後日談

 ある日のこと国広は、宙を浮くお菊人形を廊下でみつけた。
 疲れが溜まり、幻覚をみたのかと目を擦ったがそのようなことは、なく、注意深く気配を探ると、彼は、溜め息をついた。
「姫」
 お菊人形を国広は、捕まえると、お菊人形は、顔を青ざめる。
「何故ばれた!?」
「ばれないと思う方がおかしい」  
 普通の審神者ならともかく友美は、違う。気配が特徴的だ。
 国広は、お菊人形を抱え、執務室に。
 文机の上に置くと、問う。
「で姫なんでまたこんなことを??」
「えーとー審神者で、人形を依り代にして本丸運営をしてるとか言う話を聞いて……これなら、私も皆のこともっとみれるかなと……」
 仕事もあり、なかなかこの邸にこれない友美。確かにその想いは、分かるが、国広は、いう。
「姫は、それでいいだろうが、みつけた奴らが討伐しかねないぞ。それでもうちは、そういうのも相手にしてるんだからな。あと単純に不気味だ」
 お菊人形は、ショックを受けるとその場に膝をついた。
「なんで……可愛くない!?」
「可愛くない」
 それにしても表情豊だなと国広は、主の力に感心していた。
「姫諦めろ」
「そうするわ……」
 お菊人形は、すっと動かなくなり、国広は、人形を持つと、棚に置いた。
「国広!! やっぱりダメ!?」
 そして本人が天井から降ってきたが、気にしない。
 友美の方を向くと、国広は、いう。
「駄目だ!! 五虎退を怖がらせるきか!!」
「うっ……」
「あと俺達は、本人が来れる時に来てくれる方が嬉しい」
 落ち込む友美だがすぐに明るい顔になると、頷く。
「そうね!! ねぇ国広飴いる??」
 何故飴なのかと思いながら、頷くと、友美がのし飴を渡してきた。
「季節外れ!!」
「まぁまぁ!!」
「まぁありがとう」
「どういたしまして!!」
 友美は、そういうと、執務室を出ていった。たぶんのし飴を皆に配りにいったのだろう。
「人形……渡しそこねた……」
 またあとで渡せばいいかと国広は、思いながら、のし飴をたべる。
「甘いな……」
 優しい甘さに彼は、微笑むと、書類整理を始めた。本当に主は、嵐のようなやつだなと思いながら。
 
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