日常編2

 福島光忠がやってみたいといったのが、全ての始まりだ。
「花をいけたい!?」
「駄目かな主??」
「それは、問題ないわ。でも福島って花に興味あるのね……」
「育てるというよりアレンジメントの方が好きでね」
 長船派は、華やかだなと友美は、思いながら、頷く。
「そうなのね。なら今回は、お願いしようかな」
 そういった時、見てしまった。花瓶を持ち、そわそわしている正雪を。
「主??」
「えーと……」
 どうすべきか。突っ込むべきかスルーすべきか。国広なら何やってるのと突っ込むが正雪相手には、そうもいかない。
「福島その……相棒いてもいい??」
「それは、問題ないが……」
 正雪は、ぱっと明るい顔になるとちょこちょことやってきた。
 それを見た福島は、なるほどと察していた。
「華道は、手習い程度ならばやったことがある……その……少しは、力に……」
「分かったわ。なら正雪もお願いね」
 正雪は、頷く。
「福島、正雪こんな感じだからお願いね」
「分かったよ主。でも……」
 福島は、友美にだか聞こえるようにいった。
「正雪さんあまり子供扱いはよくないよね??」
「一応三十路だから!! そこらへんは、長船派は、得意でしょう?? 宜しく!!」
「得意って……俺ながらく他の長船派や兄弟には、会ってないんだが……」
 長船派だからとくくられては、少し困る気もする。
 福島は、ニッコリ微笑む友美にこれは、やるしかないなと腹をくくった。
「とりあえず軍資金よね。待ってて」
 友美は、そういうと和室へ。
「正雪さん宜しくね」
「こちらこそ……その……福島殿は……燭台切光忠殿の兄弟……かな??」
 懐かしい名前に福島は、ほほ笑む。
「そうだよ。お兄ちゃん」
「そうか……」
 正雪は、どこか嬉しそうに笑った。
「光忠殿が喜びそうだ」
「もしかして……燭台切は、噂の組織にいるのかな??」
「あぁ」
 友美から本丸?の事は、福島も聞いた。
 福島が望むならそこで刀剣男士として、任務につくことも出来ると。
「福島殿は、その……」
「分からないかな」
「そうか……」
 そう分からない。自分が何をし、何を選びたいのか。ただ花を飾り、誰かに贈りたいとは、思う。
 その事を友美にはなすと、彼女は、笑っていた。
「主は、自由に好きなことを探さばいいって言ってたし、せっかくこの体をえたから……探してみることにする」
「そうか」
 正雪もまた同じことを友美に言われ、そして今がある。
「お待たせー!! これ軍資金よ!!」
「ありがとう姫」 
 可愛らしい財布だなと思いながら、正雪は、見ていると友美は、いった。
「正雪にあげるわ」
「姫!?」
「小銭入れは、正雪持ってたけど、長財布は、持ってなさそうだから」
 江戸の頃ならともかく今は、貨幣も紙幣も使う。小銭入れだけでは、キツイ。
 正雪は、サプライズに少し驚くがいった。
「ありがとう姫」
「いえいえ。福島には、こっちね!!」
 福島に渡されたのは、可愛らしいクマさんのポーチだった。
「え??」
「福島カッコいいから似合うわ!!」
「姫少し違うだろ……これ……」
「気にしない!!」
 主からの贈り物なので、大切にするが、少し違う気がする。
 まぁいいかと福島は、思うなか、友美は、笑っていた。
「じゃ姫いって参ります」
「お願いね!! 残ったお釣りで好きなお菓子でも買ってきてね!!」
「分かった」
 したくをし、正雪は、そういうと、友美に見送られ、福島と花屋まで出かけた。

