後日談

 鯰尾藤四郎と骨喰藤四郎は、よく二振で任務につくことが多い。
 コンビとしても熟練されており、国広のいこうもあるからだ。
「よし!!」
「そこだ!! 兄弟!!」
「任せて骨喰!!」
 骨喰が敵を油断させ、一瞬の隙を作った。その隙を鯰尾は、つき、敵を急所に刃を刺した。
 倒れ消える敵を見送ると、骨喰と鯰尾は、ハイタッチをする。
「今回もおつかれー!!」
「あぁ」
 さてこれで任務も終わりと思ったとき、子供の泣き声が聞こえた。
「まさかあやかしか……??」
「にしては、何か違うような……」
 警戒しながらも声のする方に行くと、なんと、短刀と共に、小さな女の子がいた。
「うっ……あちゅし……」
 歯こぼれがし折れかけている短刀に子供は、悲しそうに見ている。
 骨喰と鯰尾は、彼女が審神者と判断し、声をかけることにした。
「どうしたの!!」
 鯰尾の声に女の子は、驚いたが、見慣れた刀剣男士だったのか、すぐに寄ってきてくれた。
「なまずお!! あちゅしが!!」
「大丈夫だよ。とりあえず名前教えてくれる??」
 鯰尾がしゃがみ言うと、骨喰は、何かいいたげな顔をする。
「兄弟迂闊に真名を聞くな」
「えっ!? ならどう呼べば……」
「確かに……」
 二振が悩んでいると、女の子は、首をかしげる。
「ゆいだよ!!」
「……真名」
「言っちゃったね」
 とりあえずゆいと名を知れたが、ここからが問題だ。
 何処の所属の審神者か、分からないからだ。
「歴史にもよるしなぁ……」
「姫に頼るしかないだろ」
 友美から分かるだろうが、それが今できない状況だ。友美から今朝今日は、忙しいから手を貸せないと通達が来ていたのだ。
「そうだった……」
「骨喰とりあえず国広に頼む??」
「さらに仕事を増やすなと怒られるぞ。兄弟エイプリルフールにしめあげられたところだろ」
 あの時の国広は、恐ろしかった。鯰尾は、思いだし、身震いする。
「あれは、怖すぎ……」
「ならやめておけ」
「ならどうするのさ!!」
 鯰尾と骨喰が悩んでいたとき、ガサガサも茂みが動き、警戒するの、姿を表したのは、なんと、空間ノ神子だった。
「空間ノ!?」
「何故ここに」
 鯰尾と骨喰が驚くなか、空間ノ神子こと、ユニは、微笑む。
「困っていそうだったので。わたしもたまたまこの時代に仕事があって来てたんです」
 友美からうちの刀剣がお世話になるかもと聞いていたのは、秘密だが。
「そうだったのか……」
 骨喰は、警戒を解かずに、答えた。やはり骨喰は、もとより慎重のようだ。
 ユニは、ゆいを見るとしゃがみ話しかけた。
「こんにちは」
「こんにちは!!」
「凄く元気!!」
「うん!! ほねばみと、なまずおがいるもん!!」
 しかしゆいは、すぐに短刀を見て悲しい顔に。
「でもあちゅしが……」
「あちゅし……あー厚藤四郎の事ですね……」
 ユニは、歯こぼれした短刀に触れると、短刀は、綺麗に治った。
「凄い……」
「神子ってやっぱりすごいなぁー」
「……神子だからってわけじゃない」
 どうやら骨喰は、ユニの秘密に気づいているらしい。
 ユニは、その事に感心しつつ言った。
「その慎重さを忘れないでください。骨喰」
「……」
 骨喰は、じっとユニを黙ってみるのみ。
「ありがとう!!」
 ゆいは、短刀を持ち言うと、微笑む。
「どういたしまして。治ったばかりでまた寝てると思うからもう少しまってね」
「うん!!」
 ゆいは、優しいお姉さんとユニの事を思っているのだろう。しかし骨喰は、違った。
 ここに神子が出向いてくること事態不自然なのだ。
 裏で絶対に何かある。それも神子の中でも第四位が出てくるほどの事が。
「兄弟」
「どうした??」
「俺達は、とんでもないことに……首を突っ込んだかもしれない」
「それは……」
「空間ノ神子は、空間の探知、結界の形成が得意だ」
「それは、そうだよね」
「だがそれとは、別に空間の破壊、剪定もできる」
「それって……」 
「ゆいといったあの子供の本丸で事件が起こってる思う」
 それもユニが出てくるほどの。
「では、この子は、私が預かります」
「俺達も行きますよ!!」
「兄弟」
 骨喰は、鯰尾の肩を掴む。
「……骨喰貴方は、本当に凄い。友美が貴方に一目置くのがよく分かる」
「……」
 鯰尾は、ユニと骨喰の間に流れる空気から何かを察した。
「俺達は、ここでなら分かれます。よろしくお願いします!!」
 ユニに鯰尾は、そういうと、ユニは、頷き、その後去っていった。ゆいをつれて。
「……俺達が出る幕じゃないか」
「……空間の破壊が行われるかもな」
「それって歴史の改編じゃ……」
「高位の神のやることは、分からない」
 骨喰は、そういうと歩きだし、鯰尾もその後を追った。
「姫に後日聞く??」
「あぁ」
 姫ならば何かしってるはずだ。骨喰と鯰尾は、そう決断し、この日は、帰還した。
 
 後日骨喰と鯰尾は、主を訪ね彼女の家に来ていた。
 執務室には入り、ことの詳細を友美に話鯰尾と骨喰は、問う。
「その後どうなったの??」
 友美は、ファイルを手に取ると、あるページを開き、鯰尾と骨喰に渡した。
「これは……」
「遡行軍の襲撃と歴史改変による余波がこの本丸には、来てしまった。厚藤四郎が主を連れ、守りきり、逃げきれた」
「姫その……」
「ユニは、その歴史改変された次元を修正し、余波を防いだのち、過去にもどり、遡行軍を殲滅。そしてゆいという少女と厚を本丸に戻し、負傷した者達の手当てをして終わったみたいよ」
 ユニの事だ全てを刀剣達に話しているだろう。そしてゆいにも分かるように。彼女は、そういう神子だから。
「なら俺達がいたら……」
「足手まといだったわね。藤四郎」
 友美は、そういうと、ファイルを閉じた。
「骨喰ありがとう」
 骨喰がとめてくれなければ、大変なことになっていた。
「……俺は、したことをしただけだ」
「でもよかった。あの時ついていかなくて」
 鯰尾は、ため息をつきいう。考えただけでその後の事が恐ろしくなった。
「本当にそうよ。ユニは、誰かを守りながら戦うのには、少し不向きだったりするし」
 守るだけなら、問題は、ないが、守りながら、戦うとなると少し話が変わってくる。
「もしかして結界を張ることに集中するから??」
「まぁそういうことね」
 他にもあるだろうがこういうことにしておこう。
「さて!! 話は、終わりかな??」
「ありがとう姫」
 友美は、ふとあることを思い出すと、二振に封筒を渡した。
「ゆいちゃんからのお礼だって」
 二振は、封筒を開けると中から、二振の絵が。そしてありがとうと大きく描かれていた。
「ゆいちゃんにとって藤四郎と骨喰に会えたのは、よかったことみたいね」
 二振は、ホットした顔をし微笑む。
「よかった」
「だな兄弟」
 友美は、二振を見ながら、微笑むと、執務室を後にした。
「本当にすごいわね。藤四郎もばみちゃんも」
 そう呟くとリビングに向かった。嬉しそうな顔をしながら。 
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