後日談
春の風が気持ちいいと縁側で正雪は、くつろいでいた。
高天ヶ原の清浄な空気もあるせいか、この屋敷は、なにかと居心地がいい。
「姫から貰ったおやつでも……」
食べようと隣に置いていた風呂敷を探っていると、人影が。
「先客とは」
正雪が声のする方を見ると藍色の髪の男が。
「貴殿は……」
「俺か?? 俺は、三日月宗近」
「天下五剣の……」
「そうだ。お前は……確か……代理主だったか……」
宗近は、正雪の隣に腰を下ろす。
「元だ……元……今の私は、姫の式神というか……」
「そうだったか」
宗近は、のんきに笑うと、正雪の膝の上の菓子をみた。
「おーそれは」
「きんつばだが……」
正雪は、一つ差し出す。
「よろしければ」
「おっ!! ありがとう!!」
宗近は、美味しそうにきんつばを食べるなか、正雪もじっと庭をみながら食べた。
沈黙が落ちるなか、ただなにもせずに庭を宗近と正雪は、みる。
「宗近さんと正雪さん!!」
通りかかった物吉が声をかけてきた。
「物吉か」
「物吉殿」
「何をされてたんです??」
「庭を眺めていただけだ」
「さよう」
物吉は、正雪の隣に座るとなんとなく庭を眺めていた。
「ここ居心地がいいですよねー」
「あぁ。とても綺麗だ」
「心も落ち着くな」
こうしてなにもせずに、ただ物吉、正雪、宗近と並び庭を眺める。
平和な時間が流れるなか、また誰か訪ねてきた。
「宗近おじいちゃんここにいたのか!!」
来たのは、光忠だ。
「どうした?? 光忠」
「国広君から伝言で来てほしいって」
宗近は、立ち上がる。
「そうか」
「宗近さんでは」
「宗近殿また」
「じゃあな」
宗近は、そういうと去っていった。
「ここ僕も時々座ってるよ」
「光忠殿も??」
光忠は、宗近の座っていた所に腰かける。
「そう。この綺麗な庭園をみてるとほっとするよね」
また沈黙が落ち、じっと庭をみる二振と一人。ゆっくりと時間が過ぎるなか、聞こえるのは、鳥のさえずりと、小川の流れる音。そして木々の葉の音のみ。
「この音は……」
物吉は、耳をすませる。近くから風にのり、楽器の音が聞こえる。
「姫!!」
物吉は、そういうと何処かに走っていった。
「この音は……」
光忠も立ち上がる。
「この音は、聞いたことがない音だ……」
「中華系の国の伝統楽器の二胡の音だよ」
「二胡……」
美しい音に正雪も風呂敷をもち、立ち上がる。
光忠と音のする方に行くと、先にいっていた物吉がみたらし団子を食べながら、友美の隣で音色を聴いていた。
「お二人とも!! こちらに!! みたらし団子もありますよー!!」
光忠と正雪は、物吉の隣に座るとみたらし団子を貰いそして音に耳を傾けた。
「……」
綺麗だけでは、なく深くそして優しくも清々し音。たぶん主は、この楽器をそうとう練習してきたのだろう。
もしくは、それだけの人生を歩んできた。
「あら」
演奏を終え、友美は、人数が増えていたことに少し驚いた。
物吉だけかと思いきや、光忠と正雪が増えている。そしてみたらし団子は、なくなっていた。
「みたらし団子!!??」
「姫もしや……」
正雪は、顔を青ざめ聞くと、友美は、頷く。
「私の……貞宗だけだったから……一つだけあげたの……」
「そうだったんですか!!?? ごめんなさい!!姫!!」
「ごめん姫!!」
「うぬ!!!??? 姫!! すまない!!! その思わず美味しそうで!!」
狼狽える正雪と申し訳なさそうな二振。
「まぁみたらし団子は、いいわ。何時でも食べれから」
友美は、そういうが、正雪は、申し訳なさで穴があったら入りたかった。
「ぬぬぬ……」
「ならこれから僕がみたらし団子を作るよ!! そのお詫びに……」
「光忠気持ちだけでいいわ」
「姫……」
「本当にいいの。でもなにか作ってくれるなら正雪の好きなものでお願い」
