日常編2

 床の間に置かれた不思議な刀剣。正雪は、じっとそれを見ながら、あることを考えていた。
「国広殿。床の間の刀剣を一度ナカツクニに持っていってもいいだろうか??」
 たまたま近くを通った国広に聞くと、彼は、言った。
「いいが……何に使うんだ??」
「姫に見せようかと」
「姫に??」
「あの刀剣……とても気になるゆえ……調べてもらをうかと……」
 国広は、真顔になると言う。
「あの刀剣の正体知ってるぞ」
「む??」
「そらこれを見ろ」
 国広は、持っていたタブレットを正体にみせた。
「国広殿これは……大陸の体術の名前では??」
「それは、少林拳だ」
「そうであった」
 どうやらこの直刀は、丙子椒林剣というらしい。説明によると剣という部類で、繁栄と豊穣に関係する名を持つ刀剣だそうだ。
「国広殿なら何故呼び起こさないのだ??」
 素朴は正雪の疑問に国広は、溜め息をつきこたえる。
「癖が強そうな気がする」
「というと……」
「剣に部類される刀剣は、付喪神の中でも神に近いとされ、おのおの固有の能力があるんだ。白山吉光は、治癒、七星剣は、経験を多く積ませるとか」
 国広の説明聞きき、正雪は、ふと思った。
「この組織の刀剣男士と同じということか……」
「まぁそうとも言えるが。俺達は、姫が主だから力を与えられたが、こいつらは、はじめから持ってるんだ」
 正雪は、それは、凄いなと思いながら、じっと丙子椒林剣をみた。
「だがそれだけで癖が強いとは……」
「うちには、前例があるからな」
「というと??」
「三日月宗近、髭切、小狐丸は、この刀剣のようにひょっこり表れて、かってにこのに住み着いたんだ」
 正雪は、キョトンとしてしまった。
「む??」
「理解できないよな。俺もなんでそうなってるのかいまだにわからん」
 なんから、出ていく気等さらさらなく、そのうえ三日月宗近と髭切の正体にかんしては、さらに予想など出来ない答えだった。
「国広殿その……出陣先で拾ってきたのかな??」
 学校で時より出陣先で刀剣男士を拾うこともあると学んだ。正雪は、恐る恐る確認すると、国広は、いう。
「それならどれだけよかったか」
「……本当にかってにやって来たのだな」
「見事に。髭切だけは、ある意味拾ってきたに、なるだろうが」
「源氏の重宝を拾ってきた……とは……」
「柊麗が連れてきたからな」
 正雪もよく知っている女の子。主の三番目の子供でとても元気な子だ。
「ふむ……」
「とりあえず姫に見せるのは、いいが、呼び起こすのは、やめておけ」
 国広は、そういうと去っていった。しかしそれは、どうなのだろうか。
 正雪は、鞘に触れると刀剣は、温かかった。
「貴殿は……人の体を得たいか……??」
 刀剣からは、問いかけの返事は、ない。
 正雪は、眼を伏せると立ち上がる。
「さて帰ろう」
 刀剣を持ち、正雪は、執務室に。国広に挨拶をすると、その日は、家に帰った。

