日常編2

 管狐の失踪が相継ぐ事件が発生していると政府から発行されていると、新聞に載っていた。
 正雪は、顔を青ざめると、国広に聞く。
「国広殿!! これは、非常に問題では!?」
「そうだな」
 のんきな国広に正雪は、そんなのでいいのかと思いつつ更にいう。
「うちのこんのすけとまめのすけは!?」
 国広は、きだる気に頬杖をつく。
「うちのは、改造されてるからな」
「改造……」
 正雪は、ポカーンとしたのち、驚く。
「改造!?」
「あぁ。姫がいじったと言っていたが……」
 国広がそういい終える前に正雪は、もういなかった。
「……嵐が来る予感がする」
 国広のこの予感は、ある意味当たる。

 正雪は、屋敷のなかを走っていた。
 見えた小さな背中に思わず声をかける。
「まめのすけ!!」
「代理様どうされたまめ??」
 正雪は、まめのすけを抱き上げる。
「変なところは、ないか??」
「まめ??」
 特に異変は、無さそうだ。次は、こんのすけと正雪は、探すと、屋敷近くの小川で涼んでいた。
「こんのすけ!!」
「代理様どうされました??」
 川につかりながら、こんのすけは、言うと、正雪は、ほっとした顔をした。
「……よかった」
「私はここで涼をとっていただけですよ??」
「それでよかったと言っているのだ」
 正雪は、しゃがみ言うと、まめのすけを優しく撫でた。
「何があったのですか??」
 こんのすけは、川から上がる。
「その……政府の本丸から管狐が行方不明になっていると記事をみたのだ……それでまめのすけとこんのすけは、大丈夫かと思い……」
 こんのすけも初耳の事らしく、驚いていた。
「なんですと!?」
「異過の奥へ……消えてしまったとか……」
「異過ですか……あそこは、まだ謎が多い。無事に帰ってくるといいのですが……」
「誠にそうだな」 
 まめのすけは、正雪の腕から抜け、川に。こんのすけもまた川に入り、二頭は、遊び始めた。
 正雪も靴を脱ぐと、近くの石に腰かけ、足だけ川にいれた。
 木漏れ日と、川の香りそして爽やかな風。ここは、気持ちがいい。
「こんのすけは、この事を政府から聞いてなかったのか??」
「私は、既にここ所属の管狐。政府とは、関係ないんですよ。実は」
 だからこそ、こうして有意義にのんびりと過ごせている。
「勤め狐は、大変ですからねぇー」
「そうか……」
「政府とのやり取りや、審神者の身のまわりの世話やら色々仕事があるんですよー」
「ちなみに姫にも……」
 こんのすけは、止まった。
「ようやく姫に認められた私ですよ?? 何かさせてもらったと思いますか??」
 正雪は、しばらく考えたのちいう。
「ないと思う」
 友美がこんのすけにあたりがキツイのは、新参の正雪でも知っていることだ。
 理由としては、政府のスパイも出来るからとの事だった。
「しかし……こんのすけ。姫から信用されるのは、至難の技では??」
「本当に。だから大変だったんですよ!?」
 正雪は、あのなんでも見透かす友美に一度疑われ、そこから信用されるとなるとそうとう大変なんだとこんのすけとの表情を見て更に感じた。
「姫は、政府からの情報だけでも裏がないか調べます。だからそれがないようにそして裏に隠された情報も政府にばれないように探し、全て伝え。苦節八年半でようやくです」
 神らしい冷酷さも持ち合わせる友美。こんのすけは、本当に大変だったようだ。
 正雪は、こんのすけの頭を撫でた。
「後でシャンプーとやらをやらなくては」
「いりませんよ!!」
「こんなにずぶ濡れなのだから、要る」
 こんのすけは、げんなりとした顔に。
「正雪」
 名を呼ばれ、正雪は、ふりかえると友美が。 
「こんのすけここにいたのね」
「姫」