正雪は、驚いた顔をしたが、友美は、微笑むのみ。
「主命とあらば」
「ありがとう光忠」
光忠と正雪がはなしをするなか、友美は、物吉と話していた。
「姫ならケーキというと思ってました!!」
「前ならね。でも今は……」
友美は、横目で正雪をみる。
「あの子には、幸せになってほしいから」
「姫……」
物吉は、微笑む。
「十分幸せだと思います!! 僕は!!」
「貞宗……」
「だって正雪さん楽しそうですから何時も!!」
「神からみてそうならそうなのかもね」
友美は、楽しげに笑うと二胡を片付ける。
「姫四つ葉のクローバ探しにいきませんか??」
「いいわね」
光忠とはなしを終えた正雪のところに貞宗は、行く。
「正雪さんも!!」
「えっ??」
「四つ葉のクローバ探しだって」
「クローバとは、確かシロツメクサの事……」
「そうです!! 穴場見つけたので行きましょう!! 幸運を探しに!!」
貞宗は、そういうと、正雪をつれ走り出し、友美は、その後をゆっくり行くと、庭のすみにシロツメクサの花畑が。
「あら」
四つ葉のクローバを探していたはずが、何故か花冠作りになり、貞宗が正雪の頭に花冠をのせていた。
「妖精みたいです!!」
「ありがとう……」
照れてる正雪が可愛いと友美は、思いながら、声をかける。
「四つ葉のクローバ見つかった??」
貞宗は、帽子に入れた四つ葉のクローバを友美に見せた。
「こんなに!!」
「あら!! 凄い!!」
正雪も手のひらに乗せていた四つ葉のクローバを友美に見せた。
「正雪もさすが!!」
「姫ありがとう」
正雪は、持っていた花冠を友美に渡した。
「姫に」
「え?? 貞宗にあげないの??」
「僕は、もう貰いましたから!!」
ほらと物吉は、友美に見せる。友美は、ならと受け取ることにした。
「ありがとう」
花冠をかぶり、友美は、くるりとその場で回った。
「どうだー!!」
「姫似合ってます!!」
「ありがとう!!」
友美は、物吉を抱き締めいうと、次は、正雪と、今度は、彼女を抱き締めた。
「姫!?」
「正雪にもぎゅーっと!!」
はずかにそうに頬を赤く染め主を抱き締め返すと、友美は、満足げにはなれた。
「もうそろそろ行きますか??」
「そうね!!」
シロツメクサの花畑から台所に向かうと、ちょうど焼き上がった所だった。
「マドレーヌ出来たよ!!」
皿に乗せられた焼きたてのマドレーヌは、どれも美味しそうだ。
「ありがとう光忠」
友美は、礼を言うと、さっそく一つ食べた。
「姫どう??」
「美味しい!! これは、なかなか」
味見もすんだところで、紅茶をいれ、ちょっとしたティータイムがはじまり、
マドレーヌを食べながら、正雪は、光忠に礼を言った。
「とてもうまい。ありがとう光忠殿」
「いいよ!! 確り食べてね!!」
まさか庭を静かに眺めていたらこんなことになるとは。
「光忠さん皆に持っていっていいですか??」
「もちろん」
物吉は、そういうと、マドレーヌをかごにいれ、何処かに持っていってしまった。
「あれは、天照ところかしら」
「かもしれないね」
「貞宗は、本当に幸運を運んでくれる刀剣ね!!」
泣きながらマドレーヌを食べる天照の顔が思い浮かぶ。
友美と光忠が話すなか、正雪は、紅茶をのみながら思う。本当に幸せと。
「幸せとは、何気ない日常にあるんだな……」
しみじみと正雪は、いうので友美と光忠は、顔を見合わせ、笑った。
「姫よかったね」
「そうね光忠」
彼女が少しでも幸福ならと、友美を含め刀剣達も思っている。
少しでもそれが叶っていることに喜びを感じた。
「姫もう少し食べても……」
「もちろん」
「まだあるなら食べてね!!」
「ありがとう……」
恥ずかしそうにマドレーヌを食べる正雪をみながら、友美と光忠は、微笑む。本当によかったと思いながら。