 すれ違う人達からやたらと見られる。しかも女性ばかり。
 日傘をさしながら、正雪は、後ろを歩く福島を見た。
「現代は、凄いなぁ……」
「そうだな」
 福島は、瞳は、色々な、ものに興味しめし、キラキラしていた。
 そのうえこの容姿。そりゃ見られるのも分かる。
「これが……色男……」
「俺は、そんなのでは、ないよ」
「自覚なしが一番困る……」
 たぶん正雪には、いわれたくないだろう。彼女は、知らない。
 国広が日頃無自覚のフラグ立て行動にやきもきしているかを。
「本当だ。無自覚が一番困る」
 この声はと思ったとき、正雪の隣に国広がいた。
「あんたが福島光忠か」
 福島もなんとなく分かったのだろう。頷くという。
「山姥切国広か??」
「そうだ」
 刀剣男士同士だと色々感じることがあるのかと正雪は、思っていると二振りは、正雪を見ていった。
「国広くんその……正雪さんって……」
「福島あんたの思ってる通りだ。俺も買い出しでナカツクニに来てみればキョロキョロしてる正雪を見つけてスルーできなかった」
 福島が苦笑いを浮かべ、国広が頷く。正雪は、なんともいえない空気に耐えられずいった。
「なんなのだ!? 国広殿!! 福島殿!!」
「無自覚って困るな」
「本当に」
「む??」
 そう無自覚は、困る。福島は、困った顔に。
 どれだけやきもきしていたか。通りすがる男が正雪をみて、鼻の下を伸ばしているのを見ていて。
「で正雪どこにおつかいだ??」
「花屋にだ」
 福島も頷くので国広は、ほっとした顔に。
「国広殿。私は、そんなに信用できないか!?」
「正雪は、色々危なかしい」
 正雪が固まるなか、国広は、いう。
「俺もついていこう」
「心強いよそれは」
 福島も国広がついていくことに同意したので、結局、国広もつれ、花屋に。
「さてどれにしようか……」
「ひまわりがいいかもね」
「だな福島殿」
 国広は、福島と花を選ぶ正雪を見ながら、目を細める。
 これが本来の彼女のあるべき姿なのかもしれない。国広は、詳しくは、知らない。だが、見たことは、ある。
 亡くなる前覚悟を決め、全てをかけたときの彼女の、険しい顔を。
「正雪??」
「国広殿!!」
 気づけば、目の前に正雪がいた。
「ひまわりと薔薇どちらがいいと思う??」
「ひまわり」
「ありがとう!!」
 正雪は、そういうと、福島のところに。そしてひまわりと、リンドウ、ユキヤナギを買った。
「おつりであとは、お菓子か」
「さよう」
 一先ずスーパーに移動すると、すぐに正雪は、アイスのコーナーに。
「私は、これにしよう」
 そして取ったのは、バニラアイスだった。
「正雪好きだなバニラ」
「最近のブームというやつだ!!」
 最近正雪は、バニラアイスにはまってるらしく、組織でもよく食べている。
 国広は、普通のソーダ味のアイスをとり、福島は、ソフトクリームを取った。
 会計を済ませ、来たくすると、友美は、国広の登場に驚きもせず、いった。
「国広はい!! 花瓶!!」
 国広は、驚きもせず花瓶を受け取る。
「分かった」
「皆おやつも買ってきたわね!!」
 そして正雪の持つビニール袋を友美は、見ると微笑む。
「主買ってきたよ」
「なら冷凍庫いれとくわね!!」
「姫ありがとう」
 友美は、ビニール袋を受け取るとキッチンに。
 炬燵の上には、せんてバサミや新聞が置かれていた。
 国広は、慣れた手付きで花をいけだし、福島と正雪もさっそくやり始めた。
「福島殿それ……」
「フラワーアレンジメントだな」
「綺麗だからいいかなって」
 友美は、しばらくして様子を見にいくと、とりあえず置いていたオアシスを使い、福島が綺麗はフラワーアレンジメントを作っていた。
「国広殿……すごい……」
 国広は、というと花器に、剣山をつかい、いけていた。
「正雪は、可愛らしいな」
「だね」
 正雪は、花瓶にいけていた。
「こうしてみると個性が出るわね……」
 友美は、そういうと微笑む。
「主は、いけないのかい??」
「私は、やめとくわ。それに飾る場所にも限りがあるもの」
 友美は、そういうと和室へ。
「国広のは、床の間ね」
「そうだな」 
 国広は、そういうと、床の間にいけた花を置いた。
「正雪と福島のは、リビングかしら……玄関でもいいかも……」 
「なら俺のを玄関に。正雪さんのは、リビングへ」
「福島殿!?」
「いいわね!!」 
 福島は、そういうと、玄関にいけた花を置き、正雪は、リビングの窓辺に置いた。
「ありがとう!! さぁ!! おやつおやつ!!」
 友美は、そういうと正雪達が買ってきたアイスをとりだし、あとは、クッキーを持って、リビングに。
「ありがとう主」
「いえいえ」
 友美は、そういうとリビングを出ていった。
 アイスとクッキーを食べながら、正雪は、いう。
「旨い」
「それは、よかったね!!」
「だな」
 ふと国広と福島は、思う。妹がいるとこのような感じなのかなと。
「国広くん」
「わかる」
 二振りの間で美味しそうにアイスを食べる正雪。思わずこんな可愛い顔もするのかと二振りは、思いながら、呟いた。
「無自覚なのが……」
「よくないね」
 正雪は、首をかしげ、また、アイスを食べた。その様子を見ていた友美は、思わず笑った。
「お兄ちゃん達は、大変ね」
 そう呟くと、友美は、書庫へと調べ物しに入り、その間も正雪は、美味しそうにアイスをたべるであった。
「次は、ソーダ味とやらを試してみよう!!」
 といいながら。
 
 
 
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