 友美は、げんなりとしているこんのすけをみて首をかしげた。
「なんでそんな顔してるの??」
「代理様が後でシャンプーをすると!!」
「遊んだあとは、しないとね!! じゃないと、江雪が悲しい……といいながら、掃除をすることになるわ」
 こんのすけは、更に萎れた。
「姫、国広殿から、聞いたが、こんのすけを改造したとは、本当か??」
 友美は、言い方があるだろうと思いながら、言った。
「改造というか……こんのすけとまめのすけの首飾りが少し特殊なの」 
 こんのすけとまめのすけは、青色の首飾りをつけられている。
「正雪の耳飾りとかんざしみたいなものね」
「ということは、姫の術がかけられていると??」
「そう。そして守りの術だから私より高位のものじゃないと傷つけられないようにね。正雪のは、この点は、少し違うけど、この子達は、戦えないから」
 友美より高位となるとこの世界には、そうそういないだろう。
 だからこんのすけとまめのすけは、無事なのかと正雪は、納得できた。
「姫は、聞いたか?? 管狐の事」
「一応ね」
 友美は、目を伏せる。
「異過は、可能性の墓場とも言われてるらしいわ」
「可能性の墓場……」
「まぁ私達に何かしろとは、言ってこなわ」
 友美は、そういうとこんのすけとまめのすけをみた。
「管狐は、あやかしだもの……それに百鬼夜行とくれば……今回の件は、あやかしが絡んでるのかもね。まぁあやかしに関しては、神子の専売特許だけど、なにもないと思うわ」「姫は……あやかしを処分することも……」
「あるわ。でも最悪の場合よ」
 友美は、優しく正雪の頭を撫でた。
「そういえばこのあたりでヤマタノオロチ見なかった??」
 友美の口からでた単語に正雪は、固まった。
「ヤマタノオロチ……??」
「いたら分かるわよね。あれだけの邪気だし……どこ行ったのかしら……」
 友美は、そういうと去っていった。正雪は、固まったまま考える。
 ヤマタノオロチとは、素盞嗚に討伐されたといわれる大蛇だ。
 そんな者と友美が知り合いだなんて信じられない。
 正雪は、そう思いつつ悪寒を感じた。
「代理様逃げるまめ!!」
「これは、まずいです!!」
 川の下流から邪気がする。正雪は、こんのすけとまめのすけの抱え靴をはくと走った。
「正雪??」
「姫なにか来る!!」
 友美は、微笑む。
「そこにいたのね」
 正雪は、友美に追い付くと、友美は、結界を張った。
「姫!?」
「この邪気は、正雪には、毒だから」
 友美がそういったとき、目の前に龍の顔が。
「友美よ探したぞ」
「ごめんごめん!! それよりこれあげるわ」
 龍の首が八つに分かれていた。ヤマタノオロチは、友美から酒の瓶を受け取る。
「ありがとう」
「これ渡したかったの。わざわざ来てくれてありがとう!!」
「友美に呼ばれれば来るのが我らだ。では、また」
「またね!!」
 ヤマタノオロチが姿を消すと、友美は、邪気を浄化し、結界を解除した。
「友美……貴女は……」
「ヤマタノオロチとも友達なの」
 正雪、まめのすけ、こんのすけは、鳩が豆鉄砲をくらったような顔に。
 規格がいすぎる。友美が。
「正雪とりあえず戻ったらこんのすけとまめのすけのお風呂ね!!」
「そうだな姫」
 気付けば正雪も濡れてしまっている。友美は、こんのすけが逃げなければいいなと思いながら言った。
「私も入ろうかな??」
「姫は、いい」
「えっ!?」
「私が全てするゆえ、姫は、いい」
 正雪は、そういうと足早に屋敷に戻ってしまった。
 友美は、微笑む。
「正雪も初ねー」
 光から突っ込みを入れられそうだか、今光は、いない。
 友美は、楽しげに微笑むと屋敷へと歩いていったのであった。
34/35ページ
スキ