高天ヶ原の清浄な空気もあるせいか、この屋敷は、なにかと居心地がいい。
「姫から貰ったおやつでも……」
食べようと隣に置いていた風呂敷を探っていると、人影が。
「先客とは」
正雪が声のする方を見ると藍色の髪の男が。
「貴殿は……」
「俺か?? 俺は、三日月宗近」
「天下五剣の……」
「そうだ。お前は……確か……代理主だったか……」
宗近は、正雪の隣に腰を下ろす。
「元だ……元……今の私は、姫の式神というか……」
「そうだったか」
宗近は、のんきに笑うと、正雪の膝の上の菓子をみた。
「おーそれは」
「きんつばだが……」
正雪は、一つ差し出す。
「よろしければ」
「おっ!! ありがとう!!」
宗近は、美味しそうにきんつばを食べるなか、正雪もじっと庭をみながら食べた。
沈黙が落ちるなか、ただなにもせずに庭を宗近と正雪は、みる。
「宗近さんと正雪さん!!」
通りかかった物吉が声をかけてきた。
「物吉か」
「物吉殿」
「何をされてたんです??」
「庭を眺めていただけだ」
「さよう」
物吉は、正雪の隣に座るとなんとなく庭を眺めていた。
「ここ居心地がいいですよねー」
「あぁ。とても綺麗だ」
「心も落ち着くな」
こうしてなにもせずに、ただ物吉、正雪、宗近と並び庭を眺める。
平和な時間が流れるなか、また誰か訪ねてきた。
「宗近おじいちゃんここにいたのか!!」
来たのは、光忠だ。
「どうした?? 光忠」
「国広君から伝言で来てほしいって」
宗近は、立ち上がる。
「そうか」
「宗近さんでは」
「宗近殿また」
「じゃあな」
宗近は、そういうと去っていった。
「ここ僕も時々座ってるよ」
「光忠殿も??」
光忠は、宗近の座っていた所に腰かける。
「そう。この綺麗な庭園をみてるとほっとするよね」
また沈黙が落ち、じっと庭をみる二振と一人。ゆっくりと時間が過ぎるなか、聞こえるのは、鳥のさえずりと、小川の流れる音。そして木々の葉の音のみ。
「この音は……」
物吉は、耳をすませる。近くから風にのり、楽器の音が聞こえる。
「姫!!」
物吉は、そういうと何処かに走っていった。
「この音は……」
光忠も立ち上がる。
「この音は、聞いたことがない音だ……」
「中華系の国の伝統楽器の二胡の音だよ」
「二胡……」
美しい音に正雪も風呂敷をもち、立ち上がる。
光忠と音のする方に行くと、先にいっていた物吉がみたらし団子を食べながら、友美の隣で音色を聴いていた。
「お二人とも!! こちらに!! みたらし団子もありますよー!!」
光忠と正雪は、物吉の隣に座るとみたらし団子を貰いそして音に耳を傾けた。
「……」
綺麗だけでは、なく深くそして優しくも清々し音。たぶん主は、この楽器をそうとう練習してきたのだろう。
もしくは、それだけの人生を歩んできた。
「あら」
演奏を終え、友美は、人数が増えていたことに少し驚いた。
物吉だけかと思いきや、光忠と正雪が増えている。そしてみたらし団子は、なくなっていた。
「みたらし団子!!??」
「姫もしや……」
正雪は、顔を青ざめ聞くと、友美は、頷く。
「私の……貞宗だけだったから……一つだけあげたの……」
「そうだったんですか!!?? ごめんなさい!!姫!!」
「ごめん姫!!」
「うぬ!!!??? 姫!! すまない!!! その思わず美味しそうで!!」
狼狽える正雪と申し訳なさそうな二振。
「まぁみたらし団子は、いいわ。何時でも食べれから」
友美は、そういうが、正雪は、申し訳なさで穴があったら入りたかった。
「ぬぬぬ……」
「ならこれから僕がみたらし団子を作るよ!! そのお詫びに……」
「光忠気持ちだけでいいわ」
「姫……」
「本当にいいの。でもなにか作ってくれるなら正雪の好きなものでお願い」