 家に帰ると、友美は、のんびりリビングで、珈琲を飲んでいた。
「正雪おかえりなさい」
 時計を見て友美は、早いなと思いながら、正雪にそういうと、彼女は、いった。
「ただいま帰りました」
 正雪は、座布団の上に座ると、持って帰ってきた刀剣をさっそく友美にみせた。
「姫これを見てもらっても??」
 袋から出された刀剣を見て、友美は、真顔になる。
「……これ……古い刀よね??」
「あぁ」
「連帯戦で拾ったの??」
「夜光貝の山の中に刺さっていたのだ……」
 友美は、唖然としていた。
「なんでうちにくる刀剣は、そういうの多いの!!」
「で国広殿には、見せるのは、いいが……呼び起こすなと……」
「国広らしいわね。癖があると踏んだのね」
 友美は、そういうと、刀剣に触れた。
「これは……飛鳥文化アタックやな」
「む??」
「どないしよう……ぜんてんしながら、出来るやろうか……」
 友美は、なにか悩むなか、正雪は、きょとんとしていた。
「姫……もしや……もしやなのだが……上方の生まれ??」
「そうよ。私これでも上方の生まれなんよ」
 友美は、そういうと、微笑む。
「とりあえずこの子は、このままやね」
「このまま……」
 正雪は、切ない顔をすると悲しげに刀剣をみた。
「……それは、刀にとっていいことなのだろうか」
「遡行軍と戦闘するのが幸せなことともいえやん」
 友美は、切なく微笑む。
「姫がもしや蛍殿がカメラマンとして仕事をするのを許してるのも……」
「蛍が興味を持って夢を見つけて、やりたいと思ってることやから。だから私は、好きなようにさせてるんよ」
「日向殿のことや薬研殿……白山殿や他の刀剣……も……??」
「そうや」
 友美は、微笑む。
「正雪もやりたいことを見つけたらそれをしてみたらいい。私は、出来ることをやるから」
 本当にこの人は、と正雪は、思いながら、微笑む。
「ありがとう」
 友美は、立ち上がる。
「そうだ……その……」
「姫??」
「正雪に伝えないといけないことがあるの」  
 友美は、標準語に戻ると困った顔をした。
「その……喚んでしまって……」
 友美のこの反応。そして自分に関係あるのならまさか丑御前が来たのかと、正雪は、少し体を震わせた。
「正雪その……アイツじゃない!!」
「なら……」
 友美は、テラスに続く大きな窓を開けると、正雪を手招きした。
「ありがとう」
「あの者は……」
 見覚えのあるエプロンと白シャツ。間違いない花屋で見かけた福島光忠だ。
「姫まさか……あの納戸の……刀剣の……」
「中にいたみたいなの……手入れしてたら突然表れちゃって……」
 友美らしい出会いのしかたに正雪は、思わず笑った。
「主のこの方は??」
「私の式の由井正雪よ」
「もしかしてさっき言ってた組織という所の代理かい??」
「そうそう」
 河童に懐かれているところをみると、悪い刀では、なさそうだ。
 正雪は、微笑む。
「お見知りおきを」
「こちらこそ」
 友美は、微笑むが微笑みは、強ばっていた。
「姫??」
「どうしよう……福島をどう隠そう……」
「隠す!?」
 何故そうなのかと思ったとい、答えは、すぐにでた。
「友美!! また増やしたでしょう!?」
 蛍がイライラしながら、リビングから顔を出していた。
「刀剣のままにしとけばいいのに!!」
「知らぬ間に出てきたの!!」
 蛍は、福島を見ると、彼は、笑っていた。
「こんな小さい子もいるんだね……」
 興味をしんしんに福島は、蛍を見る。
「蛍どうしよう……」
「刀に戻せば??」
「戻せるわけないでしょう!? せっかく福島楽しんでるのに!! ガーデニングを!!」
「主俺は、育てるよりアレンジする方が好きかな」
「まさかのそっち!?」
「だから貴殿は、花屋に居たのか……」
 正雪は、答えがでて、スッキリだが、友美は、違う。
「とりあえず!! 部屋よ!! 部屋!!」
「主部屋ならあの刀剣の部屋で俺は、いいが……居心地いいしね」
「……なら刀剣の姿に戻るのは……」
「ありといえばありかな。それに何時でも人の姿になれるよう主は、してくれてるしね」
 あっさり解決した。
「福島ありがとう!!」
 友美は、そういうと、彼は、微笑む。
「よし!! 問題……」
「解決してないぞ友美」
 この声はと友美は、急いでリビングには居ると、光が正雪の持ってきた刀剣を持ちたっていた。
「光殿それは……」
「とりあえずこれは、置いておくとして、うちに福島光忠が、あるのは、どういうことだ!!」
 友美は、視線をそらし言う。
「納戸に……あった……」
「何時ものか」
「何時もの」
 光は、ならしかたがないと、福島を見ると、彼は、微笑むのみ。
「宜しく」
「あぁ宜しく」
 とりあえず返しておいた。
「なんで友美は、こうやって行方不明の刀剣を呼び起こすかな!!」
「家にあるから……でもなんであるのかしらねぇ……」
 それを友美が言うなとその場にいた全員が思った。
「主がそれを言うのはちょっと……」
「福島友美を主って!?」
「おかしいかな??」
「珍しいから……」
「彼女は、神子姫だが、俺にとっては、主だから」
 どうやら福島は、今の持ち主として友美を認知しているようだ。
 友美は、驚きながら、光を見ると、彼は、あきれた顔をしていた。
「対価で貰って他にやるつもりだったんだろ」
「というか……たまたまこの刀いいなと思って……買ったやつだったから……」
「まさかの珍しい出会いだな!?」
「うん」
 光と蛍そして正雪までもが驚くなか、友美は、とりあえず笑い、福島は、そんなに珍しいのかと不思議そうに見ていた。
 彼にとって、この家にある刀剣たちは、居座るつもりで、ここに集まっていると思っているからだ。 なんなら皆とそういえ会話をしている。
「姫その……丙子椒林剣は、どうする??」
「正雪とりあえず床の間行き!!」
「了解した。明日戻してくる……」
 これは、まだまだ丙子椒林剣は、顕現しなさそうだ。   
 正雪は、いつか人の形をえた彼と話をしたいなと思いながら、微笑むのであった。これなら賑やかにさらになりそうだと思いながら。

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