」
「国広と俺のは、違うんだー」
 蛍は、秘密と小声で言った。
「俺のは、付随してるから大陽というか、光の力も使えるってだけ」
「なら別のものになる……」
「そう。で正雪は、俺と同じってこと」
 蛍は、そういうと、椅子に座り直す。
「とりあえず正雪は、頑張ってるよ!! 俺から見てもそう思うから!!」
「蛍殿……」
「それにその力の全貌把握ってけっこうかかるしゆっくりでいい!! それに友美は、正雪に戦わせる気ないしねぇ!!」
「うむ……」
 正雪は、しょぼんとするとうつむいた。
「私のいる理由とはなんなのだろうか……」
 友美は、自由に生きなさいとしか言わなかった。
 結局正雪は、友美に恩を返したいと契約を切らず今に至る。
 あの時は、それでいいと思えたが、今本当にそれでよかったのかと思えてきていた。
「それ言われたら俺なんて、後先考えず、友美におしかけて、色々あって守り刀やってるんだから!! 気にしない気にしない!!」
 蛍は、そう言うと続けた。
「それでも気になるのなら幸せになるために生きればいい!!」
「幸せ……」
「正雪の夢。この世の平和は、結局まず自分が幸せか、からはじまる。だから友美は、正雪に幸せになってほしいとおもってる。それがひいては、正雪の願いを叶える事だから」
 ただ平和であっても本人が幸せでなければ平和とは、いえないだろう。
 正雪は、改めて確かにとおもいながら友美の言葉も思い出していた。
「……今幸せ??」
「……感謝してもしきれないほどに……幸せかかな……」
「ならそれでよし!! 悩み解決~」
 蛍は、そういうと笑った。
「その……蛍殿少しいいかな……??」
「なに??」
 相手は、神であり蛍丸の大元だ。このようなお願いをしていいのか悩むが、どうしてもやりたい。
 正雪は、目を伏せ言った。意をけっし。
「撫でても……いいだろうか……」
 緊張した面持ちで言われ、蛍は、ポカーンとしてしまった。
「それだけ!?」
「む??」
「だって、そんな顔されて言われたら、もっと違うこと言われると思ってた」
 蛍は、わらう。
「いいよ」
「かたじけない!!」
 蛍の頭をさっそく撫でるとその可愛さに正雪は、目を細めた。
「本当に愛らしい……」
「ありがとう」
 無心に正雪は、撫でてしまっていた。あまりにも撫でられるので蛍は、念のために言っておくことにした。
「俺子供じゃないからね!!」
「うむ……」
 正雪は、撫でるのをやめると少しだけまた落ち込む。
「つい……愛らしくて……」
 なんだろう。蛍からすれば、正雪の方が可愛く見えてくる。
「俺からしたら正雪の方が可愛いけど」
「むぅ!?」
「間違いなく」
「蛍殿の方が愛らしい!!」
「そんなことない!!」
 蛍と正雪どちらが可愛いか言い争っていると、書庫の扉があいた。
「あら、可愛い争いをしてるわね!!」
 友美は、微笑みながら、入ってくると、蛍と正雪どちらも抱き締めた。
「私からすれば蛍も正雪も可愛いわよー」
 これは、どうやら不毛の争いのようだ。
蛍と正雪は、少し恥ずかしそうに視線をそらした。
「ありがとう友美」
「……ありがとう姫」
 友美は、満足げに微笑むと、書庫を出ていった。
「蛍殿」
「なに??」
「その……すまなかった……」
「俺もごめん」
 仲直りし蛍と正雪は、微笑むと、書庫を出た。
「正雪一緒にお菓子食べよう!!」
「もちろん」
 蛍は、そう言うと部屋にいき、すぐに戻ってきた。
「光手作りのクッキー!!」
「光殿の」
「そう!! 光忠のより甘さ控えめだけどねー俺は、こっちが好きなんだ!!」
 蛍は、クッキー缶を大切に抱えると、リビングに。
「リビングで食べるのかな??」
「テラス」
 リビングに入ると、そのままキッチンに。牛乳をコップにいれると、お盆にのせた。
「こちらは、私が持とう」
「ありがとう」
 お盆は、正雪は、持ち、テラスに。長椅子に腰かけるとさっそく蛍と正雪は、クッキーを食べはじめた。
「美味しい!!」
「とても。この蜜柑がいい味わいだ」
「でしょう!!」
 ふと正雪の目にアマビエが。正雪は、驚いた顔をすると、それを見た蛍が河童の方も指差した。
「河童!!??」
「この家のペット」
「ペットとは…‥愛玩動物のことだったような……って河童が愛玩動物!?」
 蛍は、普通は、この反応だよなぁと思いながら、目を細める。
「そう!! あいつも、アマビエもおしかけて、この家に住んでるんだーあと行商河童も!!」
「河童の行商……??」
 普通は、この反応である。蛍は、いい反応だなと思いながら、頷く。
「そう!! 友美が助けたから恩返しにって!!」
「それは……恩返しなのかな……??」
「う~ん違う気がする」
 蛍は、河童にクッキーをあげると、河童は、喜びはねていた。
「河童は……クッキーを食べるのだな……」
「まぁ胡瓜には、負けるけどねー」
 何処からか桜の花びらが飛んできた。 花弁は、正雪の膝の上に。
「……のどかだな」
「だね!!」
「本当に穏やかな時だ」
 これもまた自分が夢見ていた平和な時といえる。
 正雪は、クッキーを食べるとアマビエの方を見て、なんとなく、クッキーを差し出してみると、アマビエは、嬉しそうにクッキーを受け取り、頭を下げた。
「ふむ……やはり……慣れるには、かかりそうだ……」
「まぁゆっくりでいいじゃん!!」
「そうだな」
 蛍と正雪は、微笑み合うとまたクッキーを食べた春の空のした美味しいと思いながら。



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