正雪は、驚いた顔をしたが、友美は、微笑むのみ。
「主命とあらば」
「ありがとう光忠」
光忠と正雪がはなしをするなか、友美は、物吉と話していた。
「姫ならケーキというと思ってました!!」
「前ならね。でも今は……」
友美は、横目で正雪をみる。
「あの子には、幸せになってほしいから」
「姫……」
物吉は、微笑む。
「十分幸せだと思います!! 僕は!!」
「貞宗……」
「だって正雪さん楽しそうですから何時も!!」
「神からみてそうならそうなのかもね」
友美は、楽しげに笑うと二胡を片付ける。
「姫四つ葉のクローバ探しにいきませんか??」
「いいわね」
光忠とはなしを終えた正雪のところに貞宗は、行く。
「正雪さんも!!」
「えっ??」
「四つ葉のクローバ探しだって」
「クローバとは、確かシロツメクサの事……」
「そうです!! 穴場見つけたので行きましょう!! 幸運を探しに!!」
貞宗は、そういうと、正雪をつれ走り出し、友美は、その後をゆっくり行くと、庭のすみにシロツメクサの花畑が。
「あら」
四つ葉のクローバを探していたはずが、何故か花冠作りになり、貞宗が正雪の頭に花冠をのせていた。
「妖精みたいです!!」
「ありがとう……」
照れてる正雪が可愛いと友美は、思いながら、声をかける。
「四つ葉のクローバ見つかった??」
貞宗は、帽子に入れた四つ葉のクローバを友美に見せた。
「こんなに!!」
「あら!! 凄い!!」
正雪も手のひらに乗せていた四つ葉のクローバを友美に見せた。
「正雪もさすが!!」
「姫ありがとう」
正雪は、持っていた花冠を友美に渡した。
「姫に」
「え?? 貞宗にあげないの??」
「僕は、もう貰いましたから!!」
ほらと物吉は、友美に見せる。友美は、ならと受け取ることにした。
「ありがとう」
花冠をかぶり、友美は、くるりとその場で回った。
「どうだー!!」
「姫似合ってます!!」
「ありがとう!!」
友美は、物吉を抱き締めいうと、次は、正雪と、今度は、彼女を抱き締めた。
「姫!?」
「正雪にもぎゅーっと!!」
はずかにそうに頬を赤く染め主を抱き締め返すと、友美は、満足げにはなれた。
「もうそろそろ行きますか??」
「そうね!!」
シロツメクサの花畑から台所に向かうと、ちょうど焼き上がった所だった。
「マドレーヌ出来たよ!!」
皿に乗せられた焼きたてのマドレーヌは、どれも美味しそうだ。
「ありがとう光忠」
友美は、礼を言うと、さっそく一つ食べた。
「姫どう??」
「美味しい!! これは、なかなか」
味見もすんだところで、紅茶をいれ、ちょっとしたティータイムがはじまり、
マドレーヌを食べながら、正雪は、光忠に礼を言った。
「とてもうまい。ありがとう光忠殿」
「いいよ!! 確り食べてね!!」
まさか庭を静かに眺めていたらこんなことになるとは。
「光忠さん皆に持っていっていいですか??」
「もちろん」
物吉は、そういうと、マドレーヌをかごにいれ、何処かに持っていってしまった。
「あれは、天照ところかしら」
「かもしれないね」
「貞宗は、本当に幸運を運んでくれる刀剣ね!!」
泣きながらマドレーヌを食べる天照の顔が思い浮かぶ。
友美と光忠が話すなか、正雪は、紅茶をのみながら思う。本当に幸せと。
「幸せとは、何気ない日常にあるんだな……」
しみじみと正雪は、いうので友美と光忠は、顔を見合わせ、笑った。
「姫よかったね」
「そうね光忠」
彼女が少しでも幸福ならと、友美を含め刀剣達も思っている。
少しでもそれが叶っていることに喜びを感じた。
「姫もう少し食べても……」
「もちろん」
「まだあるなら食べてね!!」
「ありがとう……」
恥ずかしそうにマドレーヌを食べる正雪をみながら、友美と光忠は、微笑む。本当によかったと思いながら。